2016年11月15日 決算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・平成27年度決算について
【斉藤委員】
歳出総額に占める震災復興分の額・比率はどうなっているか。この間の推移を含めて示していただきたい。
【財政課総括課長】
震災復旧・復興分の額は、普通会計決算ベースで3638億円余となり、総額に対する割合は35.8%となっている。
発災後の平成23年度からの推移は、23年度5258億円で42.0%、24年度4543億円・40.9%、25年度4076億円・38.6%、26年度3321億円・34.1%となっている。
【斉藤委員】
5年間の推移は35〜40%ぐらいを占めていたと。まさに復興に取り組んできたのがこの間の県行政の姿だったと。5年間合計で、復興関係の決算額は2兆836億円・38.5%を占めるということになると思う。
目的別経費で見ると、一番多いのはもちろん災害復旧費の6185億円だが、次に多いのが商工費の3508億円、その次が総務費の2929億円、そして土木費の2677億円となるが、商工費が多いというのは、かなりの支援策を行ったのではないか。商工費、総務費が大きな額になった主な中身はどうなっているか。
【財政課総括課長】
商工関係については、被災中小企業者などに対する貸付金などが相当程度計上されており、グループ補助金、緊急雇用対策事業などが行われたことで額が大きくなっている。
総務費については、人件費などの額が計上されていると考えている。
【斉藤委員】
これだけの大きな事業費ということになると、繰越の額も多いし、自己繰越というのもあったが、昨年度の自己繰越はどういうものだったか。
【財政課総括課長】
平成27年度の繰越額は1911億円となっている。このうち繰越明許費は1547億円、自己繰越額は363億円となっている。
自己繰越の主な内容は、金額の多い上位3事業は、漁港災害復旧事業180億円余、三陸高潮対策事業32億円余、海岸高潮対策事業18億円余となっている。
【斉藤委員】
震災復興が県政最大課題ということで5年8ヶ月が経過しているが、まさにこれからが正念場ということなので、大いに知恵を出してやっていただきたい。
・災害情報伝達のシステムについて
【斉藤委員】
避難準備情報、避難勧告、避難指示の発令基準はどうなっているか。
【総合防災室長】
これらはいずれも市町村長が、必要と認める地域の居住者にたいして発令するものである。
避難準備情報については、「避難のための立ち退き準備を促す情報」であるということと、「災害時に要配慮者に立ち退き・避難を促すもの」。避難勧告については、「避難のための立ち退きを勧告するもの」。避難指示は、「急を要すると認めるときに、避難のための立ち退きを指示するもの」となっている。
実際の避難勧告等の発令においては、あらかじめ災害別に発令基準を定める必要があることから、県では、国が定めた避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを示しながら助言するなど、市町村における発令基準の作成を支援している。
【斉藤委員】
今回の台風10号豪雨災害では、残念ながら多くの犠牲者を出してしまったと。岩泉町にいたっては、避難勧告が出されなかったということがあった。
こうした避難準備情報や避難勧告等の発令基準、どれだけの市町村が決めているのか。
【総合防災室長】
国のガイドラインにおいては、洪水災害について、洪水予報河川、水位周知河川で発令基準を定めることとしている。
洪水災害のうち、洪水予報河川では、対象となる10市町村すべてで基準を策定している。水位周知河川では、対象となる17市町村中14市町村が基準を策定している。
土砂災害では、33市町村中32市町村が基準を策定している。
【斉藤委員】
水位周知河川では、所管課長会議の資料で見ると、16市町村が対象で15市町村で策定となっているが、正確に答えていただきたい。
それから小河川、今回の岩泉はそうだったが、33市町村中31市町村で発令基準は定まっていたということか。
【総合防災室長】
お持ちの資料については、今年度当初の会議で示した資料であり、現在の状況は17市町村中14市町村が策定している。
国によるガイドラインにおいては、策定しなければならないものとして、洪水予報河川、水位周知河川で発令基準を定めることとしている。中小河川については定めているところではない。
【斉藤委員】
今年の4月15日に所管課長会議がやられてその資料をいただいたが、そこでは、水位周知河川は16市町村対象で15市町村で策定済みと。14市町村に減った理由は何か。
それから、小河川については、「過去の洪水の発生状況等地域の状況を踏まえて、適宜基準の策定を行うなど、適正な対応をお願いします」となっている。義務づけられてはいないが、小河川の場合でも「適宜基準の策定を行う」というのが県の方針である。これについては把握していないということか、策定されていないということか。
【総合防災室長】
小河川については、ガイドラインでは基準の策定を求めていないものだが、過去の洪水の災害の発生状況等、地域の状況を踏まえて適宜基準の策定を行うなど、適切な対応をお願いしている。
今年10月現在では、15市町村が策定している。
【斉藤委員】
小河川については、15市町村が独自に策定しているということでいいか。これには葛巻町は入っていなかったのか。全体とすれば、小河川が多いわけで、水位周知河川の指定というのもまだまだほんの一部にとどまっているが実態である。今回判明した小河川について、せっかく県がそういう方針を示しているので、しっかり市町村を支援して、発令基準を持って、県民の命と安全に関わる問題なので、これを教訓に進めていただきたい。
今回の台風災害も含めて感じることだが、避難準備情報というのはかなり早く出る。しかし避難準備情報は、いわば「災害弱者が避難を始める」という趣旨である。行政が避難準備情報を出したら、そういう施設、そういう方々に避難を促さなければならない。出しっぱなしだったら意味がないと思う。避難準備情報を含めて発令する側も受け取る側も、まったく正確に理解されていなかったのではないか。
【総合防災室長】
葛巻町においては、平成26年7月に策定している。
今回の台風10号豪雨災害においては、ご指摘の通り避難準備情報は出されたが、実際に避難行動につながらなかった面があると考えている。こういったことから、県では、防災会議などを持ち、そのあり方についても検討していきたい。
発災後、被災地に行ってお話を聞いてきたが、「避難準備情報が出ただけではなかなか移動しない」と。たとえば、民生委員の方ですとか、自主防災組織の方にお声がけをいただいて動き出すといったような声も聞いている。今後のあり方について、分科会などで検討していきたい。
【斉藤委員】
災害弱者の避難を進める上で、避難行動要支援者名簿にもとづく市町村の地域防災計画の策定が必要だと思うが、この策定状況はどうなっているか。
【総合防災室長】
策定済みが11市町村、作成中が22市町村となっている。
【斉藤委員】
11市町村にとどまっていると。問題は、要支援者名簿が、自主防災組織や地域の方々に伝わらないと機能しない。たとえば、避難準備情報が出たら、要支援者名簿で避難を支援する行動にうつらなければいけない。この要支援者名簿ができていない、できていても地域の自主防災組織なり町内会なりに、名簿がきちんと伝わっているのか。その辺は把握しているか。
【総合防災室長】
避難行動要支援者名簿については、名簿の作成状況は把握しているが、それぞれの市町村でどのような形で自主防災組織に伝わっているのかどうかについては把握していない。
【斉藤委員】
こういう災害の時に一番問われるのは、災害弱者の支援である。避難準備情報を出す意味もそこにある。しかし避難準備情報を出したからといって、どこに要支援者がいるのか分からなかったら対応できない。この問題を防災対策の要の問題として、しっかり把握して、指導もするべきである。
地域の防災の要になる自主防災組織の実態、活動状況はどうなっているか。
【総合防災室長】
自主防災組織については、ご案内の通り、平常時においては、防災意識の高揚や防災訓練に関わっている。また、災害時においては、要支援者への支援、避難所運営といった地域の防災力を支える共助になる大きな柱だと認識している。組織率の向上、活動内容の活性化が重要であると考えているが、活動内容についてもそれぞれバラつきがあると考えているところである。こうしたことから、県では、自主防災組織のリーダー研修会、連絡会議の開催により、リーダーの能力を高めること。自主防災組織同士のネットワーク化を進める。県職員や地域防災サポーターが県内の自主防災組織を訪問して、先進事例の紹介、課題の共有化を図っている。
【斉藤委員】
自主防災組織の状況という資料をいただいたが、全県で2174組織、隊員数が68万3454人、組織世帯数43万3986世帯で全体の世帯数の83.8%を占めると。この数は実態を反映していないのではないか。一度つくったということはあるかもしれない。2174組織というのは大変な数で、68万3454人というのは実態を反映していないのではないか。
【総合防災室長】
自主防災組織の組織率は、全国統一の考え方であり、自主防災組織がどのくらいの世帯をカバーしているのかで計算している。
自主防災組織については、各市町村から報告いただいているものをまとめているものである。活動内容、状況についてはバラつきがあるということである。
【斉藤委員】
さっき紹介した自主防災組織の現況というのは、無視するつもりはないが、やはり実態を反映していないのではないかと。今回の災害でもそうだったのではないか。だから、つくられている自主防災組織を点検して、しっかりした研修を行うべきである。年間の研修をみると30〜40人程度である。2000の自主防災組織があるのなら、それだけ参加するようなきめ細かい研修をしなければならない。
そして問題は、要援護者を自主防災組織が把握して、いざというときに機能するような自主防災組織にする必要がある。訓練していないことはできないので。
盛岡市で、水害常襲地帯で町内会中心で自主防災組織があるが、自ら河川水位情報を把握して、一定の高さになったら住民に避難を呼びかけるということをやっている。
自主防災組織がつくられたことは正しく評価しながら、この自主防災組織がいざという災害時に機能できるようにしっかりした点検と研修を行うべきではないか。
【総合防災室長】
私も盛岡市に住んでいるが、自主防災組織で要支援者名簿をしっかりいただいて、いざというときにどういう対応をとるのか取り組んでいるという状況も承知しており、岩泉町においても、地域の防災に詳しい専門家の方が、地域の災害危険情報というのを取りまとめて、被災はしたが人命は救われたという事例もある。こういった方々をリーダー研修会に招くなど、県内の自主防災組織のレベルアップを図っていきたい。人数や回数については、これからまた検討していきたい。
・県の人事政策について
【斉藤委員】
知事部局の正規職員数は、平成24年度3888人、28年度は3877人で11人減っている。年間予算6000億円から1兆円になって仕事量が増大しているときに、正規職員が減っているという話はない。たしかに新規採用は、平成24年度の86人、28年度166人と増やしているが、増やしても足りない、正規職員がまだマイナスになっていると。やはり抜本的に正規職員を増やして、県庁の力を強化する必要があるのではないか。
【人事課総括課長】
ご指摘の通り、24年度との比較では11名の減となっている。
県職員全体の状況で申し上げると、再任用のフルタイムの職員、これも希望ある者は採用するということで義務づけられているので、こういったところの全体数というところで見ていく必要があろうかと思っている。
行財政改革を進めてきた時分については、職員の4000人体制という形で、職員数自体を減らす体制ということでやってきたが、震災後はそういった計画はとっておらず、必要な職員数の確保に努めていくということで考えている。
【斉藤委員】
ぜひ4000人体制はすぐに回復してやっていただきたい。
たとえば超過勤務で、過労死ラインと言われる80時間を超えている職員はどれぐらいいるか。
【人事課総括課長】
27年度においては、職員数延べ431人ということで、26年度と比較し1人多い。
【斉藤委員】
431人というのは大変な数である。総務部が101人、県土整備部が104人、農林水産部が80人と。過労死ラインを超えているという、ここを緊急に解消することが必要ではないか。
年次有給休暇は、27年度は平均して10.8日だった。半分しかとれていない。これが今の県職員の体制なんだと思う。
育児休業取得者は36人、育児短時間勤務取得者はたった1人である。育児短時間勤務がとれないような職場になっているのではないか。
【人事課総括課長】
こちらはいろんなパターンがあろうかと思っている。希望する職員はすべて取れるような状況であるので、週に何日勤務するとかいろんなパターンがある。これは本人が置かれている状況や家族の状況といったものから取得していると考えている。アンケートをとった時代があり、この制度自体が知られていないという状況もあったが、行動計画を作る際に再度アンケートを実施したが、こちらの制度自体は8割ぐらいの職員はすでに周知ということになっている。
【斉藤委員】
県庁内の保育施設の整備についてこの間議論があった。県職員の要望があれば多いに進めるべきだと思うが、その際に、事業内保育所だとか規制緩和された保育施設をつくってはならない。やるんだったら認可保育施設でやるべきである。保育行政を県が主導しているときに、自ら規制緩和した人員体制でやることはあってはならないと思うが、そのことをお聞きしたい。
【総務事務センター所長】
県庁内の保育施設の整備について、現在ニーズ調査の結果を集計中である。今後においては、庁内の横断的なワーキンググループで調査結果を取りまとめ、庁内保育施設の設置の必要性や、仮に設置するとした場合のさまざまな課題を検討していきたいと考えている。
現時点では、設置する・しないという段階ではないが、設置する場合は、法定の基準等に十分配慮しながら進めていきたい。
・旧盛岡短大跡地の利活用問題について
【斉藤委員】
現状と今後の方向について示していただきたい。
【管理課長】
校舎については、現在も県の行政文書等の保管場所として活用しているほか、テニスコートについては、盛岡第二高校のテニス部が練習場として使用している。
県による利用だが、これまで総務部や教育委員会等から利用希望があったが、活用の内容については、なお継続して検討するところである。
引き続き、庁内関係部局との協議、地元自治体の盛岡市と情報交換し、跡地の利用方針について検討していきたい。
・自衛隊への入隊数の推移について
【斉藤委員】
本日(11月15日)、閣議決定で自衛隊に対して駆け付け警護の新任務が付与された。総合防災室は、自衛隊の募集も業務になっているので、この間の自衛隊への入隊数はどう推移しているか。
県議会は戦争法廃止の意見書をあげたが、岩手県出身者も南スーダンに行きかねない。国連の報告書では「停戦合意は崩壊した」と言われている。こんなところに東北の部隊を送ってはならないと思うが、知事なり総務部長なり、きちんとものを言うことが必要ではないか。
【総務部長】
県内からの自衛隊への入隊状況は、協力隊本部にお聞きしたところ、23年94名、24年170名、25年151名、26年135名、27年106名と聞いている。
県の立場としては、自衛隊法に基づき、法定受託事務として、自衛隊員の募集期間の告示、受験票等の交付・宣伝等を実施しているが、あくまでも外交・防衛に関する案件については、国の専権事項であるので、答弁は差し控えさせていただきたい。