2017年3月10日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)


・県立山田病院、大槌病院の再建後の状況について

【斉藤委員】
 先月、県立大槌病院に県議団で行ってきたが、大変素晴らしい病院が再建されたと思う。山田病院も含めて、病院機能がどのように改善されているか。震災前と比べて、医師の体制も拡充されていると思うがどうか。
 高田病院は、建築工事に着手したということだが、病床数が「50ないし60」となっているが、数をはっきり示していただきたい。

【経営管理課総括課長】
 山田病院・大槌病院、いずれも1病棟、一般病床50床という規模を回復した。常勤医師数は、震災前と比べて、それぞれ各2名ずつ増加している。医師体制が充実したということで、入院、外来の機能に加え、訪問診療をはじめとした在宅医療の提供体制を拡充するなど、地域のニーズに応じた医療提供がより図られたと考えている。
 高田病院の再建の見通しについては、医師体制は、現在の仮設病院が7名の医師体制となっている。患者数は、1月末現在の1日当たりの数は、外来で177人、入院18人となっている。本設については、28年10月に建築工事に着手し順調に進んでおり、60床で開院に向けて準備を進めている。

【斉藤委員】
 県立病院は、まさに被災地のセーフティーネットであり復興のシンボルでもあると思う。本当に被災地の方々の切実な要望に応えた病院なので、しっかり運営されるようにお願いしたい。
 大槌で聞いたのだが、開業医の方々が当直に参加されている。そういう開業医との連携も素晴らしいものがある。

・医師確保について

【斉藤委員】
 県立病院の経営計画に基づく医師確保の状況はどうなっているか。30年度までの経営計画なので、この見通しはどうか。

【医師支援推進監】
 職員配置計画におけるこれまでの実績については、26年度からの3ヶ年で75名の増員計画数に対し、29年1月時点では逆に2名の減員が見込まれている。
 見通しについては、諸般いろいろな事情が絡んできており、なかなか現時点で見通すところが難しい状況である。

【斉藤委員】
 3年間で75名増やす計画が結果的に2名減員となったのは残念な、異常な事態と言ってもいい。本当にこの打開のために全力をあげてほしい。
 臨床研修医の確保、この間の推移はどうなっているか。来年度の確保はどうなっているか。
 奨学生医師の配置について、県立病院、基幹病院に、今2年間分の医師が配置されていると思うが、どういうキャリアを積んで地域病院に配置されるのか。地域病院に配置されることが前提だと思うので、地域病院の研修等が入っていると思うが、どういう形でキャリアを形成し、地域病院に配置されるのか。

【医師支援推進監】
 臨床研修医の確保については、28年度における初期臨床研修医の採用数は58名であり、29年度は臨床研修勤務結果や2次募集の状況等から、今日現在で56名の採用を見込んでいる。これにより、1年次と2年次を合わせて114名となる見込みである。
 奨学金養成医師の配置については、28年度は16名が基幹病院に配置されており、29年度は21名が県立病院を中心に配置される予定となっている。これらの方々は、いろいろな地域での研修も含めさまざまな経験を踏まえて力をつけていただき活躍していただきたいと思っている。

【斉藤委員】
 せっかく奨学生医師が配置され、基幹病院で研修し、地域に配置される。どういうキャリア形成をするのか聞いているので。

【医療局長】
 奨学金養成医師については、基幹病院での研修の後、地域病院での勤務ということであるので、もちろんそれぞれの専門の分野、診療科の研修もあるが、地域病院に出るために、プラマリーケアということで、初期医療の対応、例えば救急対応の場合そうした総合的な知識が必要となってくるので、そういう意味でも最初の2ヶ年は基幹病院に配置し、その後の地域病院での診療に備えてもらうというところである。今猶予で大学院に行っている奨学生もいるが、そうした方々も当直・日直の勤務ということで、県立病院を手伝っていただいているので、地域病院に出るときにはそうした経験を踏まえて勤務していただくということである。

・看護師確保対策について

【斉藤委員】
 経営計画に基づく看護師確保の状況について示していただきたい。

【職員課総括課長】
 職員配置計画において、被災病院の再建、7対1の基本料にかかる施設基準の維持、退院調整や看護職員の教育に携わる教育正准看護師などのほか、勤務環境の改善等に向けて、産前産後休暇だとか育児休暇等の取得に関わる代替職員の配置というようなものの見直しなどを行いながら、26年度からの3ヶ年で、計画110名に対し、これまで142名の増員で計画を上回っている。

【斉藤委員】
 看護師は計画を上回って配置されたと。これは評価したいが、142名のうち71名は被災病院の再建にかかるもので、実質71名ということだと思う。そうすると、20病院で割ると微々たる増員にしかならない。実感として増えているという実態にならないのではないか。
 29年度の看護師採用試験の状況、採用予定者数・応募者数・合格者数はどうなっているか。

【職員課総括課長】
 28年7月に試験を実施し、180名の採用予定人員に対し165名の受験者があった。144名の最終合格者に対して採用内定を行った。
 この結果、採用予定人員に対して受験者が満たなかったこと、内定辞退等が見込まれることから、特別募集も実施し、27名の採用予定人員に対し20名の受験があり、10名の最終合格者ということで採用内定を行った。

【斉藤委員】
 特別募集をしても154人にしかならず、本当に深刻な事態である。本当に看護師確保に全力をあげてやらないと、病院の機能を維持できない。
 なぜこのようなことになっているのか。普通退職者はどういう状況になっているか。

【職員課総括課長】
 27年度は91名となっている。

【斉藤委員】
 普通退職というのは、定年前に辞める人たちで、それが年間91名である。内訳を見ると、20代30人、30代34人、40代27人と、働き盛りの若手が辞めている。辞めざるを得ないような厳しい状況にあると思う。本当に今看護師の勤務環境を改善しなければ、応募は少ない、年間100人近く辞めていく、悪循環になろうとしているのではないか。
 看護師の生の声を紹介する。
「人員不足のため、病棟も外来勤務者も疲れ切っています。制限勤務(短時間・育児時間勤務等)の人も、帰れない状況。病棟の人も早くて21時、遅くて23時」
「情報収集などしないと勤務に間に合わないので、早く出勤している」
「育休・時間休の人たちは時間で帰れない」
「子どもの行事で休みをとろうとすると『そんなの行かなくてもいいんじゃない』と師長から言われた」
「夜勤・超勤が多くて子どもと一緒にいられない」。
 ひどいのは、30代半ばで3人の子どもがいる方は、短時間勤務に入れなかった。しかし定時でもちろん帰られないので、「子どもが入院しても一日しか休めなかった。『辞めたい』と言ったら、『3人も子どもを産んで、どれだけ職場に迷惑をかけたと思っているのか』」と言われ、ついにこの方は辞めてしまった。
 厳しすぎる勤務環境、本当にこういうことだったら、頑張ろうとしても頑張れない。
 医療局長は「イクボス宣言」をした。イクボスどころではないのではないか。こういう状況を抜本的に改善してこそ、今必要な看護師を確保し、普通退職で辞める人たちも最小限に抑えることができるのではないか。

【医療局長】
 ご紹介のあった看護職員の声については、私も職員からカードをいただく機会があるので、それを拝見し、切実な声であると承知している。委員からさまざまお話のあった看護師確保、離職防止、非常に大切な課題だと思っているが、いずれ看護師確保を図るためには、県立病院としてそれぞれの病院が魅力ある病院づくりを行っていくことが大事だと。つまり、患者さんにとっても、職員にとっても、研修や実習に来る学生にとっても、魅力ある病院づくりを進めていかなければならないと思っているので、職員体制の強化を通じて看護師の負担軽減に努め、育児・介護支援の充実等勤務環境の改善を図りながら、働きやすい職場環境づくりに努めていく。

【斉藤委員】
 看護師の切実な要望は、せめて子どもの行事とか子どもが病気したときに休めるような環境である。ところが、年次休暇でいけば、中央病院は全看護師の平均で6.4日、胆沢病院6.9日、磐井病院6.3日と。とれない人は2〜3日しかとれていない。異常な事態である。
 9日夜勤が今年さらに増えている。これまでも異常だったが、特に大船渡病院は激増している。まさに疲弊している。
 年次休暇がきちんと取れる、9日夜勤は基本的に解消する、そのために大幅な増員を含めてきちんと対応すべきではないか。

【職員課総括課長】
 増員ということも確かに必要になってくるとは思うが、いずれ看護職員の産育休の代替職員ということを確実に補充していくと。あわせて、受験者数の確保についても、今までも一生懸命やっているが、さらに踏み込んで積極的に確保しながら、さらに離職防止も図りながら環境改善に努めていきたい。

【斉藤委員】
 実はこういう訴えがあった。「院内研修会に参加して超勤を記入した。その際、他部署師長により『超勤をとるな』と言われた。『超勤をとれるのは感染と災害の病院で義務づけられている研修だけで、それ以外の院内研修は任意だから超勤はとるな』とのことでした」と。決算特別委員会でこの問題を取り上げて、正しくないと指摘した。実は厚労省の新たな通知で労働時間の規定がされている。「就業を命じられた業務に必要な準備行為、着用を義務づけられた所定の服装への着替え、業務終了後の業務に関連した後始末も労働時間である」と。看護師さんは、準備のために30分〜1時間前に出勤している。これは労働時間である。
 さらに、「参加することは業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務により必要な学習等を行っていた時間」も労働時間だと。上司から命じられて参加の名簿まで貼り付けられてやっているのが院内研修で、これで「超勤を書くな」ということは絶対に許されないと思うが、この問題は是正すべきではないか。

【職員課総括課長】
 厚労省からの新基準に関しては承知している。
 ご指摘のあった研修については、少なくとも院内で指命しているもの、院内で必要として招集している研修会・勉強会といったものに関しては、今までもそれに関しては超過勤務に該当するということはお話していたが、引き続き新しい基準というものもきちんと周知していきたい。