2016年12月16日 商工文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・釜石祥雲支援学校の移転新築について
【斉藤委員】
本会議の答弁で大変前向きな答弁があったが、旧釜石商業高校跡地を第一の候補にするということで理解が得られたと。これは高等部を含めて一体的な支援学校と受け止めていいのか。
【特別支援教育課長】
高等部まで一括ということについては、請願の要望の中にあったこととして受け止めている。ただし、現在釜石高校と一緒に同じ建物の中で学んでいる高等部の生徒の実態があるので、十分調査したうえで、生徒たちの気持ちも踏まえたうえで、一括にすべきかどうか検討していくつもりである。
【斉藤委員】
いま学んでいる生徒たちは当然だが、これから入る人たちが問題である。それで父母たちは一体型を求めている。そういう点でいくと一体型の方が合理的、そして保護者の要望もそこが基本になっていると思うので、そこを基本に話をつめていく必要があるのではないか。
【特別支援教育課長】
ご意見も十分理解している。ただ、今いる子どもたちが積み上げたものでもあるので、その辺も含めて検討していきたい。
【斉藤委員】
今いる子どもたちを動かす必要は全然ない。新しくつくるときにはそこに入学できるようにすればいいだけの話で、それは矛盾しない話だと思うので、そういう方向で進めていただきたい。ただ、仮設住宅がある中で、2年はかかるという話なので、じっくり協議を進め、今の校舎が活用できるのか、改修が必要なのか、その点はいかがか。
【特別支援教育課長】
旧釜石商業高校は、建物は解体しており、第二体育館のみが残っているので、整備する場合には新しい校舎を建てるという形になると思う。
【斉藤委員】
だとするなら、なおさら一体型が期待に応えるのではないかと思う。
・教員の体罰問題について
【斉藤委員】
体罰問題は大変深刻だと思う。この5年間、今年、どういう体罰事案の件数になっているか。
【教職員課総括課長】
24年度の体罰についての懲戒処分はない。25年度は10件、26年度3件、27年度3件、28年度は現在のところ4件となっている。
【斉藤委員】
5年間の処分の資料をいただいたが、これは体罰などというものではないと、そういう印象を受けた。たとえば、今年9月12日に減給3ヶ月の処分をされたものでは、「午後3時ごろ、体育の授業中、男子児童1名にたいし、自らの話を聞いていないことを注意しようと、履いていた靴を児童の足下に向かって投げ、その後さらに児童の態度に感情的になり、立っていた当該児童の後ろから臀部を右足で蹴った。児童がその場によろめいて座り込み、さらに横になったところに、靴を脱いで臀部を右足で二度蹴った」と。そのほかに、現任校で2度、過去の勤務校で4度体罰があったと。これは体罰などというものではない。虐待・暴力そのものである。これがわずか減給3ヶ月という処分で、これは許されるのか。
【教職員課総括課長】
ご指摘の事案について、県教委としても今回の事案は非常に悪質な事案だという認識をもっており、そういった認識のもとに懲戒処分についても行わせていただいたものである。重いか軽いかについては、いろいろ判断あると思うが、いずれ懲戒処分にあたっては、個別の事案の内容をきちんと精査したうえで、なおかつ県教委における前例や他の任命権者の例、他の都道府県の例等を見たうえで判断させていただき、厳正に対応させていただいている。
【斉藤委員】
この5年間で一番重い処分は減給6ヶ月だった。平成27年2月16日に処分されているが、体罰の件数14件、これは部活動中である。14件となると、おそらく確認されただけのものではないか。いわば常習的に行われていたと。
減給3ヶ月というものでは、平成27年2月16日に処分されているが、体罰37件。「部活動の練習試合中に、ミスについて指導している際に、両手で顎付近を押さえて上に持ち上げた」と。練習試合中というのは他の選手がいるということである。そういう場で堂々と。37件やった体罰はなぜたった減給3ヶ月の処分なのか。
【教職員課総括課長】
いずれ常習的という部分についても、十分勘案させていただくということもあるが、個別のそれぞれの事案の内容についても踏まえたうえで、精査したうえでそういった判断をしているものである。
【斉藤委員】
全体として、これだけの「虐待」と言ってもいい、「暴力」「暴行」と言っていい行為、これが減給3ヶ月程度の処分で済まれていることが大問題だと思う。圧倒的には戒告である。こんな軽い処分はない。子どもの人権を踏みにじって、恐怖を与えた。
これはつい最近の事例で、11月10日に新聞報道になったが、「バスケ部コーチ、男子生徒に体罰」と。「北上の県立高校で、チームの男子生徒に体罰を加えていたことが分かった」と。「男性教諭は、対外試合の際、男子生徒にたいし、部員ら大勢の前で突き飛ばすなどの体罰を加えた」と。対外試合で、みんなが見ている中で、しかしなぜ明らかになったかというと、記者の通報である。周りのみんなが見て分かっているのに通報されない。こういう体質が蔓延しているのではないか。ちなみにこの顧問教師は、いわて国体の本県少年男子チームのコーチだった。外すべきだと思う。部活動の顧問も国体のコーチも外すべきだと思う。どう対応したか。
【スポーツ健康課総括課長】
国体のコーチについては、事態が明らかになってからコーチは外している。競技団体からもそういう報告を受けている。
【県立学校人事課長】
部活の顧問についても、事案が発覚してから、顧問・部活指導から外れている。
【斉藤委員】
減給何ヶ月というのではなく、しっかり外すべきである。事故報告書も見たが、1度だけではなく常習である。そして、そういう体罰・暴力で、転部している生徒も出ている。「退部届を持ってこい」とまで言っている。「耐えられずに辞める」「退部させる」、こんな人権侵害があっていいのか。これが教育なのか。こういうことは絶対に許されない。部活動も教育の一環なので。
【教職員課総括課長】
ご指摘の件も含め、特に部活にともなう体罰については、体罰が禁止されている、人権侵害であるといった趣旨も含め、そういった理解が非常に欠けていたものと認識している。そうしたことも踏まえ処分させていただいている。
【斉藤委員】
そもそも処分が全体として軽い。部活動の顧問が多いが、本当に遅れた体質が残っている。こういう事件を起こしたら、きっぱり部活から外すべきである。懲罰的に何ヶ月か外すということではなく。そのぐらいの厳格な対応をしなければならない。
もう1つは、やはり校長の責任が問われる。だいたい常習なので、管理監督している校長がそれを把握していないということは許されない。だから、管理監督の校長も、こういう事態が起きたら、同じように処分されると。そのぐらいの厳しさで体罰根絶に向かわなければ、いくら通達を出しても、通達を出した後に事件が起きているので。本気になって根絶すると。そういう抜本的な対策を講じるべきだし、いじめもそうだが、教師の体罰についても全ての学校で研修させると。事件を起こしたらもう部活動の顧問はできないと。そのぐらいの立場でやらなければいけないと思うがいかがか。
【教育長】
体罰も含め、教職員の不祥事が絶えないということについては、きわめて重く受け止めており、その根絶に向けて努力しなければならないと思っている。そういう観点から、今般新たな取り組み、今まで不祥事を起こした職員については、処分して終わりということで、それぞれの受け止め方がさまざまであったという事例も見られる。ということで事後指導もきちんとやるということが、新たな事案を発生させないことにもつながるし、当該行為を行った職員には深く反省させると。そして深く反省したうえで、気持ちを立ち直らせて教育に向かっていくということで、岩手の教職員のパフォーマンスを向上させていかなければならないと思っている。
具体的な処分については、重い軽いの受け止め方はさまざまあろうかと思うが、これは教育委員会の場でもさまざまな議論をいただいており、そういうことを踏まえながら厳正に対応してきているつもりだが、今後ともそういう姿勢で臨んでいきたい。
【斉藤委員】
これだけ社会問題になって、生徒間のいじめでも自殺があり、不登校になっている重大な事案が岩手でも全国でも発生している。生徒間のいじめ以上に深刻なのは教師の暴力だと思う。生徒は教師にものを言えない。だからこれだけの体罰・暴力を受けても、よっぽどのことがない限り通報されない。対外試合でみんなが見ているところでやられても通報されない。この体質を深刻に受け止めなければならない。以前にも処分を受けていても戒告だということもあった。そして何十回もそういう行為をしていても減給3ヶ月程度。もっと厳しくやるべきである。
決定的に大事だと思うのは、部活の顧問が多いので、永久に顧問から外すことは無理かもしれないが、最低1年以上は外すとか、そういう方針を目指さなければいけない。そういう事案が行われた場合には、一定期間外す、管理監督の校長も厳しく処分の対象にもするという形で、絶対にこれから無くすという取り組みが必要ではないか。
【教育長】
顧問から外す期間がどうあるべきかは、さまざまな観点から慎重に考えていく必要があると思っている。ただ、この体罰を行った教員については、当分の間は反省の意味で外すという姿勢は基本にしながら、今後の課題として検討させていただきたい。
【斉藤委員】
本当に教師から体罰を無くさなかったら、子ども間のいじめは解決できない。教師がそういう感覚なのだから。一切の暴力を無くすという気風は、教師からつくらなければならない。そういう点で、一定期間、最低1年以上は外さないと、処分の意味、その教師が立ち直る意味がないと思う。暴力と教育は両立しないので。
何よりも子どもの人権を踏みにじる行為なので。人権を踏みにじられた子どもは、本当に深刻である。通達を出してからも起こるような体罰の事態に、本当に教育委員会をあげて全ての学校がこの問題で研修も行い、根絶するという取り組みを進めていただきたい。