2017年2月28日 2月定例県議会本会議
高田一郎県議の一般質問(大要)
【高田議員】
日本共産党の高田一郎でございます。
県民のいのちと暮らしを守る切実な課題について質問いたします。
1.東日本大震災津波からの復興の課題について
・被災者の見守りとコミュニティの確立について
第一に、東日本大震災津波の復興の課題であります。
東日本大震災津波からまもなく6年目を迎えようとしています。応急仮設住宅等では6179戸、13283人(ピーク時の30%)が不自由な避難生活を余儀なくされています。被災者からは「まさかこんなに仮設暮らしが長くなるとは、疲れ果てた、早く自分の家を持ちたい」という切実な声も出ています。すでに震災関連の自殺は42人、仮設住宅などでの孤独死は48人、この一年間でも10人を超えています。孤独死を出さない被災者の命と暮らしを守ることは引き続き緊急で最大の課題です。
まず、被災者の見守りとコミュニティの確立など新たな犠牲者を出さない取り組みの強化についてです。
応急仮設住宅では自立再建の見通しが立たず、また家賃や共益費等の負担を心配して入居をためらう被災者、再建方法を決めかねている被災者が208世帯にもなっています。被災者からは、将来の生活に対する不安の声が広がっています。被災者の健康状況、くらしの実態をどう把握されているのでしょうか。医療費・介護保険利用料の免除措置は12月末まで延長となり、被災者からは大変歓迎されています。被災者にとって命綱となっていますが知事はどう評価されているのでしょうか。
被災者は、応急仮設住宅から災害公営住宅への大規模な移動の時期となっています。最大の課題は、被災者の絆、コミュニティが断ち切れることです。仮設住宅にとり残される孤立感は一層深刻となっており、被災者一人ひとりに寄り添った取り組みが必要になっています。
先日、私は陸前高田市の下和野災害公営住宅を訪問しました。一階に市民交流プラザを設置し、市内の復興状況の動画を見ながら支援員を囲み楽しい会話が行われていました。隣の部屋には、保健師などが相談する部屋も確保されていました。一定の規模の災害公営住宅にはこうした取り組みを広げるべきです。生活支援相談員の配置状況と今後の計画はどうなるのでしょうか。
【達増知事】
被災者の健康状況について、岩手医大が沿岸4市町を対象に平成27年度に実施した調査によると、「健康状態が良くない」と答えた被災者の割合は、男性13.2%、女性14.6%となっている。
くらしの実態について、生活支援相談員に寄せられた相談内容を見ると、「日常生活」に関する相談が全体の約3割ともっとも多く、次いで「健康・保健医療」に関する相談が約2割を占めている。
国保の一部負担金免除措置については、いまだ多くの被災者が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされている現状を踏まえ、平成29年12月までの1年間、これまでと同様の財政支援を継続することとしたところであり、こうした方々の医療や介護サービス等を受ける機会の確保に寄与しているものと考えている。
【県土整備部長】
災害公営住宅の交流施設等について。県が整備している災害公営住宅には、入居者間の交流を促進するために、通常の公営住宅より面積が広い集会所を設置するとともに、入居者の支援に携わる方が活動できるような事務スペース等も設置している。
県および市町村の社協で配置している生活支援相談員は、平成29年1月末現在で172名となっており、来年度は186名の配置に要する経費を当初予算案に盛り込んでいる。
・住宅再建への支援について
【高田議員】
沿岸被災地の住宅建設の坪単価は59.3万円、年々増加し震災前と対比し11万円も増加しています。大手ハウスメーカーの場合は坪70万円以上となっており、30坪の住宅建設では約600万円もの負担増となってしまいます。被災者からは「土地を確保したが息子の収入が少なく借り入れの見通しがまったく立たない」との声も寄せられました。持ち家再建の最大の問題は資金問題と土地の確保です。大きな被害を受けた被災地ほど住宅再建も一層困難になっており、住宅再建への更なる支援が必要と考えますがいかがでしょうか。
被災者生活再建支援金は30年4月10日まで、被災者住宅再建事業費補助金は、30年度までとなっています。釜石市の鵜住居地区まちづくり協議会役員から「529区画中30%は自立再建を希望するが時期は未定」とのお話を伺いしました。期限内の再建は困難であり、支援制度の延長を行うよう国に働きかけるべきですがいかがでしょうか。
【復興局長】
持ち家による再建は、復興に弾みをつけるものであることから、県では、これまで国に対し繰り返し被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところだが、国は慎重な姿勢を示していることから、市町村と共同で最大100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を実施し、住宅再建を支援している。
国では、資材高騰等の物価上昇等に対し、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費やグループ補助金の額については引き上げており、被災者の住宅の再建支援についても同様に扱うべきと考えられることから、国に対して、被災者生活再建支援制度の支援額の増額について引き続き強く要望していく。
また、被災者生活再建支援金の加算支援金の申請期間は、現在のところ平成30年4月10日までとなっているが、申請期間の再延長については、国の通知により1年を超えない範囲で繰り返し設定できるとされていることから、住宅再建の前提となるまちづくりの進捗状況等を踏まえ、事務を行っている公益財団法人都道府県会館とも協議しながら、被災者の方々が安心して自立再建できるよう対応していきたい。
・公営住宅入居者への支援について
【高田議員】
災害公営住宅に入居した被災者は将来に不安を持っている方が少なくありません。月54000円の年金生活者からは「まもなく家賃が上がり減免制度がなくなれば22,000円となる不安でしょうがない」と訴えられ、共働き世帯からは「割増賃金となれば家賃が10万円になるがとても住宅再建ができない」との声もありました。社会に貢献し、つらい震災からの復興を乗り越えてきた高齢者・被災者にこれ以上の不安を持たせてはなりません。生活に困窮する被災者には引き続きの減免延長を行うべきです。減免制度は県と市町村では異なりますが、県営住宅の減免制度は効果的です。市町村営でも対応できるような支援を行うべきですがどうでしょうか。
入居時の保証人は「止むを得ない事情がある場合は免除できる」と国は通知しています。しかし現場では保証人や所得証明書の添付を求められ入居をためらう被災者も出ています。国の通知を徹底すべきですがいかがでしょうか。
【県土整備部長】
災害公営住宅の家賃減免の延長について。現在国が行っている東日本大震災特別家賃低減事業による特別低減措置は、高齢者世帯など収入が少ない世帯にたいし、収入に応じて5%から70%程度家賃を減免する制度であり、その期間は10年間となっている。
一方で、県および一部の市町村では、収入が少ない世帯が申請手続きを行うことにより、ほぼ同様の家賃の減免を期限を設けず受けることができる独自の制度を従前から有している。
しかしながら、独自の減免制度を有していない市町村も複数あるため、仮にこのまま国の特別低減措置が終了した場合、県や各市町村間で家賃に差が生じてしまうことから、県としては市町村と連携しながら、国が行っている現行の家賃の特別低減措置の延長を要望したい。
災害公営住宅の入居要件の改善について。県営の災害公営住宅では、従来から震災により家族や親族が亡くなった場合など、やむを得ず保証人を確保できない場合には、保証人を求めない運用としていたが、昨年9月の国の通知を受け、入居募集案内にその旨を明記したところである。また市町村に対しては、保証人の免除について配慮を求めるとともに、県と同様に保証人が見つからない場合の対応を募集案内へ記載するよう通知しており、引き続き周知徹底を図っていく。
・被災事業者への支援について
【高田議員】
昨年8月に行われた復興局の調査によると、被災事業者全体における事業再開の状況は、「再開済又は一部再開済」と回答した割合が79.3%でありますが、業績については「震災前と同等または上回っている」との回答は48.6%となり、水産加工業者は顧客・取引先の販路を失うなどで業績が回復していないという課題を抱えています。さらに、今年度は漁獲量が大幅に減少し魚価の高騰等し業績の悪化が一層懸念されます。グループ補助金を活用した設備投資等に伴う借入金の返済時期と重なるだけに支援の強化が必要です。人材の確保、販路の拡大、新商品開発などのように事業者の課題に応えていくのでしょうか、県としての支援策を伺います。
【商工労働観光部長】
水産加工業については、グループ補助金等により85.9%の事業者が再開し、業績についても「震災前と同程度以上」と回答している事業所が、前回39.6%に比べ10.5ポイント増加の50.1%となるなど、着実に復旧していると把握している。
しかしながら、原材料価格の高騰や調達困難、雇用・労働力確保などは、依然として主な課題の上位となっており、引き続き、これら多様な課題に対するきめ細かな支援が必要であると認識している。
県ではこれまで、商品力の向上や商談会の開催などによる販路拡大の促進、設備等の高度化やカイゼンの導入による労働生産性の向上、人材確保の支援などに取り組んできたところである。
さらには、加工原料の確保に向け、原料調達等に対する国の補助事業の活用促進などの支援も行っている。
今後においても、こうした取り組みを充実させるとともに、企業間連携等の促進、経営相談・会計指導等の経営改善の取り組みなど、地元市町村・商工指導団体と連携し、総合的に水産加工業の復興を支援していく。
・原発被害からのしいたけ農家への支援について
【高田議員】
しいたけ産地では原発事故で産地を揺るがす深刻な被害となりました。一関地方では、震災前の生産者は392戸でしたが、出荷制限が解除された生産農家はわずか16戸となっています。多くの生産者が再開を断念する中、出荷制限解除目指し再生産に取り組む生産者もあります。しかし、ここに来て東京電力は賠償を3年で打ち切る方針に示しています。
原木ほだ木価格は震災前の二倍以上となっています。賠償金が支払われるまでのつなぎ融資もありますが損害賠償が打ち切りによって生産断念もしなければなりません。3年での打ち切りではなく、3年目以降は実態を踏まえた賠償を求めていくべきですが県の対応を伺います。生産者は原木の安定的な確保とともに他県からの供給でなく地元調達を願っています。原木の安定的な確保に向けて、県はどう対応するのでしょうか。
【農林水産部長】
昨年12月に、平成29年1月以降の損害賠償について、県から東電に説明を求めたところ、東電からは、「原木の価格高騰による掛かり増し経費などの追加的費用については、これまでと同様に生産者が負担した実費のうち、必要かつ合理的な範囲を支払う。また、しいたけ販売ができなくなった場合などの年間逸失利益については、平成28年分の賠償額の3倍相当額を支払うが、賠償金支払後に、原発事故との相当因果関係のある損害が、今回提案の賠償額を超過した場合には適切に支払う」との回答があった。県では東電に対し、今後とも生産者に不利益が生じないようしっかりとした対応を求めていくとともに、関係団体と連携し、生産者が安心してしいたけ生産に取り組めるよう全力で支援していく。
原木の安定的な確保について。県では、これまで放射性物質の影響を受け原木の地元調達が難しい県南の11市町村において、地元調達に向けて原木林の放射性物質濃度の推移を確認するためのモニタリング調査を実施し、放射性物質の影響を受けた広葉樹林を伐採し再生させる実証等に取り組んでいる。また、関係団体等で構成する「しいたけ原木供給連絡会議」を設置し、素材生産業者や広葉樹資源を有する市町村へ原木供給の働きかけを行い、安全な原木調達に努めてきたほか、今年度は新たに検査の効率化と生産者の負担軽減のため、しいたけ原木用非破壊検査機を導入し、原木の放射性物質検査を開始したところであり、引き続き関係団体等と連携しながら、安全な原木の安定的な確保に向け取り組んでいくとともに、国に原木確保への支援の継続を求めていく。
・復興基金の活用状況、基金残高について
【高田議員】
東日本大震災津波復興基金は、国の支援が行き届かない事業へ活用してきました。303億円の基金のこの間の活用状況、及び29年度末の基金残高について伺います。
【復興局長】
これまで基金の運用益等も含めて約728億円を積み立て、うち約425億円を市町村に交付し、残り約303億円を県として活用している。
具体的には、安全の確保では、再生可能エネルギー導入促進に向けた環境整備、暮らしの再建では、住宅再建費用の一部助成や国保・後期高齢者医療制度における一部負担金免除に要する経費、なりわいの再生では、中小企業の事業再開や被災地における起業の支援・産業創出など、41事業・計213億円余の事業に活用してきた。
29年度は、25事業に約49億円を当初予算案に盛り込んでおり、29年度末の基金残高は41億円と見込んでいる。
今後において、被災地域の状況やニーズを的確に把握し、効果的な活用を図っていく。
2、台風第10号災害からの復興の課題について
・住宅再建への支援について
【高田議員】
次に、台風第10号からの復興の課題について質問します。
台風第10号の被害総額は1440億5505万円、死者・行方不明23人となり、特に岩泉町では東日本大震災の10倍の被害になるなど戦後最大の被害となりました。
被災した住宅は、全壊471世帯、大規模半壊523世帯、半壊1877世帯となりました。住宅再建は生活再建でもっとも大事な課題です。住宅再建の意向はどう把握されているのでしょうか。災害公営住宅に当たってはコミュニティを大事にし木造戸建てにするなど、東日本大震災の教訓を踏まえたものにすべきです。
年末に仮設住宅に入居されましたが、岩泉町では、半壊以上の住家被害を受けた被災者のうち254世帯の方が自宅で寒さをしのぎながら避難生活を送っています。住宅の補修や改修、見守りなど行き届いた支援が行われているのでしょうか。
【県土整備部長】
岩泉町では、昨年12月から今年1月にかけて、台風災害により自宅が全壊等になった方々を対象に、これからの住宅の再建について意向調査を行い、現在、この意向調査結果を踏まえ、災害公営住宅の整備について具体の検討を開始していると承知している。
県では、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、岩泉町が進めている災害公営住宅の整備計画の策定にかかる手続きなどについて、必要な助言を行っている。
【保健福祉部長】
この災害に際しては、多くの住家被害が生じたところであり、被災された方々が一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すことが重要と考えている。
被災者の住家被害への支援として、先月末時点で、住宅の応急修理については、1216件の申込に対し、803件の修理が完了し、全壊・大規模半壊994世帯を対象とした被災者生活再建支援金については、基礎支援金902件、加算支援金263件の申請を受け付けており、被災者それぞれの状況に応じた支援を実施している。
また、被災者の見守り支援としては、市町村保健師等が全ての被災者を対象とした各戸訪問等を行ってきたところだが、これに加え、特に被害が甚大だった岩泉町では、2月1日から生活支援相談員を6名配置したところである。
県としては、今後も市町村や関係機関と連携し、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行うよう努めていく。
・被災事業者の再建状況について
【高田議員】
商工業の被害は1936件242億9999万円となっています。地域なりわい再生緊急交付金など県独自の支援も示されていますが、現在の申請状況、再建状況はどうなっているのでしょうか。
【商工労働観光部長】
地域なりわい再生緊急交付金について、各市町村では約1000事業者を助成対象と見込み、現在交付申請を受け付けながら支援を進めている。
被災事業者の再建状況は、随時各市町から状況を把握しているが、それによると、施設や設備の工事等、復旧作業を行いながらの事業所もあるものの、一部再開を含め多くの事業所が事業を再開している状況にあると把握している。
・農地の復旧状況について
【高田議員】
農林水産業の被害は、335億5545万円となりました。岩泉町では復興ロードマップを作成していましたが、災害対応の職員と業者が不足して大変厳しいという現状を町当局からうかがいました。
農地の復旧状況はどうなっているのか、春の作付けに間に合うのでしょうか。
【農林水産部長】
被災した農地約171ヘクタールのうち、約99ヘクタールは国の補助事業で復旧する予定であり、現時点で、約83ヘクタールの工事に着手し、残る16ヘクタールについても、3月中旬までに発注することとしている。
また、国の補助事業の対象とならない小規模な被災農地72ヘクタールについても、市町村事業や県の小規模農地等災害復旧事業を活用するなど、順次、復旧を進めることとしている。
被災した農地の復旧にあたっては、河川改修計画等と調整を要するものが多くあり、その作付時期については、今後、農家や関係機関などと協議のうえ決定することとしており、そのほかの農地については、今春に作付できるよう取り組んでいく。
・生活橋・自家水道、情報通信網への支援について
【高田議員】
岩泉町では生活橋73橋が被害を受け、町独自の支援で仮復旧したものの本復旧が課題です。また、簡易水道整備対象地域外の町民が利用している自家水道の共同施設もが破壊され「風呂に水をためるのに半日もかかる」など日常生活に支障をきたしています。生活橋の本設復旧や自家水道への支援を行うべきですが、どう検討されてきたのでしょうか。
情報通信網の整備は国の支援対象外となっていました。県の支援はどうなるのでしょうか。
【政策地域部長】
生活橋や自家水道については、個人や組合の財産であり、国の補助制度がないことから、現在、岩泉町において財源措置も含め、復旧の方法等を総合的に検討していると承知している。
情報通信基盤の復旧についても、既存の災害復旧補助制度がないことから、復旧に対する財政措置を行うよう、国に対して繰り返し要望してきたところだが、この結果、テレビ共聴施設については、先般、既存補助制度の要綱改正により復旧事業が国庫補助事業として認められた。
県においては、自治振興基金に激甚災害特別枠を設け、長期・無利子による貸付を可能とする条例改正案や、岩泉町を含む3市町の早期復旧・復興を支援するための、県単独による自由度の高い交付金にかかる補正予算安を今定例会に提案しており、今後とも早期の復旧・復興に向けて必要な支援を行っていく。
・台風10号災害の教訓について
【高田議員】
台風第10号は、数日前から大雨被害が懸念されていましたが、21名の犠牲者が出るなど甚大な被害となりました。今後の災害に備えるためにも教訓を生かすべきですがどう検証されているのでしょうか。
【総務部長】
県では、昨年10月に岩手県防災会議幹事会議に「地域防災体制分科会」「社会福祉施設等防災分科会」「河川・土砂災害防災分科会」を設け、台風10号災害で得られた教訓と今後の対応策について検討してきたところであり、今月中旬、同会議において「新たな風水害に対応した防災体制の整備」に係る報告書を取りまとめた。
この報告書では、内陸地域に加え、沿岸・県北地域において国・県・市町村による減災協議会を設け、水位計の設置、水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定を推進すること、市町村と要配慮者利用施設間の情報伝達体制を整備するとともに、施設における非常災害対策計画の策定や地域と連携した避難訓練を実施すること、台風等事前に災害の発生が予想される場合、早期に市町村の組織全体をあげた体制に移行すること、また気象庁や河川管理者、県の防災関係課などによる「風水害対策支援チーム(仮称)」を設け、市町村長が避難勧告等の発令を判断するうえで参考となる助言をしていくこと、などを進めることとしている。
県としては、この報告書を踏まえ、地域防災計画に必要な修正を加えるとともに、国・市町村・関係機関と一体となり、新たな風水害に対応した取り組みを推進し、地域防災力の強化を図っていく。
3、雇用の安定と働き方の改革について
・県内就職率の向上、離職率改善に向けた取り組みについて
【高田議員】
次に雇用の安定と働き方の改革について質問します。
人材の確保の課題は、岩手の経済を支え県内中小企業にとっても切実な課題です。新規高卒者の県内就職率は64,1%に留まり、これは全国で29位にとどまっています。昨年3月時点での1位の愛知県は96%、2位石川県93.9%、3位静岡県92.9%となり、東北では宮城県が80.9%、山形県は78.9%になっています。県内への就職率についてはこれまで高い目標を持って取り組むよう求めてきましたが明快な答弁もありませんでした。人口が減少する中での低い就職率であり、目標を持ち本腰を入れた取り組みが必要と考えますがいかがでしょうか。
県内の新卒3年の離職率は高校で41.4%、大卒で38.4%と全国平均より高く、全国5番目の長時間労働(年1888時間)となっていますが、まず、この要因をどう分析しているのでしょうか。県内の就職率の向上と新卒者の離職率を改善するには労働条件の改善、長時間労働の改善が必要です。岩手県では超過勤務とならない休日勤務が多く出勤日数が多いことが指摘されています。こうした課題に県としてどう取り組まれるのでしょうか。
【商工労働観光部長】
県内就職について。高校生に対しては、各広域振興局等に就業支援員を配置し、高校との連携を強化して県内就職の支援を行っているほか、キャリア教育支援セミナーの開催や就職支援情報の提供、就職後のフォローアップセミナーなどを展開している。
また、県内各地域において企業や教育機関で構成されている「ものづくりネットワーク」の活動支援の一環として、小中学生の段階からの対応を強化し、児童生徒とその家族を含む企業見学会を拡充するなど、地元企業の理解促進に取り組んでいくことで、県内就職への意識を高めていきたいと考えている。
県内就職率について。県内就職率は減少傾向にあるものの、依然として高い水準にある。その要因としては、就労環境や労働条件などがしっかりと共有されていないことなどから生じる、若者が企業に期待するものと企業が若者に期待するものの間にずれがあると考えている。
長時間労働について。本県の一人当たり年間総実労働時間は、全国平均に比べ、所定外の時間はほぼ同じであるのに対し、所定内の時間が大きく上回っている状況にあり、その要因としては、全国平均より年次有給休暇取得率が低いこと、非正規労働者割合が低いことなどが考えられ、また、長時間労働につながる職場の意識、労働慣行や生産性の低い働き方も一因であると推測される。
そのため県では、セミナーの開催などによる普及啓発に取り組むとともに、今年度から「いわて働き方改革推進運動」を展開しているところであり、多くの企業において働き方改革を通じた長時間労働の是正や休暇取得促進などが図られ、魅力ある労働環境となるよう取り組んでいく。
・政府の「働き方改革」について
【高田議員】
政府の「働き方改革実現会議」で残業時間年720時間にする案を出しました。残業の上限を週15時間月45時間、年360時間と定めた大臣告示の2倍もの残業を許容するものです。繁忙期には月80〜100時間まで認める案も検討されたとの報道もあり、これは過労死ラインを超えるものであり改革にも値しないものです。
一方、「長時間労働の規制」を言いながら、一定の労働者を労働時間管理の対象から外し、「残業代ゼロ」制度の導入を行おうとしています。8時間働いたら普通に生活できる雇用環境を作るべきですが知事の見解を伺います。
【達増知事】
現在、国において、労働法制の見直しについて検討が進められているが、県では国に対し、長時間労働の是正のための制度の整備などを求めてきたところであり、一億総活躍社会や地方創生の実現が図られるような、適切な時間外労働の上限規制となるよう期待している。
県としても、労働者の適正な労働条件の確保や長時間労働の是正などの働き方改革の推進に取り組んでおり、引き続き、「いわてで働こう推進協議会」の構成団体と連携するなどしながら、オール岩手で、生き生きと安心して働くことができる魅力ある労働環境づくりを進め、ふるさと振興総合戦略に掲げる「いわてで働く」の実現に向け取り組んでいく。
4、介護保険について
・市町村の総合事業について
【高田議員】
次に介護保険制度について質問します。
要支援者の訪問介護、通所介護を介護保険の予防給付から外し市町村が実施する総合事業へ四月から移行します。「軽度者」だから保険から外しその受け皿は地域の住民主体でやれという方向は介護保険制度の趣旨にも反するものです。一関市では事業者による通所・訪問サービスの単価は可能な限りの加算措置を行って現行水準を維持するものとされ、将来は住民主体でサービスを提供するという住民説明が行われています。
訪問及び通所サービスのうち、現行相当以外の多様なサービスはどうなるのでしょうか。受け皿はどう確保されるのでしょうか。どれだけの事業者が取り組まれるのでしょうか。訪問介護・通所介護は重度化を予防する重要な事業であり現行サービスを絶対後退させない事業とすべきと考えますが、県の対応を伺います。
【保健福祉部長】
訪問および通所サービスのうち、現行相当以外の多様なサービスを提供する市町村は、平成29年度には訪問型で10市町、通所型で16市町と見込まれている。
多様なサービスの受け皿については、既存の介護事業者に加え、市町村に配置される生活支援コーディネーターが中心となり、地域の実情に合わせ確保していくものであり、具体的な数は把握していないが、関係の市町からはNPO法人や社協など様々な団体を予定していると聞いている。
現行相当のサービスについては、全ての市町村が提供を予定しているが、こうした全国一律のサービスと高齢者のニーズに対応した多様なサービスを組み合わせて、効果的かつ効率的にサービスを提供するという総合事業の趣旨を踏まえ、県としては引き続き多様なサービスの創出を担う人材の育成などにより、市町村の取り組みを支援していく。
・介護士の人材確保、処遇改善について
【高田議員】
介護士の人材確保は深刻です。「5年ほど前から求人をだしても確保できない」「50床の特養ホームに40床しか入所できず、建設費の返済にも大変」という深刻な声が介護現場から出ています。介護士不足がもたらす影響をどう把握されているのでしょうか。
介護士の処遇改善加算の活用がありますが、介護現場はチームワークで行われており、介護士だけではなく全体の処遇改善が必要です。しかも、人員配置も実態に合わせた配置が必要で国の基準より多い人員配置が行われています。人員配置と処遇改善など全体の労働環境の改善が必要です。介護保険制度は深刻な事態に直面しているだけに、国に対し職員の配置基準の見直しや職員全体の処遇改善を求めていくべきですが県の対応を伺います。
【保健福祉部長】
介護の職場の労働環境の改善を図るうえでも、また、新たな施設の整備など介護サービス提供体制の充実を図るうえでも、人材不足が大きな阻害要因になっていると承知している。
このため県では、県の財政支援のもと、岩手県社協が実施している介護福祉士等修学資金の貸付制度の中に、今年度から、離職した介護人材を対象とする再就職準備金を創設するなど、人材確保策の拡充を図っている。
また国に対し、介護の仕事に従事する方々の処遇改善を図るため、適切な水準の介護報酬の設定や介護職員処遇改善加算の対象職種の拡大を要望するとともに、介護保険制度の運用上の課題把握と必要に応じた見直しを継続的に行うよう要望している。
今後とも、事業者団体との意見交換会等を通じて実態把握に努め、必要に応じて九戸の働きかけをさらに行っていく。
5、県立千厩病院の医療体制と両磐医療圏の課題について
【高田議員】
次に、県立千厩病院の医療体制と両磐医療圏の課題について質問します。
県立千厩病院は、15年間で医師が16人から7人に激減しました。こうした中にあっても、救急患者は15年前よりも増加し年間912件も対応し、地域の患者に応えるために総合診療科を新設、年間1万件を超える透析患者も対応しています。
しかし、医師の減少により常勤医一人当たりの患者数と医師の残業時間は20病院でもトップとなっているにもかかわらず、医業収入は減少し続けています。医師を支える看護師等は休暇を取得しづらい職場環境にもなっています。こうした過酷な勤務実態を医療局長は把握されているのでしょうか。少ない体制で地域医療に貢献しているだけに減らしすぎた医師を増員すべきと思いますがいかがでしょうか。
地域の患者ニーズにこたえるために地域の病院では地域包括ケア病床や総合診療科の取り組みが必要です。基幹病院から離れた地域では得にその役割が大きいのではないか。県立病院における包括ケア病床の現状、今後の取り組みはどうなっているでしょうか。
県立千厩病院では、地域包括病床を立ち上げるために回復リハビリ病床を45床から35床に減らさざるを得ませんでした。患者が減少しているわけではないため苦渋の選択でもありました。在宅復帰率を向上させ在宅サービスの向上などリハビリの人的確保は必須の課題でもあります。人材の確保に努め職員の増員を図るべきですが医療局の対応を伺います。
また、県立磐井病院の産婦人科の医師数及び分娩数はどうなっているのでしょうか。
【医療局長】
県立千厩病院の医師確保について。内科・外科等の基本となる診療科について常勤医7名を配置しているが、入院患者数の増加にともない、医師一人当たりの業務量が増加しており、限られた病院スタッフの中で、地域医療を支えるべく努力しているものと認識している。
こうした中、地域で必要な医療提供体制を確保するため、眼科や小児科など常勤医師不在の診療科については、圏域内あるいは圏域を越えて、県立病院間の診療応援の強化を図ってきたところであり、今年度は、千厩病院に対して1月末累計で324件の診療応援を行ったほか、中央病院から総合診療科の常勤医師を派遣するなど、診療体制の確保に努めている。
なお、来年度については、常勤医が1名増員され、8名体制になる見通しであり、引き続きさらなる診療体制の充実に努めていく。
地域包括ケア病床は、入院治療後、病状が安定した患者に対して、在宅や介護施設で安心して生活できるようにするため、退院支援やリハビリを中心に在宅復帰を支援する病床であり、回復期の機能を担ううえで非常に有力であると考えている。
県立病院においては、大船渡病院が平成26年12月から、東和病院が昨年5月から、千厩病院が昨年10月からそれぞれ病床の運用を開始しているところであり、今後においても、地域医療ニーズを踏まえながら地域包括ケア病床の導入を進めていく。
リハビリスタッフの確保については、経営計画において医療の質の向上などに向けた職員配置計画を定め、体制強化に必要な職員配置を進めているところであり、平成26年度から28年度までに、計画を上回る増員を図っている。
今後とも、県立病院ごとの機能に応じて、施設基準取得に必要な人員を配置するなど、人材の確保に努めていく。
県立磐井病院産婦人科の常勤医師数は、2月1日現在で3名、分娩件数は28年4月から12月までの累計で494件となっている。
6、地域経済を支える農業振興策について
・「農林水産業・地域活力創造プラン」について
【高田議員】
次に、岩手の地域経済を支える農業の振興策について質問します。
政府与党が昨年11月に打ち出した「農林水産業・地域活力創造プラン」は、効率的で経営感覚に優れた農業、農協の事業が有効に働いていない、として農協改革などが示されました。今日の農村の危機を農家や農協の事業運営に責任があるという視点での改革であります。こうした総括と転換では自給率の向上や農業の再生が図られるのかと疑問を持つものです。知事は、「地方重視の経済財政政策の推進を訴えていく」と述べていますが、農村が衰退する要因をどう捉えているのか、そして国に対して、どうその再生を訴えていくのでしょうか。
【達増知事】
本県では、いわて県民計画に基づき、地域農業の核となる経営体の育成や、生産性。市場性の高い産地づくり、高付加価値化などを柱として、農業者の収益アップと農業・農村の活性化に向けた取り組みを進めている。
こうした取り組みを通じて、平成27年の1戸当たりの経営耕地面積は、10年前に比べて約1.4倍に拡大するなど、経営体の生産基盤が着実に整ってきていることや、地域の実情を踏まえた小規模。兼業農家も参画した集落営農が展開されることなどにより、平成27年の本県の農業産出額は、5年前と比べると207億円、約9%の増となっている。
今後においても、農業経営の発展を目指す農家や、地域づくりに取り組む小規模・兼業農家がともに豊かさを実感できる農業・農村の実現に向け、必要に応じて国への政策の提言を行い、地域に根ざした農業施策に積極的に取り組んでいく。
・各国の経済主権を尊重した公平で平等な貿易ルールを
【高田議員】
米国のTPPからの離脱表明を受け、日米首脳会談の共同声明では、市場障壁の削減を強調し「日米間での二国間の枠組みに関して議論を行うこと」などを決めました。TPP以上に譲歩を重ね、日本の農業などあらゆる分野に影響をもたらすものと考えます。自由貿易か保護主義かではなく、各国の経済主権を尊重し公平で平等な貿易ルールを確立することこそ必要と考えますが知事の見解を伺います。
【達増知事】
新しい貿易ルールの確立に当たっては、現在の国際貿易秩序の範囲内で、お互いの国内事情に配慮しながら、個別課題ごとに、相互に知恵と力を合わせて解決策を探っていくことが重要であると考える。
先日の日米首脳会談において設置が合意された「日米経済対話」は、日米両国が自由で公正な貿易ルールに基づき、両国間における経済関係を強化し、双方の経済的利益となる個別分野での協力を積極的に推進する目的で設けられるものとされている。
一方、「日米経済対話」において、日米二国間の貿易のあり方に関し、TPP交渉で日本が重要品目と位置づけた、米や牛肉、豚肉などの農産物に対するTPP合意を上回る市場開放や、自動車分野でのさらなる譲歩などを求められる可能性が懸念されている。
県としては、国に対し、国民生活や経済活動への影響など、国益を損なうことのないよう求めていく。
・再生産可能な米価の保障について
【高田議員】
米の生産費は60kg当たり15,390円となっており、再生産すらできない低米価が続いています。生産コストの引き下げには限界があり、農家の暮らしと再生産を保障する価格保障政策が必要です。通常国会に提出されようとしている収入保険制度は、過去5年間の平均収入を基準に補償限度を90%として補償するものです。これは基準収入の変動もあり下支えとなりうるものでしょうか。直接支払い交付金を復活するよう国に働きかけるべきですがいかがでしょうか。生産調整参加者に対する直接支払い交付金が廃止され減反政策も廃止 農家の収入が減少するのではないかと考えますがその影響について伺います。
【農林水産部長】
生産数量目標に従い生産した農業者に対して、交付される米の直接支払交付金や、国による米の生産数量目標の配分が廃止される平成30年産以降において、十分な対応が行われなければ、米の生産量が需要量を超え、全国的に米価が下落し、農業経営に大きな影響を及ぼすことが懸念される。
このため県では、市町村、農業関係団体等と連携して、今後5ヶ年の水田農業の推進方針や毎年の生産計画を作成し、これに沿った作付を進める方向としており、こうした対応を着実に行い、需要に応じた生産を進めるとともに、飼料用米等への転換、地域の特性を生かした高収益作物の生産拡大を促進するなど、農業者の所得向上に取り組んでいく。
また、国に対し、水田活用の直接支払交付金の女性水準の維持や、制度の恒久化などについて、引き続き必要な対応を求めていく。
・農業経営体のあり方、支援について
【高田議員】
農地を集中させ家族農業を撤退させ効率的な農業をするという政策は農村政策としては間違っています。家族農業とその共同活動を基本とし専業、兼業、規模拡大の有無にかかわらず選別しないことです。多様な経営体を支援し若者・後継者対策に特別の対策を採ることです。県としての支援対象のあり方はどう考えているのですか。
昨年度の新規就農者208人、認定農業者7,375戸、法人817法人となっていますが10年間の推移と経営状況はどうなっているか、農業普及員の役割はますます大きくなっていると思いますがこうした経営体への支援が充分行き届いているのでしょうか。
【農林水産部長】
本県の農業が持続的に発展していくためには、地域農業の核となる担い手を中心として、新規就農者や、小規模・兼業農家など多くの経営体が生産活動に携わりながら、ともに豊かさを実感できる農業・農村を創りあげていくことが重要である。
このため県では、農業改良普及センターを中心に、担い手の経営管理能力の向上に向けた研修を実施するとともに、新規就農者の経営ビジョンの策定や、小規模・兼業農家も参画した産地づくりなどを支援している。
こうした取り組みにより、毎年200名を超える新規就農者を受け入れるとともに、法人化した経営体は、この10年間で3割増加するなど、地域の担い手は着実に育成されてきており、今後とも、市町村、関係団体等と緊密に連携しながら、多様な経営体の育成に取り組んでいく。
7、子どもの貧困対策について
【高田議員】
次に、子どもの貧困対策について質問します。
今月SSW(スクールソーシャルワーカー)、小学校の校長先生など教育現場の関係者と懇談する機会がありました。県南のある学校の5学年では「毎日朝食をとる子どもが72.6%」、つまり4人に1人が朝食抜きなど食生活の実態を聞きびっくりしました。母子家庭で子どもと向き合う時間なく一人で夜を過ごす子も少なくありません。子どもの食生活、一人親家庭の実態をどう把握しているのでしょうか。
貧困にあえぐ親や子どもを孤立させず地域の実情に応じた対策を講じていくには子どもの貧困の実態調査が欠かせません。沖縄県を始め全国では7県が実態調査に取り組んでいます。岩手県としても調査に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
岩手県内の母子家庭の月額就労収入は15万円未満が66%となっています。児童扶養手当を受けながらもダブルワークをせざるをえず、一人ぼっちで夜を過ごす子どもたちが少なくありません。校長先生から「体調が悪いといって学校に連絡した子どもの自宅を訪問したら、母親は仕事にでかけ、古いアパートで朝食はラーメンだった」と話をされ、スクールソーシャルワーカーからは「しょうゆご飯が朝食の子もあり、給食が唯一の栄養源、就学援助の拡大を」と訴えられました。
居住環境や食生活も緊急に改善が必要です。必要な地域には子ども食堂を実施し、家賃補助など支援を強めるべきですがいかがでしょうか。
ダブルワークをやらなくとも子育てができる環境が必要ですが県としての対応・支援策についても伺います。
【保健福祉部長】
本県の子どもの食生活については、3歳児健診の際や、学校での保護者や生徒へのアンケートにより、朝食の欠食率などを調査している。
また、ひとり親家庭の実態については、5年に1度、岩手県母子世帯等実態調査を行い、親の就業状況や就労収入の状況に加えて、親の帰宅時間や子どもに関する悩み、困っていること等の把握に努めている。
子どもの貧困の実態について、本県では、生活保護世帯の子どもや、就学援助を受けている子どもの割合など、公的支援の対象となっている子どもの統計資料等により把握している。
沖縄県など他県で子どもの貧困実態調査に取り組んでいるところもあることは承知しているが、都道府県レベルでの調査については、他県との比較が容易にできるよう、主要な調査項目等を統一して実施することが望ましいと考えており、他県の調査項目や調査結果について情報収集のうえ、その比較などを行っているところである。
県では、県内各地で子どもの貧困対策の出前講座を実施し、子ども食堂などを行う民間団体と一緒にその取り組み内容と実施方法の紹介等を行っており、こうした取り組みを通じて、地域に子ども食堂を開設する動きが徐々に広がってきている。
また、家賃補助については、母子家庭を含む生活困窮世帯を対象とした住居確保給付金の支給により、安定した住居の確保と就労自立に向けた支援を図っている。
母子家庭の就労形態は、臨時・パートが多く、就労収入は少ない傾向にあり、経済的に厳しい状況にあることから、今年度、第2子以降加算額を増額した児童扶養手当の支給や母子福祉資金の貸付等により、今後とも、母子家庭の経済的支援に取り組んでいく。
8、35人学級の拡充、教職員の長時間労働と部活動の改善について
・35人学級の拡充について
【高田議員】
次に、教育の諸課題について質問します。
新年度から35人学級を中学三年生まで拡大する方針を県教委が示しました。35人学級の実施で「不登校や問題行動が減らせた」「学級集団がまとまりやすくなった」「子どもに向き合う時間が増えた」など学校現場からも歓迎されており教育的効果は明らかです。小学校5〜6年生がまだ実施されません。一日も早い実現を求めるものですがどのような検討がされているのでしょうか。
【教育長】
少人数学級については、「トラブルの発生の未然防止につながる」等、生徒指導や学力向上等の面において効果が高く、これまで対象学年を拡大してきたが、来年度において、学習指導・生徒指導に加え、進路指導等の重要性が増す中学3年生に拡充することとした。
一方、少人数学級は、教員定数の明確な将来的な見通しの下で推進する必要があるということ、小学校においては、本県の単独事業として始めたすこやかサポート事業等によるチームティーチング等、複数の教師による少人数指導を実施している学校が多く、その効果を評価する声も多いことから、少人数学級の拡充については、中学校における拡大を優先した。
いずれ、35人学級の全学年での実施のためには、国における抜本的な定数改善計画が不可欠であるので、今後とも国に対し義務教育の機会均等と教育水準の向上を図るため、その実現を強く要望していくとともに、教員配置の全体的な工夫等をしていく中で、対応が可能かどうかを含め、市町村教委などとの協議等も行いながら研究してみたい。
・教員の多忙化、部活動休養日について
【高田議員】
県立高校の時間外勤務が月80時間を越える教職員は、28年度第一四半期で13.9%、職員数で526人にもなっています。勤務時間を学校現場で管理すると共に長時間労働の是正を求めてきましたが、実態は改善どころか過労死ラインを超える教員が人数率とも年々増加している実態にあります。その原因と今後の対応について伺います。
中学校や高校の部活動の過熱化が成長期の子どもを苦しめ教職員の多忙化を招いています。文科省は1月6日、部活動に休養日を設ける通知を出し、練習日や休養日を調査した上で部活動におけるガイドラインを作成する方針としています。しかし、1997年の文科省の指針がありながらなぜ実行されなかったのでしょうか。この総括がなければまた同じことが繰り返されるだけではないでしょうか。
1月に示された通知内容及び通知を受けた県教委の対応方針について示してください。部活動のあり方については県のスポーツ医・科学の力も駆り科学性、合理性を明らかにし、関係者への徹底を図るべきと考えますがいかがでしょうか。
【教育長】
県立学校において、月80時間を超える時間外勤務を行った教員の割合は、調査を開始した平成24年度以降、8%から10%前後の水準で推移しているが、教員の長時間勤務については、休日や放課後における部活動の指導や各種調査、会議などの事務的業務の増加などに加え、複雑、多様化する教育課題への対応等、教員に求められる役割が質・量ともに拡大していることなどが大きな要因となっている。
県教委においては、このような状況を踏まえ、これまで学校現場における事務の簡素化、時間外勤務記録簿の活用の推進のほか、学校徴収金を担当する非常勤職員の配置などを行ってきたところである。
これらに加え、昨年度からは、市町村教委や職員団体等で構成する協議の場における検討を経て、具体的な負担軽減策について順次実施してきているところであり、本年度においては、「部活動指導業務の見直し」を重点に検討し、部活動休養日の設定の徹底を図ることとしたところである。
今後においても、事務作業の見直しや研究指定校のあり方等の具体的な方策について順次検討を進め、教員の勤務負担の一層の軽減に努めていく。
部活動のあり方について。これまで適切な休養日の設定が徹底されなかった要因としては、休養日の基準は設けていたものの、いわば努力目標としての基準であったため、その取り組みに対する学校の理解や生徒等への意識の浸透に温度差があったことなどによるものと考えている。
部活動において、適切な休養を伴わない等、行き過ぎた活動が行われている場合には、生徒、教職員ともにさまざまな無理や弊害を生む可能性が高くなるので、県教委においては、部活動の休養日等について、「中学校では平日週1日および第2日曜日・第4日曜日を休養日とすること」「高校では週1日以上の休養日を設けること」と明確な基準を示し、あわせて生徒・保護者等への周知について、2月17日に市町村教委、県立学校および関係機関に通知したところである。
この内容については、今月開催した県立学校長会議、市町村教育長会議においても、徹底した取り組みを県教委から要請したところであり、今後ともその浸透に努めていく。
また、スポーツ医・科学を取り入れた運動部活動の推進については、議員ご案内の通り、生徒の健康の増進をはじめ、担当教員の指導力の向上や負担軽減に向け重要だと考えており、今後、指導者研修会等の実施により、効率的・効果的な指導の一層の充実を図っていく。
9、自民党の改憲論議、南スーダンの自衛隊派遣問題、共謀罪について
・南スーダンPKOへの自衛隊派兵問題について
【高田議員】
最後に、南スーダンの自衛隊派遣問題及び共謀罪について質問します。南スーダンPKOの活動状況を記録した日報の不都合な情報隠しが大問題になっています。開示され明らかになったのは、陸上自衛隊部隊宿泊地のすぐ近くで激しい戦闘が行われていたことが記述されており、明らかにPKO参加5原則に反する中身でもあります。しかも、国会で稲田防衛大臣は日報の「戦闘」という表現は法的な意味の戦闘行為でなく「憲法上9条の問題になる言葉を使うべきでない」という驚くべき居直り発言をしています。戦闘隠しを続け、PKO参加5原則にも反する活動になっており、南スーダンからの自衛隊の撤退を求めるべきではないでしょうか。
【達増知事】
昨年11月に駆け付け警護等の新たな任務が付与され、現在も現地での活動を継続しているところだが、安保関連法の合憲性の問題や現地の情勢に鑑み、南スーダンからの自衛隊の撤退を求める声があることは承知している。
PKO活動については、当事者間の停戦合意があること等のPKO参加5原則が満たされない状況となった場合はもちろんのこと、政府が昨年11月に公表した「新任務付与に関する基本的な考え方」によれば、PKO参加5原則が満たされている場合であっても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、自衛隊の部隊を撤収するとしており、活動実施が困難と判断した場合には、躊躇なく撤収されるものと理解している。
政府においては、南スーダンから撤退を求める国民の声に対して、十分な説明責任を果たすことと、必要であれば撤退を決断するということが求められていると考える。
・共謀罪について
【高田議員】
最後に安倍政権が国会に提出しようとしている「テロ等準備罪」いわゆる「共謀罪」についてお聞きします。「共謀罪」とは、実際に犯罪行為がなくとも共謀すなわち相談、計画しただけで処罰するものです。犯罪行為が実行されたときに処罰するとした刑法の大原則を転換するだけでなく、思想・信条及び良心の自由を保障した憲法19条にそむく違憲立法にほかなりません。現行法でもテロを未然に防ぐことは可能であり、テロ対策の名で国民の思想や内心まで取り締まろうということは、物言えぬ監視社会を作るものではないでしょうか。現代版治安維持法というべきものですが知事の見解を求め私の質問を終わります。
【達増知事】
報道等によれば、政府は国際組織犯罪防止条約の締結に向け、組織犯罪集団が関与する重大犯罪について処罰しようとする、テロ等組織犯罪準備罪について、国会に提案する予定と聞いています。
テロ等組織犯罪準備罪の詳細については、公表されていないが、一般人も対象になるのではないか、内心の処罰につながるのではないか、対象となる犯罪が広範にすぎるのではないかなどの意見もあり、今後、検討の過程において、国民にわかりやすい形で十分な議論が尽くされるべきと考えている。
≪再質問≫
・復興基金の残高について
【高田議員】
29年度末残高が41億円にたいし、新年度はそれを超える49億円なので、実態としてはあと1年程度の基金残高だと。この基金は、被災者の方に寄り添う施策―医療費免除や住宅再建への支援、中小業者への支援などに活用されてきた。これは30年度以降も必要な事業なので、財源確保にどのような対応をしていくか。
【復興局長】
基金は県単事業を中心に有効に活用させていただいているが、これまでの使い方ということで、毎年度基金の使途については予算編成過程の中で検討していくが、額としては少なくなっていくという中で、県としても基金に限らず国の財源措置が大事だということであり、予算要望の中でも復興財源にかかる確実な予算措置、特にも、自由度の高い交付金をお願いしたいということで要望している。その結果、28年度については、被災者支援災害特別交付金や復興にかかる観光の関係の交付金だとか、そうした交付金が予算措置された。
今後においても、そうした自由度の高い交付金を含め、財源措置を引き続き国に要望していきたい。
・災害公営住宅でのコミュニティについて
【高田議員】
陸前高田市の下和野災害公営住宅の「市民交流プラザ」の取り組みを紹介したが、一定規模の災害公営住宅にはこうした取り組みを広げるべきだと。コミュニティ形成支援事業や、民間団体に対する補助金でコミュニティ支援を行うという答弁が昨日あったが、中身を見ると、一定程度の災害公営住宅に人を配置するところまで踏み込んだ中身になっていない。なぜこういうところに対応できなかったのか。私たちは繰り返し人の配置を求めてきたが、そのような対応にならないのはなぜか。
【保健福祉部長】
生活支援相談員については、県社協およびそれぞれの市町村社協において、地域の実情を踏まえて適正な配置に努めているところであり、災害公営住宅に入居した被災者も対象に、広く見守りや相談支援を行っている。配置先については、生活支援相談員のほか、市町村が配置している支援員等も含め、適正なところに配置するよう県としては要請している。
・被災地U・Iターン者の住宅確保について
【高田議員】
先日、大槌町長さんとお会いしたときに、U・Iターン者が仮設住宅に150戸入居していると。しかし集約された後の住まいの確保が課題だと話された。いま民間賃貸住宅は1LDKで7〜9万円もするという話もされ、若者の住宅確保は切実だと。これは大槌だけではないと思う。こういう仮設住宅で目的外使用という形で住んでいる方々の実態はどうなっているか。
釜石市では、雇用促進住宅を市が買い取り、市の定住促進住宅として整備しているということだった。新婚家庭やU・Iターン者に提供すると。月35000円だが、新婚家庭やU・Iターン者には3年間10000円補助すると。80戸の定住促進住宅は満杯だと。知事はこの間、人口減少対策が重要で、復興の先を見据えた地域振興が重要と話されていたが、こういう若者への住宅政策は非常に大事だと思うが、県としての考えをお聞きしたい。
【復興局長】
仮設住宅の目的外使用については、国と協議し平成26年4月1日から認めている。今年1月31日現在で市町村で目的外使用許可した件数は303件で、うち、U・Iターン者―いわゆる地元に戻りたいが実家が被災し住むところがない者・被災地で就職し定住を希望する者、それぞれUターン48件、Iターン174件の222件となっている。
【県土整備部長】
定住促進に向けた取り組みだが、まず各市町村でどのような取り組みをしているか実態把握を行ったうえで、県としてどのような対応がとれるか検討していきたい。
県では、空き家対策の有効活用にも取り組んでいることから、そうしたことも含め検討していきたい。
・台風10号災害被災者の医療費等の免除延長について
【高田議員】
これはそれぞれの自治体で独自に支援が行われているが、実態は、宮古は8月末まで、久慈・岩泉は3月末までとなっている。これは住まいの再建はまさにこれからなので、支援の期間が短すぎるのではないか、さらに延長する必要があるのではないか。
【保健福祉部長】
それぞれの該当市町村において対応しているところであり、延長についても、市町村が判断するものと承知している。
なお、減免等を行った場合、一定の要件を満たした場合は、国保にかかる県の特別調整交付金等で支援を行っている。
・岩泉町への職員派遣について
【高田議員】
岩泉町では、3年間の復旧ロードマップを作成しているが、非常に人材が不足し、業者も不足していると。応援職員の要請、県も頑張っていると思うが、なかなか確保できないと。20人の予定にたいし4人しか確保できていないということだった。繰越や事故繰越はできるが、再建というのは一定程度短期間でやらなければどんどん人口減少していくことが東日本大震災津波でも経験している。こういうときに、やはり任期付き職員なども採用して対応にあたることが必要ではないか。
【政策地域部長】
岩泉町への人的支援について。今年度は、短期支援を中心に2月1日まで1631名の派遣を行っている。29年度の必要数については、岩泉町から18名必要という話をいただいており、これは長期派遣の要請で、一般事務3人、土木13人などとなっており、これについては、岩泉町で職員の追加募集ということで取り組みを行っている。県としては、12月に開催した被災市町村人材確保連絡会議において、県内市町村に派遣要請をしている。その後1月中旬から2月上旬にかけて、東北各県および関東近郊都県の都庁・県庁・市長会・町村会・市役所等を訪問し、被害状況を説明し、応援職員の要請を行っている。
期限付き臨時職員については、県からということは現時点では考えていない。
・岩泉町の災害廃棄物処理問題について
【高田議員】
岩泉町の災害廃棄物処理量は75000トン・36億7000万円と聞いてきた。東日本大震災津波では全額国費だったが、岩泉町の負担は1億5800万円になるとお聞きした。さらに、査定前の処理費用は認めないと、証拠がないと認められないということだった。さらに数億円の負担が生じるのではないかと話された。岩泉町は公共土木災害でも39億円の負担があり、東日本大震災津波の10倍の被害を受けた自治体に、わずかな率でも町からすれば大変な負担増だと思うので、こういう点での支援も必要だと思うがいかがか。
【環境生活部長】
県では、岩泉町をはじめとした災害廃棄物処理事業に対する支援について、国に対し、現行制度において対象外とされている経費についても、東日本大震災津波と同様の補助対象とするよう要望している。岩泉町については、災害廃棄物処理事業の事業費を最大限見込んでおり、査定時においては58億円と査定を受けている。廃棄物量は12万トンと推計されており、これは発災時において、浸水が1階の天井まできたということは全壊扱いということで407棟あるということを根拠に算定されたものである。その後査定時において、この407棟のうち、修理し住んでおられる方がおり、実際に全壊として廃棄物になるのは201棟となったことから、解体不要の家屋を除き、全体で約75000トンと減少したことから、査定額が約37億円という見込みになった。
この結果、補助対象となる災害廃棄物処理にかかる岩泉町の負担は、激甚災害の指定を受けていることから、査定結果の約37億円に対して、国庫等の措置を除く4.3%・約1.6億円となる見込みとなっている。
県としては、国に対して継続的な要望をするとともに、あわせて効率的な災害廃棄物処理を進めることにより、処理経費が少しでも節減されるよう、できる限り市町村の負担が減るように必要な助言をしていきたい。
≪再々質問≫
・U・Iターン者の住宅確保について
【高田議員】
具体的な数が出されたが、釜石の経験にも学び、せっかくU・Iターン、被災地を応援したいという思いできた方々に具体的な住居の支援をお願いしたい。
・岩泉町の災害廃棄物処理について
【高田議員】
37億円のうち1.6億円の負担と。しかし現地で聞くと、それ以上に補助金の対象にならない、査定前に処理した物は証拠がないとだめだと、それが億単位であると。そうした実態を踏まえて県も支援していただきたい。
・子どもの貧困対策について
【高田議員】
実態調査を行うべきだと述べたが、いわば政府の貧困率の調査は、3年ごとに行う国民生活基礎調査に基づいて行われる。全国調査で5万世帯のサンプルである。山形大学の准教授の調査では、都道府県で格差があり、5.5〜37%あると。この実態に迫って、国はそれぞれの都道府県での具体的な調査、子どもや親の現状、貧困の背景に何があるのか。それを可視化してやることが大事だと指摘されている。
部長の答弁では、さまざまなことに取り組んでいるので―という話で、実態調査はやらないのかと受け止めたが、その点はいかがか。
具体的な支援についてだが、県内の母子家庭の月収は66%が15万円以下だと述べた。実にこの方々の92%は就労している。まじめに働いていても貧困状態で、ダブルワークで子どもに接する時間がない、この解決が非常に大事だと思う。母子家庭の37%が非正規になっている。具体的な就労支援を行って、子どもと接する時間を確保するとか、児童扶養手当や貸付でもこういう実態なので、家賃補助は大事な支援策だと思う。いま民間アパートに住んでいるひとり親家庭は30%、この支援は待ったなしの課題ではないか。
【保健福祉部長】
他県ですでに実施された調査項目等を確認したところ、調査項目・手法はさまざまだった。実態調査で他県との比較をする場合には、主要な調査項目が統一されなければならないので、現段階ではどういった形で進めるかということについては、県独自での設計は難しいと思っている。全国知事会においては、国が都道府県別の子どもの貧困率を統一的な基準で調査し、その結果等を自治体に提供するよう要請しており、この要請を受けた国の動向等も中止していきたい。
母子世帯への支援だが、県ではこれまで、教育訓練講座の受講費用の助成や、自立支援プログラムを作成して、ハローワークと連携しての就労支援の実施などを行っており、今後もこうした取り組みを進めたい。家賃補助については、生活困窮者自立支援制度の中の住居確保給付金という制度があり、その活用等を行っている。
・磐井病院の分娩数の実態について
【高田議員】
実態を聞いて大変驚いた。医療局から資料をいただいたが、4〜12月で分娩数は494件、これは中央病院よりも多い。中央病院は産婦人科医が6人、磐井病院は3人である。とても過酷な状況が続いて、このままではもたないのではないか。千厩病院は医師を増やすということだったが、この現状についてどう把握されているか。
【医療局長】
1ヶ月あたりの分娩件数の平均が54.9件であり、27年度に比べ1.8件増加している。産婦人科医が不足しているのはどこの病院もその通りだが、医療局としては、4つの周産期医療圏それぞれあるが、そこの圏域内の連携、いま医師不足であるのはその通りなので、現状でできるのはICTを活用した画像診断だとか、そうした連携により磐井病院の医師の負担の軽減を図りながら、周産期医療にしっかり取り組んでいきたい。
≪再々々質問≫
・磐井病院の分娩数の実態について
【高田議員】
県内の県立病院の分娩数の実態からしても、件数も一番、分娩数も一番になっている。かなり全体の状況から見ても、医師が少ないのではないかという思いで質問したので、実態を踏まえて対応していただきたい。
・子どもの貧困対策について
【高田議員】
子どもの貧困対策の推進体制についてだが、子どもの貧困対策というのは就労とか教育とか経済支援、子育てなどさまざまあると思うが、岩手の推進体制を見ると、「庁内関係部局との連携・協力」となっている。「子どもの貧困対策課」など特化した担当課や組織を作って、総合的に共通認識のもとで対策をとっていくべきではないか。
【保健福祉部長】
昨年3月に子どもの貧困対策計画を策定したが、策定にあたっては、商工・教育等関係部局で組織をつくり会議を開き、そこで策定に取り組んできた。
今後については、議員のご提案のあったことも含めていろいろ検討していくことかと思っている。