2017年10月13日 決算特別委員会
復興局に対する質疑(大要)
・住宅再建支援策の期限延長について
【斉藤委員】
被災者生活再建支援金の延長を求める取り組みについて総括質疑で質問し、昨年12月に協議を始めて12月中に延長が決まったと。今年は9月に協議を始めたがいろんな資料を求められて進んでいないと。この具体的な見通しを示していただきたい。どんな資料を求められて、その資料は集まっているのかどうか。なぜこんなに時間がかかっているのか。
それから出たばかりの住宅再建のしおりについて、ホームページでしか出していないということなので、補強するところはしっかり補強していただきたい。例えば、被災者生活再建支援金の申請期限は平成30年4月10日となっており、注釈として「期限までに市町村・県を経由して都道府県会館まで送付されること」とあるが、1年ごとに延長できる、協議中という文言がない。きちんとそういうことをやらないと被災者は不安になるので、ただちに修正していただきたい。
個人版私的整理ガイドラインの活用状況について、これは期限がないと思うがいかがか。
【生活再建課総括課長】
被災者生活再建支援金の協議だが、昨年度より早めに要請したところだが、今年度は時間を要している。具体的には、協議をしている相手方―公益法人都道府県会館から、昨年度は求められなかった資料を求められ、再延長を必要とする理由の精査、すべての申請が完了すると見込まれる時期といったことについて、それぞれの市町村ごとにということで確認を求められており、現在市町村にお願いしている。それを踏まえて回答して協議に努めるということになっている。見通しについては、各地の復興の進展にともない延長が認められるやむを得ない事情の説明が必要ということで時間を要しているが、できるだけ早期に延長決定になるよう説明に努めながら協議を進めていく。
我が家の再建プランのしおりについてだが、県のホームページに掲載しているもので、この内容は確定している内容を掲載しているところである。ご指摘の、被災者生活再建支援金の申請期間が、やむを得ない事情により期間内に申請することができないと認められる場合に、1年を超えない範囲で繰り返し再延長できるとされていることについても、しっかりと被災者に対してホームページでも周知を図り、再延長が決定された場合はすぐに更新するなど周知していきたい。
個人版私的整理ガイドラインだが、これは個人の二重債務問題に対応するために、金融機関や学識経験者等で構成された、個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会により、金融機関・関係団体の自主的な充足として策定され、27年8月から適用されているものであり、これを運用することにより、一定の要件で債務の免除が受けられるものだが、この適用期限については、明示的には設けられていないが、このガイドラインに基づく事務手続きを行っている一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会によると、このガイドラインについては、東日本大震災津波の影響により、それ以前からの債務を返済できない方を対象としたものであるということで、震災からの復興状況等を踏まえるなら、事前の告知を行ったうえで適用を終了することが予定されている、とされているが、適用期限については明示されていない。
【斉藤委員】
個人版私的整理ガイドラインは、東日本大震災津波の対応なので、いつまでもあるというわけではないと思うが、期限がないというので、これまでに361件、協議中が4件なので、1120件の申請に対して32.5%と、申請に対する成立件数が少ないと思うが、引き続き、これから住宅再建を希望する世帯が少なくないので徹底していただきたい。
・商店街の再生とまちづくりについて
【斉藤委員】
被害の大きい大槌・山田・陸前高田などの中心市街地の再生状況はどうなっているか。
仮設店舗の本設移行、仮設店舗の状況、今後の本設移行の状況はどう把握しているか。仮設施設有効活用等助成事業―いわゆる仮設をやめるときに処分費用が助成されるというものだが、これはもう来年度で終わりとなっているが、この延長が必要と考えるがいかがか。
グループ補助金の継続の見通しも含めて示していただきたい。
【産業再生課総括課長】
被害の大きかった市町の復興状況だが、ご承知の通り、山田町では28年11月に「オール」が開業し、陸前高田市では7月に「アバッセあかた」、大船渡市では「キャッセン大船渡」が開業した。やはり大型店舗が開業すると、今まで街のイメージが分からず事業再開に二の足を踏んだりしていた方が「またがんばろう」という気持ちになっている方も多いようで、順次戸建て店舗の整備も進められており、商店街の整備に向けた動きが加速しているところである。
仮設店舗の状況だが、中小機構が整備し市町村に譲渡した仮設店舗に認定している商業サービス業者、今年の3月末現在で517事業者だったのが6月末で394事業者まで減少し、区画整理事業等の進展に伴い、仮設店舗から本設への移行が進んでいるところである。また、被災事業所復興状況調査においては、仮設店舗で営業している事業者のうち、本設再開を予定していると答えた方が今年度は63.4%であり、昨年度は75.8%で12.4ポイント減少している。こちらについては、本設への移行が進んだことにより減少したものと考えている。
仮設施設有効活用等助成事業については、当面30年度末までに事業完了するものということで、28年度に延長の方針が示されたところだが、区画整理事業等の進捗状況により仮設施設の撤去が30年度末ですべて終わるというのは難しい状況なので、助成期間の延長と助成要件適用への柔軟な対応を国に要望している。
グループ補助金についても、今後もまだ活用される方が相当数いると考えられるので、そちらについては、28年度以降も5年間は財源フレームが国の復興財源フレームにおいて、復興の基幹的事業と位置づけられているので、32年度までの一定の枠は確保されているものと認識しているが、こちらについても延長等については引き続き要望していく。
・復興基金、復興交付金事業の活用状況について
【斉藤委員】
復興基金の活用実績、残高、今後も継続が必要な事業とその経費はいくらになっているか。
復興交付金事業について、平成32年度までで特別会計が終わると。復興交付金はこれまで約8000億円が交付されていると思うが、まだまだ復興が続くという状況なので、この点をどのように打開していくのか。
【復興推進課総括課長】
復興基金だが、平成28年度までに計203億円の事業に活用し、うち28年度は約28億円の事業に活用した。残高は28年度末で約100億円、今年度は99億円を執行する予定となっているので、今年度末残高は約51億円となっている。これらの復興基金を充当している事業のうち、住宅再建や中小企業被災資産復旧補助、仮設住宅の共益費など、今後も必要な事業と考えている。
【まちづくり再生課総括課長】
復興交付金については、国の方で32年度で終了となっている。現在、さまざまな工事で遅れが出ているが、工法等の見直しによりできるだけ32年度に終わるように進めている。
【斉藤委員】
復興基金については、必要な事業があるので、現時点でどのぐらいこれから経費が必要になるか。いつまでやれるのかということがあるので。
復興交付金は、32年度までやり切るという格好の良いことではいかない。それは最大限交付されることが望ましいが、復興事業はそんなにうまくいかないのではないか。
【復興推進課総括課長】
復興基金の状況について、庁内で共有し、今後の事業見込みをさらに精査しつつ、他財源・他制度の活用等についても検討していきたい。
【まちづくり再生課総括課長】
県および市町村では、復興創生期間内に事業が完了するよう最大限努力しているが、復興創生期間を超える可能性のある事業については、その要因や事業期間などを把握したうえで国とも協議していく必要があると考えている。