2017年3月22日 2月定例県議会最終本会議
請願および議案に対する千田美津子県議の討論
日本共産党の千田美津子でございます。
議案第22号、請願陳情第25号、請願陳情第38号及び請願陳情第43号について、それぞれ委員長報告に反対の立場で討論いたします。
まず、議案第22号ですが、本議案は、国民健康保険法の改正に伴い、岩手県国民健康保険運営協議会を設置するための条例を制定しようとするものです。私は、新たな国民健康保険法に反対するものです。その理由は、高すぎる国民健康保険税のさらなる負担増を招き、医療費削減の新たな仕組みを導入することになりかねません。また、2018年度から国保が県単位化されることになりますが、それによって進められる県による国保財政の管理、標準保険料率の提示、保険料平準化の推進などは、市町村を保険税引き上げに駆り立て、無慈悲な取り立ての強化につながりかねません。さらに、県が策定する医療費適正化計画に医療給付費の目標総額を明記し、それを地域医療構想による病床削減とリンクさせ、県国保運営方針も適正化計画と整合させるように義務付けられています。まさしく、県を司令塔にした強力な医療費削減の仕組み作りにほかならないものです。以上のことから、議案第22号「岩手県国民健康保険運営協議会条例」については反対をいたします。
次に請願陳情第25号は、早池峰国定公園の保護をさらに強化していただきたいという請願です。私は環境福祉委員会で不採択としたことに反対します。
早池峰山とその周辺地域は北上山地の代表的な山岳風景を形づくっており、ハヤチネウスユキソウをはじめとする高山植物の宝庫となっており、昭和57年に国定公園に指定されました。指定の際に、答申した自然環境保全審議会は、「今後における公園計画の再検討に当たっては、固有種、稀産種を含む高山植物が多いこと。植生の垂直分布が特徴的であることなどに鑑みて、将来当該地域の保護がさらに強化されるよう配慮されたい。また、今後の国定公園の保護、管理が適切に行われるよう管理者たる岩手県当局を十分指導されたい」との意見が付されたものであります。現在、早池峰国定公園の保護のため、自然公園保護管理員を設置し、日常的に公園管理に努めるとともに、関係機関による早池峰地域保全対策事業推進協議会を設置し、各種の保全活動にも取り組んでいますが、高山植物の保護という点で様々な課題も見受けられます。現在、国定公園計画の見直しは、地方分権一括法により県の判断で適宜行うこととされており、国定公園の保護の強化を求めることは当然のことであります。
よって請願陳情第25号の不採択に反対します。
次に請願陳情第38号は、「南スーダンへ派遣している自衛隊を即時撤収させることを求める請願」です。総務委員会で不採択としたことに反対するものです。
安倍政権は、3月10日、南スーダンPKOの陸上自衛隊施設部隊の撤収を表明しました。このことは、南スーダンへの憲法違反の派兵の破たんを示すものです。政府は昨年9月から撤退の検討をしてきたと言いながら、駆けつけ警護の戦争法に基づく新任務を付与したことは極めて重大です。安倍政権は、道路建設が終わったから撤収すると説明していますが、ごまかしです。陸上自衛隊の隠された「日報」では、「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」が繰り広げられていたことが明らかになりました。PKO 5原則が現地で崩壊している事態を認めようとしない安倍政権の態度は許されません。南スーダンからの自衛隊撤収は、5月末ではなく、直ちに行うべきです。安倍政権のごまかしに追随して、この請願に反対することは自衛隊員の命をないがしろにするものです。よって請願陳情第38号の不採択に反対します。
最後に請願陳情第43号「実効性ある残業上限規制とインタ−バル規制の実現を求める請願」でありますが、商工文教委員会の不採択に反対します。この請願は、労働者が健康で安心して働ける職場環境を実現するために、残業代ゼロをめざす労働基準法改正案、裁量労働制の拡大、フレックスタイム制度の生産期間の延長等に反対し、撤回を求めるものであります。また、過労死の要因となっている長時間労働を規制するために、時間外労働時間を週15時間、月45時間、年360時間とする厚生労働省の大臣告示の法制化を求めるものです。また、勤務と勤務の間の休息時間 インターバル規制を11時間以上とするよう求めるものです。これらの請願項目は、2015年の年間189人に及ぶ過労死・過労自殺が発生している異常な長時間労働を解消するために必要なものです。
ところが安倍政権は長時間労働の規制で、特例で繁忙期は月100時間未満まで認めるとしています。これでは過労死ラインを超え、長時間労働が合法化されてしまいます。過労死・過労自殺遺族の願いにも労働者の切実な声にも背を向けるものです。こうしたもとで、この請願を不採択とすることは、過労死と長時間労働の解消に背を向けるものだといわなければなりません。
よって、請願陳情第43号の不採択に反対いたします。
以上で反対討論とします。ご清聴ありがとうございました。