2016年12月20日 12月定例県議会本会議
議案および請願に対する千田美津子県議の討論全文


 日本共産党の千田美津子でございます。
 議案第10号、請願陳情第30号および請願陳情第31号について、それぞれ委員長報告に反対の立場で会派を代表して討論いたします。

・県税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案について

 まず、議案第10号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案でありますが、これは消費税10%への増税を再延期して2019年10月1日から増税を実施することに伴い、地方消費税の税率改正、自動車取得税の廃止や地方法人課税の偏在是正措置について、その実施時期を変更しようとするものです。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」が始まって以来3年間で4兆円もの企業減税によって、大企業は3年連続で史上最高益を更新し、大株主など富裕層にも巨額の富がもたらされました。一方、労働者の実質賃金は3年のうちに年額17万5千円も減り、家計消費は実質13ヶ月連続で対前年比マイナスです。さらに2014年4月からの消費税8%への増税が、低所得者、子育て世帯、高齢者世帯に重い負担を強いて、個人消費を大きく落ち込ませたことは、政府の経済財政白書からも明白であり、地域経済の活性化の妨げとなっています。また、岩手県においては特にも、被災者の住宅再建をはじめ、生活となりわいにも容赦なく襲い掛かかっていることや、子どもの貧困が社会問題となっている中で、8%への増税が学校給食をはじめ、就学援助にも大きな影響を与えていることから、消費税10%への増税は、再延期ではなくきっぱりと断念すべきです。
 自動車業界は、消費税増税に合わせ自動車取得税の廃止を求めており、こうした車体課税の見直しには反対です。消費税率の引き上げにより、その一部が国税として地方交付税の原資となっても、各自治体では地方消費税の増収分は地方交付税が減ることになります。このような点から、議案第10号「岩手県県税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例」については反対をいたします。

・駆けつけ警護など新任務付与の撤回を政府に求める請願について

 次に、請願陳情第30号「南スーダンPKOに派兵されている自衛隊への駆けつけ警護など新任務付与の閣議決定を撤回するよう政府に求める請願」であります。
 安倍政権は戦争法(いわゆる安保法制)に基づき、南スーダンPKO・UNMISSに派遣されている自衛隊に「駆けつけ警護」などの新任務を付与し、任務遂行のための武器使用を認めました。しかし、7月に南スーダンの首都ジュバで発生した大規模戦闘では、民間人数百人が犠牲となり、政府軍の兵士80人から100人が国連職員やNGO職員の宿泊するホテルを襲撃し、殺人、暴行、略奪、レイプを行うなど、国連に対する政府軍の攻撃が繰り返されています。このような事態の下で「駆けつけ警護」を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に対し、武器を使用することになり、憲法が禁じた海外での武力行使になるのは明らかであります。今月7日の党首討論で、日本共産党の志位和夫委員長のこれらの質問に対し、安倍首相はまともに答弁できず、「軍に準じる組織が登場する状況ではない。政府も反対派も自衛隊のPKO部隊を受け入れ、期待していることを明確にしている」などと述べ、南スーダン政府の「受け入れ同意」があたかも存在するかのような答弁を行いました。しかし、その後の11月15日の国連報告書では、南スーダン政府と軍による「持続的、組織的な地位協定の違反」が続いており、政府軍が恒常的にUNMISSの任務遂行を妨害しているとしています。
 また、11月10日の国連事務総長報告では、8月から10月までの約2か月で、南スーダン政府と軍による地位協定違反が46件あったとしています。まさに、南スーダンの現状は、「受け入れ同意が安定的に持続している」などとは到底言えない状況です。そもそも今日のPKOは、武力を行使しての「住民保護」を主任務とするものに変質しており、憲法9条を持つ日本が到底参加できないものになっています。南スーダンから自衛隊は撤退し、憲法の精神に立った紛争解決のための外交努力、非軍事の人道支援、民生支援の抜本的強化を行うことこそ求められています。
 現在派遣されている陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊を中心に、岩手駐屯地からも約30名が派兵されています。彼らは、東日本大震災や台風10号災害での人命救助や救援復興に献身的に取り組んできた自衛隊員・若者であります。これらの方々を命の危険がある戦争に派兵してはなりません。以上の観点から、請願陳情第30 号「自衛隊の駆けつけ警護など新任務付与の閣議決定を撤回するよう政府に求める請願」は採択すべきと考えます。

・厚労省における受動喫煙防止対策強化に関する請願について

 最後に、請願陳情31号「厚生労働省における受動喫煙防止対策強化措置について意見書提出を求める請願」です。
 厚生労働省は今年10月に「受動喫煙防止対策の強化についてのたたき台」を公表しました。「厳しい」規制を打ち出した理由は、第一に、肺がんや乳幼児突然死症候群、虚血性心疾患等健康に悪影響を与えることが科学的に明らかであること。第二に、たばこによる健康被害は国際的な問題として取り上げられるようになり、2003年のWHO世界保健機構の総会で、「たばこ規制枠組条約」が加盟国の全会一致で採択されたこと。受動喫煙防止対策については、国際的には、公共施設や飲食店など屋内の公共の場である禁煙を義務付けるのが主流であるが、わが国では受動喫煙対策は「努力義務」にとどまり、先進国に比べ、規制の取り組みは大きく遅れていることから、防止対策を推進することが求められていること。第三は、2020年の東京オリンピック、パラリンピック、そして2019年にラグビーワールドカップの開催を控えており、招致の条件として、たばこ対策を進めることが求められているなどの背景があります。
 塩崎厚生労働大臣は、「今回の対策強化について、WHOの報告で日本の受動喫煙防止対策は世界でも最低レベルと言われている。オリンピックの開催国はすべて罰則を伴う受動喫煙防止対策を行っており、そういう諸外国の常識を考えて、スモークフリー社会に向けて歴史的な一歩を日本も歩みださないといけないという認識でこの規制を打ち出した」と述べています。
 厚生労働省のたばこ白書では、受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で年間1万5千人に達していると指摘しており、日本医師会なども立法化を働きかけています。
 たばこの健康被害の深刻さを考えれば、国として対策を強化することは当然の措置であり、たばこ関連事業者の経営に影響が及ぶことを問題にして規制緩和を求めるのは筋違いと考えます。
 よって、請願陳情31号の採択に反対いたします。

 以上で反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。