2016年11月21日 決算特別委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・沿岸県北の県立高校におけるいじめ重大事態について
【斉藤委員】
沿岸県北の県立高校における、いじめによる不登校という重大事態について、保護者からも相談があったので質問したい。
このいじめによる不登校事案、いつから、なぜ不登校に陥ったのか。確認されたいじめの実態を示していただきたい。
【生徒指導課長】
この事案については、平成26年4月23日、当時2年生だった被害生徒のロッカーの扉が外されるということが起こり、当該生徒はその翌日から不登校になったという事案である。
このことについて学校で調査した結果、被害生徒は、1年生の時から複数の同級生に日常的に叩かれる等の行為や、被害生徒の所有物等に対してのいたずらがなされるといった行為を受けているということが判明しており、個々それぞれが被害生徒に対していじめ行為を行っていたということである。
被害生徒が不登校に陥った要因としては、これらのいじめがきっかけになったものととらえている。
【斉藤委員】
平成26年4月23日の事件を契機に翌日から不登校になったが、今でも未解決である。なぜ未解決になったのか。学校の対応がきわめて問題だった。学校は、いじめ・暴力について、早期発見できなかった。そして事故報告書を出したが、3回にわたり保護者の訴えに基づいて修正せざるを得なかったという中身だった。学校の対応がなぜこういう形になったのか。学校の対応の問題点は何か。
【生徒指導課長】
被害生徒が登校できる環境を整えることができなかったのが、不登校が継続した要因ととらえている。被害生徒は、当該校を卒業することを希望しており、それを受けて当該校は、保護者・本人の意思確認をしてもらった上で、具体的なカリキュラムを提示し、課題を提供するなど学校復帰に向けて取り組んだ。当該生徒は登校するには至らなかったが、本年当該校を卒業している。
学校の初期対応としては、いじめの通報と調査の依頼を受けながら、学校がいじめを十分に認知できず、加えて迅速な調査が行われなかったこと。保護者から、事実の解明のための調査を依頼されたにもかかわらず、学校が事実解明をできたものとしてその対応について時間を要したこと。保護者の説明のために家庭訪問において、その説明の中に、推量を含む報告があったこと―など、学校への保護者の信頼を損なったことに関わって問題があったと認識している。
【斉藤委員】
きわめて重大だった。平成26年4月23日に、ロッカーが倒される、水を入れられるという事件があったが、翌日から不登校になり、5月2日に担任と2人の生徒指導課長が家庭訪問している。そのときに生徒は泣きながら、「叩かれている」「暴力を受けている」と訴えたにもかかわらず、これをいじめとして認知せずに放置した。これが一番の問題だった。そのことを本当に深く反省しているのか。そしてこれは、いじめによる不登校というのはその時点でも重大事態になりかねない事件である。
学校はいつ、どの時点でいじめとして認知したのか。いじめとして認知してどういう調査をしたのか。保護者にはきちんと伝えたのか。
【生徒指導課長】
学校がいじめの重大事態と認知したのは平成26年6月4日、当方に連絡があり、「いじめ重大事態の疑いあり」として調査を実施するよう指示した。この件に関わり、通算で、調査とすれば6回ほど行っており、その結果については、最新版だと平成27年11月30日の報告に記載されている。
【斉藤委員】
6月4日に「いじめ重大事態の疑いあり」と。しかしその前の5月20・21日、船員で海外に行っていた父親が心配して、1時間半にわたり電話をしたと。その電話・通告があっても、いじめとして受け止めていなかったのではないか。いじめの法律ができて、県がいじめの基本方針を出した後の問題である。なぜそういう対応になるのか。
【生徒指導課長】
おっしゃる通りである。当該校にかかわっては、5月20・21日の両日にかかわって、保護者から長時間にわたり「このようなことがある」という訴えを聞いている。その中で、学校とすれば、その部分については「当該生徒同士のじゃれ合い」という認識であり、いじめという認知がそこでされなかった。その部分について、6月4日のところで当方にあったので、これは認知の部分については異なるということを示し、重大事態として調査を実施するよう指示したところである。
【斉藤委員】
県教委は、6月4日に学校からの通報を受け「いじめ重大事態の疑いあり」と指導したと。それ以前に報告はなかったのか。
【生徒指導課長】
当方の記録によると、それ以前に学校からの報告は受けてはいない。
【斉藤委員】
5月2日に、生徒が泣きながらいじめや暴力を訴えて、しかしそれをいじめや暴力として受け止められずに放置してきた。これがこの問題を解決できない、深刻な事態に陥った最大の問題だと思う。教育長もそのように受け止めているか。
【教育長】
生徒指導課長から答弁している通り、初動の対応に大きな問題があったととらえている。
初動にすぐ動いて、解決の方向を保護者の方と学校側が十分に話をしていればまた違う展開もあったのではないかと我々自身も反省しているが、いずれ保護者と学校側で意思疎通を最初の段階で欠いたことが課題解決を難しくしたという考えを持っている。
【斉藤委員】
教育長それは全然違う。生徒が泣きながらいじめ・暴力を訴えたにもかかわらず、学校がそれを受け止めなかったということが一番の問題である。意思疎通の問題ではない。あなた方が決めたいじめ対策方針にも反する答弁である。いじめの訴えを受け止められなかった学校の対応が一番の問題だった。保護者からも訴えがあって、それも無視した。二重に無視している。もう一度答弁していただきたい。
【教育長】
意思疎通を欠いたと述べたのは、たとえばご指摘いただいたような、保護者や生徒の思いを汲むことができなかったということで申し上げたのでご了解いただきたい。
【斉藤委員】
私は県教委の対応もまずかったと思う。6月4日に「いじめ重大事態の疑いあり」と言いながら、県教委にも保護者は再調査の訴えをした。県教委の対応は、「生徒本人の訴えでなければ対応できない。再調査しない」というものだった。再調査はいつになったか。
【生徒指導課長】
当該保護者からは、平成27年2月13日に詳細調査の依頼を受けている。その後2月25日に、保護者と県教委が面談し、28日のところで、詳細調査として第1回目として、教職員へのアンケート等を実施し、この部分について調査結果を4月2日に取りまとめている。
【斉藤委員】
「生徒本人の訴えでなければ対応できない」と対応したのは事実ですね。いじめで不登校になっている生徒の訴えしか聞かないというのだったら、何も聞かないということではないか。学校の先生にも会えずに不登校に陥っているのに、代弁するのは保護者しかいない。そんな対応をしたこと自体に問題を感じないか。
【生徒指導課長】
おっしゃる通り、当該生徒と学校の職員というのは、面談をできていない状況にあった。ただ、平成26年7月22〜24日については当該校の体育祭があり、その3日間については当該生徒は出席している状況だった。その後ずっと休みの状況になっている。
県教委の方で「当該生徒の訴え―」ということを言ったかどうかという件について。保護者の部分からの再調査の依頼もあった。加えて、当該生徒からも事情を聞くのであれば、その部分の訴えをお聞きして合わせてやりたいという意図で話したものととらえている。
【斉藤委員】
7月22〜24日の体育祭には登校したと。このときに、ある生徒から胸ぐらをつかまれて「なぜお前が学校に来たんだ」という暴力をまた受けている。ますます学校に来れなくなってしまった。学校が、県教委が、自ら決めたいじめ対策方針、法律でいけば「いじめ防止法」に基づいて、なぜ早期発見ができなかったのか。徹底した調査ができなかったのか。徹底した調査ができなかったから、保護者から何度も問題を指摘され、3回も事故報告書を書き直す事態になっている。信頼関係を失っている。本当に真摯に受け止めるべきである。早期発見、いじめの訴えがあったら徹底した調査をすると。事実の解明が問題解決の一歩である。学校・県教委の対応が二重にまずかった、問題があったと思うが、教育長、この点について学校・教育委員会の責任、保護者・本人に対する謝罪、それだけでは足らない、本当に償いもしなければならないと思うがいかがか。
【教育長】
これまで保護者の方と教育委員会、学校の間で、いろんな話し合いを続けてきた。その中で、保護者の意向等を十分に踏まえた初動ができなかったというのは今回の大きな反省点だと思っている。そういうことで、これからも話し合い等が求められる機会があると思うので、丁寧に対応していくが、当該生徒がすでに卒業したということもあり、なかなか直接的な話をお聞きできないこともある。
いずれこの問題については、我々の対応としても反省すべき点があったと思っており、今後に十分反省を生かしていきたい。保護者からもさまざまなご意見をお伺いしながら対応していきたい。