2016年11月21日 決算特別委員会
教育委員会に対する千田美津子県議の質疑(大要)
・いじめ問題について
(千田美津子委員)
いじめ問題と高校再編問題について質問する。
昨年度のいじめ件数は、「児童生徒の問題等の行動調査結果」をいただいたが、小学校が2302件、前年度が1031件、中学校が765件、前年度が492件、高校が157件、前年度が162件、特別支援学校が50件、前年度が89件となっている。
いじめの早期発見の取り組みは、それぞれの学校で取り組まれているわけだが、組織的対応の現状が十分に行われているのか、その状況を聞きたい。
(菊池広親生徒指導課長)
いじめの早期発見と学校の組織的対応についてだが、いじめの認知件数は小学校、中学校においては増加、全体においても増加している現状である。
いじめの現在の状況については、解消しているもの及び一定の解消が図られたもの、これらを合わせると98.6%となっており、昨年度よりも2.9ポイント上昇している。
いじめの認知件数が増えた要因としては、学校においていじめの早期解決の早期解決の充実が図られらこと、いじめの認知が初期段階のものも含めて積極的に行われたためと評価している。
また、学校の組織的対応については、平成27年度末に実施した、学校いじめ防止基本方針の取り組み状況に係る調査によると、95.3%の学校においていじめ防止等の対策のための組織の会議が開催されており、このような学校の組織的対応が図られてきたものと認識している。
(千田美津子委員)
早期発見で頑張っている、初期段階で認知しているということで、非常に大事な取り組みと考えている。
学校の組織的な取り組みがすすんでいる、ということで安心している。ただ、いじめの発見のきっかけを見たけども、学校の教職員等が発見したという、例えば小学校では1371件となっているが、その中でアンケート調査で発見したのが1123件ということで、9割近くがアンケートとなっている。これが教職等が発見したのに区分されているのはおかしいなと思った。
早期の段階で認知するということは。アンケート調査がかなりの回数で行われているということか。
(菊池広親生徒指導課長)
いじめの発見のきっかけという部分とアンケートの関係だが、アンケート調査など学校の取り組みで発見されたのが35.2%と最も多く、担任若しくは担任以外の者が発見したというのが12.9%、アンケートに比べると担任、担任以外の教職員が見つたという数値は低い状況です。
ただ、いじめというのは大人の目につきにくい時間、場所、または遊びやふざけあいを装って行われることもあり、大人が気づきにくく、判断しにくいという形で行われているという状況もある。
よって、学校が実施するアンケートはいじめを発見する上では、非常に有効な手立てであると認識しており、アンケート調査による発見が最も多くなっている要因と認識している。アンケート調査の頻度については年に2回から3回、およそ学期に1回に行っている学校が全体で72.3%である。また、それ以上に年4回以上というのが全体で23.6%、合わせて96%位の学校が学期につき1回以上のアンケートを実施して、いじめの早期発見に努めている。
(千田美津子委員)
アンケートが有効な手立てということは理解できる。年1回実施することも大変なこと。2〜3回、あるいは年4回実施してきたという点では、今年の予算委員会の時もかなりの頻度でやるようにしたい、という答弁があり、現実に頑張って行われてきたと思う。
ただ、重大事件の発生件数が17件あったとのことだが、それら重大事件がどのように解決されてきたのか、その点伺いたい。
(菊池広親生徒指導課長)
いじめの重大事態にかかわる対処だが、平成27年度に発生したいじめ重大事態17件だが、いのち、財産にかかわる1号に該当する事案が2件、不登校にかかわる2号に該当する事案が14件、両方に該当する事案が1件、合計17件である。
27年度の問題行動等調査、それから当該校による聞き取りによると、17件の内16件は学校調査が終了している。学校は、保護者に対しての説明責任を果たして適切に対処していると認識している。
(千田美津子委員)
1号については大変な事態ということで、それから16件については適切に対処されていることがわかった。
各学校でいじめ防止基本方針が策定されて解決率も高くなっているが、それの取り組み状況定期的点検がどう行われているか、その状況を聞きたい。
(菊池広親生徒指導課長)
学校のいじめ防止基本方針の定期的な点検については、県教委においては、昨年7月末時点で緊急調査を実施いている。その緊急調査において、取り組みが不十分な点についてはそれぞれ改善を働きかけてきた。
27年度末に追跡調査を実施したが、その結果を検証したところ、緊急調査と共通した質問の20項目全てにおいて改善が認められたという結果になっている。
これらの調査によって、学校におけるいじめ防止基本方針については、指導体制が整備されてきたと認識しているし、今後にかかわっては、ただ単なる、やっている、やっていないという内容ではなく、少し内容等を検討して調査してまいりたい。
(千田美津子委員)
指導体制ができたことはよいことだ。
先生方がいじめを発見する率だが、アンケートが実施されて高くはなっているとは思うが、全国では66%が先生方が直接発見されているという数字がある。先生方は頑張っているとは思うが、全国とのこの乖離はなぜか。この原因は何か。
(菊池広親生徒指導課長)
学校の先生方の認知であるが、先ほどの基本方針の調査にあるように、いじめの認知等にかかわっては学校の理解は進んでいる。
アンケートを少なくとも年に2回から3回以上行っている学校がほぼ100%近い状況だ。つまりアンケート回数が非常に多くなっているので、その点も含めると学校の先生方プラスアンケートといった場合、アンケートの割合が多くなっているのではないかと推察する。
(千田美津子委員)
アンケートの頻度を高めて早期発見につなげていることは、これからも是非やっていただきたい。
矢巾町の現状を聞いて、自殺があった、なかったにかかわらず、大事だと思ったことは、生徒指導個別カードを利用して、担任以外の他の先生方にも見れるようにするとか、小学校から中学校にも継続されるとか、町教育委員会に2人のいじめ相談員を配置しているなど、きめ細やかな対応がされている。かなりの努力をされて、早期発見につなげている、ということはよいことだが、時間の経過によってその感度が鈍くなってくる、と指摘されている。
是非、矢巾町とか滝沢市のような例を絶対出さないためにも、矢巾町のような取り組みをまねてやっていく必要がありと思う。
人の気持ちがわかる人間になりたいと思っている生徒の割合とか、いじめはどんな理由があってもいけないことだと思う生徒の割合について話があった。
いじめだけではなく、子どもの権利に関する教育をもっと徹底する必要があると思う。新たな道徳教育がなされるということもあるが、子どもの権利条約に沿った、子どもの権利、自分のやりたいこともそうだが、相手を思いやるという、その教育がもっともっと重要視すべきと思うがどうか。
(菊池広親生徒指導課長)
学校において、いじめはどんな理由があってもいけないことだとという、児童生徒の割合は伸びてきているので、その部分の考え方は浸透してしてきていると思っている。
併せて、子どもたちの心をはぐくむという部分の教育においては、子どもの権利条約はもちろんですが、国の道徳教育を中心にすえて、また、最近は道徳の指導方法において、いじめの部分の指導資料を国が作成するという情報もある。
道徳部分と、子どもたち同志の絆づくりという観点で、児童会、生徒会をより一層育んでまいりたい。
・高校再編について
(千田美津子委員)
高校再編について伺う。
平成27年度に再編方針が出されたが、今年度の入学状況を踏まえて、この3月までに作られた再編計画について、どう判断されているのか、やはり正しいと判断されているのか。
(木村久高校改革課長)
平成28年度の入学状況だが、県立高校全日制の入学者数は、募集定員10200人に対して、合格者は8989人ということで、およそ30学級分に相当する、1211人の欠員が生じている。
新たな県立高等学校再編計画を3月29日に策定したところであるが、本県の高校への入学者数の減少が見込まれる中で、この望ましい学校規模の確保による、教育の質の保障と本県の地理的条件を踏まえた教育の機会の保障を大きな柱として策定したものである。この再編を着実に実施していくことが子どもたちにとって、よりよい教育環境を整備していくために重要なものと考えている。
(千田美津子委員)
高校再編を進めるにあたり、再編計画に地域の理解が得られるように、というのがこの間の教育委員会の方針だったが、理解を深める話し合いなどはどの程度開催されてきたのか。
(木村久高校改革課長)
計画策定後、4月から6月にかけて県内全市町村の教育委員会、全公立高校を訪問し、再編計画の今後の進め方について意見交換を行ってきたところである。
また、小中学校の保護者で構成されている、県PTA連合会からの要請により7月に高校再編をテーマにした説明を約400人参加のもと行ったところである。
それぞれの地域には様々な思いがあるものの、今般の計画に対しては総体に一定の理解をいただいていると認識している。
現在は統合形態も含めた、今後の高校のあり方、具体的な学科改編、コース見直しのあり方、地域と高校の連携について、市町村や学校関係者と意見交換を行っているところである。
(千田美津子委員)
先ほど、高田一郎委員が話したように、地域に特徴的で有意義な活動がたくさんある。機械的な作業ではなく、是非、地域との話し合いをもっともっと深めていくことが必要と思う。その点、教育長に伺う。
(高橋嘉行教育長)
地域検討会議や様々な機会を通じて県民の皆さんと意見交換をさせていただいた。計画策定後も、学科の再編、学校統合、学科のあり方等について、それぞれ対象市町村の地域の皆さんと話し合いをしていくという約束をしており、十分その経緯を踏まえて丁寧に進めていきたい。