2016年11月18日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)


・盛岡広域ごみ処理計画について

【斉藤委員】
 岩手県の広域処理計画に基づき進められているが、盛岡広域ごみ処理計画はどういう進捗状況にあるか。
 ごみ問題の一番の問題は、ごみの減量、リサイクル、リユースだが、計画ではどのように検討されているか。

【資源循環推進課総括課長】
 新しいごみ諸施設の整備を行う候補地を検討するため、県央ブロックごみ処理施設整備候補地検討委員会が設置され、平成27年9月に第1回委員会を開催して以降、昨日まで9回開催されたと聞いている。
 この中で、ごみの減量、リサイクル、リユースの計画については、これまでの基本構想等では、ごみの量については規定されているが、減量化・リサイクルについては、今後平成32年に予定している施設整備基本計画において具体的な分別・区分等に関する事項を決定すると聞いている。

【斉藤委員】
 9回やられて、12月までに最終整備候補地を3箇所程度にしぼるというスケジュールでやられている。そして1月に報告書を取りまとめると。
 一番の心配は、今の盛岡クリーンセンターの地域である。この15年間で、盛岡クリーンセンターから排出された有害物質の排出量、これは盛岡市議会でも明らかになっているが、どのように把握しているか。

【資源循環推進課総括課長】
 有害物質の排出量としては排出していない。排ガスなど基準を順守して適正に管理がなされている。

【斉藤委員】
 そんな不誠実な答弁ではいけない。盛岡市議会でも、盛岡市自身が算出して、15年間で1000トンの有害物質が排出されていると答えている。さらにこのクリーンセンターは、平成40年まで運転され、41年以降は新しい日量500トンと今の倍以上の規模の焼却施設を整備しようとしている。同じ場所に整備されたら、まさにその地域が有害物質の排出地域になってしまう。地域住民の方々が、こういう一箇所集中、とりわけ同じ場所に整備することには反対だと声をあげていることは道理あることだと思う。特に、焼却場付近の小学生の喘息罹患率が、その他の小学校に比べて2倍3倍も高く、これも盛岡市は認めている。こういう問題については、市や県が自らなぜ高いのかを解明して、住民の不安を払拭すべきだと思うがいかがか。

【環境保全課総括課長】
 予算特別委員会でも同じようなご質問をいただき、その際もお答えさせていただいたが、まず学術的な研究のところでいくと、厚労省によると小児喘息の原因としては、70〜90%程度がダニをアレルギーとするアトピー型だとされている。
 PM2.5については、発生源についてのいろんな分析を国でもされていると聞いている。その過程の中で、たとえば東京都の調査や名古屋市の調査を見させていただいたが、PM2.5に対する廃棄物焼却施設の煤塵の寄与率がきわめて少ないといったこともあるので、そういうところから鑑み、そういう認識をしている。
 PM2.5の発生源については、引き続き国で調査しているので、その動向を注視していきたい。

【斉藤委員】
 現象として、盛岡市内の焼却場施設の小学校の喘息罹患率が、その他と比べて2倍も3倍も高いと指摘した。この問題は、一般論ではなく、調査すべき問題である。焼却場付近ということは、関係があるのではないかと考えるのは当然なので。そういう点で盛岡広域ごみ処理計画の一番の問題は、ごみ問題の解決の要である減量・リサイクル・リユースの計画が全くないと指摘しなければならない。
 焼却施設を持たない鹿児島県志布志市の取り組みについて。27品目の分別・資源化でリサイクル率は76.1%と全国1位である。最終処分場を30年以上延命化し、ごみ処理計画は全国平均の2分の1にしたと。こういう方向で今の岩手県のごみ問題の解決にあたるべきだと思うがいかがか。

【環境生活部長】
 ご紹介のあった鹿児島県志布志市の取り組みについては我々も聞いており、ここは人口3万人程度で、元々焼却施設を持っていない。合併後も、すべて焼かずに分別し、それで残ったものは最終処分場へという仕組みと聞いている。学ぶべき点は多々あるとは思うが、これがすべて盛岡広域にすぐ当てはめるかどうかという部分は、いろいろあるかと思うが、いずれ我々も、広域化とごみの減量化は同時にやるべきものであり、少なくしてその上でごみ処理経費等の効率化を考えれば、ある程度集約していくという方向性についてやっていくべきものと思っており、その辺については市町村の方々と意見交換しながら、場合によっては技術的支援もしていきたい。

【斉藤委員】
 地域住民の反対や不安を無視して大型焼却場の整備を進めるべきではない。

・県北クリーンセンターのデータ改ざん問題について

【斉藤委員】
 データ改ざんの経緯はどうなっているか。どのように改ざんが行われ、その原因と責任はどこにあるのか。
 公害防止協定、県の排出基準の内容と意味、県のチェック機能はなぜ機能しなかったのか。

【資源循環推進課総括課長】
 今年6月8日に、排ガス測定値を不正に操作したとの報告があり、県では施設の立ち入り検査を行った上で、改善計画書の提出を求めた。7月1日に改善計画書が提出され、内容を審査した上で13日に受理している。
 岩手県県北クリーン株式会社では、不正を行ったことを自主公表したところだが、7月14日に焼却炉を休止し、従業員の再教育を行い、22日には九戸村議会全員協議会、あるいは住民説明会で経過を説明し、23日から再開した。
 原因だが、不正操作が発生したのは、データ集計システムがパスワード管理されていないこと、職員のコンプライアンス意識の欠如、部署間の連携不足が起因しているものと思われる。
 事業契約に基づくものが環境保全基準ということで、九戸村と結んでいる公害防止協定と同じ値であり、これについては法律よりも厳しい基準となっている。
 県のチェック体制だが、第二クリーンセンターについては、事業契約に基づいて、事業契約に規定しているサービスを提供しているかを確認するために、県では年4回モニタリングを行っている。このモニタリングでは、業務の実施状況だとか、書類などをヒアリング等で確認してきているが、結果としてチェックでは発見できなかった事実であり、非常に重く受け止めている。現在は、このようなことがないように、月2回のモニタリングを実施し、今まで以上に厳しく監視・指導に努めている。信頼回復に向け二度と不正が起きないよう事業者を指導していく。

【斉藤委員】
 このデータ改ざんは、最初に不正操作が行われたときは、「運転操作する部署の部長が指示した」となっている。まさに組織ぐるみ、これが7年間続いた。これは県北クリーンセンターが創業した直後からということになる。内部告発によりやっと明らかになったが、これは社長も承知していて、何度か止めようとしたが止められなかったと。本当に許されないことだと思う。会社ぐるみのデータ改ざんと。
 公害防止協定や県のPFI事業の協定もある。これに基づいて厳しい処分をしたのか。

【資源循環推進課総括課長】
 7年間組織ぐるみで、社長も知っていてということで、これは本当にあってはならないことで、県としては、事業計画に基づき改善勧告を行ったところである。社内的にも処分が行われたと聞いており、今後不正が二度と行われないよう引き続き監視を継続していきたい。

・台風10号豪雨災害の廃棄物処理について

【斉藤委員】
 処理の状況、今後の見通し、財源対策はどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 局地激甚災害指定された市町村等を対象に、連絡会議を開催し、台風10号による災害廃棄物の処理指針を策定した。今後この指針に基づき、被災市町村等において、生活環境の保全を図るとともに、再資源化や減量化に取り組みながら、迅速かつ円滑な処理が進むよう県としても助言・支援し、広域処理の調整を行っていきたい。
 財政支援については、災害廃棄物の処理については、環境省所管の災害廃棄物等処理事業というのがあり、これについては、2分の1補助で、残りの地方負担の8割を特別地方交付税で措置され、実質負担は10%になる。さらに激甚災害指定された場合、国庫による措置が最大95.7%となるが、県としては、東日本大震災津波からの復興途上での災害であるので、大震災並みの財政措置を行っていただくよう要望したところである。

【斉藤委員】
 第一次・第二次の仮置き場、分別が始まっていると思うが、必要となる処理量・排出量はどのぐらいで、今どういう状況にあるか。

・宮古岩泉風力発電事業(仮称)について

【斉藤委員】
 株式会社グリーンパワーインベストメントにより、70基の風力発電が計画されているが、この地域は絶滅危惧種のイヌワシが高密度に生息している国内最後の砦といわれる地域ということで、4つのペアが生息していることも確認されている。豊かな自然環境に重大な影響を及ぼす風力発電事業ではないか。
 現状と環境影響調査の結果、それに対する県・国の対応について示していただきたい。

【環境保全課総括課長】
 環境影響調査手続きの関係だが、現在は準備書段階ということで、最終段階の1つ手前ということで、それにたいして知事の意見を出して、経産大臣からの勧告が事業者宛に出ている。その内容として、イヌワシについては、「重要なエサ場への移動ルートを確保するために、一部の風力発電機について、設置の取り止めを含む抜本的な見直しを実施すること」などとなっている。70基ほど予定されているようだが、その一部を見直したらどうかという勧告の内容と受け止めている。
 事業者からは、こうした勧告等を踏まえ、計画を修正した上で最終の評価書が提出される予定である。その後、事業認可ということになるわけだが、法律の規定により、認可権者である国が事業の実施に際して、指摘事項について適正な配慮がなされているかどうかを審査し、それがなされていないという場合には認可しないという仕組みに法律上はなっている。そういうことで、イヌワシへの対応を含め、環境保全措置が講じられるものと考えている。
 県としても、評価書が提出された際には、審査会に委員がいるわけだが、委員と情報共有しながら、必要に応じてさらに事業者の指導だとか、国に対して意見を述べるといったようなことをして、認可の際の判断材料としてもらうなど、イヌワシの保護と再生可能エネルギーの導入促進が両立するよう適切に取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 日本イヌワシ研究会の会長さんが、岩手日報の論壇にも投稿しているが、まさに国内でもっとも絶滅が危ぶまれる種の1つで、北上高地がイヌワシが高密度に生息している国内最後の砦だと。4つのペアもここで生息していることが確認されているので、本当にこういうところに、森林も自然環境も破壊する大規模な風力発電が必要なのか。根本問題も含めて、中止も含めて強く県が対応していただきたい。

・高レベル放射性廃棄物の問題について

【斉藤委員】
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題の国の動向と県の対応について示していただきたい。

【環境保全課総括課長】
 施設選定にかかる現在の動向だが、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく調査の前の段階として、「科学的有望地」を提示する方向で現在国が検討している。この「科学的有望地」というのは、「適性が低い地域」「適性がある地域」「適性が高い地域」の3つの区分でマッピングするというものだが、この段階では、「適性の低い地域を排除する程度」の意味合いということである。「適正のある地域」は相当広範囲にこの段階では示されるものと見込んでいる。
 「科学的有望地」の提示時期だが、当初は年内を目指していると聞いていたが、10月に開催された国のワーキンググループにおいて、「有望地」などの文言が最終処分場決定のゴールと受け止められる恐れがあるといったような意見が出されたことを受け、再検討していると聞いている。したがい、提示時期についても、年明け以降にずれ込むのではないかといったような報道もなされている。
 このように、現段階で動向が不透明だが、「科学的有望地」の提示がいつになるか、その後の法に基づく調査場所の選定の動向を注視していきたい。