2017年3月16日 予算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)


・台風10号豪雨災害の復旧状況について

【斉藤委員】
 先ほどの答弁で、河川・道路関係の災害査定では、1891件・443億円ということだった。農地・林道等を含めると、672件・1555億円となる。
 一番被害の大きかった岩泉町は、どういう状況になっているのか。災害復旧の状況はどうなっているか。

【砂防災害課総括課長】
 岩泉町においては、件数や被害額において、県土整備部の分で3割から4割のウェイトを占めている。当然のことながら、これから本格的な発注工事が始まるが、発注において県とすれば、どういった形の発注、岩泉町との関係をどうするか、そういったことを調整しながら進めている。

【斉藤委員】
 いただいた資料で、岩泉町分は、災害査定は573件・177億円。県分が93億円、岩泉町分が84億円ということなので、きちんと答弁していただきたい。
 台風10号豪雨災害は、大変深刻な大規模災害だった。岩手県は3つの分科会を設け、教訓を深く検証して今後の対策に生かすということで、河川、土砂災害についても、この間検証がされてきたと思う。防災会議における検証結果と今後の具体的な取り組みについて示していただきたい。

【河川課総括課長】
 第三分科会では、洪水被害に対する住民避難のさまざまな課題が確認されたことから、早めの避難を促すため、水位周知河川の運用を軸とした、河川にかかる防災体制の構築を基本方針として、次の4つのソフト対策を29年度より取り組む。@水位周知河川指定は、年次計画を策定し、指定を拡大していく。小本川については、5月までに指定を行う。Aハザードマップの作成の基礎となる洪水浸水想定区域の指定については、水位周知河川の指定に合わせて順次行っていく。Bホットラインの体制構築については、洪水情報について、河川管理者から直接市町村長へ連絡することとしている。C時系列的に、防災避難行動が分かるタイムラインの作成については、全ての水位周知河川において運用を開始する―こととしている。
【砂防災害課総括課長】
 土砂災害警戒区域にかかる基礎調査および区域指定にあたっては、被災履歴のある箇所や、要配慮者利用施設、避難所等が立地する箇所などを可能な限り拾い上げ進めているところであり、特にも、要配慮者利用施設が立地する箇所については、29年度までに基礎調査を完了させ、順次公表、指定区域を進めていくこととしている。
 要配慮者利用施設においては、水害および土砂災害に対して適切な避難制度がとられるよう、施設の管理者に、河川および砂防情報等に関する理解を深めていただくため、今年2月から3月にかけて、国と共同で説明会を開催している。今後の土砂災害危険箇所の点検パトロール等において、情報等の活用方法等について周知を図っていきたい。

【斉藤委員】
 小本川・安家川の今後の具体的な河川改修の取り組みについて。新聞では、安家川河川整備連絡協議会が13日に設置され、専門家も含めて、景観や生態系などを協議しながら進めるということで大変いい動きではないかと思う。
 小本川では、流木を途中で支えるという取り組みも答弁されたが、小本川・安家川の今後の具体的な河川改修の中身と見通しについて示していただきたい。

【河川課総括課長】
 2つの河川とも、台風10号により甚大な浸水被害が発生したことから、この再度災害を防止するため、改良復旧を導入し、治水対策に取り組むこととしている。
 まず、小本川上流部の延長約22.8キロにおいては、災害復旧助成事業を導入し、平成32年度を目標に、河道拡幅・河道掘削により流下能力を確保する。
 小本川下流の延長約24.1キロにおいては、河川激甚災害対策特別緊急事業を導入し、平成32年度を目標に、河道掘削および築堤により流下能力を確保する。
 安家川松林地区の延長約2.7キロにおいては、河川等災害関連事業および河川災害復旧等関連緊急事業を導入し、平成31年度を目標に、河道掘削および築堤により流下能力を確保する。

【斉藤委員】
 小本川・安家川の河川改修・拡幅もあり、それぞれ約50戸ぐらい住居にかかってくるのではないかという答弁が以前にあった。集落の維持を含めた、かなり柔軟な対応が必要だと提起もしてきたが、転居を求められるような方々への対策はどうなっているか。
 安家川については、水位周知河川の指定はどういう見通しでやられるのか。

【河川課総括課長】
 小本川・安家川の家屋移転戸数計約100戸ということで、特にも生活再建に関して、12月末にまず住民説明会を開催し、住民の方からは、早く自分の土地、家屋がどうなるかということを質問された。したがい我々としては、詳細設計を現在進めており、安家川だと今月から、小本川だと夏頃から詳細設計を提示し、用地補償手続きを進めたいと考えている。
 現在岩泉町では、被災された方の生活再建にかかるアンケート調査を行ったようであり、この調査結果も考え、住民の意向を踏まえつつ、町と県で将来のまちづくりを勘案しながら用地補償手続きを円滑に進めたい。
 また、安家川の水位周知河川については、昨年の台風で水位計が壊れており、現在復旧作業を行っており、いつ水位周知河川の指定をするかはお伝えできないが、できる限り早めに指定したい。

・内陸部への災害公営住宅の整備について

【斉藤委員】
 盛岡・一関・花巻・遠野の建設予定地が決まったところは、仮募集を行ったが、この締切りは2月24日で、この結果はどうだったのか。おそらく募集戸数を上回ったのではないか。
 盛岡の相談センターだけで40戸の希望があったということなので、戸数については、仮募集の結果を踏まえてさまざま調査をして決めると答弁があった。募集が上回った場合、増やすことも想定に入っているのか。
 特に盛岡の場合は数カ所に建設する。結局、今みなし仮設で暮らしている方々は、1つは、子育て中の方々は学校のことがあるので、できるだけ転校させたくないと。高齢者の場合はかかりつけの病院がある。入居する場所によってそれを変えざるを得ないので、入りたいが迷っている、あきらめているという方もいる。ですので、早く建設場所を示さないと入りたくても入れないということが起きるので、早ければどの時点で示すことができるのか。

【住宅課長】
 仮募集の関係だが、現在想定している建設戸数を上回る形での応募をいただいた。これらの方々については、沿岸市町村と入居要件の確認を行っている。
 基本的な考え方として、内陸部への災害公営住宅に入居を希望される方には、全て入っていただくという考え方に立っているので、設計がこれからの団地等で、敷地等に余裕がある場合は、そこで想定している建設戸数を調整するということができると考えている。
 盛岡市については、建設予定地が既存の公営住宅団地の空きスペースであるので、ここはすでに建設戸数が確定しているので、希望しているにも関わらず入居がかなわなかった方については、現在検討している別の団地をご案内し、そちらに入っていただくということで考えている。
 建設場所について、それぞれの皆様の今の生活の状況があるので、なるべく早く示してほしいということだが、震災から6年が経過し、それを最優先にということで考えており、現在候補地の検討を進めている。
 来年度も引き続きこの仕事を担当させていただくので、来年度の早い時期にきちんと示し、仮募集ができるように頑張って取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 内陸で避難生活している方の切実な課題なので、ぜひ要望に応えるようにしていただきたい。

・高田松原津波復興祈念公園の整備計画と今後の見通しについて

【斉藤委員】
 先日起工式が行われたが、新聞報道では総事業費100億円、32年度完成ということだが、この中には、国が行う事業、県が行う事業、市が行う事業がそれぞれあるので、県が行う公園整備事業は、100億円の中でどういう事業になるか。
 完成は32年度だが、2019年ワールドカップまでに、一部共用できるようにという報道もあるので、その中身はどうなっているか。

【都市計画課総括課長】
 先日の起工式の近辺は、国営の追悼祈念施設ということで、その周辺や古川沼周辺、川原川沿いのところ、定住促進住宅・気仙中学校の遺構の部分は県のエリアということで、おおむね50億円ということで事業を進めている。
 先日の起工式でも、何らかの形でワールドカップに合わせて祈念施設を進めていきたいという話もあったので、県としても進捗を合わせて開設していきたい。

【斉藤委員】
 100億円の大プロジェクトで、そして国内外に東日本大震災津波の教訓を返していくと。そういう点では、100億円の大事業で整備したら、交通アクセスなども一緒に考えなければいけないと思うので、ここにたくさんの方々に来ていただく、交流人口を増やしていくことをぜひ考えていただきたい。

・防潮堤の整備とかさ上げによる安全度について

【斉藤委員】
 防潮堤は、国の示す基準でL1対応=百数十年に1度の津波に対応するということで、これは高さの上限だが、これが示された。だいたいそれを踏まえて決められたと。
 一方で、百数十年に1度となると3.11の津波を超えるわけで、そうした場合に、陸前高田市のように10mのかさ上げ、大槌町は2〜3mかさ上げとなっているが、このかさ上げというのは、どういう考え方で行われているのか。その安全度をどう評価すればよいのか。

【まちづくり課長】
 被災市町村における復興に向けた土地利用については、復興活動の円滑な誘導・促進を図ることを目的として、24年2月に、津波の浸水深と土地利用の考え方を整理したガイドライン「復興まちづくり土地利用の考え方」を市町村に示している。
 市町村においては、土地区画整理事業の計画策定にあたり、各地区において、防潮堤をはじめとした海岸保全施設等の整備を考慮した、津波浸水シミュレーションを行っており、この結果と将来の土地利用を踏まえて、新たに造成する宅地は浸水しない高さまでかさ上げすることを決定している。

【斉藤委員】
 そうすると、岩手の場合は職住分離ではなく、浸水地をかさ上げして、そこに商店街や住宅を再建するということが基本になっていると思う。それは、東日本大震災クラスの津波でも、かさ上げ地は浸水しないという想定で行われているということでいいか確認したい。
 もう1つは、6年前の津波では堤防が破堤した。破堤してしまうとその根拠は崩れてしまう。こことの関係をどのように考えるのか。高田松原の新しい防潮堤は、幅50m以上で簡単に破堤しないつくりにはなっていると思うが、その点はどのように考慮されるのか。

【まちづくり課長】
 安全を確認するために行っている津波シミュレーションについては、津波のデータについては、東日本大震災の津波を想定しているので、東日本大震災クラスの津波が来ても宅地等は浸水しないこととなっている。
 現在おこなっているのは、あくまでも防潮堤がもっている状態で検討しており、防潮堤が破堤した場合については想定していない。