2017年6月29日 6月定例県議会本会議
議案に対する質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第37号、38号に対する質疑を行います。
この議案は、株式会社東芝が深刻な経営危機に直面し、東芝の内部組織である社内カンパニーを分社化するために、県発注の二つの工事の受託事業者が株式会社東芝から分社化される事業者、東芝電機サービス株式会社に変更しようとするものです。
知事に質問します。
第一に、債務超過に陥った東芝の経営破たんの原因と今後の再建の見通しを県としてどう把握し、認識されているでしょうか。昨日の定時株主総会では、監査法人の承認が得られず昨年度の決算報告がなされませんでした。半導体子会社東芝メモリの売却先確定も見送られました。再建の見通しは不透明と今日の新聞では報道されています。東芝メモリの売却がうまくいかず、東芝本社の再建がうまく進まなかった場合、子会社となる東芝電機サービス株式会社と県発注の工事への影響があるのか、ないのか示していただきたい。
株式会社東芝は、2015年にパソコン部門や家電部門などで巨額の粉飾決算が発覚し、16年3月期決算では7087億円の営業損失、最終損益で4600億円もの巨額の赤字を出しました。2017年3月期決算では、原子力事業で7000億円もの経常損失を計上し、1500億円の債務超過となることを明らかにしました。東芝の経営破たんの最大の原因は、経営の失敗であり経営陣の保身にあったといわざるを得ません。とくに、2011年3月の東日本大震災・東京電力福島原発事故以後も、原発事業推進で暴走したことが経営危機を深刻にした最大の要因と指摘されています。こうした株式会社東芝の状況をどう把握していたでしょうか。
県内には東芝関連のジャパンセミコンダクターの工場がありますが、今回の東芝の経営危機の影響はどうなるのか合わせて示していただきたい。
第二に、今回の請負契約の変更による工事の見通しについて質問します。
@ これまでの二つの工事―水門陸閘自動閉鎖システム整備工事と北上川上流流域下水道北上浄化センター受変電設備更新工事―の進捗状況、事業費はどうなっているでしょうか。
A 今回、東芝の子会社である東芝電機サービス株式会社と北上電工株式会社の特定共同企業体に工事を請け負わせるということですが、工事の実態に変化・変更はあるのか。
B 契約書の第5条には、「受注者は、この契約により生ずる権利または義務を第三者に譲渡し、または承継させてはならない。ただし、あらかじめ、発注者の承諾を得た場合は、この限りではない」―とされています。今回の変更議案は、但し書き条項によるものですが、契約を中止した場合のメリット・デメリット、発注者である県が承諾した場合のメリット・デメリットを示していただきたい。
C 工事完了後の維持管理の体制と維持管理費はどうなるでしょうか。
【達増知事】
東芝の経営再建と県発注工事について。東芝の公表資料によると、同社の債務超過は、原子力事業における企業買収の際の、いわゆる「のれん代」について、減損処理を行う必要が生じたことが主な原因とされている。
現在、同社においては、再建に向けて、分社化をはじめ、さまざまな取り組みを進めていると聞いており、こうした取り組みを注意深く見守っていく。
県発注の工事については、株式会社東芝と東芝電機サービス株式会社の吸収分割の効力が7月1日に発注することが確定しており、影響はないものと考えている。
東芝の状況把握について。東芝の経営状況については、同社から随時公表される資料のほか、子会社のジャパンセミコンダクターからの聞き取りなどにより、状況把握に努めてきたところである。
【商工労働観光部長】
ジャパンセミコンダクターへの影響について。東芝によると、今回の分社化は、東芝のグループ内の連携を強化しつつ、自立した事業体として、新規事業展開を含め、事業価値最大化に集中していくこと、また、事業責任を明確化するため、分社化されたそれぞれの会社が、傘下にある会社を直接子会社化することで、分社された各社のガバナンスを強化し、さらには、市場および顧客に対する説明責任を直接果たすことを目的としているものと聞いている。
ジャパンセミコンダクターについては、現在の社内カンパニーである、ストレージ&デバイスソリューション社の事業を7月1日から承継する東芝デバイス&ストレージ株式会社の傘下に入るものと聞いているが、今回の分社化にともなうジャパンセミコンダクターへの影響については、同社からは「事業への直接の影響はない見込み」と聞いている。
【県土整備部長】
水門陸閘自動閉鎖システム整備工事については、自動閉鎖システムの根幹となる統制局、制御所および子局による係るプログラムが完成し、4月より試験運用を開始しているところであり、平成30年4月には、全体約220基の3割にあたる約65基の水門・陸閘において、運用を開始する予定としているところである。
現在の契約金額は、47億5512万120円となっている。
北上川上流流域下水道北上浄化センター受変電設備更新工事については、現在、工場での機器製作が、計画どおり進捗している。契約金額は、4億8600万円となっている。
特定共同企業体の請負者の変更について。東芝電機サービス株式会社と北上電工株式会社の間で特定共同企業体協定書を締結しており、工事の実態に変化、変更はない。
県が仮に契約を中止した場合ということだが、当該工事の未完成部分については、再度、発注することになる。これにより、完成の遅れ等が見込まれると考えている。
なお、承継を承諾した場合については、当該工事を施工する能力を有している東芝電機サービス株式会社により、工事が適切に履行されるものと考えている。
工事完了後の維持管理について。水門・陸閘自動閉鎖システムについては、完成後に必要な予算を確保したうえで、別途発注することとしている。
現在の試算ではあるが、自動閉鎖システムの維持管理は、現時点で年間1〜2億円程度を見込んでいる。
北上川上流流域下水道北上浄化センターの維持管理については、現在契約している維持管理業務の中で、実施することとしている。
≪再質問≫
【斉藤議員】
東芝の経営状態は深刻だと思う。昨日の株主総会で、監査法人の承諾が得られず、決算報告ができなかった。そして、再建のためには、一番の稼ぎ頭である東芝メモリを売却しないと債務超過を解消できないと。ところが、この売却の見通しも立たなかった。逆に、ウェスタンデジタルを訴えた。これはどちらも裁判闘争になっている。日米間の体制は政府も関わっているが、係争している場合には対象にしないとなっている。来年3月までに売却しなければ、上場廃止である。そうなった場合、本社がこけた場合、子会社への影響はないのかと聞いている。いま発注している事業への影響はないのか。東芝の100%出資なので。率直に言って今の東芝の状況はそういうことを考えながら対応しなければならない状況ではないのか。もう少し正確に、シビアにお答えいただきたい。
工事の進捗状況だが、水門・陸閘の場合には、220基のうち65基が来年4月に完成すると。220分の65という進捗率なのか、事業費ベースでどうなのか。
いま東芝がほとんど新しい東芝電機サービス株式会社に移行するので、工事だけを考えたら、その方がスムーズにメリットがあると私自身は考える。問題は本社がこけた場合で、本社がこけない場合は全然問題ないが。
工事上は、おそらく中止して再発注すれば、工事期間は延びるが工事できないことはないと思う。メリット・デメリットを聞いたが、もう少し正確に、緻密に応えていただきたい。
【商工労働観光部長】
東芝の再建見通しについて。東芝から聞き取っているところによると、いずれ一連の不適正会計に端を発した事案に対して、新たな経営体制、ガバナンス体制を組んで、しっかり信頼回復と再建に向けて取り組んでいるという方針で鋭意努力しているということで、当面その対応については見守っていく、その対応を信頼して見守っていくこととしている。さまざまな部門を分社化し、稼ぐ力を再生しながら再建に努めているということなので、見守っていきたい。
【県土整備部長】
東芝の経営再建の成否が本工事に与える影響だが、今回分社化により、現に東芝が有している工場の設備・従業員・技術者などは全て分社される東芝電子サービス社に承継される。承継、分割、吸収の効力は7月1日から発生することが契約書上確定しているので、親会社である東芝とは関係なく、東芝電機サービス株式会社において施工能力を持った会社が存在するということになるので、影響はないと考えている。
進捗状況だが、契約額は全体額47億5512万120円となっている。これについて平成27年度の出来高2億2220万円、28年度の出来高6億6670万円となっている。
≪再々質問≫
【斉藤議員】
東芝本社がこけた場合に、100%出資の子会社に影響はないのかと聞いたので。結局、来年3月までに東芝メモリの売却ができなかったら上場廃止で株価暴落である。だから、債務超過を2年続けられないというので必死になってやっている。一番の稼ぎ頭を売らなくてはならないという深刻な状況である。しかし昨日の株主総会でも相手先を確定できず、双方が裁判をやると。国際仲裁裁判所は、最低でも1年以上かかると言われている。これは複雑で、そういう点で昨日の株主総会の結果は不透明という報道だった。
一般論で聞くが、本社がこけたときに、100%出資の子会社にどういう影響を与えるのか、与えないのか。
【商工労働観光部長】
一般論としては、100%出資の子会社ということだと、経営の連担が考えられるので、影響はあると思う。
東芝の関係では、特に稼ぎ頭である、価値の高い機能である部門を、稼ぎ頭として価値を少しでも高く打ち出そうということで一生懸命努力されているようであり、係争問題についても、そういう闘いの中で、東芝が生き残っていく取り組みをされているということで、見守っていきたい。