2017年8月1日 商工文教委員会
来年度県立学校の編成に対する質疑(大要)


・平成30年度県立学校の編成の提案について

【斉藤委員】
 はじめに、今日のこの提案が「岩手県教育委員会」となっているが、教育委員会議でどのように協議されたのか。「教育委員会事務局」の提案ではないかと思うが、正確に答えていただきたい。

【高校改革課長】
 教育委員会の方も、各委員にお話した上で提案しているものである。

【斉藤委員】
 正確ではないと思う。教育委員会議の議題になっていない。どこに諮ったのか。正確にお願いしたい。

【教育長】
 最終的な意思決定については、教育委員会議で議案として提出して決定すると。規則改正という形で行うということである。
 本日の提案については、ご指摘の通り、まだ教育委員会としての意思決定をしていない段階であるので、お話をお聞きした上で判断すると、教育委員会事務局としての判断ということでご説明するということが適切な対応だと思っており、そのように訂正させていただきたい。

【斉藤委員】
 ここは大事なところなので、案の段階でも、教育委員会議で議論して提案すべきだと思う。そして県議会での議論や県民・市町村の意見を聞くような、最終的には教育委員会議で決定するというのが一番分かりやすいプロセスだと思う。
 結局、教育委員協議会で説明して提案している。それは教育委員会ではなく、今日の場合は「教育委員会事務局」という形でないと正確ではない。

・県立葛巻高校の学級減の見直しについて

【斉藤委員】
 それで、葛巻高校については、学級減が延期されたことは評価したい。前回の委員会でも取り上げたが、葛巻高校に訪問し、葛巻町の取り組みも聞いて紹介した。それを踏まえて、勉強されたということは評価したいが、結局1年延期と。そうすると、来年また学級減が課題になってくる。一度計画が決まるとそれを見直すのは大変なのではないか。できれば、葛巻町も言っているように、中長期のスパンで考えてほしいと。1年ごとにシビアな議論をしなくてはならないのは地域にとっては大変切ないことで、教育というのはそういうことではないのではないか。30年度は地元の中学校の卒業生も若干増えるということもあり、延期するのはある意味合理的で根拠のある話。ただまた1年後…ということになると、毎年地元や当該校はそれだけで苦労してしまう。こういう努力をしているところには、1年1年ということではなく、もう少し余裕を持った計画にすべきではないか。

【教育長】
 新たな高校再編計画の策定プロセスについては、丁寧な対応をしつつ、さまざまな事情を踏まえて、これまでの再編計画とは大きく違う内容での前期プランを示させていただいたと。いわばこれは、最低限必要な見直しだというような思いで、そしてまた設置者として、それぞれの地域からの思い、「できるだけ今の状況を変えてほしくない」という思いを感じつつも、設置者としての責任、経営資源をどのように活用していくか、やはりそういう考え方もしっかり果たしていくことが必要だという中で、さまざまな検討をした上で前期プランを示させていただいたということであり、今回そのプランの内容―1年延期したというのは、これはそれを動かす大きな力があったこそということでご理解いただきたい。そしてまた、その動きが将来的にも持続するというような方向になれば、後期プランの中でまた検討するが、大きなうねりに現段階でなっていないという中では、こういう対応が地域の思いに最大限配慮する対応ではないかと思うのでご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 学級減の計画が延期されたことは評価するし、延期させるだけの当該校の取り組みや自治体の取り組みがあったと。この努力と取り組みはかなり継続的な効果を発揮するものではないかと率直に思っている。
 山村留学は3学年で6人、地元は「通学可能な町場に学生寮を整備する」という方向も出しているので、さらにこの取り組みも定着していくのではないかと思う。
 何よりも葛巻高校がこのような成果を上げることができたのは、高校として進学でも就職でもしっかり成果を上げたことが大きかったと思う。国公立大学に希望者8名全員が合格し、それには町の支援があり、大学進学希望者に対し夏休みに一週間ゼミの受講を支援すると。いま町は、学習塾を学校の中に整備し、全体としても教育水準を上げる取り組みを検討しているようなので、注目していきたい。

・雫石高校の学級減について

【斉藤委員】
 これは計画になかったことである。それだけに、慎重に扱うべきことだと思う。根拠にされた県立高等学校の管理運営に関する規則の第3条2項には「不足する数が1学級の収容定員以上であるときは、別表1から別表3までかかげる学級数を減ずることがある」と。「減ずることがある」ということで、自動的に減ずるとはなっていない。わずか2ヶ年、たしかにそのような減になったが、自動的に学級減にするという規定ではない。ましてや、高校再編計画になかったことなので、こういう形で減ずる場合にはもっと慎重に、そして地元の努力・取り組みをきちんと進めながら対応することが筋ではないか。なぜ高校再編計画で学級減の計画になかったかというと、それなりに地域で維持できる学校だからである。中学校の卒業生もある。だから、本来なら地域で存続できる学校である。そうなっていないところに、今の県立高校の問題があると思う。維持できなくなったから学級減ではなく、維持できる高校として自治体や地域とも協力しながら存続させるという高校のあり方を追及すべきではないか。

【高校改革課長】
 再編計画にはないというご指摘はその通りで、それは町内の中学校卒業予定者数の状況や、これまでの入学状況を勘案してそうした計画にしたということである。今回お示しした通り、今年度の入学者が少なかったということの他に、過去3年間でも非常に厳しい状況にあり、27年度は31人の欠員、28年度は40人の欠員、29年度は55人の欠員ということである。ご指摘の通り、管理運営規則は自動的に減ずるものではないので、そこは慎重に判断を検討してきており、雫石町教委とも何度か議論してきた。その中でも、特にも町内の進学者の割合が今年度10.5%と非常に低く、要因としては、交通の便が良く盛岡に行きやすいと。町内から二十数校にわたって進学している状況があり、それらを考えると、機械的ということではなく、今後の状況等を想定するとなかなか2学級維持は難しいということである。
 維持できる高校が維持できなくなってしまうというご指摘については、高校がそれぞれ今魅力づくりに取り組んでいるので、そういった中で魅力を高めて、地域に学校があるということを分かっていただいて、少しでも進学者がそこに集まるようにということをこれからも進めていきたい。

【斉藤委員】
 1つは、管理運営規則では、自動的に学級減にするものではないということ。だから計画にないものをやるときには、わずか2年でそうなったということで学級減すべきではない。
 いろんな問題があると思う。盛岡にたくさん高校があって、交通の便が比較的良いと。だとしたら盛岡一極集中ではないかと。一極集中を見直さなければいけないのではないかという議論がある。だいたい周辺の首長はそういう意見である。雫石高校が地域にとって魅力ある高校にどう育てるか。もう1つ、盛岡一極集中ということがあるのだとすれば、そこの是正も一緒に考えないといけないと思う。
 1年2年で大きく変えることは難しいと思う。それだけに、管理運営規則にあっても、対応が拙速ではないか。
 花泉高校の問題を取り上げたときもそうだったが、拙速に提案されて、年度末ぎりぎりまで延期していただいたが、2学級規模の定員、半年ではできなかった。しかし翌年は定員を超える応募者があった。あと1年、そういう地域の取り組みが行われれば花泉高校も2学級維持できたと思っている。それだけに、1年2年そういう取り組みが地域にとって行われるような、慎重で猶予ある対応を検討すべきではないか。

【教育長】
 管理運営規則の規定については、これは単年度で40人以上の欠員が生じた場合に運用できるような規定であり、今回の提案は、2年連続で、そしてそれ以前の状況等を踏まえた上で、総合的に判断して学級減したいという新たな考え方ということであり、その規定から自動的に学級減というものではないとご理解いただきたい。
 それぞれの学校のあり方については、地域の皆さんさまざまな思いがある。盛岡一極集中の話もあったが、そういう声の中で、かつて盛岡一・三・四高の進学校を中心に学級減を行った経緯があり、ただ反射的にそれに対し「子どもたちの選択肢を狭める」という批判もあった。それぞれ地域にとっても、選択肢を準備してほしいという声もあり、花泉高校の経験から見ると、学校関係者、直接の保護者以外の方々が学級を残してほしいと、それが学校の思いと保護者の思いが通じなかったということ等さまざまな意見がある。
 いずれ学級数のあり方、学校のあり方については、現在前期のビジョンを示しているわけで、後期の中で学校のあり方等を含めて総合的に検討していきたい。

【斉藤委員】
 これは今日は「案」の議論で、再編計画になかったものを見直してやるといった場合には、葛巻高校の場合にもかなり慎重な検討がされたと。そして雫石高校の場合には、ハクセル議員が議会では取り上げてきたが、計画になかった段階での議論なので、もっと慎重に。
 高校再編計画の精神は、やはり地域と結びついた高校、地域に貢献できる高校をどうつくっていくかということが1つの大事なテーマだった。それが東日本大震災津波からの教訓として議論され、検討され、盛り込まれた再編計画である。だとすれば、地域の中で県立高校はどうあるべきか。葛巻や岩泉のような交通の制約があるようなところは、自治体が「自分たちの高校」という意識で取り組んでいる。もちろん当該高校も頑張っている。ただ、本線沿いの高校となると難しい。ある意味では中学生に選択肢が多くある。県立高校も多いし私立高校もある。そういう中で、雫石や沼宮内、これから前沢も問題になってくるが、本線沿いだが地域になくてはならない高校を、どう維持・存続するかという観点で、数が減ったから―というのではなく、地域と結びついた高校をどう育んでいくのか。
 中学校卒業生の客観的状況からいけば維持できる。だから計画に盛り込まなかった。そういうところをどうするかと、そこは県教委の知恵が必要で、あとは自治体・地域との強力な連携が必要ではないか。

【教育長】
 委員の考え方については、私もその通りだと思っている。そしてご理解いただきたいのは、それぞれの学校が地域とともに、いま入学している生徒、いずれ社会に出る、一人一人に寄り添った教育を行うことにより、良い教育をしていこうと日々頑張っているという中で、市町村との連携をさらに深めることにより学ぶ環境は育っていくという考え方で、それぞれの学校・教育委員会として取り組んでいるということでご理解いただきたい。
 いずれ高校のあり方については、県教委としての考えをしっかり持ち合わせていくのは大事であり、そのような考え方の下に、高校再編は各年度で判断するということではなく、中長期的なビジョンを持ちながら、考え方をしっかりした上で取り組むべきだということで、高校再編計画、前期後期のプランに基づいて行おうということで、県民の皆さんとさまざまな議論を行ってきている。今後も丁寧に対応していきたい。

・1学級規模の高校の教員数について

【斉藤委員】
 2学級から1学級になるということが、学級減以上に高校の存続に関わる問題である。それだけ学校・自治体が危機感を持っている。
 さきほど県立学校人事課長は、1学級減れば教員は2名減というおおよその目安を示したが、そんな単純な話ではないと思う。1学級減が3年間続いて、2学級規模の高校がなかったら先生は半分に減るのではないか。

【県立学校人事課長】
 現在、1学級3学年の高校が4校あるが、2学級時と比べ、必ずしも2人×3学年=6人が減っているわけではない。おおよそ、2学級時は20名程度だったのが、1学級規模になり14名程度になっている。それは、非常勤講師をより多く配置したことによるものである。

【斉藤委員】
 そうすると正規の教員は半分に減るということになるか。

【県立学校人事課長】
 半分には減らず、18、19名、多いところで20名程度から14、15名になるので、7割程度になるということである。

【斉藤委員】
 あとで正確な資料をいただきたい。当該の校長先生も一番心配していることである。課長も葛巻高校にいたので、一番実感を持っていると思うので。
 1学級規模になっても必要な教員を配置して、進学も就職も指導できるような体制が不可欠である。

・種市高校の学級減について

【斉藤委員】
 普通科が学級減の計画になっている。これは計画通りで出ているが、商工文教委員会として先日、種市高校を視察してきたばかりである。それで、本当に海洋開発科は全国区で頑張っているが、普通科も頑張っていることが分かった。英語を使ったさまざまな活動―地元の保育園から小中学校まで出前授業を行い、それから津波防災の取り組みなどもやっている。そういう地域の小中学校との連携を強めているさなかに、今年の入学生は地元の卒業生の23%だったと。これは率直に少ないと思う。町長や副町長、教育長さんに「これが問題ではないか」と指摘したら「50%には高めたい。そして何とか2学級維持したい」ということだった。これも手遅れということになってしまってはいけない。素晴らしい種市高校の海洋開発科だけでなく普通科の取り組み、これが浸透したら町内からの進学率はもっと確実に高まる、そういう魅力ある取り組みをしていると実感してきた。そういう取り組みをどう把握し評価されているか。

【高校改革課長】
 町ができれば維持してほしいという意見を持っていることはその通りであり、ただ一方で、種市高校に進学している生徒の大半は旧町内の生徒だが、その人数が30年3月には大きく減るという状況があり、そうした中で、普通科の欠員も多いということで示している。
 種市高校の海洋開発科の取り組みについては、非常に今年の3月、産学官協定を結び、潜水士の資格を持つ人材を育成しようという取り組みが行われている。そうした取り組みで種市高校の海洋開発科に全国から人が集まるような期待をもっている。

【斉藤委員】
 海洋開発科は今回特に変更はないが、全国から進学できるようにしている。町では学生寮を整備する、管理運営を責任持ってやると。ただ高校の協力は必要だと。県立高校として全国区でそのようにやっているのなら、県教委として学生寮を整備して当たり前ではないか。葛巻高校は、町が山村留学制度を提案したと思うので、町が責任をもって学生寮も確保してやっているが、これは県立高校として全国的な位置づけをしているのなら、もっと県教委が責任をもって学生寮の整備や管理運営、責任ある対応をすべきではないか。

【高校改革課長】
 現在、町の方で予算を確保していると聞いている。内容についてはこれからになってくると思うが、検討する中では県も一緒になって取り組んでいきたいと思っているが、なかなか新しく県が寄宿舎を持つということになると、なかなか難しいとは思うが、現に町で整備しようとしている施設については、さまざまな意見交換する場もあるので、一緒になって取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 海洋開発科も普通科も素晴らしい取り組みをやっている最中で学級減が計画通り―ということで大変残念な思いだが、やはり普通科も海洋開発科との相乗効果というものもあるのではないか。これで良しとは思わないが、そうしたことも含めた慎重な検討をお願いしたい。

・入学者推計と学級減の関係について

【斉藤委員】
 6学級から5学級になるが、入学者推計を見ると増えている。6学級を維持できるような推計なのになぜ学級減になるのか。
 大船渡高校については、今年度は200人で欠員はゼロだが、入学者推計では来年は減るということになっているが、高田高校や大船渡東の方がもっと減る推計である。なぜもっと減るところは手つかずで、これは計画の年次が違うということはあるが、推計と計画にズレがあるのではないか。きちんと微調整する必要があるのではないか。

【高校改革課長】
 一関二については、再編計画をつくる前の話だが、それまでは管理運営規則に基づき40人の欠員があるということを基準にしてきたが、再編計画をつくったときには、計画的にそれを進めていこうということだが、一関二の状況はたしかに29年度は欠員が23ということで多くはないが、両磐ブロック内の状況を見ると、全部で6校あるが、定員が1040に対し888人の入学者ということで152名の欠員があり4学級相当になる。両磐ブロック内の各学校の状況を見ると、一関一以外は人数は大きくないがすべて欠員がある。そうした状況で、ブロック内の入学者の状況についても、再編計画の策定時の27年3月は1222人が今年3月は1143人と推計通りの減少ということで、今後31年度には大東高校、32年度には一関一・一関工と学級減を行う計画になっているので、ここはブロック全体で見た場合の学級調整ということで一関二は考えたものである。
 大船渡高校についても、今年度の欠員はゼロだが、気仙ブロック4校あり、大船渡以外はすべて欠員が生じ、ブロックでは定員640に対し142名の欠員という3学級を超える欠員ということで、今後は30年度は大船渡高校、31年度は大船渡東、32年度は高田という学級減としている。順番については、大船渡東は学科改編が伴うので少し準備期間が必要となっており、高田は、大船渡ももちろん被災が大きかった地域だが、陸前高田市の被災状況ということも考慮してそのような順番にしている。
 高田高校と大船渡高校の関係だが、今年度は大船渡は欠員ゼロだが、高田は56と多くなっている。28年度は大船渡は欠員25、高田は21名の欠員ということで、ここは生徒が行き来している状況があるので、そうしたことも考慮して大船渡高校については再編計画の通り学級減にしたいと考えている。