2017年10月13日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・東日本大震災津波行方不明者の捜索活動について
【斉藤委員】
遺族の要望が強い陸前高田市の古川沼の捜索については、今後の捜索の可能性について示していただきたい。
6年7ヶ月が経過したが、今後の捜索活動の方向性はどうなるか。
身元不明者の遺体について、これまでどのぐらい身元が判明し、身元不明はどのぐらいか。どのように保管されているか。
【警備部長】
古川沼の捜索については、平成24年以降、機動隊員による潜水活動、水中探索機を使用した捜索を6回実施している。昨年11月11日の捜索では、海上保安部と連携し、潜水捜索を実施したが、沼底に泥などが堆積し大変困難な捜索環境だった。今年度は、これまでのところ古川沼の水中捜索は実施していないが、9月11日の集中捜索では、古川沼に接続する旧水門工事現場において、重機オペレーターの協力を得て、土砂を掘り起こしての捜索を実施している。今後の捜索について、時期や方法等について自治体・管理者・海上保安部等関係機関と協議・連携のうえで対応していきたい。
今後の捜索の方向性だが、行方不明者ご家族の要望や、防潮堤工事にともなう排水作業などで新たに捜索が可能となる場所が生じていること等も踏まえ、これまでの手段・方法を見直しながら、行方不明者ご本人はもとより、所持品でも発見したいとの思いをもって、海上保安部と関係機関と連携のもと捜索活動を継続していきたい。
【刑事部長】
大震災によるご遺体は、29年9月末までに4672人を収容している。うち4616人・98.8%の身元が判明している。身元が判明していないご遺体は56体ある。県警察ではこれまで、身元を確認するために、行方不明者のご家族やご親族の方々から提供いただいたDNA型資料の鑑定や、似顔絵やご遺体の特徴、所持品等の情報公開などの活動を進めている。その結果、昨年1人の方の身元を確認しており、今年は2人の身元を確認し、ご遺族に引き渡している。
今後の対応だが、平成26年2月以降、これまで沿岸部を中心とした25箇所で、行方不明者を探しておられるご家族等にお集まりいただき、相談会を開催している。行方不明者の情報収集と身元不明者の情報提供を行ってきた。このうち、内陸部で生活されているご家族もおられるので、盛岡市・滝沢市など3箇所でも実施している。県警では、今後もこれらの活動を継続したいと思っており、検察庁の身元確認DNA型対処プログラムというものがあり、これに移行するために全国規模のDNA型照合などの作業をしている。身元の解明を進め、ご遺族に寄り添った身元解明に努めていきたい。
【斉藤委員】
いまだに1123名が行方不明という、大震災津波ならではの被害の深刻さ、今でも遺族の皆さんの心に突き刺さっており、まだ傷が癒えない状況があるので、ぜひ工夫してさまざまな捜索活動を継続していただきたい。
・県警本部職員の超過勤務について
【斉藤委員】
超過勤務と超過勤務手当の支給状況について、支給率も含めてお聞きしたい。不払い分があれば、額でどのぐらいになるか。
【警務部長】
昨年度の警察職員の超過勤務は、月平均一人当たりで22.8時間、支給時間数が20.0時間・約88%となっている。
不払い額については、職員の超過勤務時間数や時間単価には個々に差があるので、一概には算出しかねる。
【斉藤委員】
支給率は88%、総額で14億798万円と出ているので、これで分かるのではないか。
【警務部長】
繰り返しになるが、職員の超過勤務時間数や時間単価には個々に差があるので、一概には算出しかねるところである。
【斉藤委員】
前年が85.3%だったので、徐々にこれが縮小されていることは評価したい。しかし不払い労働というのは違法なことなので、県警が違法なことをやっていてはいけないので、ぜひ全額支給を目指してやっていただきたい。
・捜査報償費について
【斉藤委員】
実績と推移について示していただきたい。減少しているとすればその理由も。
【警務部長】
5年間の決算額で、24年度1234万1千円、25年度1149万円、26年度1067万9千円、27年度1072万4千円、28年度1040万7千円となっている。
増減の要因については、捜査報償費の執行額については、事件の規模・性質・形態・捜査の期間などさまざまな要因によるもので、増減は事件捜査を行った結果であるので、その理由については、個々の捜査内容を明らかにすることにつながることから、答弁は差し控えたい。
【斉藤委員】
5年間確実に減っている。この捜査報償費をなぜ問題にしているかというと、裏金の原資になっているからである。これは指摘される度に減ってきていることが重要である。事件の規模の話ではない。そして28年度は予算額が1660万円で、私は多すぎると指摘し、今年は1300万円に減ったが、厳正にこの捜査報償費の実態、執行について検証すべきだと思う。
・県警幹部の天下りの問題について
【斉藤委員】
昨年度末退職の県警幹部職員の天下り・再就職の状況はどうなっているか。
【警務部長】
警視正以上の警察官の再就職先の合計については、国家公務員法に基づき内閣が公表している。公表では、イオンモール(株)、自動車安全運転センターに再就職している。
警視正以外の幹部職員の状況については、条例に基づき届出があったものを公表しているが、(株)たいよう共済岩手支店、岩手医大付属病院、セゾン(株)岩手統括支社、盛岡ターミナルビル(株)、公益社団法人岩手県防犯協会連合会、一般社団法人岩手県タクシー協会盛岡支部に再就職している。
【斉藤委員】
岩手医大付属病院にまた天下り・再就職があった。そうすると、前の刑事部長も岩手医大に天下っていたが、いま複数岩手医大には天下り・再就職しているということか。
【警務部長】
当時の刑事部長が平成27年4月に岩手医大に再就職した事実について承知している。
【斉藤委員】
県警本部長にお聞きしたい。私はこの間、岩手医大の元看板教授に、週刊文春で愛人が覚せい剤を打たれたと告発した。覚せい剤事件と言ってもいい。しかしこれが捜査された形跡がない。それどころか、捜査の責任者である刑事部長が翌年4月に岩手医大に天下った。こんなことが許されるのかということで私は繰り返し取り上げてきた。県警本部長はこのことについて報告を受けているか。
【警察本部長】
この前の定例会で委員からご質問のあった件については、個別に議事録を回していただき本日に臨んでいる。
【斉藤委員】
知っていると。覚せい剤事件が捜査されなかったのではないか。そして、当時の捜査の責任者が岩手医大に天下ることは事件のもみ消しと言わざるを得ないのではないか。
【警察本部長】
個別の事件の捜査をしているか否か、あるいは捜査状況については今後の捜査に支障を及ぼす恐れがあることから、答弁は差し控えたい。
また、ご指摘の元刑事部長の再就職については、特段問題になるということは把握していない。
【斉藤委員】
覚せい剤事件と言ってもいい、当事者が告発した。その事件が捜査されていたら再就職などできない。なぜそのようなところに再就職できたのか。もみ消ししたということ以外にないのではないか。
さらにまた岩手医大に、病院長顧問として再就職している。これは癒着ではないか。
捜査していたら天下りできないのではないか。一般論でもいいので答えていただきたい。
【警察本部長】
一般論にはなるが、警察としては、法と証拠に基づいて犯罪の嫌疑がある場合には適正に捜査を行っているところである。
これは一般論ではないが、ご指摘の刑事部長による岩手医大への再就職については特段違法・不法な問題は把握していない。
【斉藤委員】
一般論で改めて聞くが、覚せい剤事件が発生した大学に、捜査の責任者の刑事部長が再就職することはあり得るか。
【警察本部長】
お尋ねの事例については、かなり具体的な想定であり、一般論としてお答えすることは困難だと認識している。
【斉藤委員】
結局もみ消して天下った。そしてその癒着が深刻で、今回もまた岩手医大に別の方が甘くだった。これは深刻な癒着だと指摘しなければならない。こういうことがあってはならないし、きちんとやらなければ県警の信頼が地に落ちると思う。
・警察官の不審死について
【斉藤委員】
3月の予算委員会でも取り上げたが、2月10日に行方不明になり、13日に水死体で発見された警察官の捜査、死因はどうなっているか。
【刑事部長】
今年の2月に盛岡市内の北上川で遺体が発見された事案だが、身元確認の結果、当該遺体は本県警察職員だったという事実があった。
その後の捜査だが、足取り等の捜査や死亡原因の捜査など主要な捜査をきっちりと遂げている。事件性や自殺をうかがわせるようなものはなかった。
死因については、検視や司法解剖などを実施しているが、これも主要な捜査を遂げて特定している。しかし捜査の結果、事件性や自殺をうかがわせるようなものはなかった。
なお死因を含めて、捜査の状況については、本人のプライバシーや死者の尊厳に関する内容であるので、答弁は差し控えたい。
【斉藤委員】
今の答弁は矛盾に満ちている。事件性はない、自殺でもない、だったら何なのか。
3月にも指摘したが、頭部は陥没していたのではないか。自殺でなければ何なのか。
【刑事部長】
繰り返しになるが、これまで足取り捜査や主要な捜査はしっかり行っている。事件性や自殺をうかがわせるようなものはなかったということである。
【斉藤委員】
司法解剖されたということだが、頭部に陥没があったのではないか。
【刑事部長】
死因等については、先ほども申し上げた通り、本人のプライバシーや死者の尊厳に関わることであるので、答弁は差し控えたい。
【斉藤委員】
自殺だったら今の答弁は説得力あるが、自殺ではない、事件性もないと。頭部に陥没があったとなれば、事件性があったと言うことが考えられるのではないか。
昨年9月に、簗川大橋から飛び降り自殺した警察官の話も取り上げてきた。平成27年1月にも簗川大橋から飛び降り自殺した警察官がいる。同じ交通規制課の職員である。
そして今指摘している2月10日の警察官も交通規制課の職員ではないか。裏金の問題を苦にして亡くなったか、どうにかなったか。背景にその問題があるので取り上げている。同じ課の職員が3人も亡くなっている。きわめて異常な、深刻な事件ではないか。
【参事官兼首席監察監】
これまでもご答弁申し上げている通り、さまざまなご指摘の疑惑等については、しっかり調査等を行ったうえで、不正はなかったということを確認しており、特段問題はないと思っている。
【斉藤委員】
ここで聞いている皆さんは全然説得力のない答弁だと感じている。交通規制課に関わる3人がこういう形で不審な死を遂げている。
3月の予算委員会では、徹底的にこのことは監査してほしいと述べたが、監査委員にお聞きするが、これは監査されたか。
【監査委員】
いたしておりません。
【斉藤委員】
1つの交通規制課でこういう事件が続発している。裏金の疑惑もある。きちんと監査すべきと改めて指摘しておくのでしっかりやっていただきたい。
・覆面パトカーの飲酒運転事故疑惑について
【斉藤委員】
3月31日に、盛岡市内で覆面パトカーが飲酒運転事故を起こしたことはないか。
【交通部長】
ご指摘の事故はございません。
【斉藤委員】
警察の車両工場で修理されているのではないか。そういう記録も確認したか。
【参事官兼警務課長】
そのような事実はございません。
【斉藤委員】
今日はこれで終わるが、本当に疑惑を持たれるようなこと自身があってはならない。
きちんと県警が自助努力を発揮して、新しい県警本部長の下で県民に信頼される警察活動を進めていただきたい。