2017年7月4日 6月定例県議会本会議
議案に対する質疑(大要)
・県営災害公営住宅の状況、見守り、コミュニティ確立について
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案に対する質疑を行います。
議案第13号は、県営両石アパートを設置しようとする県営住宅等条例の一部を改正する条例案です。
@ これまでに整備された県営の災害公営住宅の状況、入居率、1戸当たりの工事費はどうなっているでしょうか。
A また、災害公営住宅自治会の組織状況はどうなっているでしょうか。
B 高齢者世帯、一人暮らし世帯の入居世帯数と比率、見守りの対象となっている高齢者と訪問・見守りの状況実績はどうなっているでしょうか。これまでに災害公営住宅と応急仮設住宅での孤独死はどうなっているでしょうか。
C 災害公営住宅にはコミュニティ確立と防災のために広めの集会室と支援員のための事務室が整備されていますが、具体的にどう活用されているでしょうか。活用するための施策はどうなっているでしょうか。
【県土整備部長】
5月末時点の整備状況は、県が内陸に整備予定の災害公営住宅252戸を含む予定戸数2983戸にたいし、完成が2217戸・74.3%、工事中が198戸・6.6%となっている。
入居率は、県の管理戸数1351戸にたいし1201戸入居で88.9%の入居率、空き住戸120戸・11.1%となっているが、一度入居されて退居された住戸が40戸ある。
戸当たりの建設費は、現在までの平均で約2197万円となっている。
【復興局長】
29年5月末現在で入居済みの県内災害公営住宅団地131ヶ所のうち、27ヶ所で新たに自治会を組織し、73ヶ所では既存の地域自治会に入る形で、計100ヶ所、76%の団地で自治会が組織されている。残り31ヶ所についても、自治会の設立に向けた準備が行われていると聞いている。
29年5月末現在で入居している4022世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯は2409世帯・59.9%であり、そのうち高齢者の一人暮らし世帯は1165世帯で、全体の29%となっている。こうした高齢者世帯に対しては、県の補助により社協で設置している生活支援相談員が災害公営住宅を戸別に訪問し、見守りや相談支援などを行っている。29年4月の生活支援相談員の活動実績によれば、災害公営住宅においては2096世帯を対象にしており、個々の世帯の状況に応じた訪問活動が行われている。また、これまでに災害公営住宅と仮設住宅において、一人暮らしで亡くなられた後に発見された方は、5月末現在、災害公営住宅で13名、仮設住宅で41名となっている。
集会室の利用状況は、団地により異なるものの、自治会が組織されている団地では、住民が主体となり、お茶会等が開催されているほか、自治会が組織されていない団地においても、社協や民間団体等がイベントを開催する等、住民同士の交流を図る場として活用されていると聞いている。県としては、県が整備している災害公営住宅の集会所については、活用が図られるよう、入居者の要望を踏まえながら、机や座布団等の備品を整備すること等により、利用しやすい集会室の整備に努めている。また、入居者の支援に携わる方が、そこで活動できるような事務スペース等も設置している。現時点で支援員の配置はなされていないが、県では、市町村に対し、地域で必要とされる見守り等の支援体制が総合的に確保されるよう、機会を捉えて、被災者支援総合交付金の活用を含め、要請してきたところであり、今後も、引き続き市町村に活用を呼びかけていく。
・大槌町内における災害公営住宅買取のための財産取得について
【斉藤議員】
議案第27号から34号は、大槌町内における災害公営住宅を買い取るための、財産の取得に関し議決を求めるものです。
三枚堂地区、町方地区の8地区において、木造戸建て・長屋の災害公営住宅を整備するものですが、
@公募・選定の事業者による財産取得のメリットは何でしょうか。1戸当たりの取得予定価格はどうなっているでしょうか。
A大和ハウス工業と日本住宅(株)が各4地区で公募による選定事業者となっていますが、選定された主な理由はどうなっているでしょうか。
B今年5月に報告された岩手大学教育学部社会学研究室等の「大槌町災害復興公営住宅入居者調査」によると、災害公営住宅の生活課題として、団地内でのつながりの希薄さ」が第1位で19%、「騒音」が第2位で16.3%となっていました。とくに長屋型の住宅では「騒音」と答えたのが26.4%にもなっています。押入れが真ん中にあるとか、間取りに問題があるのではないかとの声も聞かれますが、こうした実態や問題について把握しているでしょうか。今回取得する予定の災害公営住宅については必要な対策が講じられるでしょうか。
【県土整備部長】
公募・選定による財産取得のメリットだが、応募要件を緩やかにし、戸建て住宅等における民間事業者のノウハウや自由な提案を生かすことができる方式であること、また事業者選定にかかる諸手続や受発注者双方の工事管理等を効率化することにより、完成までの期間を短縮することができるというメリットがあると考える。一戸当たりの取得価格は、応募提案書に記載のある金額だが、戸建て3DKタイプで約2000万円となっている。
事業差選定の理由は、買い取り事業にかかる事業者の選定は、提案価格のほかに、工事の工程計画や住戸の配置計画および将来の維持管理のしやすさ等の評価を加えた総合評価により選定することにしている。今回の選定事業者からは、事業全体の工期の短さと実行の確実性、住環境に配慮した配置計画、省エネやメンテナンス容易性に配慮した外壁、県産材利用や行事参加等の地域貢献等に関する優れた提案があり、これらの事項を評価して事業者を選定している。
騒音対策については、長屋タイプのものについては県は管理していないので、直接住民から声をうかがってはいないが、議員ご指摘の岩手大学が実施した調査については承知している。今回の買い取り事業で選定された事業者については、騒音について、住戸間の遮音性を高めた仕様であったり、住戸間の壁の部分に収納等を配置し隣戸への騒音に配慮したプラン等の提案をしており、今回取得する住宅については、遮音性について配慮されたものになると考えている。
・主要地方道重茂半島線堀内・津軽石地区道路改良工事の変更請負契約について
【斉藤議員】
議案第19号は、主要地方道重茂半島線堀内・津軽石地区道路改良工事の変更請負契約に関し議決を求めるものです。
@ 変更の具体的な内容はどうなっているでしょうか。
A 4億2213万円余の工事費の増額となっていますが、工期は、今年7月20日から9月15日までと57日の延長となっていますが大丈夫でしょうか。すでに増額を見込んだ工事となっていたのではないでしょうか。
B この工事全体の完了の見通しはどうなっているでしょうか。
【県土整備部長】
変更の具体的内容だが、新たに用地取得できた範囲を工事に追加すること、隣接工事との調整により、橋台工1基を減工とすること、地盤改良工の範囲を増とすることである。
工期内の完了については、残っている工事については、機械施工による盛り土が主体であり、一般交通の影響を受けない比較的施工条件の良い状態での施工になるので、工期内に完成できるものと考えている。
また今回の変更内容は、全て当初契約後に明らかになった事柄に対応するものである。
今回の主な変更内容である地盤対策工の追加については、工事を進めていく中で、土壌条件を確認しながら実施しているが、2割以上の増額となることについては、今年の3月に判明している。この中で、工期の延伸を最小限にする、復興事業としての完成をしっかり予定通りにする、現場作業を中断させないということを考えた中で、変更内容にかかる工事の一部については先行して実施させていただいている。
堀内・津軽石地区の全体の完了見通しだが、隣接する工事についても全て契約済または現在発注手続き中であり、平成30年度の完成に向けて予定通り進捗している。
・一般県道大ヶ生徳田線(仮称)徳田橋工事の請負契約について
【斉藤議員】
議案第21号は、一般県道大ヶ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第一工区)工事の請負契約議案です。
@ 徳田橋の具体的な工事に着手することになると思いますが、今回の工事の内容と、総事業費とこれまでの進捗状況はどうなっているでしょうか。
A 徳田橋工事の今後の工事と完成の見通しはどうなっているでしょうか。
【県土整備部長】
これは徳田橋架け替えにともなう最初の工事である。基礎工および橋脚工の2基の施工事を行うものである。
徳田橋の全体事業費は約65億円を見込んでいる。23年度に着手し、これまで測量・設計・用地補償等を進めてきており、28年度末における事業進捗は事業費ベースで14億円・21%となっている。
来年度以降、順次残り5基の下部工を進め、31年度から上部工の製作に着手する予定としており、完成目標としては30年代前半の供用を目指して鋭意工事を進めていきたい。
≪再質問≫
・災害公営住宅の集会所、支援員の配置について
【斉藤議員】
両石のアパートも集会所が整備されると。今までの災害公営住宅にも集会所と支援員の事務室が整備されている。これは阪神大震災の教訓で、コミュニティの確立のために、今までの公営住宅よりも広く充実したものが整備されている。残念ながら支援員が配置されていない。実際に、集会所は週に1回活用されれば良い方というのが実態、全体とすればもっと少ない。仮設住宅で、集会所・談話室が被災者のコミュニティの核になったと。また支援員がそこで大変な役割を果たしスキルを高めた経験を災害公営住宅でも生かす必要がある。
大槌町の災害公営住宅の調査では、全部を対象にした調査である。驚いたのは、騒音の問題が長屋では26%にも達すると。これは設計上の問題ではないかと思うぐらいの結果だった。そういうことがないようにきちんと対応してほしい。もっと切実だったのは、「団地内でのつながりの希薄さ」が一番多かった。被災者の皆さんは、家を流され、避難所で数ヶ月生活し、その後仮設住宅に、それから災害公営住宅と、2度3度と築いたコミュニティが崩壊して新たにコミュニティをつくっている。もう一方で高齢化の問題があり、高齢者世帯が6割、一人暮らし高齢者は3割である。そして災害公営住宅ですでに13人孤独死している。こういうことからいったら、集会所の活用、支援員の配置にもっと真剣に取り組むべきである。なぜこれが進まないのか、その課題と対応について改めてお聞きしたい。
騒音対策は具体的にどういう対策がとられているのかも改めてお聞きしたい。
【復興局長】
支援員の配置については、市町村が設置しているものであり、県としては、それぞれの団地の状況を踏まえながら適切な対応をとるよう要請している。また、災害公営住宅等のコミュニティ支援のために、昨年度から災害公営住宅コミュニティ形成支援事業を実施しているところであり、今年度新たに被災地コミュニティ支援コーディネート事業ということで先駆的な、モデル的な取り組みに対して支援し、その展開を図るなどの取り組みを進めている。
【県土整備部長】
災害公営住宅の遮音性については、一般的に建築基準法に必要な遮音性能というのが定められており、これについては当然守るということで造られる。
今回のものについて具体的に申し上げると、壁の中にロックウール吸音材というものを入れたり、空洞のあるようなスタンドというものを埋め込んでいたり、吸音材をはさむ強化石膏ボード、こういったものでやることで、建築基準法で定められているものに+αでさらに遮音性の高い壁で提案している。
それから、住戸配置のプランの中で、壁のところに収納スペースを間に挟むということで、住戸間の遮音性を高めるとか、こういった事業者からの提案を尊重しながら公営住宅の遮音性についても確保していきたい。