2016年8月4日 復興特別委員会
第三期復興実施計画等に関する質疑(大要)


・第三期の復興実施計画について

【斉藤委員】
 第三期というのが最後の復興実施計画ということになるが、第二期計画の進捗状況をどう受け止めて評価するかというのは大変大事な第一の前提だと思う。
 安全の確保の問題でも、防潮堤の整備などが遅れて、安心して住宅再建できないという問題も出ており、暮らしの問題では、仮設住宅は4月末でピーク時の45%の方々が入居、6月末でも40%台の方々が5年数ヶ月も経って入居している。これだけの方々がまだ仮設住宅から自立できないというのは本当に深刻な問題だと思う。そのために、今後の住宅再建計画を変えざるを得なかった方々が少なくない。そういう点をシビアに見なくてはならない。
 生業の再生の問題でも、たしかに8割方の事業者が再建したが、震災前の売り上げまで回復しているのは4割程度、水産加工に至ってはもっと低いので、この方々が成り立つのは今後2〜3年にかかっているのではないか。
 そういった現状認識をシビアに受け止めて第三期の復興実施計画を具体化することが必要だと思うので、皆さんの認識をうかがいたい。

【復興局長】
 先日、復興レポート2016をまとめさせていただいた。進捗状況については、おおむね計画通りに進んでいるというのが7割ということで、おおむね計画通りに進んでいるということであるが、復興委員会等でも、特に県北と県南―具体的には宮古以南、岩泉以北ということで、復興の進捗に差が見られる状況もある。そういうところにきちんと寄り添った対応をすべきだという話もいただいている。
 一方で、災害公営住宅については、昨年度末は6割、今年度末には8割ぐらいが完成するということで、そういうハード整備を進めているということだが、まだまだ仮設住宅には4割以上が暮らし、生業の再生についてもご指摘のような状況ということであるので、しっかり28年度の進捗状況も踏まえながら、課題認識として十分認識させていただきながら、第三期の復興実施計画で解決すると、基本的な流れとすればそういう考え方で整備しているものだが、そういった方向で第三期の復興実施計画を策定していきたい。

・孤独死を出さない対策、被災者の医療費・介護利用料等の免除継続について

【斉藤委員】
 暮らしの再建で、重視する視点の中にぜひ加えてほしいのは、やはり被災者の命と暮らしを守る視点が最優先に位置づけられる必要があるのではないか。分かりやすく言えば、孤独死を出さないと。基本的な考え方には、「被災者一人一人の復興を成し遂げる」とあり、この基本はとても大事だと思う。視点の中にもしっかり位置づける必要があるのではないか。
 その点で、6月県議会で被災者の医療費・介護利用料等の免除継続を求める請願・意見書が採択された。去年は、9月県議会の冒頭で知事が継続を表明した。ぜひ6月県議会の請願採択を受け、9月県議会までに市町村との協議やさまざまな取り組みを行って、早く方向性を示すことが必要だと思うが、この請願採択を受けて復興局としてはどういう取り組みを行っているのか、今後どう進めるのか。

【生活再建課総括課長】
 孤独死を出さないための対策については、被災者の命と暮らしを守るという観点から、現在、生活支援相談員や市町村が雇用している支援員等で見守りを行っているが、コミュニティとも関係するが、ご近所付き合いに勝るセーフティーネットはないと考えており、そういったコミュニティ形成支援、その辺を第三期の復興実施計画ではさらに強化して取り組んでいきたい。
 医療費等の免除措置は28年12月末までとなっているが、所管の保健福祉部とも協議して対応を考えていきたい。

・内陸部への災害公営住宅の整備について

【斉藤委員】
 県土整備部は、かなり慎重に被災者の意向調査をしているが、あと2年ちょっとしか復興期間はない。そして、6月の復興特別委員会の調査でも、被災者から「早く、どこにどういう形で公営住宅が整備されるのか示してほしい」と。そうしないと、被災者の生活再建の計画が立てられない。この内陸部への災害公営住宅の整備は、希望する各市町村・地域に、できるだけ木造戸建てなどを含めた災害公営住宅を早期に整備する方向性を示すことが必要だと思うが、どうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 所管の県土整備部とも連絡をとっているが、現在、それぞれの市町村との協議を進めている段階であり、できるだけ早く方向性を示して、被災者の生活設計が成り立つように進めていきたい。

【斉藤委員】
 担当からは、市町村との協議はだいたいやったと。いま復興庁と協議しているという話も聞いているので、できるだけ早く方向性を示して、最後微調整はあったとしても、被災者の9割近くまで意向調査はいっているのではないか。あと2年半で整備するとしたら本当にギリギリのタイミングだと思う。用地確保から整備まで。
 目途はどうなるか。8月中には方向性を出せるのかどうか。

【復興局長】
 内陸部への災害公営住宅については総括課長からも申し上げたが、県土整備部と連携しながら、あとは今年設置した内陸避難者相談支援センターともリンクし調整を進めていると聞いている。
 具体的には、全体の戸数の関係、財源の関係で復興庁とも協議を同時並行で進めていると聞いているが、いつまでにという風には県土整備部からは聞いていないので、委員お話の趣旨も含め、できるだけ早く避難者の方の生活再建が成り立つというのがもっともな話なので、方針を公表できるよう県土整備部と協議を進めていきたい。

・コミュニティの確立について

【斉藤委員】
 これから災害公営住宅の入居が本格化する上で重要だが、県としてコミュニティの確立の具体的な対策はどう考えているか。
 災害公営住宅は、3月末で3168戸整備され、もう4000戸は超えていると思うが、6月末で入居世帯は2519戸である。整備されても、すぐ入居されない問題について、県とすればどう受け止めているのか。ここにも生活再建の課題が残されているのではないか。

【生活再建課総括課長】
 コミュニティは、行政、お住まいの方々、関係する団体が力を合わせて情報を共有しながら取り組んでいく必要があると考えている。たとえば、県営の災害公営住宅については、市町村との仲立ちをするとか、そういった取り組みもしているので、できるだけ自主的に取り組み、持続的な形になるように支援していきたい。
 災害公営住宅の入居率については、市町村を通じて話を聞くと、さまざま事情があるようであり、経済的な問題など、そういったこともあるので、住宅を管理する部局とも連携しながら、早期の恒久住宅の移行へ取り組んでいきたい。