2016年12月16日 商工文教委員会
産業人材奨学金返還支援基金に関する質疑(大要)


・いわて産業人材奨学金返還支援基金出捐金について

【斉藤委員】
 8分野が対象だということだが、その8分野を示していただきたい。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 対象としている分野については、ふるさと振興総合戦略での地域産業の振興ということで、自動車、半導体、医療・福祉機器、航空機・ロボット関連、環境、エネルギーおよびソフトウェア開発という分野を示させていただいている。また、その他知事が認める分野というのも付け加えられている。

【斉藤委員】
 対象分野として、企業数は700社程度(経済センサス)となっていたが、経済センサスの何を基準に700社となっているのか。先ほど県北では25社が対象となっていたが、沿岸、県南、県央それぞれどうなっているか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 経済センサス中で、統計上の業種だと完全にリンクするという形ではないが、経済センサスの中ではそういう対象分野、いわゆるものづくり関連企業という形で、電子部品・デバイスやインフラ用機具製造業などといった部分の企業の業種により大きく分けられる。そういう形で拾った企業の中で、県央広域局管内では166社、県南広域局管内では464社、沿岸は88社という状況である。

【斉藤委員】
 700社というのがいわゆる戦略的なものづくり産業の対象になると。自動車産業はこのうちどのぐらいになるか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 経済センサスの中で、輸送用機械製造業の中では37社となっている。この中には、鉄道や造船も含まれている。自動車だけという形ではない。

【斉藤委員】
 たった37社ということなのか。自動車関連というのはかなり関連企業が多く波及効果が大きいと思っていたが。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 統計データとして拾う対象企業とすると、拾い方があろうかと思うが、輸送用機械製造業として26年度の経済センサスとして出ているデータは37社である。

【斉藤委員】
 8分野それぞれの対象事業所数を示していただきたい。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 8分野については、県として戦略的に進めていく産業分野という形で、ふるさと振興計画なり、地域イノベーションシステムという形での次世代産業分野で進めさせていただいているが、それに対応する形で、対象として想定される企業とすれば、ものづくり産業なりIT産業という形で拾っている。分野別の数字についてはデータを持ち合わせていない。

【斉藤委員】
 輸送機械関係は37社と出るのに他のところが出ないのはおかしい。出せないのか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 経済センサスの中では、プラスチック製品製造業50社、鉄鋼業42社、貴金属製造業18社、金属製品製造業148社、産業機械器具製造業37社、生産用機械器具製造業147社、業務用機械器具製造業37社、電子部品・デバイス電子回路製造業72社、電気機械器具製造業40社、情報通信機械器具製造業24社、輸送用機械器具製造業37社、情報サービス業91社、計約740社ということで、これらの業種の企業が主に対象になってくるだろうと思っている。

【斉藤委員】
 ものづくり産業ということだが、たとえば、金融関係でもこういう事業所支援の場合に、専門的な力量が問われる。だからものづくり関係ということだけではなく、そういう事業所を支援する、特に金融機関なんかには特に知識を持った人材が必要だと思うので、理工系に限定するというのは片手落ちではないか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】

 今回の制度においては、産業競争力の強化を図っていくために、県内企業の技術や開発力を強化していきたいということが主眼であり、このための技術人材という形で対象を理工学系の学部とさせていただいている。
 当面3年間という形なので、今回はそこに注力させていただくということで考えている。

【斉藤委員】
 それは国のメニューでそのように限定されているのか。今回県が制度をつくるうえでそのように設定したのか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 今回国のスキームを活用するということで、国のスキームにおいては、地元産業界と連携を図りながら、産業振興に資する人材という形で設定されているので、その考え方を基にして設定している。

【斉藤委員】
 産業振興に資する人材と言ったらかなり広い。ものづくりはその中の1つの産業である。要するに国の縛りがないということでいいか。

【商工労働観光部長】
 説明を補足すると、国のスキームは、地方経済を牽引していく成長的な産業分野、戦略的に振興していこうとする分野ということで、そういった観点から理工系の学生等を対象とするというスキームが示されている。それを基本に、直接的に生産分野を革新的に変えていくための人材を確保し、産業の力を付けようという発想で進めている。当面、こういう形で産業界に人材を投入するスキームを展開するが、当然ご指摘のようにさまざまな分野で同様のニーズが出てくると思っている。そういったところは、人材需要の状況も見ながら、また応募の状況、さらには出捐金を高めていかなければ、規模を拡大していかなければいけないので、産業界・経済界にもよくご理解いただきながら、地域経済全体にとって波及効果のあるものになっていけばいいと思っている。

【斉藤委員】
 700社でこの間の求人の状況はどうだったか。
 先ほど主要100社の需要という話があったが、主要100社で求人の状況・実績はどうだったのか。
 岩手の4大大学で、県立大のソフトウェア学部は対象になると思うが、産業技術短期大学や一関高専は対象になるのか。そしてそれぞれの大学・高専の県内就職率はどうなっているのか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 主要100社ということで、ものづくりとIT分野関係の大学生等の採用計画は、29年度は116人となっている。
 700社の求人については、数字は持ち合わせていない。
 今回の制度は、高専については対象と考えており、産技短については対象とは見ていない。
【労働課長】
 産技短の27年度における就職率は100%で、県内就職率は55.9%である。
【雇用対策・労働室長】
 高専の県内就職率は、18%となっている。
【ものづくり自動車産業振興室長】
 27年3月の卒業生で、岩手大学工学部系は20.6%、県立大ソフトウェア情報学部は27.2%となっている。

【斉藤委員】
 高専が対象で産技短が対象外というのは合理性がない感じがするが、なぜそうなるのか。産技短も対象にしていいのではないか。

【商工労働観光部長】
 産技短の人材についても当然カバーしていきたいと思っているが、現段階では、対象としている奨学金が、学生支援機構から借りている方々を対象に設定しているもので、産技短の生徒さんは産業教育側の奨学金を使っている関係もあり、そういう問題があり、やがて解決できるのではないか思っている。

【斉藤委員】
 奨学金の制度が違うと。それはぜひ解決していただきたい。産技短は県内就職率55.9%とこの中では一番高いが、あとは20%台である。たしかに求人は首都圏などの方が多いかもしれないが、先ほど主要100社で116人ということだったが、700社となると3倍ぐらいの規模になるのではないか。せっかくこういうところを対象に人材確保しようと思ったら、県内の大学・高専、産技短も含めて、県内にどういう企業があるのか、どんな取り組みをしているのか。そして求人状況がきちんと知らされるように、できればキャリア教育の中で企業訪問なども行われるなど、今回の取り組みを通じて、単なる奨学金返済免除だけではなく、県内の中小企業、大手も含めてだが、県内の人材確保の取り組みにつなげていただきたい。
 仕組みとして、資金に出捐した企業は奨学金の免除が2分の1になる、出捐しない企業は3分の1免除ということで、2分の1、3分の1というのは最大8年間、そして借りている額も違う。大学院にいけば400万円500万円ということになる。それぞれの学生が対象になるときに、免除される額も違ってくるのではないか。
 最大8年間だが、たとえば、3年間で転職した場合、県外に転勤した場合はどういう扱いになるのか。返還を求めるということはないと思うが、そのときは打ち切りということになるのか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 出捐いただいた企業と出捐いただけなかった一般企業という形の区分を設けて、それぞれ奨学金総額の2分の1の助成率、また大学+大学院となった場合、ともに上限額をかかげており、登録企業は2分の1の助成率で上限250万円、それ以外の企業は3分の1の助成率で上限167万円、大学のみの場合は、それぞれ上限150万円・100万円となる。大学院のみの場合は、それぞれ上限100万円・67万円、高専の場合は、70万円・47万円となる。
 転職や転勤の場合については、この仕組みにおいて、就業なり居住なりという部分を確認したうえで助成していくという形なので、たとえば、転職した以降については対象外になる。県内に転職・転勤といった場合もあるが、会社都合なりいろんなパターンがあると思うが、詳細については今後詰めていきたい。

【斉藤委員】
 2分の1の助成率で上限250万円と。たくさん奨学金を借りている人は、たとえば6年で250万円を超えたらそれで終わりということで理解していいか。
 年50人、トータル150〜200人ということで、年50人にも幅があると。もし60人ぐらい申請した場合には、200人の枠の中で認められるということか。どのぐらい超えた場合に選考となるのか。

【商工労働観光部長】
 この基金は、使い切り基金・取り崩し基金であり、当面この2億円を使い切ろうという発想である。どんどん増えてもらえれば対象として支援できる若者が増えてくるが、使い切るまで使うと。50人程度と言っているのは、毎年50人の定員で切るということではなく、使い切るまでの人数が集まれば終了なので、中小企業団体などこれについては非常に要望をいただいた経緯もあるので、積極的に出捐していただいて、どんどん規模を広げようということである。

【斉藤委員】
 1億円の出捐金には、国が2分の1補助だと思うが、企業が出捐した場合に、税額上のメリットがあるのか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 寄付金という形なので、企業会計では損金算入という形になる。

・産業競争力強化支援拠点整備事業費について

【斉藤委員】
 これは10分の10補助率で9億円と多額だが、これはどういうものを整備するのか。

【ものづくり自動車産業振興課総括課長】
 工業技術センターに整備されるということで、施設については、10メートル方の電波暗室、3メートル方の電波暗室、シールドルームというものにともなう建屋ということである。測定をするための付属の測定機器整備も含めた9億円ということである。