2017年3月2日 商工文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・傷害容疑で逮捕された福岡高校講師の事件について
【斉藤議員】
2月1日に福岡高校で傷害容疑で講師が逮捕された事件、最終的には不起訴になったということだが、新聞報道を見ると、県教委が任意調査の限界として、保護者に警察へ被害届を出すよう勧めたと。ちょっと聞いたことのないような例である。釈放されて事情聴取もしたと思うので、この傷害の事実はどうだったのか。
【教職員課総括課長】
当該教員については、先日釈放されたということで、現在、聞き取りを進めているということであり、その結果については現時点では差し控えさせていただきたい。
【斉藤議員】
新聞報道では、ケガは過失によるものという判断だったが、本人は体罰というか、自らやったということは否定していた。しかし、警察の捜査に、逮捕容疑については認めたということではないのか。
【教職員課総括課長】
基本的な容疑事実、剣道の胴を掴んで投げつけたという基本的な中身については認めているということだが、それ以上の詳細については、現在聞き取り調査をしたうえで判断したいと考えている。
【斉藤議員】
これはきわめて重大で、学校の調査、県教委の調査には「故意ではない」と。しかし警察の捜査には、逮捕容疑を認めた。道具を投げつけてケガを負わせたと。これは当初の言い分と全然違う。おそらく県教委もそのあたりの判断ができなかったから、警察に訴えてくださいということに至ったと思う。
やはり当該講師が、最初の調査で真実を明らかにしなかったと、このことはきわめて重大で、盛岡一高の事件も以前取り上げたが、教師が事実を伝えないということが問題を深刻にするということだと思う。そして、学校の調査が不十分だった。警察はきちんと裏付け捜査をした。学校はまともな調査をしていない。同じ部活の部員を調査すれば分かったはずである。見ていた人がいたのだから。県教委に相談があり県教委も調査したが、そこまでやらなかった。盛岡一高の事件とあまりにも似ていて、そういう学校の調査、県教委の調査が不十分だったためにこのようなことになったのではないか。
【教職員課総括課長】
ご指摘の通り、当初の講師の申し立てと、現時点での警察に対する記述が違っていたということについては事実としてその通りだということだが、ただ、それを講師本人が隠し立てという意図でそうしたことを言ったのか、あるいは興奮状態で―という申し立てもあり、そういうことで記憶がはっきりしなかったのか、それも含めて現時点で事情聴取をしているということである。
学校の調査について、周りの生徒に対する聞き取りはともかくとして、いずれ被害生徒自身にも聞き取りをしていなかったということであり、それについてはきわめて不十分だったと考えている。その後、県教委の聞き取りを行い、その時点では、被害生徒に対しても聞き取りを行ったということであり、今回の事案については、あくまで継続的な事案ということではなく単発の事案だったので、その時点では被害、加害、双方の当事者に聞いたうえで判断するということで、それで適当だろうといったような判断をさせていただいた。結果として、事実が十分確認できなかったということについては反省すべきと考えているが、その時点ではそうした判断をしたということである。
警察への相談の経緯、たしかにあったわけだが、それについては、当初の講師の供述が「胴がまったく想定外の方向に飛んでしまった」というものが、改めて県教委から聞き取りする段階で、「至近距離で胴を後ろから叩いて前に飛んだ」という供述の変遷もあり、そうしたことを踏まえ、当初は偶発的な傷害ととらえていたが、やはり県教委としても傷害罪ではないか、いわゆる刑法にも触れるといったようなこともあり得るのではないかということで、警察に相談したということである。
【斉藤議員】
学校や県教委が、部活の生徒を調べていれば分かったことである。言うことが違った場合に、周りをきちんと調査することは第一義的な問題である。当事者同士だけで決まらない問題があるのだから。県教委は盛岡一高の教訓を踏まえていない。大事なのは最初の調査である。そして、講師が最初から事実を言わない場合もあるということを踏まえてやらなければいけないと思う。そういう点で、今回もまた学校や県教委の対応は不十分だったと言わざるを得ない。
そして結果的に、この生徒は転校をせざるを得なかった。とても残念なことである。これだけ大きく報道され、学校のイメージも県教委のイメージも大きな打撃を受けたと思う。
こういう事件のときには、最初の事実の調査をしっかりやると。そして今回の場合、二転三転したということも問題なのだから、厳正に対応していただきたい。
・県立学校におけるセクハラ・パワハラ問題について
【斉藤議員】
今年度の県立学校におけるセクハラ・パワハラ事件はどのぐらいあるか。
【教職員課総括課長】
今年度については、セクハラ・パワハラといった事案については承知していない。
【斉藤議員】
そういう答弁ではいけない。実際に事案があるのだから。セクハラにより処分された事案があるではないか。
【教職員課総括課長】
懲戒処分を行った場合については、ただちに公表するのが原則であり、基本的にその通りやっているということではあるが、いわゆる一般論としてということで、わいせつ・セクハラといった事案について、そうした事実が流布することが被害者が二次的な被害を受けるということが強く想定される場合、なおかつ、被害者が公表することを強く望まないといった場合については公表しない場合があり得るということはある。
【斉藤議員】
公表しないことと、パワハラ・セクハラがあったかないかは別な問題である。特定の学校について言っているわけではない。あったものをないと言ったら間違いではないか。どういう処分をしたのか。その教訓をどう生かそうとしているか。
【教育長】
いま総括課長が答弁したのは、公表のあり方としての基本的な考え方を申し上げたわけであり、具体的な例として、そういう事例があり得るということについては、ご指摘の通り否定するものではない。
いずれ、さまざまなハラスメントが起きる可能性はあるので、それに対しては今後とも厳正に対応していきたい。
【斉藤議員】
結局、公表しないことと存在を否定することは違うと思う。そういう事件があったのに、覆い隠してしまうのは隠蔽である。教訓が全然伝わらない。被害者が特定されないような慎重な配慮は必要だが、重大な事案なので、こういうことを二度と起こさないという教訓を徹底しなければいけないと思うがいかがか。
【教育長】
さまざまな事案については、事例集だとかさまざまな研修の場、さまざま会議を通じながら、具体的な内容について今後とも徹底していきたい。
【斉藤議員】
私のところに「隠蔽されているのではないか」と告発があったから取り上げたので。隠蔽と見られたら、問題の解決に逆行するのである。被害者の人権を最大限尊重しながら、しかしきちんと隠蔽しないで解決するということをするべきである。あるものをないと言ったら虚偽の答弁になるので。
きわめて重大な事案なので、パワハラ・セクハラをなくす立場でしっかり対応していただきたい。
・部活動の休養日について
【斉藤議員】
これは画期的なことだが、県立学校では「週一日以上の休養日を設ける」、留意事項として「土曜日曜のいずれか一日以上を休養日とすることが望ましい」と。これは本当にしっかり徹底していただきたい。
中学校はどうなっているかというと、「平日週一日および第二日曜日、第四日曜日を休養日とする」と。少し表現が違う。これは中体連のさまざまな日程などを調整して、第二第四は休養日にするという具体的な指示である。県立高校と中学校でなぜ微妙なずれが出たのか。
これは関係者が理解・納得してやることがとても大事だと思う。こういう休養日をとるということが、健康面はもとより、科学的にも合理性があり、クラブ活動の強化にとっても前向きな取り組みだということを、いろんな形で明らかにしながらやっていく必要がある。プロ野球のエース級だと4日5日に1回投げる。スポーツ医科学的な合理性を理解していただきながら進めると。
一番の障害は「経験主義」である。自分はこのように教えられてきたから―と。子どもたちは「経験主義」しかない。子どもたちには、自分の学校での経験しかない。これは本当に狭いもので、一流のところでどういう取り組みがされているかということも紹介しながら進めることが必要だと思うがいかがか。
【教職員課総括課長】
ご指摘の通り、中学校に対する通知と高校への通知の内容が違っているのは、いわゆる各関係者も入った協議の場で話し合ったうえでこういった形にしたということであり、中学校と高校の部活動の違いというものも踏まえて、まずスタートとしてはこうした形でスタートさせていただこうということでやらせていただいた。
関係者に対する丁寧な理解ということについてはその通りと考えており、いずれ県教委から一方的に指導しても、やはりいろいろ保護者や指導者によって部活動に対する温度差があろうかと思うので、そういったことを含めて、いずれ休養日の必要性というものを丁寧に説明してほしいという旨を今回の通知でも明示して、具体的なやり方も示して通知を発出したということであり、いずれ実施状況についても把握しながら、指導・助言していきたい。
【スポーツ健康課総括課長】
部活動の効率的な指導については、今までもやっているが、次年度も中学校・高校の指導者に対して、医科学面の研修会等を実施しながら、部活動のあり方を考え、また医科学担当が当課にいるが、中学校・高校をまわり、医科学の普及をしているので、それも次年度継続して実施していきたい。
・高校再編について
【斉藤議員】
葛巻高校の今年度の志願者数を見ると、連携型の志願者で27名、推薦1名、試験志願者が23名となり、応募の段階で2クラス分を確保するということになっている。ところが葛巻高校は、高校再編計画では30年度から1学級減で2学級から1学級になる。本当に地域が一丸となって、山村留学の成果も挙げ、地域の周りからも葛巻高校に進学をという取り組みがある中で、1学級減というのは地域の取り組みを踏まえて見直すべきではないか。教育長の答弁は「適切に対応する」ということでよく分からなかったが、今2学級が維持されているなら、それを維持すべきではないか。
【高校改革課長】
教育長も本会議でお答えした通り、葛巻高校における定員の充足状況、ふるさと振興に向けた取り組みもやられているわけであり、近隣の学区外の市町からも志願する状況、連携型の中高一貫ということ、来年度の町内の中学校卒業者が45人という状況などがあり、そういったこと等もあわせて考慮のうえ、町や学校と十分意見交換しながら対応していきたい。
実際の30年度の学級編成となると、これまで同様8月上旬の閉会中の常任委員会でお示しして、10月中旬の教育委員会議で正式決定するという流れになるが、十分勘案したうえで適切に対応していきたい。
【斉藤議員】
「適切」というのはかなり前向きに受け止めてよろしいか。地域の努力に応えるというニュアンスで受け止めたが。
【教育長】
「適切に」ということであり、それ以上でもそれ以下でもございません。
【斉藤議員】
ぜひこういう地域の取り組み・努力にはしっかり応えるということも大事なので、よろしくお願いしたい。
・盛岡市が進める新野球場について
【斉藤議員】
盛岡市は基本構想を出したが、プロ野球の試合ができるような規模で県と一緒にやりたいと。これに県はどのように応えるのか。
【スポーツ健康課総括課長】
盛岡市と共同整備を検討しており、具体的には、市が来年度に実施する民間資金を活用した手法を導入する可能性調査の結果を踏まえて判断していくが、この民間可能性調査についても、県で予算をつけて共同で活用した手法導入をともにやっていく形になっている。
【斉藤議員】
いま補正の話があったが、先ほど説明のあった補正の中に調査費が入っていると。そういうことはきちんと説明していただきたい。
【スポーツ健康課総括課長】
国庫の方だが、民間資金等活用事業調査費補助というのがあり、それに市で手を挙げて採用になる見通しであり、それにより県は按分により12万円ほど計上している。国のほうが大きな額で1000万円ほどの補助を見込んでいるのでそういう形で進めている。
【斉藤議員】
今の県営野球場の現状、耐用年数はどうなっているか。
【スポーツ健康課総括課長】
委員の皆様もご存じだとは思うが、50年ほど経っている施設であるので、この新しい球場の構想と合わせて検討していきたい。県営施設のあり方検討を今やっているので、その中で検討していきたい。