2016年11月15日 決算特別委員会
議会事務局に対する質疑(大要)


・県議の海外視察について

【斉藤委員】
 都道府県議会の昨年度の実施状況はどうなっているか。今年度はどうなっているか。

【議会事務局長】
 平成27年度に実施しているのが24都道県、実施しなかったのが23府県となっている。
 平成28年度については、10月3日時点で、実施済みまたは実施予定が本県を含め28道県、実施せずが10府県、未定が9都県となっている。

【斉藤委員】
 昨年度も今年度も実施していない議会があるわけだが、その理由は何か。

【議会事務局長】
 視察を実施しなかった平成27年度分だが、23府県の理由は、「財政難等による休止」が本県を含め10府県、「議員からの希望なし」が11府県、「視察目的に合致する案件なし」が2県となっている。
 平成28年度に実施しない予定である県については、「財政難等による休止」が7府県、「議員からの希望なし」が3府県となっている。

【斉藤委員】
 昨年度は、約半分の議会で実施しなかったと。その主な理由は「財政難」だと。岩手県が、東日本大震災津波から5年8ヶ月、8月30日には台風10号の1440億円を超える大災害を受け、大変な事態にあるときに、今年度から海外視察を再開したというのは、本当に県民の理解が得られないものだと思う。
 全国都道府県議会議長会も、海外視察を取りやめているが、その理由は何か。

【議会事務局長】
 参加県・参加者がいずれも減少したことから、平成18年度を最後に海外視察を実施しないこととしたものと聞いている。

【斉藤委員】
 平成18年から参加者・希望者が少なかったと。全国の世論なども反映して、そういう状況になったと思う。
 先日の議会運営委員会では、来年度は予算は計上しよう、中身は後で考えようと。これは県民の感覚から見たら理解しがたい状況になっていると思う。東日本大震災津波からの復興、台風10号豪雨災害という二重の災害の中で、岩手県議会は来年度海外視察はやるべきではない。多くの委員の皆さんに率直に訴えたい。

・政務活動費について


【斉藤委員】
 昨年度の政務活動費の活用状況はどうなっているか。執行率、返還額はどうなっているか。

【議会事務局長】
 平成27年9月10日任期満了議員11名を含む議員59名に1億7112万円を交付し、うち1億4195万円余が執行されている。執行率83.0%で前年度より1.6ポイント減少している。返還額が生じた議員数は39人、返還額は2916万円余であり、交付対象議員に対する割合は66.1%となっている。

【斉藤委員】
 今年は富山市議会で、領収書の改ざんなどのきわめて重大な事態が発生し、13人が辞職するという異常な事態となり、全国でも政務活動費に対して厳しい目が向けられている。
 そこで政務活動費の情報公開について、岩手県は、領収書添付を全国に先駆けてやったと。そういう点では、情報公開の先進議会だったと思うが、収支報告書、会計帳簿、領収書等を県議会のホームページで全面的に公開すべきだと思うがいかがか。全国の状況はどうなっているか。

【議会事務局長】
 本県の状況は、平成20年度交付分から収支報告書をインターネットで公開しているが、領収書については公表していない。
 全国の状況については、収支報告書は平成28年10月現在、28府県で議会のホームページで公開しており、29年度からは山形県も公開となる見込みである。領収書については、28年10月現在、大阪府など4府県において議会のホームページで公開しており、29年度からは富山県と奈良県、30年度からは宮城県で公開となる見込みである。

【斉藤委員】
 収支報告書は、岩手県も公表しているが、1枚のものだけである。しかし、それぞれの議員が何に政務活動費を使ったかは全然分からない。そこで情報公開請求などもやられるが、領収書まで公開すべきだと思う。
 すでに4府県、さらに3県が領収書を含めて公開するということで、本来なら岩手県が先駆けて情報公開の取り組みを進めるべきだと思うが、何か事務的に問題があるか。それともすぐできることか。

【議会事務局長】
 領収書をインターネットで公開するということになると、作業については、インターネット公開用のデータを作成する必要があり、関係職員の業務量は増加することは考えられるが、それほどの業務量自体が大きなものということではないと考えているが、これは議会・議員の判断で対応していただくということになるものと考えている。

【斉藤委員】
 大変大事な答弁だった。データ作成に業務量は増えるが、それは議会の判断だと。それはその通りなので、今日は議長以外の議員がいるので、すでに全国で4府県、さらに3県が領収書を含めて情報公開する方向になっているので、岩手県議会もそこに踏み込むように強く求めたい。そうすると、我々の政務活動費が何に使われて、それが適正かどうか、県民の評価、県民のチェックに対応できる。そうすることで、適正・的確な政務活動費の活用にさらにつながるのではないかと思う。
 それで、領収書まで情報公開ということになると、基本的にはデータで公開されるので、情報公開請求されたときに、データで提供できる。紙だと大変な枚数になって料金もかかる。これは早く議会が決断すればすぐにでもデータで情報公開に対応できると思うが、間に合わなかった場合に、電磁的記録(PDF等)のデータによって、政務活動費の領収書を含めた情報公開に対応すべきではないか。

【議会事務局長】
 本県では、収支報告書・支出簿・領収書のすべてを公開としており、閲覧が可能である。文書提供の依頼があった場合には、紙により提供している。
 収支報告書等の開示にあたり、CDやDVDデータで提供しているのは、今のところ愛知県など8府県となっている。
 領収書のホームページでの公開や、電磁的記録媒体での提供については、全国的な状況などを踏まえて、今後議員間で協議されていくべきものと考えている。

【斉藤委員】
 8府県ですでにPDFなどの電磁的記録で提供しているということなので、この点も議会で早く決断して、情報公開で岩手が先陣をきったわけなので、今後も積極的に情報公開に取り組むべきだと思う。

・県議会のインターネット中継について

【斉藤委員】
 県議会での情報公開にとって、議会での論戦―本会議、予算・決算特別委員会のインターネット中継へのアクセスについて、どのぐらい活用されているのか。
 県議会への県民の要望・提言・質問等はどうなっているか。

【議会事務局長】
 インターネット中継については、ライブ中継と録画中継があるが、27年度の閲覧件数は、ライブ中継が15419件、録画中継が4247件となっている。
 県民からの意見・提言等については、平成27年度の受理件数は81件で、その8割がメールによるものである。主な内容は、岩手県議会だよりなど議会広報に関するもの、議員定数など議会や議員に関するもの、その他の提言などとなっている。この要望や提言については、必要に応じて提言者に回答するとともに、各議員に配布する情報を別冊に掲載して情報共有をさせていただいている。