2017年3月2日 商工文教委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)
・県内就職率向上の取り組みについて
【斉藤議員】
県が社会減を平成32年にゼロを目指すと、こことの関わりで、県内就職率、雇用確保の問題についてお聞きする。
県内の大学・短大・専修学校・高校の県内就職率、県内就職者数はどうなっているか。
【雇用対策課長】
岩手労働局が報告しているものによると、
大学が就職希望者28年3月卒1929人で内定者数1853人、うち県内内定者数が809人で43.7%、
短大が就職希望者28年3月卒で373人で内定者数366人、うち県内内定者数235人で64.2%、
専修大学が就職希望者28年3月卒1808人で内定者数1735人、うち県内内定者数1001人で57.7%、
高校が28年3月卒業者数4830人で求職者数3027人、県内求職者数1941人、全体の就職者数が3024人、県内就職者数1938人で64.1%
となっている。
【斉藤議員】
数字が示されたが、大学の場合は、平成24年が41.5%だったので、若干上がっていると。短大の場合は、24年は70%あったので落ちている。専修学校は、26年で62.3%だったのでこれも落ちている。高校の場合64.1%だが、平成19年の64.8%から落ちてやっと戻してきたと。この程度の県内就職率に甘んじていたら、平成32年に社会減ゼロにするという目標、昨年で3708人の社会減があったので、ここで積極的な目標を持たなかったら、社会減ゼロの保障はないのではないか。社会減ゼロにするという点で、県内就職率を上げる目標になっているのかどうか。
【商工労働観光部長】
この議論については、前回定例会のこの場でお話ししたが、そのときの通りの認識であり、もちろん、少しでも、一歩一歩県内就職率を上げていかなければならないと思っており、それに向けてさまざまな取り組みをやれる限りのことをやってきているので、今後についても引き続き強化するなど、頑張っていきたい。
【斉藤議員】
社会減ゼロを平成32年に目指すことは、岩手県の重大な戦略目標である。それをどのように実現するかという、そういう県内就職率を向上させる目標がないといったら、裏付けがないということになる。重大な問題だということで、12月の一般質問でも直接知事にも質し取り上げている。
実は、大学は55%に上げるという目標を掲げている。今43.7%なので10ポイント以上上げる積極的な目標である。高校の県内就職率の目標はたった66%で、こういうのは目標にならない。高校生が減っている中で微増の目標だったら、県内就職者数は結局減ることになる。
全国で高校の県内就職率がどうなっているかというと、愛知96%、石川93.9%、静岡92.9%、富山92.3%と。東北はどうなっているかというと、宮城80.9%、山形78.9%、福島76.1%である。岩手が目標としている66%というのは秋田県の水準(66.7%)で、東北の下位である。こういうのは目標にならない。せめて、山形並を目指して当然ではないか。10ポイント以上県内就職率を上げるという目標を持って取り組まなかったら、県内の雇用確保はできないし、社会減ゼロは達成できない。そういう目標を持つべきではないか。
【商工労働観光部長】
現状認識や問題意識については、まったく共有されていると思うし、ある目標に向けて努力していくことについて、その努力を精一杯、数値が高い低いに関わらず、今やれる限りのことを政策展開していくつもりであるしやっているつもりである。目標数値の高さよりも、事業の取り組みについてご了解いただければとは思う。
ちなみに、COC+についても、県立大学と岩手大学など県内大学と市町村も絡んで、県もそこに参画して、雇用創出もしながら、学生にも理解いただき、県内就職に向けてベクトルを進めていこうという取り組みであり、県のアクションプランの中に設定している数値でもあり、それらを総合的に取り組みながら、就職するところは社会減ゼロに向けたさまざまな取り組みを一生懸命やっていくということであるので、ご理解いただきたい。
【斉藤議員】
雇用対策を担当する部長としては姿勢が問われる。目標計画なくしてどう達成するのか。微増の低い目標でどうやって意義・意欲が出るのか。
大学の55%は積極的な目標だと思う。実は一番高い北陸で55%という実績である。そこまでいくという目標で、大学の県内就職率を高めるという点でいけば、大学任せにしないで、行政・県内中小企業一体となった取り組みをしなかったら前進しない。
同時に、短大や専修学校、専修学校は一番就職者数は多いがそれでも57%、これも7割を目指すとか、そうした取り組みをしなかったら必要性が出てこない。
県立高校の県内就職率一覧を調べたが、高いところもあれば低いところもある。例えば、盛岡工業43%、盛岡商業50%、黒沢尻工業は56%で工業高校としては高い方である。水沢工42%、一関工業47%などと、こういう低いところがある。工業高校なんかはある意味リーマンショックの時にお世話になったとか、比較的いい企業に先輩が就職しているといった実績・歴史があると思うが、それでも10ポイント程度はそこでも引き上げていくという発想がなければ、この率は変わらないと思う。
県内就職率の高いところを紹介すると、平舘は96%で地元に果たしている役割を感じる。花北青雲は69%、岩谷堂は81%、釜石商工74%、宮古工業72%など、同じ専門高校でもこれだけの違いがある。
就職支援員を配置していると思うが、この就職支援員の今の発想は、就職率を高める、早く100%にもっていくと、県内の就職率を高める発想はないと思う。そういう点でも積極的な目標を持つことが大事だと言っている。そういう意識性をもって取り組む必要があるのではないか。
【商工労働観光部長】
目標数値がいくつかということは別として、ご指摘の通り、就職支援員等一生懸命日々活躍していただいており、この目指すところは、1人でも多くの県内就職者に結びつけようと努力しているのは変わりない。また、各高校においてもご理解いただき、進路指導等においてさまざまな説明等を尽くしていただいており、今後、いわてで働こう協議会の動きとか、これまでいろいろご説明してきたが、県・市町村・各団体の取り組みが相まってさらに就職率・数が上がってくるということを期待して施策に取り組んでいく。
【斉藤議員】
社会減ゼロは県の重要な戦略目標で、これを達成するためにも、県内就職率を高めるのはもっとも重要な課題になっている。
大学は、43.7%を55%に高める目標をもっているわけで、だから高校もせめて10ポイント以上は上げるという目標を持って、県内県立高校の実態はお話ししたが、かなり凹凸がある。それぞれの学校にふさわしい目標を持って、そのために必要な対策を考えて取り組むようにしていただきたい。
いわてで働こう推進協議会の資料も見たが、残念ながら切実感・緊迫感が感じられなかった。県議会の特別委員会で福井・金沢に視察に行ってきたが、まさに先進地である。県内就職率全国トップクラス、大学もそうである。どういう取り組みをしているかというと、北陸三県で県内就職率を高める調査事業をやっている。一番積極的なところではこういう調査事業をやって、提言も出している。大変大事な中身で、「学生目線でリアリティのある情報提供」、「企業内での採用活動の体制強化」―インターンシップや見学会含めて、中小企業の採用活動の体制強化、本当に中小企業なんかでは社長が先頭になって、大学に行って企業説明をやっている。3つ目に「地元の大学と連携した出会いの充実強化」―学生のヒアリングでは、地元の中小企業に出会う機会がない。そういう機会をどのように行政も一緒になってつくるかということである。知らずに県外・首都圏に行ってしまう。4つ目に「地域としての環境整備―行政をはじめ地域が環境整備を行う必要がある」と。これはU・Iターンを含めてどう呼び戻すか。首都圏から呼び戻す、呼び戻す地元の環境整備ということで、大変充実した調査内容と提言が出ているので、そういう実態、現状を正確に把握して、積極的な対策を機敏にとっていただきたい。
【商工労働観光部長】
北陸における取り組みについては承知しており、重要な柱立4つほど紹介いただいたが、まったくその通り内容は私も承知している。
これはCOC+という取り組みで、全国の地方大学が中心となって取り組んでいるものであり、岩手版COC+に参画して取り組みを進めていることにしているので、そういった取り組みは当然参考にしながら取り組んでいることは当然念頭にある。
企業の採用力の強化については、本県でもこれまでも取り組んできており、情報発信の仕方とかいろいろやっているので、引き続き強化して対応していき、事業者の意識改革や具体的な対応・サポートについてもこれからも力を入れていく。それは働き方改革推進運動、それを所掌する協議会等が一体となり展開していくので、頑張っていくのでどうぞご了解願いたい。
【斉藤議員】
若者世代の減少が急激に進んでいる中なので、それに対応してそれを超えるような県内就職率の確保と人材の確保の対策をとらないと、社会減ゼロにならないと思うので、ぜひ積極的な目標をもって、目標達成にふさわしい施策を講じてやっていただきたい。
・雇用促進住宅の問題について
【斉藤議員】
雇用促進住宅の現状について、今どれだけの住宅があって、入居者はどうなっているか。これはいつまでに廃止される予定なのか。
【労働課長】
雇用促進住宅は、国が設置し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が管理運営しているものであり、平成19年の閣議決定により、平成33年度までに譲渡・廃止される方針が決まっている。この方針を踏まえ、市町村への譲渡等が進められるというところである。
今年1月末現在、県内の雇用促進住宅数51・4430戸、入居戸数1023戸で、国の方針により28年3月以降新規入居募集が停止されている。
【斉藤議員】
雇用促進住宅は、労働者対策でつくられ、意外と立地条件が良いところに多い。この雇用促進住宅を一方的に国の都合で廃止することは悪政であり愚策だと思う。平成33年度までに譲渡・廃止になっている。そのために新たな入居がない。
一方で、1023戸に入居している。例えば、盛岡市厨川の雇用促進住宅は入居率が62.5%、都南61.3%、一関市花泉西70%、釜石市野田85%、かなり入居されており、こういう方々が立ち退きを迫られている。重大な社会問題だと思う。ましてや沿岸は住宅不足なので、そうした中で平成33年度までになくすという、こういうやり方の撤回・見直しを1つは求めるべきではないか。
第一義的には市町村に譲渡となっているが、この間譲渡した実績はどうなっているか。
【労働課長】
平成33年度までの譲渡・廃止方針に沿い、国や機構から確認しているところでは、今入居している方々が住み続けられるように、市町村への譲渡または民間売却を進めると聞いている。
昨年度までに市町村への譲渡を交渉するということで進められてきたが、市町村への譲渡が昨年度までで進まなかったところは、民間への売却を今年度と来年度で進めると聞いている。
県としては、いずれ入居している方々が困らないようしっかり対応するように、退居についてもしっかり説明するとか不安のないように対応してほしいということを以前から申し入れている。
国としては、今住んでいる方々が住み続けられるように、条件を付けて民間への売却を進めると聞いている。例えば、民間売却にあたっては、条件として、現在の入居者が10年間は継続して入居できるとか、10年間は他社に転売しない等の条件を付けて、進めるという説明を受けている。
これまでの市町村への譲渡の状況だが、これまで10の住宅、712戸が譲渡されている。
【斉藤議員】
せめて沿岸被災地は住宅不足なので、平成33年度という期限を決めてやることへの特例措置を求めるべきではないか。平成33年度まで民間を含めて譲渡・売却がならなかった場合、一方的に入居者を追い出すことがあってはならない。この可能性があるわけなので、このこともしっかり国に求めていただきたい。
それで、買い取ったところで積極的な施策がされていることも触れておきたい。高田一郎県議の一般質問でも紹介したが、先日釜石の野田市長にお会いしてきた。釜石市では、昨年3月に譲渡を受けた平田の雇用促進住宅80戸を、定住促進住宅として、新婚家庭やU・Iターン者に提供している。家賃は月35000円だが、新婚やU・Iターン者には3年間10000万円割引、25000円で入居できる。若者の定住を促進するなら、市営住宅は低所得者対策なので、若者はあまり入れない。こういう活用の仕方があるのではないか。釜石市のような形で活用している例はあるか。
【労働課長】
釜石市のような取り組みということで調べたところ、一戸町で、旧雇用促進住宅を満18歳までの親族がいる子育て世代向けの子育て支援住宅として活用し、町外から入居する場合には3年間で家賃を1万円減額するという制度を設けている。花巻市、雫石町、大槌町においても、定住促進住宅ということで活用されている。
【斉藤議員】
宮古市も定住促進住宅という位置づけのようなので、定住促進住宅という形でどういった活用がされているか後で教えていただきたい。
雇用促進住宅1023戸に入居しており、比較的条件の良い場所で、まちづくりにも大事な役割を果たしていると思うので、一方的な廃止は絶対に許さず、条件のあるところは、そういう形で若者定住向けに自治体が活用する、若者の雇用確保で住宅確保は決定的である。そういうことも含めて取り組みを進めていただきたい。