2017年10月16日 決算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・地域医療構想と県立病院の位置づけについて
【斉藤委員】
地域医療構想と県立病院の位置づけ・役割はどうなっているか。
【経営管理課総括課長】
岩手県地域医療構想においては、公的病院の役割として、「公立病院をはじめとする公的病院が、広い県土の中で、医療提供体制の確保に大きな役割を果たしている」としている。
医療局としては、地域医療構想の構想区域ごとに設置している地域医療構想調整会議に、各県立病院長が参画しているので、その中で区域内の他の病院の病院長や市町村や社会福祉関係者などから意見を聞いているところであり、地域の目指すべき医療提供体制について十分に理解し地域医療構想に対応していきたい。
・医師確保対策について
【斉藤委員】
経営計画に基づいて、医師の確保の状況はどうなっているか。
奨学金の医師の配置状況については、59人中25人の配置となっているが、猶予されている方々は2年3年の猶予なのかどうか。
一番心配していた専門医制度については、県立病院の連携で対応するということで大変良かったと思っているが、指導医も含めて新たな医師の負担の強化になるのではないか。
【医師支援推進監】
県立病院等経営計画では、各年度末時点での医師数を計画数としており、26年度から30年までの5ヶ年で109名の増員を計画したところである。これまでの計画にたいする実績は、26年度から3ヶ年で75名の増員を計画していたところ、28年度末時点では、当初の減員数と同数であり増員に至っていないことから、大変厳しい状況になっている。
奨学生医師の猶予期間については、6年の猶予が認められており、その間に大学院や専門に進まれたりしながら、再び県立病院で任務を果たしていただくような仕組みになっている。
新専門医制度だが、日本医療専門機構が各方面からの要望等を受け、制度実施を1年延期した。その中で、大学病院以外の医療機関の基幹施設として認定されるように基準が緩和されたところであり、県立病院としても専攻医の要請が行えることになったことから、診療領域ごとに県立病院が連携して研修プログラムを策定した。医師の負担については、このプログラムによって県立病院に臨床研修医等が確保できれば、それぞれの先生方の負担は減っていくものと思っている。
・看護師確保対策について
【斉藤委員】
経営計画に対する確保の状況はどうなっているか。
9日夜勤の実態、年休取得の状況はどうなっているか。どう改善を図るのか。
普通退職の状況と年代、新採用の定員と応募者数・合格者数はどうなっているか。
【職員課総括課長】
経営計画の中の職員配置計画においては、初年度の26年度から29年度までに常勤看護職員定数を128人増員する計画としているが、これまでの実績では計画を10人上回る138人を確保した。
月8回を超える夜勤に従事した看護職員は、28年度においては12病院で延べ782人となっており、28年度と比較し1病院延べ213人増加している。29年度の第一四半期(4〜6月)の実績では、11病院で延べ420人となっており、28年度同時期比で140人増加している。
看護職員の28年度の年次有給休暇の一人当たりの平均取得日数は7.9日となっており、27年に比較し0.1日増加している。
普通退職の状況は、28年度は93名となっており、20代が33名、30代が31名、40代以上が29名となっている。
29年度の採用試験の状況については、5月に実施した職員採用選考試験特別募集においては、27名の採用予定にたいし16名の応募、最終的に11名を採用した。7月に実施した通常試験においては、168名の採用予定にたいし164名の応募、124名の採用内定を行った。
看護職員の体制の確保に向けては、これまでも産前産後休暇や育児休業などの職員の補充を充実させることを進めてきており、引き続き病棟数や夜勤体制などの適正化も進めるとともに、職員のライフスタイルに応える多様な勤務形態の実施をはじめとする勤務環境の改善策を推進することにより、在職者の離職防止と新規採用職員の確保を推進し、さらには県立病院間でのスケールメリットを生かした相互の応援も行うことで、総合的に必要な体制の確保に努めていきたい。
【斉藤委員】
今の答弁で、経営計画を上回る増員はしているが、それでも9日夜勤が昨年度782人、前年度比213人も増えた。今年の四半期も前年度比ですでに140人増えている。夜勤8日以内というのは、今までの看護師さんの歴史的な闘いの到達点である。それがいま崩されているということは本当に大変な事態だと思う。これを本当になくさなければならない。そのための手立てをしっかり考えていただきたい。
そして看護師さんの一番切実な要望は、年休を取りたいということである。いま平均で7.9日ということだが、中央病院の場合は6.4日、磐井病院は6.3日、胆沢病院は6.9日と、三交代勤務しながら、この程度しか取れていない。年休が自由に取れて、子どもたちの運動会などいろんな行事に参加できるような改善を図っていかないと、これから看護師を確保できない。
29年度の採用試験の状況が出されたが、昨年度の通常試験は、採用予定181人にたいし169人の応募、122人の採用で67%しか採用できなかった。これは本当に深刻で、その結果どうなっているかというと、普通退職というのは定年前に辞める方々で、20代・30代で年間64人(68.8%)辞めている。悪循環に陥っている。いくら採用しても、若いこれからの看護師さんが辞めていったら県立病院は維持できない。
看護師の確保に、現状打開に、思い切った手立てをとっていただきたい。
【医療局長】
全国的にかなり看護師が足りない状況にはなっているが、いわゆる仕事を覚えたベテランの看護師が辞めていくのは非常に痛手だと考えており、それが口コミで広まり、県立病院はなかなか大変だから行きたくない、そういうようなことになっても募集人員に関係してくる話で悪循環になってくる。
看護師さんの生活、特に女性の多い職場なので、まさに働き方改革、ライフスタイルに合わせた形での勤務環境を考えていかなければならないと思っている。8日以上の夜勤の話もあるが、仕事柄どうしても緊急の患者さんに対応する場合に、そういったことが出てくることもあろうかと思う。しかし、それが常態化していることが問題だと思っており、そういった中で、看護師さんから話を聞くと、例えば「救急指定の病院以外のところでは逆に三交代だけではなく二交代の方がやりやすい」とおっしゃる看護師さんもいる。そういったいろんなケースがあるので、それぞれの職員のライフスタイルをよく考え、話を聞き、いずれ夜勤の回数は健康にも影響を与えるので、そうした部分の改善を図っていきたい。
・県立病院の消費税の負担について
【斉藤委員】
消費税の10%増税が言われているが、昨年度で4億7357万円の負担を強いられ、総額178億円の負担を県立病院が強いられている。こんなときに10%増税になったら、本当に県立病院に多大な影響が出るのではないか。
【医療局長】
消費税については、私どもも頭を痛めており、その中で県の方からもそれに対応した繰入もいただいているところだが、そうは言ってもこういう経営状態の中でなかなか大変だなと思っている。