2017年3月7日 予算特別委員会
議会事務局に対する質疑(大要)
・県議の公費を使った海外視察について
【斉藤委員】
2016年度の全国都道府県議会での海外視察の状況はどうなっているか。
実施されていない都道府県の理由は何か。
【議会事務局長】
3月6日時点で、実施が本県を含め31道県、実施していないのが16都府県となっている。
実施していない都府県の理由は、「制度の休止または廃止」が6府県、「議員からの希望なし」が6都県、「友好親善訪問のみ実施」が2県などとなっている。
【斉藤委員】
何度もここで述べてきたが、東日本大震災津波から丸6年を迎えようとしており、復興はまだ道半ばという状況で、昨年は8月30日に台風10号により水害では岩手県としては戦後最大の大被害を受けた。こういうときに、県議会が海外視察を公費で行うことは県民の理解が得られないと思う。
この間、岩手県は何年間休止してきたか。その理由は何か。
今年度残念ながら実施されたが、そのときの実績、参加人数、費用はどうだったか。
【総務課総括課長】
近年の海外行政視察は、直近では平成21年度に実施しており、その後22年度末には東日本大震災津波ということで、23年度から27年度までは復興ということで海外行政視察を休止していた。
本年度は、昨年5月3〜9日、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会開催にかかる取り組みおよび成果等に関する調査を実施しており、派遣議員は12名、派遣費用は旅費・現地通訳料など総額939万9000円余であり、一人当たり78万3000円余である。
【斉藤委員】
今まで復興を理由に休止をしていたのが、残念ながら今年度から再開されたのは私としては大変残念なことだった。
この間、政務活動費を活用して、セルン等に視察してきた議員もいると思うが、どういう実績になっているか。
【議会事務局長】
26年度に3名の議員が行っており、8月19〜23日、3名総額で153万3000円となっている。
25年度に9名の議員が同じくセルンに行っており、5月8〜13日、総額366万円となっている。
【斉藤委員】
来年度も、議会費の中に海外視察費が盛り込まれていると思うが、どういう形で盛り込まれているか。
来年度の海外視察の予定もあるのか。
【議会事務局長】
昨年10月26日の議会運営委員会において、平成28年と同様に、喫緊の県政課題に資する視察調査テーマとして実施することとされたことから、29年度当初予算案に、1人当たり90万円、12人分として1080万円を計上している。
来年度の海外行政視察について、全議員を対象に希望調査を行っているが、「29年6月定例会後に実施したい」という希望届が1件提出されている。
【斉藤委員】
その行き先はどこか。
【議会事務局長】
具体的な計画はこれからとされているが、視察先はスイス・フランス等欧州地域と届け出されている。
【斉藤委員】
先ほど政務活動費を使ってスイスのセルンなどで調査してきた議員もいると紹介し、26年度は3名、25年度は9名。1人当たりの政務活動費は40〜50万円である。政務活動費を使って行けるのに、なぜ別枠の県民の税金を使って、上限90万円という形で海外視察をしなければいけないのか。
今までの実績から見たら、公費を使わなくても政務活動費で十分対応できるのではないか。
事務局長に聞いても仕方ないので、指摘ということで。あとは県民がどう評価するかである。やはり東日本大震災津波からの復興が道半ば、台風10号という戦後最大の水害を受けた中で、自粛するのが当然だと。
全国で16都府県が行っていないのだから。ましてや被災県が行くということは全国の状況から見ても理解が得られない。
・政務活動費の領収書のホームページでの公開について
【斉藤委員】
前の議会でも取り上げ、今代表者会議等で議論されていると聞いているが、予算的なことをお聞きするが、電磁的な記録としてホームページで公開する費用というのは、来年度予算で十分実施できるものと考えるがどうか。
また、全国的な実施状況、前の議会で8県で実施もしくは実施予定と聞いていたが、その後変化はあるか。
【議会事務局長】
政務活動費の領収書等をホームページで公開するためには、PDF等のデータファイルを作成する必要がある。データファイル作成にあたっては、議員より提出された全ての書類についてスキャンし、大量のデータファイルを作成する作業が生じることから、職員の超過勤務手当等の費用が生じるものと見込まれている。
領収書公開の全国的な実施状況は、全国都道府県議会議長会の調査では、11月1日現在で、大阪府など4府県が議会のホームページで公開しており、平成29年度から富山県・奈良県・大分県、平成30年度からは宮城県・鳥取県が公開予定となっている。電子媒体により提供を行っているのは、群馬県・愛知県など9府県となっている。
県内市町村では、一関市が領収書のホームページ公開を行っており、今後盛岡市も公開予定と聞いている。電子的媒体による提供については、提供を行っている市町村は今のところはないと聞いている。
【斉藤委員】
政務活動費の領収書は紙ベースでは公開されている。公開請求すると膨大な枚数になり、ホームページで公開されればそもそも公開請求がなくなる。
すでに4府県で公開し、今後5県が公開予定と。県内でも一関市で実施し盛岡市もそういう方向だと。以前は、岩手県が全国に先駆けて領収書の添付など議会改革に取り組んできた。
超過勤務は増えるかもしれないが、今の予算の枠内ですぐできる。すぐできるような議会改革は早急にすべきである。
・受動喫煙防止対策について
【斉藤委員】
ラグビーワールドカップ2019、東京オリンピック、これらは基本的には全面禁煙が原則である。厚労省は、不十分ながら受動喫煙防止対策の案を示しているが、国際的にも国内的にもきわめて不十分だと指摘されているものである。不十分な中でも、官庁関係は「建物内禁煙」となっている。岩手県は2019年にラグビーワールドカップ、2020年は東京オリンピックでさまざまなキャンプなどを誘致しようとしている。不十分な厚労省の方針でも「建物内禁煙」となっているので、オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップではどういう受動喫煙防止対策がとられたか。厚労省の受動喫煙防止対策はどう提起されているか。
【議会事務局長】
世界保健機関WHOと国際オリンピック委員会IOCは、タバコのないオリンピックを共同で推進することとしており、近年の競技大会開催地においては、例えばロンドンでは「建物内禁煙」、リオデジャネイロでは「敷地内禁煙」とするなど、公共施設や職場について罰則を伴う受動喫煙防止対策を行ってきている。こうしたことを踏まえ、国においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、その前年に開催されるラグビーワールドカップに向け、さらなる健康増進のために早急に受動喫煙防止対策の強化を図り、その実効性を高める必要があることから、今般の国会において、健康増進法改正案を提案する予定としているものと承知している。
3月1日に厚労省が公表した受動喫煙防止対策強化についての基本的な考え方の案の概要だが、喫煙禁止場所の範囲について、主として特に健康上の配慮を要する者が利用する施設、医療施設・小中高校等は敷地内禁煙、大学・老人福祉施設・体育館・官公庁施設・バス・タクシー等は屋内・車内禁煙、喫煙専用室設置をした集会所・飲食店・事務所・鉄道等は屋内・車内禁煙としつつ、喫煙専用室を設置可とされている。また、施設の管理者に対し、建物内禁煙、喫煙室の設置等の掲示を義務づけるとともに、実効性の担保措置として、施設の管理者や喫煙者本人に対し罰則を適用することとされている。
【斉藤委員】
ロンドンオリンピックでは建物内禁煙、リオデジャネイロでは敷地内禁煙だった。これはWHOとIOCがこういう形で進め、ラグビーワールドカップも同様だと思う。国際的な常識である。
岩手県がラグビーワールドカップを2019年に、2020年にはオリンピックでさまざまなキャンプなどを誘致しようとしている。岩手県は率先して、厚労省の案は最低限のものなので、これを待たずに建物内禁煙を実施すべきではないか。この議論を皆さんに呼びかけたい。