2016年12月15日 12月定例県議会本会議
一般質問(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。県民が直面している切実な課題について達増知事に質問します。
1.台風10号災害からの復旧・復興の課題について
・被災者の状況、住宅再建の意向について
第一に、台風10号災害からの復旧・復興の課題について質問します。
3か月半が経過しました。11月22日現在、被害総額1447億円、住家被害の世帯数は、全壊512世帯、大規模半壊579世帯、半壊1934世帯、床上浸水121世帯となっています。被災者の生活再建の土台は住宅の再建です。応急仮設住宅の希望者、みなし仮設住宅の入居者、在宅被災者の状況と住宅再建、住宅の改修・修理での再建の意向の状況はどう把握されているでしょうか。
【達増知事】
生活再建を進める上で、住まいの再建がもっとも重要だと認識しており、これまで県では市町村と連携し、被災者一人一人の意向を丁寧にうかがいながら、希望される住宅の確保等に努めてきた。
全壊等により住宅を確保できない方については、これまで暮らしていた地域に住み続けられるよう、応急仮設住宅10団地の整備を進め、年内にはすべての団地が完成する見込みであり、希望者が10月下旬から順次入居を始めている。
みなし仮設住宅については、被災者個々の希望に応じて、民間賃貸住宅を借り上げ、9月上旬から順次入居している。
半壊以上の住家被害を受けたものの、自宅を修理して住み続ける意向の在宅被災者については、災害救助法に基づき市町村において応急修理を実施している。
全壊および大規模半壊の住家被害を受けた世帯に対しては、被災者生活再建支援法に基づき基礎支援金のほか、被災者の住宅再建等の意向に沿って、住宅の建設・購入や補修等に応じた加算支援金が支給されることとなっているが、これまで加算支援金の申請をした世帯は2割弱にとどまっており、今後被災者の住宅再建等の意向が明らかになってくるものと見込まれる。
県としては市町村等と連携し、引き続き被災者に寄り添った細やかな支援を行い、被災者が望む生活再建が実現されるよう努めていく。
・河川改修における集落の維持について
【斉藤議員】
小本川・安家川の河川改修の計画が示されました。改良的河川改修による河道拡幅によって、それぞれ約50戸が用地補償・移転の対象となる計画です。移転用地を確保して集落が維持されるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。
【達増知事】
移転の対象となる方をはじめ、沿線の地域住民の方々にたいし、12月8日から22日まで延べ5日間にわたり、町内で河川改修計画の説明会を開催しており、これまでのところ事業におおむね理解を示していただいていると受け止めている。町においても、河川の拡幅は必要であり、これにともなう家屋移転はやむを得ないと認識しており、現在移転に関する意向調査の実施に向けて準備を進めていると承知している。
県としては、沿線で生活されている地域住民の方々のご意見を踏まえ、集落の維持が図られるよう町と密接に連携しながら事業を円滑に進めていく。
・台風10号被災者の医療費・介護保険利用料等の免除措置について
【斉藤議員】
台風10号被災者の医療費・介護保険利用料等の免除措置について、宮古市、岩泉町とともに久慈市でも実施されるでしょうか。対象者、実施期間を含めて示していただきたい。
【達増知事】
国保の医療費一部負担金の減免については、宮古市・岩泉町・久慈市ともに実施しており、介護保険サービス利用料の減免については、宮古市および岩泉町で実施しているが、久慈広域連合では実施していないと聞いている。
減免基準や実施期間などについては、保険者である各市町村等の判断により異なっており、久慈市における国保の医療費一部負担金の減免については、現時点では所有する住宅または家財の価格の10分の3以上の損害を受けた被保険者のうち、世帯の収入が生活保護基準以下等の要件に該当する場合に一部負担金を全額免除することとしており、免除期間は平成28年12月31日までとしていると把握しているが、現在久慈市おいて、減免措置に対する国・県の財政支援、他の被災市町村の減免実施状況、国保運営にかかる財政状況等を勘案しながら、対象者の要件拡大等について検討を進めていると聞いている。
・被災商工業者への支援―地域なりわい再生緊急対策交付金について
【斉藤議員】
商工業者の被害が、11月22日現在、1885件、237億円余と極めて大きなものとなっています。地域なりわい再生緊急対策交付金の事業メニュー、対象件数、説明会、申請の受付、補助金の交付などはどうなっているでしょうか。
【達増知事】
本交付金は、台風10号豪雨災害により甚大な被害を受けた宮古市・久慈市・岩泉町に所在する中小企業者等が早期に事業活動等を再開できるよう創設した制度であり、事業メニューとしては、被災企業の復旧経費を対象とした被災企業等復旧支援事業、商店街や小規模被災事業所の復旧経費を対象とした被災商店街等再生緊急対策事業、観光施設の復旧経費を対象とした観光施設復旧緊急対策事業、観光PRイベント等の実施経費を対象とした誘客販売緊急対策事業、大規模被災企業の復旧経費を対象とした大規模被災企業再建支援事業の5つを設けている。
対象件数は特に上限を定めておらず、現時点で各市町から聞いたところでは、約1000事業者の見込みとなっている。説明会については、各市町が先月から精力的に実施している。申請受付については、昨日(12/14)から久慈市が開始したほか、他の市町でも今月中旬以降開始予定と聞いている。補助金交付時期は、それぞれの事業内容により異なってくると考えられるが、各市町においてできるだけ早く交付手続きを行えるよう進めているところであり、被災事業者の方々にはこの制度を活用しながら早期の復旧復興に向けて取り組んでいただきたいと考えている。
・情報通信基盤の復旧について
【斉藤議員】
情報通信基盤の復旧が遅れています。テレビの共同受信施設の復旧を含めて災害復旧事業の制度がないことが問題です。東日本大震災津波の時には全面的に国の負担で復旧しました。国に強く要望していると思いますがどうなっているでしょうか。国の対応がない場合はどう復旧するかも含めて示していただきたい。
【達増知事】
情報通信基盤については、災害復旧にかかる補助制度がなく、東日本大震災津波の場合には、被災市町村にたいし特別措置法により措置されたものである。
県としては、情報通信基盤は公共土木施設等と同様に、地域住民にとって重要な社会インフラととらえ、国に対し災害復旧の補助制度の創設を関係省庁に要望するとともに、大臣視察や衆議院の災害特別委員会の現地調査などの機会をとらえて要望してきた。現時点で補助制度の創設の見通しは立っていないが、県としては引き続き被災市町などと連携し、国に対する要望活動を展開していく。
現在市町村において、通信事業者の協力を得ながら、可能なところから応急復旧を進めているところだが、補助制度が創設されない場合の復旧については、財源としては一般単独災害復旧事業債など市町村負担の軽減が図られる起債の活用が想定され、整備手法については、光ファイバー網を活用したテレビ視聴の方法なども含め検討されており、県としても必要な助言や国への働きかけなど市町村を支援していく。
・被災市町村の人材確保について
【斉藤議員】
災害査定から災害復旧事業と、技師など人材の確保が切実です。被災自治体の要請と派遣の状況、今後の対策と見通しはどうなっているでしょうか。
【達増知事】
発災直後、岩泉町からは、避難所運営や支援物資対応、被災住宅調査等の応援要請があり、内陸市町村等から12月1日現在で延べ1220人の職員派遣が行われた。
現在、道路や河川等の災害査定に対応する土木職員の短期派遣が行われているところだが、これについてはおおむね必要数が確保されている。
今年度の中長期派遣については、岩泉町からは土木職員9名を含む12名の派遣要請があり、県内市町村から3人が派遣されている。久慈市からは土木職および建築職7名の派遣要請にたいし5名が派遣されており、引き続きの職員派遣に向けて県市長会県町村会と調整を行っている。
平成29年度については、岩泉町18人、久慈市5人、宮古市9人、合計で土木職26人を含む32人の派遣要請があるところである。
このようなことから、県では、被災市町村人材確保連絡会議を開催し、県内市町村にたいし、東日本大震災津波とあわせ、台風10号豪雨災害で被災した市町への職員派遣についても要請したほか、今後、国や関係機関と連携し県外の自治体に働きかけるなど、人材確保に取り組んでいく。
2.東日本大震災津波からの復興の課題について
・住宅確保の意向、被災者の健康、生活苦の状況と対策について
【斉藤議員】
大震災津波から5年9か月が経過しました。11月末現在、応急仮設住宅入居者は5589戸11691人、ピーク時の36.8%、山田町は5割を超え、大槌町、釜石市はほぼ5割が仮設暮らしを強いられています。みなし仮設を含めると6997戸・15385人、ピーク時の34.8%となっています。6997戸の仮設暮らしの被災者の住宅確保の意向はどう把握されているでしょうか。仮設暮らしの被災者の健康、生活苦の状況をどう把握されているでしょうか。その対策を含めて示されたい。
【達増知事】
四半期ごとに県が取りまとめている応急仮設住宅入居者の再建意向にかかる調査結果では、平成28年9月末現在で、応急仮設住宅に入居されている7151世帯中、意向が決定した世帯は6063世帯・約85%であり、うち3378世帯が自宅再建、2127世帯が災害公営住宅での再建等となっている。
応急仮設住宅で暮らしている被災者の方の健康状況は、平成27年度に岩手医大が行った調査では、応急仮設住宅入居者で「健康状態が良くない」と答えた方が2割弱いるほか、生活状況においても、応急仮設住宅を戸別訪問している生活支援相談員に寄せられた相談では、「日常生活」に関する相談が最も多く、全体の約3割を占めており、中には生活資金に関する相談もあると聞いている。
住まいの意向を決めかねている方に対しては、市町村と連携し、住宅再建相談会や沿岸4地区に設置している「被災者支援相談センター」等において、生活設計の専門家であるファイナンシャルプランナーによる相談を行っている。
健康支援や生活支援については、保健師や栄養士による健康相談や栄養指導、口腔ケア活動等を行っているほか、生活支援相談員が戸別訪問を通じて、適切な関係機関につなぐ等の支援を行っているところであり、今後も被災者一人一人に寄り添った支援を行っていく。
・災害公営住宅における見守り、コミュニティについて
【斉藤議員】
災害公営住宅は、11月末現在で4283戸整備され、3463戸・6500人が入居しています。県営災害公営住宅の場合、9月末現在、1202戸の管理戸数のうち65歳以上が634人、うち、単身世帯は259戸・21.5%となっています。高齢者の閉じこもり・孤立化がどこでも聞かれます。孤独死を絶対に出さないとの立場で、高齢者の見守りを抜本的に強化すべきと考えますが実態と対策はどうなっているでしょうか。
また、少なくとも整備戸数が100戸を超える災害公営住宅には、陸前高田市で成果を上げている「市民交流プラザ」を設置するなど、集会所に支援員を配置すべきと考えますがどう取り組まれているでしょうか。
とくに、301戸の県内最大規模の県営栃ヶ沢災害公営住宅の集会所にはぜひとも「市民交流プラザの設置、支援員の配置が必要と思いますがどう検討されているでしょうか。
【県土整備部長】
災害公営住宅を含む県営の公営住宅では、75歳以上の単身高齢者および80歳以上のみの世帯にたいし、指定管理者が3名の専門職員を配置し、訪問等の確認を実施している。また団地内での入居者相互の見守りが重要となることを踏まえ、今年度から入居者の顔合わせ会などを実施するコミュニティ形成支援事業を開始したところである。
県が整備している災害公営住宅の集会所については、入居者の支援に携われる方がそこで活動できるような事務スペース等を配置している。現時点では、支援員の配置がなされていないが、引き続き市町村に活用を呼びかけていく。
陸前高田市の栃ヶ沢団地については、県内最大の災害公営住宅であることから、完成前から被災者の見守りとコミュニティ形成を目的に、県と市と関係団体で定期的に話し合いを重ねてきたところである。今月には、事務スペースに机や本棚等の備品の配置が完了したことから、今後、この話し合いの場において支援員の配置等について協議していく。
【斉藤議員】
災害公営住宅は、閉じこもり・孤立化が進行しているので、事態が発生してからあわてるのではなく、今こそ被災者支援総合交付金というのがあるわけなので、しっかり活用して、絶対に孤独死を出さない対策を進めていただきたい。
・中心市街地の再建整備と商店街の再建について
【斉藤議員】
陸前高田市では、約10mのかさ上げをした中心市街地に、商店街や図書館と併設した商業施設、公共駐車場やまちなか広場、一本松記念館(仮称)、市民文化会館(仮称)などを整備して新たなユニバーサルデザインのまちをつくろうとしています。しかし、一本松記念館など復興庁の査定が厳しく、計画通り進んでいないのが現状です。県は全面的に支援する必要があると考えますが、現状と課題をどう把握しているでしょうか。
【復興局長】
現在、陸前高田市では、かさ上げ地における土地区画整理事業や津波復興拠点整備事業およびその効果促進事業、さらには公共施設の災害復旧事業など、複数の制度を活用して一本松記念館等の様々な施設を計画し、または整備を進めている。
これらの事業にかかる復興庁との協議では、各施設の整備の考え方、それぞれの制度目的との関係等について説明を求められており、その対応や事業間の調整に時間を要している。
県としても復興庁とのヒアリングに同席する等により市町村を支援しており、今後も復興庁に地域の実情を丁寧に説明しながら、復興交付金の事業の採択が円滑に進むよう市町村とともにしっかり取り組んでいく。
・高田松原津波復興祈念公園の整備について
【斉藤議員】
全体の構想と整備の計画はどうなっているでしょうか。被災遺構の保存などを含めて、国内はもとより、世界にも発信できるものとするために、県が陸前高田市と一体で取り組むべきと考えるがどうなっているでしょうか。
【県土整備部長】
公園の全体構造については、東日本大震災津波の犠牲者への追悼と鎮魂、震災の教訓の伝承などを目的に、国による国営追悼・祈念施設や、市による運動施設整備を含め、約130haの公園整備を計画している。
公園の整備計画については、市民ワークショップや有識者委員会等の意見を参考としながら、国および陸前高田市と共同で今年9月に公園全体の「基本設計」を策定公表したところであり、国営追悼・祈念施設の事業進捗にあわせ、県の公園整備についても進めていきたい。
今後も事業を進めるうえで、陸前高田市との連携は重要と考えており、整備のみならず、管理に関する具体的な役割分担なども含め、緊密に連携して取り組んでいく。
【斉藤議員】
陸前高田市は、まちづくりで予算化されたものも、その後に「これは本当に必要か」と厳しい査定を受けて進まないと。遅れているところにこんな厳しいことをやったら計画されているまちづくりが進まない。
津波復興祈念公園は、まさに岩手で1つなので、本当に世界・日本全国に訴えるものに、県も一緒になって進めていただきたい。
3.雇用対策と労働者委員会委員の選任問題について
・新規高卒者の県内就職率の向上について
【斉藤議員】
人材の確保は、岩手の経済を支える県内中小企業にとって、切実で重要な課題となっています。新規高卒者の県内就職率は、平成28年3月時点で64.1%にとどまっています。これは全国で39位という低さです。全国の状況は、愛知県が96%で第1位、石川県が93.9%で第2位、静岡県が92.9%、富山県が92.3%と続き、東北では、宮城県が80.9%で第20位、山形県が78.9%で第25位となっています。そもそも岩手県の目標は平成30年度までに県内就職率66.5%をめざすという低い目標となっていることが大問題です。なぜ、低い目標となっているのか、なぜ、低い目標も達成できないのか。石川県や富山県、山形県と岩手県の取り組みはどこが違うのか、示していただきたい。私はせめて宮城県、山形県並みに県内就職率は80%をめざし、抜本的に取り組みを強化すべきだと考えますがいかがでしょうか。
【達増知事】
新規高卒者の県内就職率の目標設定については、第3期アクションプランにおける目標値は、平成26年度の現状値63.4%を過去10年間の最高値である67.6%に段階的に近づけることを目指し設定したものである。
27年度の実績は64.1%となり、全国的な人手不足によって目標には届かなかったが、県内就職率は前年より0.7ポイント増加したところである。
石川県や富山県、山形県の取り組みについて。歴史的に古くから一定の企業集積があり、また地理的な特性もあって、もともと地元志向が強い地域と言われていることに加え、近年の人口減少社会への対応として、地元企業の理解促進に力を入れて取り組んできていると把握しているところであるが、本県においても、これまで就業支援員による高校との連携を強化し、県内就職の支援を行っているほか、企業見学会やインターンシップなどの取り組みを展開した結果、地元就職への意識が高まってきていると認識している。
今後の取り組みについて。いわてで働こう推進協議会の各構成団体とも連携し、企業における雇用・労働環境の整備をはじめ、キャリア教育、インターンシップ事業の展開による県内企業と高校生のマッチングの一層の充実を図ることなどにより、新規高卒者の県内就職率がさらに高まっていくよう取り組んでいく。
【斉藤議員】
明確な答弁がありませんでした。東北は平均でも71%である。岩手県の目標は平均にもいかない、かかげた目標も達成できない。平成19年に岩手県は64.8%で2500人が県内に就職した。28年3月は64.1%・1938人である。平成19年よりも低く、生徒は減少しているので就職者数はもっと激減した。
石川県や富山県・山形県の産業構造を調べたが、大きな違いはない。取り組みの違いである。せめて、山形・宮城と肩を並べるぐらいの目標はかかげて、そのためにあらゆる対策をとることが必要だと思うがいかがか。
【達増知事】
人口減少対策、まち・人・仕事創生、ふるさと振興の観点からも、人口の社会減を減らしていくということは重要であるので、いわてで働こう推進協議会をベースにしながら、あらゆる手立てを尽くして、新規高卒者の県内就職率の向上に努めていきたい。
【斉藤議員】
ぜひ目標もしっかり定めて、高い目標に向かって意気高くやることが必要である。
・長時間労働の解消について
【斉藤議員】
知事は「イクボス宣言」をされています。長時間労働の解消について、岩手県が率先して解決に取り組むべきと思いますが、県庁においても過労死ラインと言われる月80時間を超える超過勤務の件数は昨年度延べ431人に及んでいます。年間360時間を超える職員はどうなっているでしょうか。実態は「イクボス」に逆行しているのではないでしょうか。
【達増知事】
県では、仕事と家庭の両立に配慮した働き方改革を推進していくため、次世代育成支援のための特定事業主行動計画を基に、業務の見直し等による超過勤務の縮減、育児休業等の所得推進、男女を問わず子どもの出生予定がある職員に対する休暇取得計画、勤務時間の希望を踏まえた支援―などに取り組んできた。
年間360時間を超えて超過勤務をしている職員については、平成27年度は483人であり、26年度の449人と比較し34人増加しているが、これは、復興事業の進捗に伴う業務量の増加、冬季国体の開催を含めた希望郷いわて国体・希望郷いわて大会準備業務の増加―などが影響しているものと考えられる。
今後においても、引き続き超過勤務の縮減に努めるとともに、育児休業や介護休暇など取得しやすい環境づくりにも努め、職員の仕事と家庭の両立を応援できるような働き方改革に取り組んでいきたい。
【斉藤議員】
483人が年間360時間を超えていると。年代で見てみると、30代174人40代179人、20代73人と、子育て世代が一番残業している。これはイクボスに逆行すると思う。せめて過労死ラインの80時間は解消すると。30代40代の子育て世代をきちんとフォローすることが必要ではないか。
【総務部長】
超過勤務の縮減について。これまで超過勤務実施にかかる事前命令と事後確認の徹底による勤務時間の縮減に努めるほか、恒常的な長時間の超過勤務や特定職員への業務量の偏りが生じないよう業務の平準化に努めている。
ご指摘の子育て世代のところについては、次世代育成支援および女性活躍推進のための特定事業主行動計画を基に、さまざま家庭の両立のための支援制度の充実を図ってきたところであり、引き続きこれらの取り組みを進めながら職員の働き方改革にも積極的に取り組んでいく。
【斉藤議員】
ぜひイクボス宣言を知事はしたので、それが実になるように取り組んでいただきたい。
医療局長に質問します。医療局長も「イクボス宣言」をしています。しかし、看護師の年次休暇の取得は平均7.8日にとどまっています。中央病院の場合は平均で5.6日、磐井病院は平均5.8日です。年間に2日、3日しか取れない看護師が多数いるのが実態です。さらに9日夜勤まで行われています。「イクボス」というなら、せめて年次休暇が自由に取れるようにすることが必要ではないでしょうか。具体的な改善策を含めて答えていただきたい。
【医療局長】
医療局においても、働き方の見直しやワークライフバランスの推進を図るために、私をはじめ各課長が仕事と家庭の両立支援に率先して取り組むことを表明したところである。
平成27年における看護師の年次休暇の取得日数は7.8日であいr、取得日数はここ数年間同程度で推移している。
このため26年度に看護職員確保対策検討委員会を設置し、育児や介護等と勤務を両立していけるよう勤務環境の改善に取り組んできた。
今後においても、各病院に休暇の取得推進の通知を引き続き行うほか、産前産後休暇や育児休業等の取得者にかかる代替職員を正規職員で配置することなどを通じて、年次休暇が取得しやすい職場環境づくりに努めていきたい。
【斉藤議員】
見通しが見えなかった。あまりにも仕事が厳しくて休めないので、昨年度は普通退職が91人、うち20代30代が64人である。
県南の基幹病院では、「誕生日なら年次を認める」と。こういう病院がある。年次が自由に取れるような病院を目指しますか。
【医療局長】
27年度において、産育休取得者が225名いたが、その代替職員246名を措置した。勤務環境の改善に向け、特別休暇の拡大を含めさまざまな取り組みを行っているが、年次休暇の取得についても、より取得しやすい職場環境づくりをはかり、看護師の負担軽減の充実を図っていく。
【斉藤議員】
ぜひ「イクボス宣言」に恥じない取り組みを進めていただきたい。
・労働委員会の労働者委員の選任について
【斉藤議員】
労働委員会の労働者委員の選任について質問します。今回も労働者委員は5人全員が連合推薦の候補者から選任されました。極めて不公正な事態が続いています。連合や岩手労連が結成される以前の労働者委員の系統別選任の状況はどうだったか。現在の連合、岩手労連、その他の構成員と比率はどうなっているか。全国の労働者委員の選任で、連合以外で選任されている都道府県はどうなっているか示していただきたい。
北海道では、3度にわたる地裁の違法判決を踏まえて、知事が北海道労連の委員を先日選任しました。岩手県も労働組合の構成比率を踏まえて是正すべきではないでしょうか。
【達増知事】
本県では、労働組合法に定める任命手続きに則して、労働組合から推薦のあった方の中から5名の労働者委員を任命しており、日本労働組合総連合会と全国労働組合総連合が結成される前の第32期の任命においては、当時の日本労働組合総評議会系および全日本労働総同盟系の組合から推薦のあった候補者が専任されている。
岩手県の労働組合員の構成員およびその比率は、直近の調査結果では約8万人の組合員のうち、連合岩手系が約6割、いわて労連系が約2割、その他は約2割となっている。
また平成28年12月1日現在、11都道府県において、連合系以外の労働者委員が選任されている。
【斉藤議員】
知事は、大震災の時には「憲法13条」をかかげた。憲法の精神に基づいてやるべきである。
札幌地裁がどういう判決を下したか。「知事の任命行為は恣意的裁量権の乱用にあたる」と3度こういう判決を下し、今年労連系からも選任された。
1949年の旧労働省通達は、「労組の組合員数に比例して」と。だから連合以前のときには労働組合の比率は5対1だったが、総評系からも同盟系からも選ばれた。今は3対1である。連合系を排除するのは非民主的である。はっきりと、憲法・民主主義の立場で、いま是正の時期ではないか。
【達増知事】
系統別の組合員数に関する昭和24年の労働省の通知は、労働委員会委員の任命が機関委任事務であった当時のものであり、平成15年の福岡地裁の判決で、機関委任事務制度の廃止とともに失効したものとされており、そのように認識している。
本県の労働者委員については、労働組合から推薦のあった方の中から適任と考える方を総合的に判断し任命したものであり、今後もその都度そのように選任していきたい。
【斉藤議員】
私は札幌地裁の判決も示し、歴史的経過も示した。それでも是正する気はないのか。やるべきではないか。
【達増知事】
札幌地裁の判決では、北海道において系統別の割合を判断要素として設定したにも関わらず、その検討が不十分であることが裁量権の範囲逸脱または乱用との判断が示されたと認識している。
本県においては、推薦のあった方の労働組合における経験年数や役職経験等により、総合的に適任と認められる方を任命しているものであり、そのように任命していきたい。
【斉藤議員】
札幌地裁は、そういう知事の任命行為は「恣意的裁量権の乱用にあたる」と3度にわたって違法判決を下した。憲法をかかげてやっている知事がそういうことではいけない。
4.介護保険事業、国保・後期高齢者医療など高齢者への負担増の実態と対応について
・補足給付削減の影響について
【斉藤議員】
介護保険事業は、保険料が引き上げられる一方で、受けられる介護サービスは削減され、さらに利用料の負担増で「保険あって介護なし」の深刻な状況です。
補足給付の削減で、昨年度は1307人が負担増となり、今年度の改悪で3345人がさらに負担増となっています。ショートステイの回数を減らすなどの事態が起きていますが、負担増の実態、介護サービス抑制の実態をどう把握しているでしょうか。
【保健福祉部長】
27年8月の制度改正で、一定額以上の預貯金や世帯分離している配偶者の所得が新たに勘案されたところであり、この影響を含めて27年8月末の補足給付の受給者が前年同月比で1307人減少した。
28年8月の制度改正で、非課税年金が新たに所得として勘案され、今年度の利用者負担が第2段階から第3段階に上がった被保険者数は3345人となっている。
制度改正前後の26年度と27年度を比較すると、お話のあった短期入所生活介護、いわゆるショートステイについて、県内での利用者数や利用日数、一人当たり利用日数はいずれも増加しており、補足給付の制度改正に伴いサービス利用を控えているといったような状況は統計上確認できないが、制度改正の影響については引き続き注視していく。
【斉藤議員】
介護施設にとって、人材の確保は深刻です。ハローワークに求人を出しても一人の応募もないというのが共通した実態です。介護事業者は紹介会社や派遣会社に依頼し、年間報酬の20%、介護福祉士なら約50万円を払ってかろうじて確保している実態もあります。県の介護人材確保の取り組みと実績はどうなっているでしょうか。
【保健福祉部長】
県では、新規参入の促進のため、介護人材キャリア支援員による求人・求職のマッチング支援を行っており、昨年度は232名が、今年度も10月までに89名が、新たに県内の事業所に採用された。
また県の財政支援のもと、岩手県社会福祉協議会が実施している介護福祉士等修学資金の貸付制度の中に、離職した介護人材を対象とする再就職準備金を創設し、先月から募集を開始している。
処遇改善については、事業所に処遇改善加算の活用を働きかけた結果、本年10月時点の処遇改善加算の届出率は88.8%と、前年同期より2.8ポイント上昇した。一層の処遇改善に向けて、適切な水準の介護報酬を設定するよう国に対して継続的に要望している。
【斉藤議員】
県内介護福祉士養成校の入学者は、平成24年度199人、定員に対して79%でしたが、28年度は98人と定員に対して33.6%と激減しています。介護人材の確保にとっても、介護福祉士養成校にとっても危機的な状況となっているのではないでしょうか。その原因をどう把握し、どう打開しようとしているのでしょうか。
介護のための離職者は、全国で8万8300人、岩手県の場合は1030人と推定されています。必要な介護が受けられないことが最大の要因ではないでしょうか。
県警本部長に質問します。介護にかかわる心中事件、殺人、自殺、傷害事件と疑われる事件はこの5年間ではどうなっているでしょうか。
【保健福祉部長】
養成校への入学者は、全国的に定員割れが続いており、その原因としては、少子化が進行する中、大学進学者の割合が増える一方、専修学校全体の進学者は、割合・人数ともに減少傾向にあること、他の業種と比較し、介護従事者の賃金が低いなど、処遇面の課題について注目される一方で、介護の仕事のやりがいや魅力については十分理解されていないこと―などが考えられる。
このため県では、介護従事者の処遇改善を強く国に要望するとともに、修学資金の貸付により養成校の学生の就学を支援している。
これに加え、介護の仕事のやりがいや魅力を広く発信するため、テレビ番組の制作・放映やフリーペーパーの作製・配布、中学生や高校生等を対象とした出前講座の実施などにより、引き続き介護福祉士を目指す学生の拡大を図っていく。
ご紹介のあった離職者数については、国の26年雇用動向調査に基づく推計値であり、介護のほか看護を理由とする離職者も含まれている。介護のために離職した方々には、さまざまな事情があったものと考えられ、一概には言えないが、その家族が必要な介護を必ずしも十分に受けられないという事情の方もおられたものと推測している。
【警察本部長】
23年から27年までの5年間、本県における介護・看病疲れが主たる犯行の原因・動機となった殺人事件はゼロであり、傷害事件は27年に1件発生した。
介護・看病疲れが原因・動機と考えられる自殺は、23年4人、24年3人、25年6人、26年6人、27年4人となっている。
【斉藤議員】
最近も住田町の事件が心中事件と報道され、一戸の放火殺人も介護に関わって起きたと報道されている。
介護・看病疲れが原因の自殺は5年間で23件。必要な介護が受けられていない。こういう必要な介護が受けられていない方々に対して、行政が、社協がきちんと訪問して、実態を聞く、必要なアウトリーチ、援助をするという体制が必要だと思うが、そういうことは検討されているか。花巻市では行われているが。
【保健福祉部長】
地域の実態に合った介護保険サービスを提供することについては、それぞれの保険者において検討し実施しているものと承知している。
【斉藤議員】
県の姿勢が出ていない。そういう無責任なことだから深刻な事件が起こる。県議会の場で聞いているので、県の施策はないということか。
【保健福祉部長】
県としては、岩手いきいきプラン2017に基づき、各保険者が行う取り組みについて支援している。
【斉藤議員】
中身のない答弁をしないでいただきたい。具体的に何をやっているのか。
5.TPPと岩手の農業・食料問題について
【斉藤議員】
12月9日、TPP承認案と関連法案の採決が自民党、公明党、維新の賛成で強行されました。アメリカの次期大統領が「TPPからの離脱」を表明し、TPPが発効する見込みがない中で、情報公開もなく、世論調査でも徹底審議を求める声が圧倒的多数を占める中での採決強行は二重三重に許されない暴挙です。
TPPは多国籍企業の利益を最大化するためのルール作りです。TPPの承認は無意味であるにとどまらず、極めて危険で有害です。TPPで譲歩した線が日本の国際公約だと世界に宣言することになってしまいます。日米二国間協議となればさらなる譲歩が求められることになることは明らかです。
日本はTPPのような道ではなく、食料主権、経済主権を確立した新しい貿易・投資のルールを確立する道に進むべきと考えます。県議会は「TPPの批准に反対する意見書」を採択しましたが、知事の認識を伺います。
【達増知事】
TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業をはじめ、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響があるものと考えられている。
県はこれまで国に対し、TPP協定の内容や国民生活などに及ぼす影響について、十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くすよう求めてきたところであり、9月定例県議会で採択された意見書の提出理由と同じ認識であったものである。
そのような中、国会において、説明や議論が不十分なままに、TPP協定の承認案と関連法案が成立に至ったことは残念である。
【斉藤議員】
TPPが岩手の農業に与える影響は極めて深刻です。
現在の米価でさえ、生産費を賄えるのは、県内で5ヘクタール以上の農家、経営体ではわずか3%です。耕作面積でも23%に過ぎません。さらに毎年8万トン、コメの消費が減少しています。こうした中で安い外国のコメが78400トン輸入されるならば、米価が下落し、生産量が減少することは明らかではないでしょうか。
県は独自に試算し、約21億円の生産減少となると試算しました。ところが、SBS米の輸入価格は60キロ当たりで約20%、3600円も安く販売されていたことが明らかになりました。だとするならさらに大きな影響となるのではないでしょうか。20%輸入米価格が安かったとすればどういう影響となるでしょうか。
【農林水産部長】
米の生産量や価格については、輸入米以外にも、国内の需給動向はもとより、さまざまな要因により変動するものであり、予測は困難である。
米の影響試算については、SBS米にかかる調整金については、農林水産省は国産米の価格に影響を与えている事実は確認できなかったとの調査結果を公表するとともに、これを禁止するとの方針を示し、国会においてさまざまな議論があったが、現時点において、今後の動向が不透明であることから、県としてはその影響を推し測ることは困難と考えている。
【斉藤議員】
せっかく県は21億円の減少という試算を出した。あなた方がやらないので私が試算した。県の手法で、県の主食用米が約6割業務用に回ると仮定してみると、ひとめぼれで約44億円、あきたこまちで9億円、計53億円の生産減少となる。これは生産額の1割である。これは県の手法と違っていないと思うがいかがか。
【農林水産部長】
SBS米にかかる調整金については、さまざまな議論があり、試算の前提条件により変わりうるものであることから、お示しいただいた試算額については言及することはできない。
【斉藤議員】
担当者に確認したら、「だいたい一致した」と。大変なことである。20%も輸入価格が下がったら53億円の生産減少になる。こういうことはしっかり明らかにして、政府のやり方を批判すべきである。
財務省の財政制度等審議会がこういう方向を出した。「飼料米などの補助金政策の見直し」と。こんなことをやったら転作ができなくなる。飼料米をやり始めて途端にはしごを外すような政府のやり方でいいのか。
【農林水産部長】
飼料米については、国策としてしっかり対応するということで、我々受け止めて進めてきた政策であるので、引き続き飼料米の対策については継続していただくよう今後とも引き続き国に要望していきたい。
【斉藤議員】
政府は、1991年のWTO以降、輸入自由化で本当に日本の農業・岩手の農業は落ち込んだ。畜産農家で、平成3年24500戸だったのが平成28年4850戸に激減している。自民党の農政で、本当に農家はここまで追い詰められてきた。さらにTPPで全面的な関税撤廃をしたら、岩手の農業は生きていけない。こういう悪政をごまかすために、農業改革を農協改革にすり替えてやっているのが今の自民党ではないか。世界の協同組合から、日本の農協・総合農協というのは、世界の協同組合のモデルだと言われている。本当にこういうごまかしは重大だと思うがいかがか。
【達増知事】
農協改革は、当事者である農協自体の主体性をもって進めていかなければならないわけであり、そういうことで今農協も自己改革に取り組んでいるということで、農協においても、この地方の中で、地方創生、まち・人・仕事・創生というような流れの中で、地方で持続可能な人が稼いで生きていける場を実現していくためにも、やはり開かれた議論をしてもらい、そこに地方に住む人たちも一緒に考えて、何か分断されていくということがないように頑張りどころだと思うので、県としてもそこをしっかり見ていきたい。
【斉藤議員】
政府は、平成30年度から生産調整をやめるといっています。農家に不安を与えています。この生産調整が廃止になるということについて、県はどういう対策を進めているのか、これから進めようとしているのか。
【農林水産部長】
平成30年産以降の米政策への対応については、現在、関係機関・団体や県で構成する岩手県農業再生協議会が中心となり、市町村や農協、集荷業者等の意見を聞きながら、需要に応じた生産を円滑に行える体制のあり方などの検討を進めており、年内に中間とりまとめを行うこととしており、現在取り進めている。
【斉藤議員】
農業・第一次産業、地域経済の柱、ふるさと創生の柱である。自民党の悪政から岩手の農業を守る取り組みをしっかり強めていただきたい。
6.南スーダンPKOへの自衛隊派兵問題について
【斉藤議員】
南スーダンPKOに新たに戦争法・安保法制に基づいた駆け付け警護等の任務を付与し、東北の自衛隊の部隊が派兵されていることについて質問します。
350人の部隊が派兵されますが、岩手駐屯地からも約30人が派兵されると報道されています。県として確認しているでしょうか。
【達増知事】
岩手駐屯地からの派遣の状況については、私も新聞報道以上のことは承知していない。
【斉藤議員】
知事は派遣の壮行会にも出席したので、しっかり把握していただきたい。岩手の自衛隊員、東北の自衛隊員の命に関わる問題なので。しっかり把握すべきである。
南スーダンでは、7月に首都ジュバで、大統領派と副大統領派による大規模な戦闘がおこり、民間人数百人が死亡する戦闘がありました。最近の国連の報告書でも「7月のジュバでの戦闘を境に、(南スーダン政府軍による人道支援の職員を標的にした)こうした行為(襲撃)は、その激しさ及び規模において、エスカレートしている」(9月19日、南スーダンに関する専門家委員会の国連安保理の議長への書簡)とされています。国連施設、UNMISSを攻撃しているのは南スーダン政府軍です。もし、駆け付け警護の任務で自衛隊が行動すれば、南スーダン政府軍と戦闘することになりかねません。これは、憲法9条が明確に禁止している武力の行使にあたります。P?O5原則の「紛争当事者間の停戦合意」はすでに崩壊しているのではないでしょうか。
【達増知事】
PKO参加5原則では、紛争当事者間に停戦合意があること等がPKO派遣の前提となっており、これが満たされない状況が生じた場合には、部隊は撤退することができることとされているわけでもあるので、政府においては、活動地域の情勢を踏まえて、PKO参加5原則が満たされているかについては、きちんと見極めていくべきと考えている。
【斉藤議員】
東日本大震災津波や今年の台風10号災害の時も真っ先に被災地に駆けつけ、人命救助に取り組んだ東北の部隊、岩手駐屯地の自衛隊員も含まれます。憲法違反、PKO5原則にも反する自衛隊の派兵に反対し、撤退を求めるべきと考えますが、知事の認識を伺います。
【達増知事】
11月15日の政府による「新任務付与に関する基本的な考え方」によれば、PKO参加5原則が満たされている場合でも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、自衛隊の部隊を撤収するとしており、活動実施が困難と判断した場合には、躊躇なく撤収されるものと理解しており、そうしなければならない。
今後政府において、現地の情勢をしっかり把握し、的確に判断していただきたいと考えている。
【斉藤議員】
国連PKOで活動した磯崎さんがこう言っています。「いまPKOのもっとも重要な任務は、紛争現場で武器を使ってでも住民を保護する」と。国連PKOは変質したのである。武力行使して、停戦合意がなくても交戦する、こういうPKOになってしまった。だから磯崎さんは、「交戦するPKOの登場で、日本の5原則は意味をなさなくなった。交戦するようになったPKOの現場に交戦できない自衛隊員を送る―憲法とPKOの矛盾を繕うことはもはやできない」と。国際派の知事いかがか。国連は、南スーダンは内戦状態だと何度も指摘している。これは確認できるか。
【達増知事】
PKOというものは、元々停戦がされたところに、念のためそれまで紛争していた当事者同士を引き離し、その間に国連PKOが入ることにより決して紛争が再び起きないように、平和を維持するようにというものなので、やはりPKOというのは基本的にそういう運用がなされるべきものと考える。
我が国の自衛隊は、道路の建設だとかPKO関係の施設の工事という任務で派遣されたわけなので、その活動実施が困難と判断した場合には躊躇なく撤収されるべきと考える。
【斉藤議員】
実は国連PKOは1999年に方針が変わっている。停戦合意がなくても、住民保護のために武力行使できると。だから今のPKO参加5原則とは相容れないというのが常識的な考え方である。それを無視しているのが今の安倍政権である。
今、殺し殺される戦争に自衛隊員が派兵されているが、「殺し殺される戦争に若者を送らない」「再び戦場に教え子を送らない」との侵略戦争の教訓を踏まえて、自衛隊の勧誘、推薦を慎むべきと考えますが、知事、教育長はどう考えているでしょうか。
全国の高校の4割で、自衛隊勧誘の説明会が開かれていますが、県内ではどうなっているでしょうか。自衛隊の体験入隊に参加した中高生は、過去4年間で毎年5000人超となっています(防衛省発表)。県内の状況はどうなっているでしょうか。知事、こうした自衛隊の勧誘はやめるべきではないでしょうか。
【達増知事】
自衛官の募集事務は、自衛隊法29条の規定により、自衛隊地方協力本部が行うこととなっているが、同法第97条第1項および自衛隊法施行令で定めるところにより、県はその一部、具体的には二等陸士・海士・空士および陸海空自衛官候補生の募集期間、試験期日、試験場等の告示・広報・宣伝等を行っている。これらの事務は法定受託事務として行うこととされているものであり、その趣旨にしたがい事務処理を進めるものと考えている。
【教育長】
東日本大震災津波をはじめ、豪雨災害など本県で頻発した自然災害において、自衛隊の皆さんが行った被災地での献身的かつ迅速な救助・捜索活動や物資輸送、道路啓開などのライフラインの復旧等にたいし、多くの県民の皆様が心強く感謝の思いを抱いたと思うが、こうした活動を目の当たりにした本県の子どもたちの中にも、自衛隊の活動に感謝の思いと合わせ、将来の仕事先として自衛隊への関心を高めた児童生徒がいると承知している。
本県の学校教育における人生観や職業観の育成にあたっては、児童生徒の発達段階に応じて、学校の教育活動全体を通じてキャリア教育に取り組み、生徒一人一人が主体性をもって将来の職業を選択できるような指導に努めてきている。具体的な進路指導にあたっては、こうした点を踏まえるとともに、職業選択の自由を尊重しながら、特定の分野に偏った誘導をすることなく、生徒自身の興味・関心・意欲を尊重するととともに、保護者の意向等も受け止めながら、丁寧に対応しているところである。
学校での説明会の関係については、就職の選択をするうえで、生徒たちはさまざまな希望を持っている。自衛隊だけではなく、いろんな産業界や公務員いろいろあるが、その実情を説明させるということで説明会をやっているが、その調査は現時点ではやっていない。お話のあった実情を把握するようなことを検討してみたい。
【斉藤議員】
東日本大震災津波で献身的な活動をした自衛隊員の姿を見て、平成24年度は170人が入隊した。しかし、戦争法の強行を含めて27年は106人に激減している。自衛隊は変質してしまっている。この実態をよく見てやるべきである。
防衛省が全国の高校の4割で説明会をやっているというのだから、きちんと調べて明らかにしていただきたい。
7.いじめ、体罰、教師による暴言・暴力による不登校事件など重大事態について
・いじめ「重大事態」の実態について
【斉藤議員】
いじめ、体罰、教師による暴言・暴力による不登校事件など重大な事態について質問します。
10月27日公表となった「平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査について」では、いじめの認知件数が3274件で、前年比1500件の増となっています。いじめの認知件数が増加したことは、今までは把握されていないいじめが把握されてきたという積極的な側面があると思いますが、いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する「重大事態」の発生件数が17件となったことは重大です。小、中、高校ごとに「重大事態」の件数と内容、対応について示されたい。
【教育長】
県内公立学校の重大事態の発生件数は、小学校2件、中学校9件、高校6件の計17件となっている。具体的な内容については、いじめにより児童生徒が生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあるいじめ防止対策推進法第28条第1項第1号に該当する事案は、中学校2件であり、いじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされた疑いがある第2号事案は、小学校2件、中学校7件、高校5件であり、第1号と第2号の両方に該当する事案が、高校1件となっている。具体的な対応については、本県で発生した痛ましい事案の教訓等を踏まえ、県立学校・市町村立学校それぞれの事案ともに、各学校が策定している学校いじめ防止基本方針等に基づき、それぞれの教育委員会の指導のもとに、各学校が調査と課題の解決に学校組織をあげて取り組んできており、また、被害児童生徒に対しては、スクールカウンセラーの派遣なども行いながら心のケアにも努めてきている。
【斉藤議員】
県立高校に関する「重大事態」の学校調査報告書を見ると、いじめに関し、生徒全体の調査が行われず、当事者の調査にとどまっているが、いじめ対策のポイントは、いじめられている生徒の命と安全を最優先に、いじめの実態について、速やかに、徹底して調査することです。なぜ生徒全体の調査が行われていないのか。
生徒全体の調査が行われなければ、生徒自身の問題として解決することにはならないのではないか。
重大事態のいじめについて、知事が招集する「岩手県いじめ問題対策連絡協議会」も教育委員会の付属機関としての第三者委員会である「岩手県いじめ問題対策委員会」が開かれていないのはなぜか。
【達増知事】
岩手県いじめ問題対策連絡協議会については、いじめ防止対策推進法と岩手県いじめ問題対策連絡協議会条例に基づき、いじめ問題個々の事案を調査する場ではなく、いじめ防止等に関係する機関・団体の連携を図るため設置しているものだが、いじめ問題は教育委員会の関わりがきわめて深いことから、具体的な事務の執行については、地方自治法に基づき教育委員会事務局に補助執行させている。
教育委員会においては、昨年度は、問題行動等調査が公表された後の12月に、この調査結果等を踏まえ、知事名で会議の開催を招集したところであり、今年度においては、協議会会長等と協議し1月に開催する予定としている。
【教育長】
重大事態の調査は、当該事案にかかる事実関係を網羅的に明確にすることを目的として実施するものであり、当該事態への対処と合わせ、同種の事態の再発防止を図るために重要であると思っている。
このような事案が発生した場合の学校の対応としては、いじめを受けた児童生徒および保護者の意向を尊重しながら、被害児童生徒の学校復帰が阻害されないよう十分配慮し調査を行うことが重要であり、学校においては、いじめ防止対策推進法や文科省のいじめ防止等のための基本的な方針を踏まえた適切な対応が求められている。
27年度に発生した重大事態の学校調査にあたり、それぞれの学校において、いじめを受けた生徒および保護者の意向を踏まえ対応したものであり、教職員および学級や部活動などで、当該生徒と関わりの深い生徒を対象とした調査により、事実関係が把握でき、当該生徒および保護者の理解が得られたということが、生徒全体の調査が行われなかった理由である。
岩手県いじめ問題対策委員会は、いじめ防止対策推進法や岩手県いじめ問題対策委員会条例に基づき、いじめ重大事態等を調査する教育委員会の付属機関であるが、その具体的な運用については、いじめ防止等のための基本的な方針等に基づき行うこととしており、27年度においては、各学校のいじめ防止基本方針に基づく学校主体での調査を行い、その調査結果については、生徒および保護者から理解をいただいたことから委員会を開催しなかった。
今後においては、学校調査の結果に、被害生徒および保護者から理解を得られない場合等にあっては、必要に応じ当該委員会での調査に機動的に取り組んでいく。
【斉藤議員】
県立高校の重大事態6件のうち、自殺未遂が1件、転校を余儀なくされたものが2件もある。そして事故調査報告書を見たが、ほとんど初動で失敗、みんな反省している。調査はすべて当事者だけ、何の教訓も出てこない。いじめというのは、徹底した調査をしなければいけない。いじめ被害者の会では、いじめが発生したらその時点では深刻化していることを受け止めて、3日以内に徹底した調査をすべきだと提案している。これだけ重大事態が起きたのに、当事者間の学校の不十分な調査でとどまっているのは問題である。せっかくつくった第三者委員会が1年も開かれていない。何のためにつくったのか。
・教師の暴言・暴力による不登校事件について
【斉藤議員】
沿岸南部の県立高校において、教師の暴言によって生徒が不登校に陥った事件が発生した。生徒関係者からの県教委への通報によって明らかになったが、学校の初動の対応は不十分なものでありました。学級生徒全員の調査結果を踏まえて、教師の暴言による不登校事件として対応されている。教師の暴言によって不登校になるという重大な事例であった。
すべての県議に訴えがあった県央部の県立高校における教師の暴言・暴力による不登校事件は、残念ながら未解決です。顧問の教師が暴力・体罰を否定し、学校がまともな調査もせず、教師の否定発言をうのみにしたために、学校として対応してこなかった事件である。不登校に陥った本人と父母は、真相の究明を求めてやむを得ず民事訴訟に訴えるしかなかった。
「教師の暴力・暴言によって不登校に陥った」と生徒本人が勇気を奮って学校に訴えたにもかかわらず、まともな関係者・生徒の調査を行わなかったことは重大な過失ではないか。
【教育長】
当該事案については、県立高校の卒業生と保護者が平成21年に、部活動の顧問による暴言・暴行等によりPTSDに罹患し、精神的苦痛を被ったとして、昨年9月に当該教員と県にたいし、精神的損害に対する賠償等を求め民事訴訟を提起している事案である。事実関係の確認の結果、当該卒業生に、訴状のような暴力行為等は確認されなかったこと。また平成24年に原告側が行った傷害事件にかかる告訴についても、検察庁が不起訴処分としたこと等を踏まえ、県として応訴したものである。
当該校においては、平成21年当時、保護者からの要請を受け、部活動の顧問および当時の担任にたいし聴取を行い、部活動の顧問からは、県外への遠征試合に無断で欠席したことについて、体育教官室で口頭での強い個別指導を行ったが、暴力は振るっていないこと、当該卒業生の担任であり、日常的に隣接した場で活動していたクラブの顧問であった教員からは、普段の部活動や練習試合における当該教員の体罰行為を目撃したことがない等の聴取結果を得ていたところである。
裁判が進んできた本年6月に、県教委が元同級生部員に対して行った聴取において、部員の頭や顔を平手で叩く等の行為が確認されているが、それは当該卒業生に対して行われたものではないことから、県としては裁判においてその旨を主張しているところであり、他の生徒へ行った行為の強度も、傷害を負わせたり強い痛みを感じさせるものではなく、練習試合等において、特に指導に熱が入った場面で行われたものであり、その頻度についても日常的なものではなかったことが結果として確認されている。
【斉藤議員】
県教委と知事は、「事実関係の確認を行った結果、訴状にあるような暴力行為はいずれも確認されなかったとして応訴し、原告の請求の棄却を求めていくこととした」としているが、教師は、公判の前は一貫して体罰を否定していた。公判が始まったら、生徒の証言で体罰を認めた。これは顧問の教師が虚偽の証言をしたことになるのではないか。
【教育長】
顧問の教師が、裁判が開始された後、口頭弁論等において、頭や顔を片方の平手で叩く等の行為があったことを認めたことは事実である。しかしながら、それらの行為は、当該生徒に対するものではなく、また、それらの行為の強度についても、傷害を負わせたり強い痛みを感じさせるものではなく、練習試合等において特に指導に熱が入った場面で行われたものであり、その頻度についても日常的なものではなかったと、元同級生部員からの聴取において確認されている。今般の裁判に関しては、その暴力行為があったことに対しては、当該生徒にはやっていないということである。
【斉藤議員】
公判前は体罰を一切否定していた。ところが体罰はあった。そして、クラブ活動後に、夜遅くまで、体育教官室に3時間近くにわたって生徒を監禁し、暴言を繰り返したことも確認されている。学校教育法上これは体罰、平手打ちも体罰である。本人に対して暴力行為はなかったと言っているが、実は起訴後に、警察から父母に説明があった。暴力実行行為について、本件では、他のバレー部員と同機会において月1回程度、個別に顔面を殴打されていたことが数回、平成20年11月、体育教官室で怒鳴りつけられる、机を叩かれたり、壁に向かってカギを投げつけられるという事実が認定可能だと。本人にも暴力はあったと認めている。
教師が体罰を否定し、そのために学校は調査もしなかった。そのために訴えざるをえなかった。その土台が崩れたら、県教委が真摯に、教育の立場でこの問題をきちんと調査すべきではないか。
【教育長】
体育教官室での具体的な内容については、監禁状態など原告側が主張する内容とは大きく異なっているところであり、裁判においてその旨を主張しているところであり、殴ったということについても当該生徒には行っていないということである。
それ以外のことについては、現在係争中であるので、発言は控えさせていただきたい。
【斉藤議員】
裁判をやる土台が崩れたのだと思う。体罰は一貫して否定したのを認めた。本人への体罰も警察は認めている。深刻な問題である。ところが、否定した顧問教師の証言を前提にして学校は調査しなかった、調査を拒否した。
本当に一人の高校生が青春を、進路を踏みにじることになったと思う。父母が今真剣な調査を求めているのなら、それに応えて調査すべきである。
8.核のゴミ、高レベル放射性廃棄物の処分問題について
【斉藤議員】
現在の原発が、使用済み核燃料、放射性廃棄物の処分の見通しもなく、推進されてきたこと自身が無責任で、重大な問題です。少なくともこれ以上放射性廃棄物を出すべきではないし、原発の再稼働はやめるべきと考えますが知事の認識をお聞きします。
そして、知事は今回の議会でも、最終処分地にしないと言明しています。ILCのことも含め、将来にわたって岩手県を核のごみの最終処分地にしないという「宣言」や、条例の制定が必要と考えるがいかがですか。
【達増知事】
原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、エネルギーに対する国民の問題意識の変化を踏まえたエネルギー政策が求められていると考えている。
原発再稼働および高レベル放射性廃棄物の処分についても、国の責任において国民的議論を行いながら検討すべきものと考える。
日本学術会議も指摘している通り、高レベル放射性廃棄物の処分については、まずは原子力政策に関する大局的方針について国民的合意を得ることが必要であり、そして高レベル放射性廃棄物の処分のあり方についても、地層処分の問題点にかかる検討も含め国の責任において検討していくべきである。
県としては、当面は、いわゆる科学的有望地の提示や特定放射性廃棄物最終処分法に基づく調査の動向を注視していく必要があると考えているが、今後も最終処分場を受け入れる考えはないという姿勢で臨みたいと考えている。
受け入れ拒否の姿勢を改めて明確にすることについては、どのような次期にどのような方法で行うことがもっとも効果的か引き続き検討していきたい。
【斉藤議員】
学術会議の回答と提言は、政府の原子力委員会から諮問されて行われた科学者の総意だと思う。たくさんの提言があるが、一番の中心は、暫定保管と総量規制である。何万年もの間保管するという技術があるのかと。だとすれば、そういう方向を含めて、50年から100年という単位で暫定保管して議論すべきだと。しかしそういう時期に、高レベル放射性廃棄物を増やし続けていいのか。これがもう1つの問題である。核のごみの処分方法も示されないのに、一方では原発再稼働して増やし続けるのは重大な矛盾ではないか。
9.県警幹部職員の天下り問題について
【斉藤議員】
公安委員長に質問します。
2014年7月24日号の「週刊文春」で、岩手医科大学教授の若林剛氏の覚せい剤疑惑が報道されました。覚せい剤の注射を打たれていたという女性が証言した重大な内容です。岩手医科大学は、発売直後の7月16日、事実関係を確認するための調査委員会の設置を決めました。当時は素早い対応として評価されましたが、県警の捜査も、岩手医大の調査も、その後なにも明らかにされませんでした。若林教授は昨年3月、退職しましたが、その理由も示されませんでした。
そうした中で、昨年4月、捜査の責任者である刑事部長が、岩手医大に病院長顧問として天下り・再就職しました。結局は事件をもみ消し、その代償として天下ったのではないかと疑われます。
公安委員長は、覚せい剤疑惑事件について県警から報告を受けたでしょうか。また捜査の指示を行っていないのでしょうか。覚せい剤事件にかかわる大学に、捜査の責任者である刑事部長が再就職することに疑問を感じないのでしょうか。
【公安委員長】
県警察から捜査状況に関する報告は受けていないが、この疑惑が週刊誌に掲載されたことや、昨年からの県議会における斉藤議員からのご質問と、これに対する答弁の内容は報告を受けている。
捜査の指示については、公安委員会は、県警察を管理し、法律の規定に基づき、その権限に属された事務を司ることとされている。公安委員会が行う管理は、個々の事務執行を含まず、大綱方針を定め、これによる事前事後の監督を行うものと承知している。
再就職については、公安委員会としては、退職者の再就職については、民間企業等がどのような人材を必要とし、どのような採用を行うかは、あくまで当該企業等の独自の裁量と努力によるところであり、再就職は雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知している。
【斉藤議員】
覚醒剤疑惑は重大事件である。その報告を受けていないということは捜査していないと。その捜査の責任者が当該大学に天下るということは社会的に許されない。実際に若林教授は昨年3月に退職している。責任をとって辞めている。これはもみ消しである。そのように感じないか。警察を管理していて、これだけ目に見えるような癒着事件を公安委員会が指示しないと、そういうことでいいのか。
【公安委員長】
個別の事案について、監察を指示するかどうかについては答弁を差し控えさせていただきたい。
一般論としては、県警察の事務または県警察の職員の被疑に関する監察について、必要があると認めるときは警察法に基づき監察の指示を行うものである。
【斉藤議員】
覚醒剤を打たれた女性が証言している。尿検査や血液検査をしたらすぐ分かる事件である。捜査していないと。そしてもみ消したところに、捜査の責任者が再就職すると。これが癒着ではなくて何なのか。本当に公安委員会の存在意義が問われている。