2016年11月24日 決算特別委員会
県土整備部に対する千田美津子県議の質疑(大要)


・通学路の安全対策について

(千田美津子委員)
 今年は全国で登下校中の児童が巻き込まれる交通事故が発生している。通学路の安全確保はまさに喫緊の課題と考える。
 県が管理する道路において、今後整備が必要な通学路の箇所数と総延長、27年度において通学路の整備が行われた箇所数と道路総延長、それから28年度においてどれだけ整備がすすめられたのか、箇所数と総延長について伺う。

(千葉行有道路環境課総括課長)
 通学路の歩道整備は、通学路延長約1,100qに対して、岩手県民計画アクションプランにより平成30年度までに75.3%の歩道を整備することにしており、27年度末までに829q、率で75.1%の歩道が整備済である。
 残る、通学路の歩道整備が必要な箇所数や総延長は、現在事業を進めている箇所を除いては、具体的な整備計画がないことから現時点で示すことは難しい。小学校の通学路などで交通量が多く、緊急に交通の安全を確保する必要がある箇所については、重点的に推進していくことにしている。
 27年度は、事業費約15億円を計上し、事業実施個所33箇所の内2箇所、道路延長2.9qの歩道整備を完了した。28年度においては、事業費約14億円を計上し、事業実施個所34箇所の内2箇所、2.3qの整備が完了する予定である。

(千田美津子委員)
 主要施策の目標値は75.3%になっているが、27年度末で75.1%でA評価になっている。最近、児童が巻き込まれる交通事故が頻発している。そういう中で、もともと低いこの数値自体、見直しする必要があると思う。
 それから、24年度に非常に交通事故が多いということで、緊急の合同点検が行われた。その後、こういう点検が行われているのか伺う。

(千葉行有道路環境課総括課長)
 計画の見直しだが、アクションプランの計画でとにかく目標を達成していきたいと考えている。
 点検については、24年度以降も継続しており、地域の学校や警察、道路管理者などが連携して毎年合同点検を行っている。その中で、緊急の箇所とかについては対応していきたいと考えている。

(千田美津子委員)
 全国的にやられた24年度の合同点検。事故が多発していると言われた以外でも事故が非常に多くなっているという指摘がある。
 子供たちが逃げようのない場所で起きているので、大事な子供たちの命がかかわっているので、歩道の整備は緊急に見直しをし、アクションプランを30年度までの目標値を超えるというくらいの取り組みがないといけないと思う。内部的にもそういう点検の必要性を是非論議すべきではないかと思うので伺う。

(千葉行有道路環境課総括課長)
 点検は毎年行っているが、一方で市町村では交通安全プログラムなどを作って対策をしている。その辺と連携しながらこれらの対策を講じたい。

・土石流危険個所、がけ崩れ危険個所の整備について

(千田美津子委員)
 事業費予算の問題となるのかもしれないが、緊急性を勘案して是非前向きに取り組んでいただきたい。
 二つ目の土砂災害の対応について伺う。
 土石流、がけ崩れ危険箇所に対して、この間の砂防事業、急傾斜地対策事業が進められてきたが、現在の土石流の危険個所、がけ崩れ、急傾斜地崩壊危険個所の現状はどうなのか、整備がどの程度進められてきたのか伺う。

(楢山護砂防災害課総括課長)
 土石流とがけ崩れ危険個所の現状については、土石流危険渓流、箇所は7,198箇所、この内、要整備対象箇所は2,204箇所となっている。28年10月末現在で197箇所が整備済みで、整備率は8.9%となっている。
 また、急傾斜地崩壊危険個所については6,959箇所で、この内要整備対象箇所は1599
 箇所で、28年10月末現在で276箇所が整備済みで整備率は17.3%となっている。

(千田美津子委員)
 危険個所の内、整備対象個所が土砂災害では7,198箇所の内2204箇所、がけ崩れについては6,959箇所に対して、1,599箇所が備対象箇所と答弁されたが、要整備の場所は危険個所の中でも危険度の高い個所として指定されていると思うが、それにしても整備率が土砂災害で8.9%、10%に満たない。がけ崩れについては17.3%という、このような現状についてどのように考えているか、また対応策について聞きたい。

(楢山護砂防災害課総括課長)
 要整備対象箇所は危険個所の中でも特にも必要だと選定している箇所だが、要整備対象箇所数については数が膨大であるということで、かつ施設整備に膨大な費用と時間を要することから、整備率はこのような低い状況となっている。
 現在の厳しい財政状況下において、やはり施設整備によるハード対策を一挙に推進を図ることは困難な状況から、土砂災害警戒区域などの指定措置と施策を適切に組み合わせ、効果的な災害対策が重要であると考える。

(千田美津子委員)
 財源の問題に全てなってしまうわけだが、岩手では特に復興、台風災害、そして様々な対応の中で本当に人命を第一にという部分では、それもやらなければ、これもやらなければという状況の中で、苦労しているのはわかるが、さっきも言ったように整備が必要だと指定した中でも、特にも8.9%の土石流対策が非常に遅れている、という点ではもっと進めなければならない。事故が起きてからでは遅いわけだから、ありとあらゆる方策を練って整備を進めていただきたい。

(楢山護砂防災害課総括課長)
 整備率が低いという指摘だが、事業には数年というスパンの時間がかかっている。事業費的に数億円ということで、一つ一つやっていくにはそれなりの時間と費用が必要であり、ソフト対策として26年の広島災害を受けて基礎調査の公表とか指定とか、そういうことで住民が迅速に避難できるように、そして軽減が図れるような対策を講じていきたい。

(千田美津子委員)
 是非もっと前に進むようにお願いする。
 がけ崩れ危険住宅移転促進事業が主要施策の評価ではB評価となっている。現状と今後の対応について聞きたい。
 28年度の予算が27年度に比べて半分になっている。何故なのか聞きたい。

(楢山護砂防災害課総括課長)
 がけ崩れ危険住宅移転促進事業の現状と課題だが、本事業については平成18年度に立ち上げたものであり、27年度までに9地区13戸の移転完了している。
 27年度については当初2戸の移転を目標にしていたが、実績は1戸となったことから、成果の評価はBとなった。
 このようなことから、移転に係る本事業制度については、これまでも土砂災害警戒区域指定に係る住民説明会の際や、またはマスメディアを活用した広報等により、住民への周知を図ってきたところであり、今後も引き続き市町村と連携を図りながら制度の周知に努めていきたい。

・木造住宅の耐震化の現状について

(千田美津子委員)
 移転しようにも移転費用が膨大にかかるということがあるので、思ったように進まないという現状があるのだと思う。様々な支援策を組み合わせてこの事業が進むよう、是非検討をお願いしたい。
 三つ目に移る。木造住宅の耐震化の県内の現状について質問する。
 震災への対応として、これまで木造住宅の耐震化が進められてきたと思うが、県内の現状について伺う。

(廣瀬公亮建築住宅課総括課長)

 木造住宅の耐震化の県内の現状だが、木造住宅のみの耐震化率の数字はないが、木造以外の住宅や集合住宅を含めた、岩手県における住宅の耐震化率については、平成20年時点で67%、25年時点では7%となっている。
 岩手県においては、28年2月に策定した耐震改修促進法に基づく第2期岩手県耐震改修促進計画により、木造住宅の耐震化を進めているところである。本計画においては、住宅の耐震化率について、32年度時点で85%とする目標を位置付けており、この目標達成のために、耐震診断と耐震改修に対して助成制度を設けて支援をしている。今後も引き続き制度の周知に努めながら木造住宅の耐震化に取り組んでいく。

(千田美津子委員)
 耐震化率は推計ということのようだが、耐震診断、耐震改修支援事業の実績について実績について伺う。

(廣瀬公亮建築住宅課総括課長)
 平成23年度から開始している木造住宅耐震診断支援事業の事業についてだが、実施戸数について、23年度に610戸、27年度は110戸という実績となっている。
 耐震改修支援事業についても23年度から開始しており、23年度は51戸、24年度は66戸、27年度は21戸という形で推移している。
 補助事業ができた時には、それまで待っていた多くの県民の方から本制度を利用いただいたが、近年は少し減ってきている。これについては、制度利用に向けて周知を図っていきたい。

(千田美津子委員)
 耐診断件数が23年度610戸、24年度294戸ということで、耐震診断の結果、耐震補強、あるいは耐震改修が必要と判断された率はどのくらいか。

(廣瀬公亮建築住宅課総括課長)
 そうしたデータがあるかどうか確認させていただく。
 耐震診断をした結果、耐震性がなかったという件数はかなり多いのではないかと思う。あとは耐震改修する際に見積もりをしていただくわけだが、一番多いのはリフォーム等をされるケースが多いと聞いている。

(千田美津子委員)
 数字についてはあとで報告いただきたい。
 耐診診断は大事なことなので、是非周知を図ることが大事だと思う。様々市町村等と連携しながら、耐震診断、耐震改修につなげるよう取り組んでいきたい。最後に部長に伺う。

(及川隆県土整備部長)
 委員指摘のとおり、耐震診断、耐震改修は非常に重要だと認識しており、今後市町村と連携しながら周知に努めてまいりたい。