2016年11月24日 決算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)
・災害公営住宅の状況について
【斉藤委員】
災害公営住宅の整備状況、入居状況、空き室の状況とその要因、予算特別委員会の際には重いドアの改善の方向も示されたがどのように取り組まれているか。
【住宅課長】
10月末現在で完成した災害公営住宅は、県・市町村合わせて5694戸の建設計画にたいし、4237戸であり、入居戸数は約9割の3787戸となっている。450戸が空き室となっているが、一度入居されてすでに退居された方が95戸あるほか、災害公営住宅入居か持ち家再建するか決めかねている方がいらっしゃること、仮設住宅から災害公営住宅に入居することにより新たに家賃負担が発生することなどが空き室発生の原因と考えている。
玄関ドアについて、昨年12月以降に発注した県営5団地については、開きにくさを解消したドアを設置しているところである。
【斉藤委員】
災害公営住宅については、計画にたいして74.4%整備されたと。入居率は89.4%となるが、10%超が空き室になっていると。そのうち95戸で退居があったが、退居の数も少なくないと思うので、退居の理由は何か。
重いドアの改善が図られたのは大変評価したいが、県営・市町村営ほぼ半分ずつ整備しているので、市町村で整備する場合もこういう形の改善がされているのか。それ以前のものは改善されないのか。
【住宅課長】
95戸退居された方の理由について。県営住宅の場合、退居される場合は届け出といった形で、具体の退居の理由等を示していただいているわけではないが、実際に指定管理等の直接の事務を行っているところから聞いたところによると、仕事の都合で転勤されたり、入居していたが息子夫婦と暮らすことになったとか、そういった理由で退居されていると聞いている。
玄関ドアの改善だが、市町村にたいしては、県ではこのような取り組みをしているという情報は伝えているが、現在市町村の整備の状況については確認していない。
既存のドアについては、玄関ドアの改修となると、そのままドアを入れ替えるという作業になってくる。実際に開きにくいという現象は、中にお住まいの方が換気扇を使うとどうしても気圧の関係で開きにくくなると考えられ、既存のドアについては、ドアの開け閉めにたいして、常時運転されている換気扇に留意してほしいといった形でご案内させていただいている。
【斉藤委員】
ドアの改善については、新聞でも取り上げられ、入居者から共通して出された声なので、県は改善されているようだが、市町村への情報提供もいいが、しっかり徹底していただきたい。
災害公営住宅での孤独死、高齢者世帯、一人暮らしの実態、見守りについて示していただきたい。
【住宅課長】
9月末時点で、県営災害公営住宅にお住まいの65歳以上の入居者は635人、うち単身入居世帯は管理戸数1202戸にたいし259戸・21.5%となっている。
災害公営住宅を含む県営の公営住宅においては、75歳以上の単身高齢者および80歳以上の世帯にたいし、指定管理者が3名の専門職員を配置し、訪問等の確認を実施していたが、今年度からは、団地内での入居者相互の見守りがより重要になってくるということを踏まえ、顔合わせ会などを実施するコミュニティ形成支援事業といったものを開始したところである。県の取り組みに加え、市町村では、仮設住宅や災害公営住宅に入居している高齢者にたいし、社協の生活支援相談員などが個々の世帯の状況に応じた頻度により訪問活動を行っているほか、地域によっては老人クラブによる見守り隊、住民が主体となった活動も行われていると聞いている。
【斉藤委員】
65歳以上が634人とすると約50%になり、大変な比率である。
陸前高田市の県営栃ヶ沢団地、ここは空き戸数が多いが、県内最大規模の300戸の団地で、実際に見てきたが、外に集会所があり、丸型の洒落た造りのものだが、誰もおらず使われていない。陸前高田市では、下和野災害公営住宅、中田団地に「市民交流プラザ」を設置すると。これは大変注目されているが、栃ヶ沢団地の集会所にも、「市民交流プラザ」のような形で人も配置して、相談機能もできるようなものが必要だと思うが、ぜひ検討していただきたいがいかがか。
【住宅課長】
県が整備している災害公営住宅の集会所については、通常の公営住宅よりも広めに整備しているほか、市町村の支援をされる方がそこで活動できるような事務スペース等を設置している。
栃ヶ沢団地については、そちらの利用ができていないところだが、そういった形での運営を想定した整備をしているので、市町村とも連携し、そういった活用ができるよう連携を深めていきたい。
【斉藤委員】
ぜひ前向きに検討し、全国のモデルになるようなコミュニティ確立の取り組みを進めていただきたい。
・内陸での災害公営住宅の建設について
【斉藤委員】
10月13日に、291戸の内陸での災害公営住宅の整備方針を示した。これは大変重要なことだと思っているが、現段階でどういう検討状況か。今後の整備の見込みを示していただきたい。
【住宅課長】
10月13日に、内陸の災害公営住宅にかかる復興交付金の事業計画を復興庁に提出したところである。
内陸の6市において、291戸の災害公営住宅を建設する予定としており、盛岡市・北上市・奥州市・一関市に建設する災害公営住宅は県が、花巻市・遠野市に建設する災害公営住宅は市が事業主体となることとしている。
現在、県が建設する災害公営住宅については、内陸部の関係市に、建設候補地について情報提供を依頼しているほか、具体の建設手法の検討を進めている。
【斉藤委員】
記者発表より不十分な答弁だった。記者発表では、「来年度当初を目途に建設場所を決定し、仮入居募集を実施することを予定している」と。もっと具体的に答えてほしい。
【住宅課長】
内陸の災害公営住宅の意向調査を行った際に、「入居したいが、具体の建設場所が分からないと判断しかねる」といった回答をいただいていた方もいらっしゃる。ある程度の数の見込みが立たないと、建設候補地を決定することはできないので、一度意向調査を踏まえて291戸という数を押さえたところである。現在、これらの各市町村別の戸数に応じて候補地を検討しているが、来年度早い時期ぐらいまでに具体の候補地を確定し、そこで仮入居受付といった形で、実際の募集等を行い、そこで具体の建設戸数を確定するといった作業に入っていきたい。
・住宅改修など県独自の支援について
【斉藤委員】
住宅改修、県産材の活用、バリアフリー補助、宅地改修などで県独自の支援に取り組んでいるが、この実績を示していただきたい。申請期間はどうなっているか。
【建築住宅課総括課長】
生活再建住宅支援事業における23年度から28年10月末までの実績について。
補修工事については、累計で7345件、約18億1300万円の支出となっている。
県産材の活用、バリアフリー補助については、新築工事および改修工事を行う場合に助成しており、県産材の活用については、累計1755件・約4億2900万円の支出、バリアフリー補助については、累計6244件・約39億600万円の支出となっている。
申請期間については、平成30年度までとなっているが、住宅再建をする敷地等の確保にもいろいろ課題があると感じているので、そちらについても必要性を含め検討していきたい。
【まちづくり課長】
宅地補修の実績は、23年度から28年6月までで、累計1554件・約14億8300万円となっている。補助については平成30年度までを予定している。
【斉藤委員】
ロードマップを見ると、平成29年度までの土地区画整理事業の完了が72%、平成30年度でやっと100%になる。土地区画整理事業の場合には、平成30年度に整備完了してから家を建てることになるので、申請期限も希望がある限り受け付けるというメッセージをはっきり示す必要があるのではないか。
・防集事業、区画整理事業の状況、瑕疵担保責任について
【斉藤委員】
防災集団移転促進事業、区画整理事業の整備状況と今後の見通し、瑕疵担保責任について簡潔に答えていただきたい。
【まちづくり課長】
平成28年10月末の整備状況は、防集宅地の完成数は1596宅地、区画整理は1523区画となっている。
今後の見通しは、防集は28年度末の累計で1694宅地・約80%、29年度末の累計で2009宅地・約95%、30年度末ですべて完成の見込みとなっている。区画整理は28年度末の累計で2076区画・約40%、29年度末の累計で3758区画・約72%、30年度末ですべて完成の見込みとなっている。
防集事業における土地の売買契約の瑕疵担保責任については、昨年度末に関係市町村に適切に対処するよう文書で依頼している。また、宮古市・大船渡市・釜石市の一部の契約書に、瑕疵担保責任を認めない記載があったが、今年度以降も新規契約のある大船渡市では、契約書を改定し、瑕疵担保責任を認める特約条項に変更している。宮古市・大船渡市・釜石市でも、すでに契約した土地に不具合が生じた場合には、適切に対応すると聞いている。
区画整理については、土地に不具合が生じないように施工することが一番だが、仮に不具合が生じた場合には、防集事業と同様に適切に対応すると市町村から聞いている。
【斉藤委員】
瑕疵担保責任については、県弁護士会が岩手県に提言を出している。民法上では10年間は認められていると。なぜ2年間なのか。10年間の瑕疵担保責任をしっかり担保すべきだと思う。そうしないと、何か起きたときに家を建てた人の責任になってしまう。
区画整理では、売買契約ではないから瑕疵担保責任という制度はないと。しかし、通常の区画整理とは違い、陸前高田市では約10mのかさ上げ、大槌では3mのかさ上げをしている。通常の区画整理と同じ発想は通じないと思う。盛り土で液状化などが起きたのが東日本大震災津波の教訓である。そういう点では、今回の復興に関わる区画整理にあたっては、きちんとした瑕疵担保責任がやられるべきである。同じように対応するというのはどういうことか。
【まちづくり課長】
2年間という期間だが、これは契約書に2年間と記載しているが、各市町村ともその2年間を境にして一切応じないというわけではなく、その後もきちんと対応するとのことなので、その後だと、債務不履行だとか法律的にも保護されているので、2年間で切れるものではない。
区画整理については、これはあくまでも行政処分で行うために、契約書がなく瑕疵担保責任も生じないが、たしかにご指摘のような盛り土をするとか以前住んでいた場所とは違うところに換地するということがあるので、これについては飛び換地ということになるので、民法に類推適用するということで、瑕疵担保責任がとれるとなっている。
【斉藤委員】
前向きな答弁はしているが、あまり保証がないという感じで引っかかる感じだが、2年間以降も面倒を見るということなら、きちんと明記すべきである。たとえば付則で明記するなどしないと、口約束にしかならないので。
・台風10号豪雨災害―河川情報システム、水位周知河川について
【斉藤委員】
河川情報システム、これはアクセスが集中して開けなかったという問題があった。災害のときにこそこの情報が必要なので、原因は何だったのか。それは改善されたのか。
水位周知河川の指定だが、水位計を設置しているところを優先して指定したいと。小本川については指定の方向だと。安家川などもその方向が出ているようだが、先ほどの答弁では17河川、27ヶ所で宅地浸水が起きた。この17河川のうち指定されていないのはどのぐらいあるのか。基本的には指定して、再び浸水被害を受けないような対策が必要ではないか。
【河川課総括課長】
河川情報システムだが、アクセスが異常に集中しフリーズしているのが実態であり、調査してみると、サーバーが機能的に弱いことが判明しつつあるので、これから今年度の予算で対応したいと考えている。まだ改善はされていない。
17河川・27ヶ所のうちの水位周知河川については、5河川指定されている。その中には、小本川や安家川などがあるので、今回浸水実績があったところは指定したいと考えている。
・台風10号豪雨災害―仮設住宅の整備状況について
【斉藤委員】
仮設住宅の整備状況はどうなっているか。
【営繕課長】
県では、仮設住宅の各団地の建設場所や建設戸数を確定し、町内に8団地の整備を進めている。整備戸数は171戸新規に建設する計画である。岩泉町との協議を重ね、風除室や和室を設置するなど、被災者のニーズを反映した仮設住宅となるよう対応している。
仮設住宅の入居については、早い団地では11月下旬、その他についても12月下旬を入居の目標としている。一日も早く全世帯が入居できるよう仮設住宅の整備を進めていきたい。