2017年10月12日 決算特別委員会
議会事務局に対する質疑(大要)
・県議の海外視察の問題について
【斉藤委員】
昨年度・今年度の全国都道府県議会による海外視察の実施状況について示していただきたい。
【議会事務局長】
28年度の状況は、「実施」が本県を含め31道県、「実施せず」が16都府県となっている。
29年度の状況は、8月1日時点で、「実施」が本県を含め29道府県、「実施せず」が7県、「未定」が11都府県となっている。
【斉藤委員】
昨年度は16都府県が実施しなかった。岩手県議会も、平成22〜27年、特に東日本大震災津波以降は、復興の財源に充てるために休止をしてきた。この間の議論でも明らかなように、東日本大震災津波からの復興は、まさに復興途上であり、そしてこれからが正念場だと。これは議会全体の共通認識だが、残念ながら昨年度から公費を使った海外視察が実施され、大変遺憾だと。県民の理解を得られないのではないかと思う。
岩手県議会の海外視察の実施状況について、昨年度・今年度の実績、参加人数、公費負担総額、一人当たりの負担額について示していただきたい。
【議会事務局長】
28年度の実績だが、5月3〜9日まで、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会開会にかかる取り組みおよび成果等に関する調査として、英国を視察しており、派遣議員は12名、派遣費用は旅費・現地通訳料等総額で939万9千円、一人当たり78万3千円となっている。
29年度は、8月20〜26日まで、ILC建設実現に向けた取り組みに関する調査として、スイス等を視察しており、派遣議員は12名、派遣費用は旅費・現地通訳料等総額で1073万1千円、一人当たり89万4千円となっている。
【斉藤委員】
答弁あったように、昨年度は総額939万円余、一人当たり78万3千円。今年は1073万円余、一人当たり89万4千円と、上限90万円ギリギリの海外視察が行われた。
この間、セルンに議員個人として調査に結構行っている。だからそういうことは、議員個人の立場でやってきたし、やれるはずである。海外視察というのは、制度上、県議会議員になれば4年に1回、上限90万円で海外視察ができるという「特権」の問題として、あり方が根本から問われる。ましてや、東日本大震災津波からの復興の途上で、上限90万円という公費を使った視察が本当に必要なのかどうか、精査が必要な課題だと厳しく指摘しておきたい。ぜひ県民の声を聞くような機会を議会事務局に求めたい。
【議会事務局長】
海外行政視察に対する県民の批判の声ということだが、特に機会を設けているものではないが、28年度から海外行政視察が再開した以降に、電話で5件ほど「再開は民意が許さないのではないか」といったような意見があった。29年度のものについては今のところはないが、今後もこうした声があれば、議員の皆様にしっかりお伝えしたいと考えている。
【斉藤委員】
多くの県民には、そういう海外視察に1000万円も使って行っているということを知らない。きちんと県民がこのことについて賛成できるのか、できないのか、把握すべきである。
・政務活動費について
【斉藤委員】
昨年度の実績、返還額はどうなっているか。
【議会事務局長】
議員48人にたいし、1億7856万円を交付し、うち1億4316万円余が執行され、交付額に対する執行率は80.2%となっている。
返還が生じた議員数は40人で、返還額は3539万円となっている。
【斉藤委員】
積極的に県政調査のために、県民要望実現のために使われるべきだと思うが、これだけ残して、公費で海外視察に行くというのも矛盾だと指摘しておきたい。
予算特別委員会でも取り上げたが、政務活動費の領収書のホームページでの公開について、全国の実施状況、県内市町村の実施状況はどうなっているか。
【議会事務局長】
本年10月1日現在、大阪府など8府県において議会のホームページで公開しており、30年度からは、宮城県・東京都など5都県で公開する予定と聞いている。
県内市町村の実施状況は、10月1日現在、盛岡市・一関市など5市町において、領収書をホームページで公開している。
【斉藤委員】
政務活動費について岩手県議会は、全国に先駆けて領収書添付を実施するなど、議会改革では先進県だった。ところが今、どんどん全国で情報公開を進めていると。大変な遅れであり、領収書のホームページでの公開というのは直ちにやるべきである。これは議会改革検討委員会でぜひ早急に検討していただきたい。県内でも5市町でやっているので。
NHKの報道で、議員連盟の繰り越しの問題が指摘された。議員連盟の繰越額の実態はどうなっているか。飲食費を政務活動費に充てるということも指摘されていたが、飲食費を政務活動に充てることができるのか。岩手県議会の基準はどうなっているか。全国ではどう対応をされているか。
【議会事務局長】
議会事務局において、全ての議員連盟の収支決算を把握しているわけではないが、9月29日に放映されたNHKのニュースでは、平成27年度において、22の議員連盟で総額382万円余の繰越金が生じたと報道されている。
飲食費に政務活動費を充てることについては、本県の政務活動費の事務処理マニュアルでは、「会議や研修会等に連続した懇談会経費は、政務活動としての会議や研修会等との一体性・関連性のある場合は、政務活動費を充当することが可能としている。
全国の状況は、本県と同様に飲食費への政務活動費の充当を認めている県と認めていない県があり、実情を詳しく調べていないが、各都道府県で取り扱いが異なる状況となっている。
【斉藤委員】
議員連盟の会費については、政務活動費が充てられていると思うので、382万円余の繰り越しというのは県民の理解を得られない。ただちに改善すべきである。
飲食費については、マニュアルでは一応「連続的な会議・研修の場合は認められる」ということだが、例えば懇談会をやった場合に、茶菓子程度で、そういう弁当代というのは盛岡市議会でも大問題になったことがある。やはり県民に疑念を持たれるようなことは、原則できないということにした方がいいのではないか。
ぜひこの問題については、領収書のホームページでの公開と合わせて、議会改革検討委員会で早急に議論が始まるよう委員長に申し上げたい。
【決算特別委員長】
承りました。
・受動喫煙防止対策について
【斉藤委員】
冬季オリンピック・パラリンピック、そしてラグビーワールドカップ2019が開催されるが、いわゆる受動喫煙防止をオリンピック水準で実施するということが大変大事になっている。
厚労省の基本的な考え方の案によると、官公庁施設は、屋内禁煙、喫煙専用室設置も不可と。これはロンドンオリンピックでも、リオでもこの通り実施されたが、ラグビーワールドカップを開催するためには、こうした方針に基づいて、県議会が先頭になって屋内禁煙という対応をとることが必要ではないか。
【議会事務局長】
3月1日に厚労省から、受動喫煙防止対策の強化についての基本的な考え方の案が公布されたが、その後法案等の詳細については示されていない状況だと担当課から聞いている。
今後、厚労省の案の通りに法案等が決まった場合には、官公庁施設は建物内禁煙で喫煙専用室設置も不可となることから、国の動向や全国の都道府県議会の対応状況なども踏まえ、岩手県議会としての対応について、議員間で検討していく必要があるものと考えている。
【斉藤委員】
オリンピック・ラグビーワールドカップもそうだが、スモークフリーの社会が目標になっている。
受動喫煙防止の現状は、喫煙により年間1万5千人が死亡しているというのが厚労省の推計である。これは交通事故死の3倍である。ラグビーワールドカップを岩手で成功させるためにも、本当に厚労省待ちにならずにそうした検討を進めていく必要があるのではないかと思う。