2017年3月7日 予算特別委員会
千田美津子県議の総括質疑(大要)
1.子ども・子育て支援制度と保育所の待機児童の解消について
(千田委員)
日本共産党の千田美津子です。私は会派を代表しまして、大きく分けて三項目についてお聞きしますのでよろしくお願いいたします。
まず初めに、子ども・子育て支援制度と保育所の待機児童の解消についてお聞きします。
昨日も議論がありましたが、今、誰も安心して子どもを産み育てられる社会の実現は喫緊の課題でありますが、子どもの総数が減少しているにも関わらず、保育を必要とする子どもの数は増加し、全国各地で待機児童問題が深刻となっています。
そこで、県内の待機児童の現状ですが、平成28年4月1日現在194人、10月1日現在で710人ですが、これにはいわゆる隠れ待機児は含まれておりませんので、これらを含めますと昨年の4月1日では677人、10月1日ではなんと1,360人の待機児が発生しております。
これは大変な数だと思いますが、知事はこの待機児の実態についてどうお考えですが。また、この現状をどう改善されようとしているのかお聞きします。
(達増知事)
待機児童の実態についてでありますが、近年、女性の就業が進んでいること、また子ども・子育て支援新制度が施行されたことなどによって、保育ニーズが高まっていることがあると思います。それに伴って待機児童が発生していると認識しています。
待機児童の解消のため、市町村においては平成27年度から平成31年度までの5年間の保育ニーズや地域の実情を踏まえて、子ども・子育て会議の意見も聞きながら、市町村子ども・子育て支援事業計画を策定して認可保育所等の整備や、小規模保育所の設置の取り組みなどを進めているわけですが、県においては市町村等が実施する施設整備に対して財政支援等を行い、また、保育士確保の支援にも努めているところであります。
さらに、効果的な事業実施に向けて、必要な助言等を行っておりまして、やはり県によるこうした取り組みも必要と感じております。
待機児童の解消に向けて、保育の実施主体であります市町村を県としても支援していかなければならない、そういう実態にあると思います。
(千田委員)
ただいま、県としても必要な助言等やっていく必要があるということですが、私はもうこの実態は支援する程度ではおさまらない状況だと思います。
先日の新聞報道によれば、今年の4月からの入所について、東京や政令市では39,000人の待機児が発生すると。盛岡では受け入れ可能総数1,264人に対して、希望者は1,607人、その倍率は1.27倍と報道がありました。
私はこれは全国的な問題でありますけども、県内の市町村にとっても大変重大な問題だと思います。ですから、これらに見合う、もっと前向きな姿勢が必要だと思いますけれども、もう一度伺います。
(達増知事)
保育士就学資金貸付について早急に制度設計を進めることについては、本日の委員会の冒頭でも改めてご説明申し上げたところであります。また、昨日、この待機児童ゼロ、いつまでにすべきかという質問に対し、いつまでにゼロという問題ではなく、今、ゼロでないということはやはり問題なのだ、そういう基本的な考え方に基づいて対応してまいりたいと思います。
(千田委員)
保育士不足についてお聞きしたいと思います。先日の一般質問においても、県内保育所等のアンケート調査をされたようであり、県内の保育士不足は130施設で213人だと示されました。
この現状について、今、保育士の就学資金の話もありましたが、どのように対応されるお考えかお聞きします。
(達増知事)
保育士不足の現状については、子ども・子育て支援新制度の量的拡充と、質の向上の取り組みの進展に伴って、保育士のニーズも高まっているという風に認識しております。
県においては、岩手県保育士・保育所支援センターによる、潜在保育士の掘り起こしやマッチング支援、保育士や保育所に対する相談支援等行っておりますが、さらに、潜在保育士の再就職支援研修や、新任保育士の就業継続支援研修を実施しております。
また、これらに加えて、保育士等の賃金改善に係る処遇改善加算措置について周知するということをやってまいりたいと思いまし、就職準備金の貸し付けによる、潜在保育士の再就職支援等も実施しております。さらに、保育士就学資金貸し付けについて早急に制度設計を進めるなど、今後とも保育士の確保に向けて取り組みを進めてまいりたいと思います。
(千田委員)
今、新制度において量的、質的な向上を図るなかで、様々な保育士確保の手立ても講じられているということが話されました。処遇改善についても、周知をしているということでありますけれども、しかし、民間保育所において、保育士の確保が難しい理由として、この間、県がアンケートをとられた中に、求められる賃金水準を満たせないんだ、という問題があったと思います。そのため、私は待機児を無くすためには、緊急避難的措置として、公立保育所がその役割を果たすべき時だと思います。知事の見解を伺います。
(達増知事)
岩手で働くという、このふるさと振興、あるいは、「岩手で働こう推進県民運動」の観点からも、保育士の賃金水準というのは重要なことだと考えております。
一方、待機児童を解消するためには、それぞれの実情や、利用者の希望に応じて幅広い選択肢の中で、対応していくことが重要でございまして、保育サービスの提供にあたっては、保育の実施主体である市町村において、受け入れ先が公立か、私立にかかわらず、適切なサービスが提供されるよう調整を行う必要があると考えておりまして、県としては待機児童の解消に向けた、こうした市町村の取り組みを支援するという考えであります。
(千田委員)
知事から、市町村がやっている調整等を支援していくのだと示されましたが、今、市町村でやっている枠が足りないということですね。それを抜本的に進めなければならない。県があと押しするだけでは解消できない、という状況にあるということが私は一番大きな問題だと思います。それについてもう一度伺います。
(達増知事)
待機児童問題は、全国的にも関心が高まっていることであり、待ったなしの問題だと思っております。一方で、待機児童問題の解消については、それぞれの地域の実情や、利用者の希望に応じて、幅広い選択肢の中で対応していくことが重要でもございまして、岩手県内も市町村においては、待機児童ゼロの市町村もあるところでございまして、こうした中で、今、待機児童がゼロでない市町村もあるわけでございますけれども、県も何もしないことではなく、市町村の努力というものを尊重しながら、県としても支援をしてまいりたいと考えております。
(千田委員)
利用者が希望に応じた選択ができることが大事なんですが、それ以上お答えがないのでやめますが、是非、現状をしっかり見てですね、もっと抜本的な対応をお願いしたいと思います。
そこで、今、新制度を口実に公立施設の統廃合と民営化、大規模化、そして認定子ども園化などが県内で進められようとしてます。保育士の資格取得を目指す、若い皆さんにとって現状はまさに逆行しているのではないかなと思います。
待機児童がいるのに、公立施設を廃止するとか、統廃合によって大規模化で施設数を減らすという、私はこの方向は大いに問題があると考えておりますけれども、知事の見解をお聞きします。
(達増知事)
委員ご指摘のとおり、公立施設のいわゆる統廃合、民営化、あるいは大規模化、認定子ども園化ということに対しましては、様々な懸念も不安も、そういう声があるということについてはそのとおりというふうに思いますが、そういったことにつきましては、その設置主体である市町村において、それぞれの計画に沿って実施しているものと承知しております。
県におきましては、市町村に対して、この設置主体にかかわらず公立であれ、私立であれ必要なサービスが確保されるよう、県もこの問題に一緒に取り組んでまいりたいと考えております。
(千田委員)
実は、花巻市でも公立保育所3カ所を民営化することが決まりました。第2次、第3次としてさらに進めるという方向です。奥州市でも、公立保育園を廃止するとか、公立幼稚園を廃止するとか、そういう方向も出されています。
そういう方向は、今、子育て中の若い皆さんにとっては、とても不安をあおるようなことになっておりますので、是非、子どもたちを安心して、安全に預けられる、そういう親が選択できるような、保育園、子ども施設を充実させていく、という点で前向きに取り組んでいただきたいと思いますし、県内の公立保育園の利用定員が28年で9400人だったのですが、新年度は9215人と定数が減っているんですよ。
待機児童が下りながら、定数が減っているということは非常に問題だと思います。この点お聞きします。
(達増知事)
公立保育所の設置主体については市町村であるわけですが、子育てで課題に直面している皆様は県民でもございまして、県としても待機児童につきましては、きちんと対応していかなければならないと思っております。
質問のなかで触れていただいたいくつかの市において、市当局においては、市民、住民の皆さんの理解が得られるような説明責任を果たすことや、あるいは住民、市民の皆さんの声に耳を傾けるでありますとか、そういったことをしていただきたいと思うところでございまして、そういったなかで市町村として待機児童問題、いわば手に余るような状態ということはあってはならないことでありますけれども、そうならないようにするため県としても市町村と連携しながら待機児童問題に対応してまいりたいと考えます。
(千田委員)
育休退園の現状についてお聞きします。
保護者が育休に入りますと上の子が退園させられる、という問題です。この問題が起きてから、育休退園をやめる市町村も出ているようですが、県内の育休退園の現状はどうなっておりますか、お聞きします。
(千葉副知事)
育児休業取得の時の保育所の継続利用の状況でございますが、26年9月に国から「育児休業取得時の継続利用に係る運用通知」が発出されておりまして、二つの要件、すなわち@次年度の小学校入学を控えるなど、子どもの発達上、環境の変化に留意する必要がある場合や、A保護者の健康状態や、その子供の発達上、環境変化が好ましくないと考える場合など、市町村が児童福祉の観点から必要と認めるときは、保育の必要性があるものとして継続利用して保育所等の利用が可能とされているところでございます。
このように国の制度では運用がなされていますが、現在、この当該通知を踏まえまして継続利用の要件を定め、その可否を個別に判断しておりますのが、県内15市町村となっております。他の県内18市町村におきましては、育児休業した場合には全て継続利用できるとしていると報告を受けております。
(千田委員)
育休対応をそれぞれの市町村で判断しているということでありますけれども、やはりこのことによって、子どもを3番目生みたいけれども悩んでいるとか、そういう声がかなりあってその制度改善が要望されておりますので、是非、県内ではできるだけ保護者の希望に沿った継続ができるように対応していただきたいと思いますし、最後の6番目通告しておりますが、いずれ非常に大変な状況だと思います。是非、知事を先頭に市町村まかせにではないですけど、しっかりとした手立てをとっていただきたいと思いますので最後に決意を聞いて、この点は終わります。
(達増知事)
保育の実施主体である市町村を県としては支援するということでありますけども、それぞれの地域の実情や、利用者の希望に応じ幅広い選択肢のなかで、保育施設の整備について対応していくなかで、市町村においてそれぞれ取り組みを進めてられておるわけですけれど、委員ご指摘のとおり、市町村によっては待機児童ゼロのところもあれば、かなりの数字になっているところもあり、また、それに対する対応の中で、必ずしも住民の皆さんに、特に子育て世代に方々の不安や不満の解消にいたっていないところもある、といったようなところ、県としてしっかり、そこを同じ現場で県民の皆さんの声を聴きながら、県としてもやらなければならないこと、しっかり対応してまいりたいと思います。
2.国保の広域化について
(千田委員)
次に国保の広域化についてお聞きします。
地域医療構想の2016年度中の策定と合わせて、国保の都道府県化は、国が進める都道府県単位の医療費抑制化のベースになるものであり、高すぎる保険料、滞納・差し押さえの深刻な実態などの解決はされないまま押し進められようとしています。
このような中、国のガイドラインに基づいて標準保険料率の試算が各地で進められています。北海道は11月、埼玉は12月に発表され、標準保険料率が1.7倍化と試算された自治体も出ております。
統一保険料を目指す広島は、激変緩和措置の検討を表明する。東京では特別区長が今年の4月から一人当たり年7,252円もの値上げ案をまとめているそうです。
そこで、試算が進められているところの実態はどうなっているかお聞きします。
(千葉副知事)
現在の各市町村の標準保険料率の試算の状況についてでございますけれでも、この制度改革後は都道府県が財政運営の主体となりまして、国保運営の健全な中心的役割を担うこととされており、市町村ごとに県が決定し徴収いたします。国民健康保険事業費納付金及び国庫負担金等の公費などを財源として国府の財政運営を行うことになっているところでございます。
国民健康保険事業費納付金の額につきましては、都道府県が医療費水準や所得水準を考慮し、市町村ごとに決定いたしますととともに、納付金を納めるために必要な標準保険料率を市町村ごとに示すこととされておりまして、市町村におきましてはこの標準保険料率を参考として、条例により保険料を決定することとなっております。
標準保険料率の算定にあたりましては、昨年4月に納付金及び標準保険料率の算定方法に係るガイドラインが国から示されまして、10月には国民健康保険事業費納付金等算定標準システムが配布されたところでありまして、現在、各都道府県におきまして、同システムを活用したシミュレーションを行いがら、算定方法の詳細について市町村等との協議を進めているところでございます。
(千田委員)
本当は、先ほど言いました、北海道とかどのくらいになっているか状況知りたかったんですが、もし分かればお知らせいただきたいと思います。
次に、広域化に伴う岩手県の準備状況、今、お話がありましたがどの程度進められているのか、また、いつ頃各市町村に対して保険料率が示される予定か、これについてお聞きします。
(千葉副知事)
広域化に伴います県の準備状況についてでございますが、国民健康保険の広域化等推進方針の推進にあたりまして、市町村等と意見調整を行うために、22年度に広域化等支援方針策定推進連携会議を設置しておりまして、27年度からこの連携会議を活用して、国民健康保険運営方針の策定や、国民健康保険事業費納付金や標準保険料率の算定など、制度の詳細について協議を行っているところでございます。
市町村ごとの標準保険料率につきましては、現在、国が示しているガイドラインに基づき、国民健康保険事業費納付金等算定標準システムを活用したシミュレーションを行いながら、各市町村の保険料負担が適正なものとなるよう、医療費水準を反映させる割合や、保険料でまかなうべき費用の範囲等、算定方法の詳細について市町村との協議を詰めているところでございます。
新制度の初年度となります平成30年度の納付金及び標準保険料率につきましては、30年1月に市町村に通知することとされていることから、本県におきましては、今議会に設置に関する条例を提案しております国民健康保険運営協議会におきまして、納付金及び標準保険料率の算定方法についてご審議いただくこととしております。
(千田委員)
30年1月に保険料率を通知するとありますが、そうしますと岩手県ではそれまで市町村に対してはきちんとした保険料率の提示はしないということですか。
(千葉副知事)
正式に通知する時期としては、そのような時期を考えておりますが、当然、事前に様々な水面下での協議とか、打合せとか様々なそういうことの協議を踏まえて、1月に通知するものとなると考えております。
(千田委員)
27年度から様々市町村と協議をしているということですが、各市町村は今年の2月あたりに、保険料率が提示されると思っていたら提示されなかったと。いつ県はするんだろうと話が出ておりました。
先ほど話しましたように、もうすでに保険料率を示しながら検討を進めているところもかなりあるわけですから、なぜここまで遅れるのか、私はそれが納得できないのですけども、もう一度お伺いいたします。
(千葉副知事)
まずもって、標準保険料率の話につきましては、極めて重大な案件だと私どもは考えております。非常に現在の制度とどの様に変わるのかということで、これについて各市町村の実態を踏まえて、先ほど激変緩和措置の話もございましたが、そういうことも含めて丁寧にやっていく必要があろうかと思っております。
現時点、シミュレーション(案)を公表している自治体があるということは委員のお尋ねあったところでありますが、いずれ保険料率の算定については、丁寧にやっていく必要があるものと考えておりまして、これについては市町村の意見交換をし、そこである意味合意というか、そういった形で進めることが重要だと考えておりますので、現在そういう姿勢で取り組んでいるということでございます。
(千田委員)
保険料率を示されることによって、いろんな意見が出てくることはそのとおりで、重大な案件だと思います。ですから、まぁ丁寧にやっていただく、それから市町村と意見交換を十分やるということは大事だと思います。
ただ、そのうえで市町村によってさまざま基金があるわけですが、その基金がどうなるのかというのが心配されているところです。これまで、一般会計から法定外繰り入れを行って国保税を軽減している市町村もあるわけですが、この様な施策について今後においても実施できるようにすべきと考えますが、その点お伺いいたします。
(千葉副知事)
市町村の国民健康保険財政調整基金の現状と、その取扱いについてでございますが、現在、全市町村において基金を設置しておりまして、27年度末の基金残高は総額で96億5,000万円余となっております。各市町村が設置しております基金につきましては、国からは平成30年度以降も存続し、国保財政基盤の安定化のために活用することとする、という考え方が示されているところでございますが、活用方法の詳細につきましては、現在、国において検討を行っている段階であると承知しております。
また、保険料負担を抑制するための一般会計からの法定外繰り入れにつきましては、27年5月の参議院厚生労働委員会におきまして、厚生労働省保険局長から、「市町村で判断いただくことであり、制度によって禁止することはできないが、できるだけ国民健康保険財政の健全な確保をお願いしたい。」という旨の答弁がなされているものと承知しております。
(千田委員)
基金については分かりました。活用方法も含めて市町村の一般会計からの繰り入れについては認めるべきだというふうに思います。そういった点も含めて市町村との十分な議論をしながら進めていただきたいと思います。
次に、国保税、当面は医療水準に基づいた市町村それぞれの国保税率になると思いますが、この広域化の考え方の中に統一していくという考え方もあるわけであります。医療水準に大きな差がある岩手県の場合、それらに応じた保険料水準にすべきと考えますが、その点、また、県内市町村の国保税は額に大きな差があります。その実態についてお聞きします。
(千葉副知事)
国保税の県内統一等についてでございますけれども、国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定方法ガイドラインにおきましては、制度改革保険料率は医療費水準に応じて市町村ごとに算定することを基本としつつ、地域の実情に応じて、県内一律の保険料とすることも方策としては示されているところでございます。
本県におきましては、一人当たり医療費が最大の大槌町と、最小の普代村とでは約1.6倍の差がございまして、ただちに保険料料率の統一化を行うことは、多くの地域におきまして被保険者の負担の急変を招くことなどが懸念されることなどを踏まえ、広域化等支援方針策定推進連携会議においても、市町村との協議の場でも議論しておりますが、多くの市町村からは否定的な意見がはいしゅつされているところでございます。
県内市町村の国保税の実態につきましては、27年の一人当たり調定額は平均で81,708円となっておりますが、一人当たり調定額が最大の奥州市は92,186円と、最小の九戸村64,788円では約1.4倍の差異が生じている状況であります。
(千田委員)
今、ご答弁いただきましたように、国保税一人当たりでは大変な差があります。奥州市も28年度から引き下げが行われております。これは27年度決算の数字で、いずれそういう開きがありますし、一世帯当たりでも一番高い洋野町の162,699円、低いのが釜石市の100,370円で1.5倍の開きがあるんですね。
ですからこれらの実態に応じた、まぁ市町村からもそういう意見があるということで、是非、それらのことを考慮しながらこれからも対応していただきたいなと思いますし、これからの市町村との協議にあたっての考え方をもう一度お伺いしたいと思います。。
(千葉副知事)
市町村との協議についてでございますが、繰り返しになりまして恐縮でございますが、22年度に設置いたしました広域化等支援方針策定推進連携会議等を活用いたしまして、27年4月から市町村との協議を行っておりますが、この連携会議の下に事務的な検討を行うためのワーキングループも設置し、この制度について詳細な設計が必要になりますことから、ワーキングループで具体的な検討を進めているところでございます。いずれこの連携会議では、国保事業における県内の統一的な運営方針として29年度中に策定することとされております。国民健康保険運営方針に加えまして、30年度以降の国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率のあり方について協議を行ってきたところであります。
今、委員からお話がありましたように、各市町村間の差異があるという状況が大きな課題であろうと思っています。これらの状況を踏まえながら、今後もこの連携会議を活用し、市町村との十分な協議を行いながら円滑な移行ができるよう進めてまいりたいと考えています。
3.建設業における社会保険未加入事業所への対応について
(千田委員)
是非、よろしくお願いいたします。
それでは最後に、建設業における社会保険未加入事業所への対応についてお聞きしたいと思います。
国土交通省は、社会保険の未加入対策を強化しておりまして、今年4月から、「適切な保険」に加入していない作業員は工事現場に入れないというガイドラインを出しています。
これらは、従業員の社会保障を進める上では必要な施策でありますけれども、しかし、問題は、本来加入義務のない「一人親方」や「従業員が4人以下の個人事業主」にまで、元請業者から過度な「指導」や「要請」が行われているのでございます。県内でも「一人親方でも社会保険に入っていなければ4月以降現場に入れない」「雇用保険に加入しなければ仕事を出せない」と言われまして、4人以下の個人事業主が従業員を社会保険に入れ、元請けから仕事をもらったのはいいのですが、個人事業主は雇用保険に加入できないために、事業主が現場に入れない、という事態も起きでいます。
そこでお聞きしますが、これらの現状についてどう把握されているでしょうか、お聞きします。また、なぜこのような誤った指導がなされたのか、その要因についてもお聞きし
ます。
(千葉副知事)
建設現場における現状についてでございますが、いわゆる一人親方や個人事業主が工事現場に入れないという、誤った指導が元請企業から出されているという委員の指摘の点につきましては、これまで県には直接相談はございませんが、一般社団法人岩手建設業協会には一人親方の現場入場について相談があり、入場可能であることを説明した事例があったと聞いております。
このような誤った指導がなされましたのは、元請企業等が社会保険等の加入義務について、正確にご理解いただいていないことに要因がるのではないかと考えておるところでございます。
(千田委員)
県には相談がなかったということでありますが、私のところにも数件きておりますし、今、全国各地で起きておりますので是非これを周知していただきたいなと思います。
それから最近ですね、「社会保険に加入しないと仕事が出せないので会社を設立してくれ」と若い方々が言われ、「若年の一人親方が法人化を迫られている」という事も起きております。法人化にはある程度の費用とその後の事務がついてきますので、それらを考慮しますと、青年業者を支援し、営業を守るという点からも看過できないというふうに思いますが、これらにどう対応するのか、それからまた、相談窓口の設置も必要と考えますがお聞きします。
(千葉副知事)
建設業における社会保険の未加入対策でございますが、あくまで加入義務のある企業に対して加入を促す、促進するものでございまして、決して法人化を義務付けようとするものではないことから、個人事業主が法人化を要請されるような事例があるのであれば、それはすみやかに是正されていくべきものと考えております。
国では、都道府県や業界団体に対しまして、昨年の12月5日付けで「社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにおける適切な保険について、正確に理解するよう」通知しているところであり、県といたしましても、関係団体と連携しながら、県におきましては、県が締結する契約に関する条例がありますが、受注者等の法令順守という規定もございますので、未加入対策の趣旨の正確な周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
また、建設業に関する様々な課題の相談窓口といたしましては、県土整備部に建設業総合支援本部を、各広域振興局土木部・土木センターには建設業総合相談センターを設置しておりまして、この様な相談窓口を活用していただくよう対応してまいりたいと考えております。