2017年10月12日 決算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)


・震災復興分、台風10号豪雨災害分の決算等について

【斉藤委員】
 昨年度決算総額と震災復興分、台風10号対策分、繰越額、構成比はどうだったか。

【財政課総括課長】
 昨年度普通会計決算だが、歳出総額は1兆111億円余、うち震災復興分は3654億円余で、総額に対する割合は36.1%である。
 台風10号豪雨災害対策分については、28年度補正予算等において最終的に501億円余を措置しているが、その多くを29年度以降への繰越事業としている。決算額としては、それぞれ、救助費で27億円余、中小企業災害復旧資金貸付金で16億円余、台風第10号特定被災地域復旧緊急交付金8億円余などを計上している。
 繰越額は、一般会計の繰越額2824億円あるが、震災対応分は2053億円余で繰越額の72.7%、台風10号豪雨災害分は361億円余で繰越額の12.8%。通常分は、これは国の経済対策対応分などもあるが、409億円余で繰越額の14.5%となっている。

【斉藤委員】
 震災対応分が36.1%を占め、繰越額も2000億円を超えると。引き続き東日本大震災津波の復興が県政の最大課題だということを浮き彫りにしている。
 台風10号豪雨災害は、かなりの規模が今年度に繰り越されているので、今年度も大事な取り組みになっている。

・台風10号豪雨災害の検証結果に基づく取り組みについて

【斉藤委員】
 3つの分科会をつくり、かなり真剣な検証が行われ、報告書が作成され、必要な対策がとられてきたと思うが、主な対策、取り組みはどうなっているか。

【総合防災室長】
 お話あった通り、3つの分科会を設け、報告書を取りまとめ、3月に地域防災計画に反映させていただいた。
 具体的には、1つは、北上川上流地域・沿岸地域・県北地域において、洪水減災対策協議会を設け、河川改修や砂防川堤などのハード対策、水位周知河川や土砂災害警戒区域の計画的な指定といったものの一体的な推進、気象台・河川管理者・有識者などで構成する風水害対策支援チームを設置し、台風接近時の避難勧告等の発令や、避難所開設にかかる市町村への助言、市町村への災害対応にかかる研修の実施、要配慮者利用施設における非常災害対策計画の策定支援といったものに取り組んでいる。
 今後においても、検証結果を踏まえた取り組みを着実に進め、地域防災力の強化を図っていきたい。

【斉藤委員】
 風水害対策支援チームがつくられ、私も参加したが、8月末の岩手県総合防災訓練でもこのチームが参加した。そしてその後、台風18号災害で初めて風水害対策支援チームが対応され、かなり早い対応が市町村でされたのではないか。台風18号が来る前日に、岩泉町に行っていたが、震災復興の会議で岩泉町の総務課長さんが講演で、「避難準備情報が出ていて、この会場が避難所になっているので早く終わってほしい」という話もされ、大変素早い対応が行われたと感じているが、風水害対策支援チームの取り組みはどうだったか。今後の課題は何か。

【総合防災室長】
 これまでの取り組みとしては、台風等が接近した場合のタイムラインを作成したり、チーム構成員による市町村職員への研修会を実施した。また、県の総合防災訓練の一環として、支援員を招集し、市町村への助言内容の検討といったものの訓練を行った。
 9月の台風18号接近時に、実災害で初めてチームを招集し、市町村に対して早めの警戒態勢の確立、明るい時間帯の避難勧告等の発令について助言を行った。これを受け、県内18市町村で、実際の気象警報発表前に警戒態勢を確立し、避難所を開設した。こういったことから、チームでの検討、県から市町村への助言に一定の効果があったものと考えている。
 いずれ、まだ実例が1つしかないので、その判断はまだ出てこないわけだが、今後においても訓練や意見交換、実例などを重ねて、災害時における風水害対策支援チームの効果的な運用を図っていきたい。

【斉藤委員】
 風水害対策支援チームは、気象台や国交省の担当者、学識経験者などで構成されているようだが、集団的に結論を出して県の総務部長が市町村に助言するという仕組みになっている。その点はスムーズにいっているのか。

【総合防災室長】
 避難情報を出すのは市町村の権限なので、これに対して助言を行うのはやはり県だろうと。県の責任のある者からの助言が必要だろうということで、総務部長からということで助言をしているが、それを裏付けるものとして風水害対策支援チームでの議論の結論が生かされたものと考えている。

【斉藤委員】
 総務部長が伝える助言・指導の対象は、各首長ということになるか。

【総合防災室長】
 首長やそれに準じる方の電話番号を聞いており、そこに対して連絡するという形が基本である。
 今回の台風18号については、全市町村に対する通知だったので、まずFAXで各首長宛に流し、電話で確認させていただいている。

【斉藤委員】
 台風の場合には、進路や到達時間など分かるので、こういう対応が可能だと思うので、この取り組みを生かしていただきたい。
 現場では、避難準備情報、今は要援護高齢者は直ちに避難ということになる。避難対策が大変大事だと。要援護高齢者の場合は、障がい者や寝たきりの方、介護が必要の方さまざまいる。実際に岩泉の現場に行ってみて、あの老健施設は、寝たきりの方々は垂直避難、一定動ける方々は避難場所へと、これはこれで合理性があると思うが、グループホームのように、平屋の場合には基本的に避難場所へ移動となると思う。これは自力だけではできないので、消防団や地元の住民の方々の協力体制、実際の訓練がないと生かされない。このような弱者の方々が、広い体育館での避難生活が耐えられるかという問題もある。こういう方々の福祉避難所というようになるのか。介護が必要な方々が安心して避難できる避難場所の設定ということも具体的に考える必要があるのではないか。

【総合防災室長】
 防災会議の幹事会のもとに開かれた1つの分科会に「社会福祉施設等防災分科会」だった。施設入所者が円滑に避難できるよう避難計画の作成、あるいは地域ぐるみでの避難訓練の実施といったものについて報告書を取りまとめ、県の地域防災計画にも盛り込んだところである。これをしっかり進めるため、今年度各施設でまず避難計画の作成が進むよう、国・県・久慈市によるチームが、久慈市の高齢者グループホームにおける避難計画の作成を支援した。この施設の計画の概要や計画作成のポイントは、事例集ということで全国に照会されている。
 今後においても、関係部局と連携しながら、要援護者の避難対策に、これは避難後の生活についても含まれると思うが、取り組んでいきたい。

・入札問題について

【斉藤委員】
 盛岡の建設業者との懇談の場で、岩手県内では、県外大手の受注件数・額が多いという指摘があり、調べてみたが、福島の場合は、圧倒的に県内企業に受注し、受注額も90数パーセントを超えるという実態だった。
 岩手県の県内企業の受注件数・額、福島県の受注件数・額、率も含めて示していただきたい。そしてなぜそうした違いが出るのか。

【入札課長】
 平成26年からの3ヶ年で見ると、本県の県内企業の受注件数は、26年度1450件、27年度1316件、28年度1196件であり、全受注件数に占める割合は、26年度91.4%、27年度91.9%、28年度93.7%となっている。受注額は、26年度は約1093億円、27年度は約933億円、28年度が約852億円で、全受注額に占める割合は、26年度65.5%、27年度63.8%、28年度81.7%となっている。
 福島県の状況については、県内企業の受注件数は、26年度1795件、27年度1772件、28年度1946件。全受注件数に占める割合は、26年度96.3%、27年度96.6%、28年度96.9%となっている。受注額は、26年度は約1732億円、27年度は約1676億円、28年度が約1532億円で、全受注額に占める割合は、26年度90.9%、27年度91.8%、28年度89.9%となっている。
 福島県との違いについては、本県では東日本大震災津波による復旧・復興工事の本格化にともない、工事の増加に加え、入札不調が続いたことから、復旧・復興工事の円滑な施工を推進するため、県内全域の参入見込みが1者に満たない工事や、過去の同種工事での応札者の実績が少ない工事については、特例により地域要件を付さないこととしており、このことにより県内企業の参入が可能となり、県内企業の受注割合が高くなっているものと考えられる。
 入札方針については、それぞれ発注方式や入札条件等異なるので一概に比較はできないが、福島県においても、入札不調の発生は見られるものの、特殊な工事を除き、参入条件を県外に広げることなく、実態として県内企業で対応できていると見ている。

【斉藤委員】
 実態としては、特に受注額で見ると、60%台と90%台ということで大きく差がついている。私が聞いている範囲では、福島県の場合は、地域貢献というのが、総合落札方式の場合に、全体で20点ぐらいの評価の割合が高いのではないか。地域貢献という形で、地元企業が参入する割合が高くなっているのではないか。ぜひ県としても研究して改善をしていただきたい。我々がやれるのに県外業者が仕事をとっているというのが実際に働いている建設業者の話なので。

【入札課長】
 県営建設工事の発注にあたっては、元々県内企業で施工可能な工事については、県内企業への発注を基本としているが、現在は特例期間中であるということをご理解いただきたい。
 福島県の総合評価方式の項目を見ると、たしかに企業の地域社会に対する貢献度の評価が高く設定されているようだが、それぞれ入札制度については各県の実情において制度設計されており、算定項目や算定式が異なっている。一つの制度の作り方として、福島県の事例も比較検討していきたい。

・県職員の長時間労働の是正について

【斉藤委員】
 月80時間、100時間を超える実態はどうなっているか。

【人事課総括課長】
 28年度において、月80時間を超える超過勤務を行った職員は延べ1007人、うち月100時間を超過勤務を行った職員は延べ453人となっている。
 月80時間を超える超過勤務については、延べ人数で40代の426人がもっとも多く、30代324人、20代159人となっており、うち月100時間を超える超過勤務については、40代191人、30代155人、20代66人となっている。

【斉藤委員】
 昨年は国体などがあったにしても、本当に過労死が起きても不思議ではない。一番多いのが、働き盛り・子育て世代の30代40代である。知事は「イクボス宣言」をしているが、これではイクボス宣言にならないのではないか。
 具体的な解消策・改善策はどうなっているか。

【人事課総括課長】
 県ではこれまでも超過勤務の縮減に向けて、事前命令と事後確認の徹底や事務分担の見直し、業務支援の活用等を行い、縮減に努めてきたが、ご指摘の子育て世代への支援は、これまで次世代育成支援および女性活躍支援のための特定事業主行動計画がある。この中で、男女を問わず子どもの出産予定がある職員に対する休暇取得、あるいは勤務時間等の希望を踏まえた支援等を行いながら、子育てしやすい職場環境づくりに取り組んでいる。
 また今年度、各所属で業務方針を策定するが、新たに仕事と生活の両立など具体的な方策を記載すると。そして各所属の長のリーダーシップと実情に応じた働き方の見直しなどに取り組むと。それから、先般職員を対象に働き方改革セミナーを開催した。月100時間を超えるような超過勤務をした職員の所属長に対して、人事課が中心となりヒアリングを行い、その中では、事務分担の見直しや業務支援の活用等の改善策を講じるよう努めてきた。
 今年度4月5月6月の状況だが、昨年度比25%の縮減が図られており、引き続き徹底しながらワークライフバランスの実現に努めていきたい。

・Jアラートの問題について

【斉藤委員】
 北朝鮮の弾道ミサイル発射の問題について。無届けでこういうことをするのは絶対に許されないという大前提でお聞きするが、Jアラートが2回発生した。しかしこれは内閣官房で、どういうときにJアラートが鳴るのかというと、「弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性、または領土・領海を通過する可能性がある場合に使用します」と。領土・領空ではなく、上空500kmや800km上を飛んだ。これはJアラートの対象に本来ならないのではないか。そしてその結果、授業が遅れたり、スクールバスが遅れたり、列車が遅れたり、どんな影響があったか。

【防災危機管理監】
 2回のJアラートにおける県内への影響について。人的・物的被害はなかったが、しかし県内の鉄道やバスが一時運転見合わせたことにより、10分〜最大27分の遅れが生じた。これら交通機関の遅れにより、いくつかの小中学校では始業時間を1時間ないし2時間遅らせる等の影響があった。Jアラートを受信した住民の中には、「どこへ逃げたらいいか分からない」「とるべき行動が分からない」等の声もあり、不安を感じた方もいると聞いている。これについては、Jアラートの正しい理解、正しい行動を生むということから、引き続き弾道ミサイル落下時の行動を県民に周知する、不安の解消に努めていく。
 日本の領空ではないところをミサイルに対してJアラートを発するのはどうかということだが、内閣官房では、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性または領土・領海を通過する可能性がある場合にJアラートを使用しているということで、委員のおっしゃる通りである。その中で、高高度を飛翔する弾道ミサイルが領空侵犯にあたるか否かの議論があるのは認知しているが、万が一ミサイルの不具合で我が国に落下したり、ミサイルの一部分が落下する可能性もあることから、国民の生命・財産を守るためJアラートを使用していると認識している。よって、Jアラートは緊急事態の発生を住民に伝え、迅速な避難行動を促すことを目的としていることから、その趣旨については周知したい。

【斉藤委員】
 本当はJアラートの対象にならない。領空権は100kmであり、500km・800km上空を飛んでいる。10分間で落下する。5分じっとしていれば何事にもならない。そういうのは専門家ならすぐ分かるはずである。それをJアラートを発して国民に不安を広げて、授業時間が遅れる、スクールバスも遅れる。隣の韓国だってこんなことはしていない。
 本当にこのJアラートは国民の不安をあおるだけではないか。

・オスプレイの飛行問題について

【斉藤委員】
 本当に一番危ないのは米軍機である。昨日も墜落した。この墜落した米軍機は、沖縄国際大学に墜落した米軍機である。
 オスプレイは何度も墜落事故を起こしている。無届けで東北の上空を飛んでいる。このオスプレイの飛行、2018年1〜3月にかけて岩手・東北で日米共同訓練を行おうとしている。こんな危険なオスプレイの飛行については、これまでの知事の言明に基づいて、きちんと反対だと、県民の安全を守れと対応すべきではないか。

【総合防災室長】
 本年4月に、防衛省・平成29年度における米軍オスプレイ等の沖縄県外への訓練移転にあたり実働訓練を実施すると。第四四半期に陸上自衛隊東北方面隊とアメリカ海兵隊との共同訓練が行われる計画であるということを公表している。訓練計画の概要について、決まり次第関係自治体等に伝えるということとされたことから、県では、防衛省・東北防衛局に具体の日時や訓練場所・規模等詳細を早急に明らかにするよう求めてきた。県としては、引き続き訓練の計画について情報収集に努めるとともに、防衛省にたいし、オスプレイの安全性についてやはり県民に不安があるので、丁寧な説明を行い、不安払拭に十分努めるよう求めていきたい。

【斉藤委員】
 昨日墜落した大型輸送ヘリは、小学校からわずか2キロだった。本当に重大事故が発生しかねない。オスプレイの事故ではたくさんの死者が出ているが、2000年4月にアリゾナ州で墜落し19人が死亡した事故について、先日、アメリカの共和党の下院議員が連邦地裁に訴えを起こした。操縦ミスではなく、構造上の欠陥があると国防総省が認めたというニュースがあった。オスプレイの問題については、しっかりこういうことを踏まえて対応していただきたい。

【総務部長】
 オスプレイの安全性について、県民に依然として不安や懸念があるということで、これまでも、十分な説明を行い不安を払拭するよう県から国に対し申し入れを行ってきたところである。具体的には、知事から東北防衛局長に、事務方でも防衛局幹部にたいし機会あるごとにそういった申し入れをしている。
 ご指摘の訓練については、今年第四四半期にあるということも事前に計画は示されているが、具体の日程等が判明した際も、そこはきちんと申し入れをしていきたい。