2017年3月14日 予算特別委員会
教育委員会に対する関連質疑(大要)
・高卒者の県内就職率向上に向けた取り組みについて
【斉藤委員】
岩手県の高卒の県内就職率は64.1%で、全国的にも東北でも低い。宮城は80%、山形は78%である。北陸3県はだいたい90%を超えている。社会減ゼロという岩手県の目標は大変大胆なもので、これを実現しようと思ったら、低い県内就職率をせめて10ポイント以上上げるという目標をもって取り組まなかったら、裏付けがなくなる。
教育長は、県内就職率が低いという認識にあるのか。社会減ゼロという目標の関わりで、たしかに工業高校等はいろんな企業との関連があるが、せめて10ポイント以上引き上げるということで、沿岸の振興、県内中小企業の人材確保にとっても最低限の課題だと思うがいかがか。
【教育長】
県内就職率の他県の状況についてはその通りであり、ふるさと振興総合戦略の中で、地元定着率というものをできるだけ上げていこうということで、そういう上昇の目標を定めているが、これは地域の活力を生み出していくためには、やはり地元定着率にできる限り努力していく必要があると考えている。
一方で、実現のためには、それぞれの子どもたちの意識、保護者の意識もあり、岩手の産業に対する理解をしっかり深めていくということがきわめて大事だと思っており、県の基本的な方向性を十分踏まえながら、関係部局とも連携しつつ、地元定着率向上に向けて努力していきたい。
【斉藤委員】
岩手県の目標が64.1%で低いと。しかし目標は66.7%とほとんど現状が変わらないような目標だったら上げられないと指摘している。社会減ゼロというのなら、せめて宮城や山形に追いつくようなところまで、やはり教育委員会が目標を持ってやらなかったら、県立高校の県内就職率は高まらない。高める客観的条件はあると思うので、積極的な目標を持って取り組むべきではないか。
【教育長】
人口減の大きな要因として、高校卒業時、岩手県出身者の大学卒業者がなかなかUターンしないということが大きな課題だと思っている。そのためには、やはりこの岩手を理解するということで、大きな課題ということ、ご指摘いただいたことを十分踏まえながら教育を進めていきたい。
・矢巾町いじめ問題対策委員会の報告書について
【斉藤委員】
28年12月23日に、矢巾町いじめ問題対策委員会、いわゆる第三者委員会が調査報告書を出した。これはきわめて重要なものだと思う。
1つは、いじめがどう認定されているのか。自殺の要因についてどう認定されたか。当該学校の対応の問題点は何なのか。どのようにこの調査報告書では提起されているか。
【生徒指導課長】
いじめの認知に関わる定義について、国の法などに照らして、当該校においては若干ニュアンスが違っており、共通認識に欠けるところがあったという指摘があった。
自殺に関わって、いろんな情報を当該教師が抱え込んでしまい、情報共有に至らなかったという指摘があった。そのことも踏まえ、提言というものがあり、31回の調査の後、12月23日にホームページ上にアップされていた。それについては、各県立学校含め各県内公立学校、私立学校含めて周知した。加えて、問題に関わっての調査の本体の部分についても、2月の段階で全ての学校に送付させていただき、情報共有を図っており、再発防止に資している。
【斉藤委員】
せっかく全文を各学校に配布したというわりには、突然の質問だったかもしれないが、答弁は不正確だった。
第三者委員会の報告を見ると、いじめについては、「点ではなく線で評価する」と。いじめがあったと認定された。これは部活動でのいじめ、クラスでの身体的暴力を含めたいじめ、2つの側面で認定された。しかし、自殺との関連では、「いじめは希死念慮(「死にたい」という思いが続く精神症状)をもたらした少なくとも1つの原因になっていたと認定する」と。自殺との関係の結論は、「現に自殺を決意するに至った経緯が不明と言わざるを得ない。したがってAの自殺の主要な原因を特定することは困難であり、いじめが自殺に対してどの程度を与えたのか断定することはできないと認定した」と。
第三者委員会からこれからいろいろと出てくると思うが、真相究明が一番大事である。矢巾町は、31回、1年3ヶ月にわたり調査されたということは敬意を表するが。
滝沢の事件ももっと複雑なものだったが、滝沢の結果は、「いじめが直接的原因になったととらえることはできないが、いじめと自死の間にある一連の関連性があったものと考えられる」という認定である。第三者委員会のあり方というのがこの間そういう意味で問われたのではないか。
そしてこの提言の中で、特に情報共有、それをやるためにこの提言は、「情報共有や情報提供が円滑に行われるためには、教職員同士、教職員と保護者との信頼関係が不可欠である。このような関係の構築は、個々の教職員に任されるべきでは決してなく、学校づくりの課題として全教職員が一丸となり取り組むものだ」と。この提言大変大事だと思うがいかがか。
【教育長】
第三者委員会の報告については、31回におよぶ調査の結果出されたということで、今後本県の教育に生かしていかなければならないと考えている。そしてそういう情報共有を岩手の教育界でやっていかなければならない。