2017年3月13日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する千田美津子県議の質疑(大要)


@ 被災事業者の二重債務問題について

(千田美津子議員)
 被災者事業者の二重債務問題、いわゆる二重ローン問題についてですが、支援状況についてお聞きします。
 大震災では、被災企業のいわゆる二重ローン問題に対応するために、東日本大震災事業者再建機構が設立されましたし、また官民ファンドの産業復興機構が各被災県に設立されました。私は、いずれも被災事業者の再生、ひいては被災地の復興のためにつくられた、非常に大事な組織だなと思います。債権買取り支援を行う、岩手産業復興機構及び東日本大震災事業再生支援機構のこの間の相談件数、それから解決件数、金額等についてお知らせいただきたいと思います。

(高橋経営支援課総括課長)
 両機構の相談件数、解決件数、金額等でありますけども、まず岩手産業復興機構の相談部門は岩手県産業復興相談センターと言いますが、平成29年2月までの累計で相談センターでの相談受付件数は1151件となっております。それから買取り支援件数ですけれども、産業復興機構によるものが213件、うち債権買取りは110件となっておりまして、買取総額といたしまして約167億円、それから東日本大震災事業再生支援機構の方は、相談件数は488件、債権買取りの等の支援件数は165件となっておりまして、二つの機構合わせた買取等支援件数は378件となっております。
 なお、東日本大震災事業再生支援機構は、東日本全域で活動しておりまして、県別の買取り金額は特に公表しておりません。

(千田議員)
 二重ローンを抱える者事業者は大変多いと思うんですが、相談件数に対して債権の買取りが決まった事業者、あるいは、長期返済猶予とか決まった方々は半数以下ということで、これら現状をどう見ればよいのかが一つです。それから、すでにある債務を凍結・減免、新規融資の実施が必要ではないのかと考えるわけですが、これについてお聞きします。

(高橋総括課長)
 買取り件数の推移について、まずご説明しますけれども、相談、買取り・件数とともに平成24年度、25年度が多くなっておりまして、特に最後の額の大きな設備関係のある水産加工ですとか、製造業とか、そういったところの復旧に向けた動きが24、25年度に大きかったということもありまして、そこでの件数が多くなっているという状況です。
 26年度、27年度は件数は減ってきているんですけども、そういう製造業関係は落ち着いたということ、逆に商業関係の本設移行の動きが出てきておりますが、そちらの方の相談に対応することが、これから必要と考えておりまして、東日本大震災復興機構の方でも買取り決定期間1年間延長しておりますし、岩手県産業復興相談センターの方でも、商業者の方の仮設店舗を中心に個別に今までに800社ほど回っており、まだ実施中ですが、さらにお話を伺って相談対応をしているところです。

(千田議員)
 落ち着いた分、あるいは商業関係のところがこれからということで、ずいぶん会社を回ったりして親身に相談に乗っていただいているということが本当にわかります。そういう意味でも、これからの対応もより重要になると思いますし、やっぱり被災事業者の皆さんが本当に事業再開にこぎつけられるように、引き続き親身になった対応を県も一緒になってやっていただきたいと思います。
 もう一つ、金融機関に対して返済猶予が認められている事業所もあるわけですが、これらの延長が必要ではないかと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。

(高橋総括課長)
 債権買取りを受けた事業者の支払いスケジュールのことかと思いますが、基本的に債券買取りをしたところは10年間棚上げということで、その間に事業を立て直して軌道に乗せていくということになっています。
 今の段階では、買取りをして早いところでも4、5年というところですが、中心的なのは買取り決定して3年位というところですので、まだ今の段階で10年が長いかどうかということは、何とも申し上げがたいというふうに考えております。
 これから買取りが必要だという方の相談対応と、買取りをして事業再開したところのフォローアップについても重要ということで、できるだけセンターでも県でもそういった相談、フォローアップを考えておりますので、そういったなかでこれからの対応を引き続き進めていきたいと考えているところです。

(千田議員)
 是非、よろしくお願いいたします。
 
A 中小企業等のグループ補助金について

(千田議員)
 次に中小企業等のグループ補助決定実績についてお聞きします。
 
(高橋総括課長)
 グループ補助金の交付決定実績ですけども、平成23年度の第1回公募から、これまで17回にわたり公募を実施しておりまして、のべ161グループ、1436事業所に対して約848億円の交付決定を行っております。

(千田議員)
 161グループ、1436社ということで、是非これからも応えていくことが必だと思いますが、この間のグループ補助の決定によって中小企業の再建の現状についてはどのように分析されていますか、お聞きいたします。
 
(高橋総括課長)
 先ほど申し上げました1436社のうち、今年度末で復旧が完了するというところが約1100件と見込んでおります。残りのところは、引き続き繰り越しをしながら工事を実施ということですが、そういった形で被災者事業者の復旧、復興に大きく支援していると思います。
 また、グループ補助金ということで、何社かが集まってグループで販路開拓ですとか、商品開発に取り組んでいるようなところもありますし、商業関係では商店街の業者がグループをつくって御用聞きをしようか、イベントを一緒にやろうとか、あるいはまとまって本設移行をしようといった動きも出ておりまして、ハードの復旧の部分でも非常に大きいのですけれども、事業を考えるきっかけとなったということで、大きな効果があるもと考えております。

(千田議員)
 先ほど、城内委員からも同様の話が合ったんですけども、震災で被災してグループ補助金を受けた事業者が、台風10号で二度目の被災をした事業者が結構あるわけですが、宮古だけで253社がグループ補助を受けて、台風でさらに被災した事業所が138事業所ありました。このようなダブル被害を受けた事業者については、再建がどのようになっているか気になるわけですが、資料があればお答えいただきたいと思います。
 
(高橋総括課長)
 グループ補助金を受けて、それからまた台風被害にあった業者は確かにいらっしゃいまして、それで復旧状況について市町村からお聞きしているんですけども、宮古市内に関しては一部復旧も含むんですけども、ほぼほとんどの事業所が事業再開していると聞いております。そういう状況です。

(千田議員)
 もう一点ですけども、この間事業者の皆さんに対するアンケートでも、営業がしたいけれどもまだ未再開だ、あるいは休業の事業所が90事業所くらいあったと思うんですけれども、これらの方々にはさらに支援が必要ではないかと思うわけなんですが、これについてはいかがでしょうか。
 
(高橋総括課長)
 未再開事業者の中で、復旧したいけどもまだできていないという方は、まだ土地の造成中というようなところがあるとか、一部状況を見て決めかねているような方もいらっしゃると聞いております。ですから、商業関係の事業者がほとんどになるわけでございますのが、大規模な嵩上げをしておりました、沿岸南部の陸前高田とか大船渡もだいぶ建設可能になってきまして、グループ補助金の採択もしておりまして、いよいよ着工されるということもあります。
 29年もグループ補助金への申し込みを考えている事業者さんもいらっしゃいまして、県あるいは商工会等で相談会を実施しておりますので、そういった形で事業計画づくりなども支援して、本設移行したい方々の支援に取り組んでいきたいと考えております。
 
B 企業立地に係る工業用水等に対する市町村への支援策について

(千田議員)
 三つ目の質問に移りたいと思います。
 工業用水道事業会計負担金に関わってお伺いいたしますが、これは工業用水を低廉かつ安定的に供給することにより、企業立地施策の推進及び雇用の維持拡大を図るということで、第二北上中部工業水道における、金ケ崎ろ過施設の維持に係る一部負担金ということでありますが、この負担金の拠出の経過とこの間の金額の増減についてお聞きします。
 もう一つ、企業立地に対する支援としては必要なものとは考えております。この趣旨から、決算審査の時に企業局に対して、北上工業団地、それから岩手中部工業団地に隣接する奥州の江刺工業団地にも工業用水を供給すべきだと話しましたが、多額の投資が必要となるために、極めて厳しいという答弁がありました。ただ関係部局において、いろいろ支援策があるのではないかと、意見交換をするとの答弁がありました。今、江刺工業団地にはILC関係で立地について具体的に検討している企業もありますので、是非、布設もさることながら、企業立地に対するこの種の支援を検討すべきだと考えますがお聞きします。
 
(戸館ものづくり自動車産業振興室長)
 金ケ崎のろ過施設に関する負担金の拠出の経過と、この間の金額の動向ということでありますが、金ケ崎ろ過施設は、半導体製造企業の進出に伴いまして、工業用水の一般水を更に浄化したろ過水の需要が生じたことから、昭和59年度に第一期、平成4年度に第二期として整備した、金ケ崎ろ過施設の給水能力につきましては、その当時のユーザー企業からの申し込みのあった水量を前提とし、設計したものでありますけども、このユーザー企業の撤退によりまして契約水量が減少いたしまして、施設・設備の維持に支障を及ぼす恐れが生じたということで、これを受けまして、低廉かつ安定的な工業用水の供給によりまして、企業の生産活動を側面から支援するということで、平成27年度からこの負担金を支出する、ということにしたものであります。
 各年度の負担金の額につきましては、平成27年が3286万円余、平成28年度が3312万円余、平成29年度におきましては2773万円余を予算計上させていただいているところでございます。
 二つ目の用水に対する支援というご質問だと思いますけれども、企業活動を行う上で、用水は重要なインフラの一つだと認識しております。新たな工業用水供給施設の布設は困難ななかで、工業用水が供給されていない地域に安価な用水を供給するための支援ということが考えられるわけでありますが、県内におきましては、上水道等を利用している企業が圧倒的に多く、限られた財源の中でこれらをカバーする支援制度を設けることに関しては、非常に厳しい状況にあるものと考えております。
 一方では、奥州市をはじめとしてこのような支援制度を運用している市町村もありますので、市町村の意向、企業ニーズ等踏まえて関係部局等と意見交換をしながら、効果的な支援策について、不断に研究してまいりたいと考えております。
 
(千田議員)
 厳しいということはわからないわけではないのですが、毎年、奥州市が県要望していることもありますので、是非、横断的な検討の中で前向きな回答が出ることを期待しておわります。