2017年10月17日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・台風10号豪雨災害の廃棄物処理について
【斉藤委員】
廃棄物の量と処理状況はどうなっているか。今後の見通しも含めて示していただきたい。
【資源循環推進課総括課長】
台風10号豪雨災害においては、局地激甚災害の指定を受けた宮古市・久慈市・岩泉町が今年度も災害廃棄物の処理を行っており、災害廃棄物量の見込みは10月1日現在で、宮古市約12000トン、久慈市約6000トン、岩泉町約75000トンと聞いている。
処理状況と今後の見通しについては、久慈市においては、9月に災害廃棄物の処理が終了し、当該廃棄物の仮置き場敷地の返還等の手続きを残すのみと聞いている。宮古市は、30年3月の終了を目標としており、可燃ごみなどの処理を終了し、木くずやその他の廃棄物の処理を進めているところと聞いている。岩泉町においては、現在本格的に災害廃棄物の破砕・選別が行われており、可燃ごみなどの処理が進められ、31年3月の処理終了を目指していると聞いている。
【斉藤委員】
3市町の負担額はどうなるか。一般財源になるのか、その他の財源手当があるのか。
【資源循環推進課総括課長】
最終的な自治体の負担額ということだが、宮古市・久慈市・岩泉町の災害廃棄物処理において、補助対象となる処理については、3市町とも局地激甚災害の指定を受けていることから、国庫等の措置を除く災害査定額の4.3%が自治体負担となる見込みである。これについては、被災市町の負担が軽減されるよう国にも要望してきたが実現していない。
よって県としては、効率的な災害廃棄物処理により経費の削減を図り、できる限り市町の負担を軽減できるよう必要な助言をしていきたい。したがい、一般財源での手当になると考えている。
【斉藤委員】
負担額を聞いたので。推計でもいいので示していただきたい。
【資源循環推進課総括課長】
自治体負担額の推計だが、久慈市の査定決定額が約4億4千万円余で、この4.3%ということで1900万円余、宮古市については同様に3億1千万円余の4.3%で1300万円余、岩泉町においては36億6700万円余の4.3%で1億5700万円余と考えている。
【斉藤委員】
岩泉町が災害廃棄物の量が多く、負担額も一番多い。県の支援策が必要だと思うがいかがか。
【資源循環推進課総括課長】
効率的な災害廃棄物処理により、その軽減を図っていくということで、岩泉町の負担軽減をしていきたい。これにともなう必要な助言をしていきたい。
【斉藤委員】
岩泉町の場合は、東日本大震災の10倍近い被害額になっているので、基本は国がきちんとした手当をとることだが、県としても具体的な支援策を考えていただきたい。
・盛岡広域ごみ処理計画について
【斉藤委員】
広域化計画の進捗状況はどうなっているか。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡広域のごみ・し尿処理広域化については、構成8市町の首長で構成する県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会を設置し検討を進めており、平成26年度に基本構想を策定。その後、ごみ処理施設整備検討地検討委員会が3月に報告書を提出し、5月の推進協議会を経て、4ヶ所の整備候補地を選定した。7月からは、4ヶ所の整備候補地の地域住民等に対して説明会を行っていると承知している。
【斉藤委員】
4ヶ所で説明会がやられているが、ほとんどのところで住民は反対している。本日の新聞にも出ていたが、前潟地区でも、地元の署名を含めて反対だと。盛岡市長は「住民の理解と合意を得て進める」と言っている。だったら進まないのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
これについては、盛岡市において、丁寧に地域に説明していくことと考えている。
【斉藤委員】
先ほども言ったように、盛岡市長は「住民の合意を踏まえて対応する」と、説明会でも言っている。しかしほとんどが反対である。
とくに、クリーンセンターがあるところは、覚書を締結していて、「新たに焼却場をつくるときには、分散型にすべきだ」と合意している。覚書とも違うし、協議も応じられないと。これは町内会みんな確認してそうなっている。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡市長の方針については、いろいろな場で聞いている。
【斉藤委員】
これだけほとんどの地域から反対の声が出てくるというのは、この広域化計画に無理があったと思う。そもそも住民の合意を無視して、覚書を無視して進めること自身が出発点として間違ったと思う。
8市町のごみを、盛岡に一極集中するという発想と計画が間違いである。県央ブロックのごみ量は、県内全体でどのぐらいを占めるか。
【資源循環推進課総括課長】
約4割になっている。
【斉藤委員】
県の4割のごみを盛岡に一極集中すること自身が大問題だと思う。
広域化の問題は大きくいって2つある。1つは、施設のつくられる地域が一番被害を受けるということである。盛岡にクリーンセンターがつくられて、15年間で1000トンの有害廃棄物が廃止された。これは盛岡市が認めている。これからさらに、いま250トンぐらいのものを日量500トンという規模にしたら、この2倍以上の有害廃棄物がその地域に排出される。これは地域にとっては大変な問題だからみんな反対している。
もう1つの問題は、8市町で一極集中したら、他の市町村のごみ問題に対する意識が低下するということである。この広域化計画を撤回する会の皆さんが、各市町村長と懇談した。八幡平市長は「県の広域化計画に固執しているから問題なんだ。盛岡市につくると、市民がごみ問題に無関心になる。それが実態だ。県の計画は破綻している。固執するなと自分は言っている」と。葛巻町長は「地元で処理するのが本来だ。国が広域化しないと認めないというところからこの問題は出発している」と。葛巻は自前でかなり生ゴミなども処理し減量が進んでいるところである。こういう形で8市町も本当は足並みが揃っていない。
この2つの大きな問題を打開するには、岩手県全体のごみの4割を盛岡に一極集中する広域化計画を見直すべきだと思うが、いかがか。
【環境生活部長】
ごみ処理広域化については、一般論だが、今後人口も減少していき、市町村財政もそれにともない厳しくなってきているといった中で、県とすると、今後永続的なゴミ処理体制を県内につくっていく必要があると。そういったことからいうと、集約化することについてはやむを得ない部分があるのではないかと思っている。
そうしたことから申し上げると、県内5ブロック、いろんな形で段階的に行われている部分があるが、そうした集約化については、ある程度妥当するものではないかと思っている次第である。
【斉藤委員】
残念ながら既成事実を肯定する立場だった。
八幡平市長も8市町もみんな誤解しているが、県が広域化計画に固執しているから押しつけられているのだと。県は押しつけているのか。県の役割はどこにあるか。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡広域ごみ処理計画、あるいは県ごみ処理広域化計画については、県が押しつけているものではない。それは、県ごみ処理広域化計画において、計画の性格については、一般廃棄物の広域処理を推進するための基本となる指針としているところであり、県として広域化を進めることが望ましいとの考えから、市町村に対して技術的な助言を行っているというものである。
役割については、部長も答弁したような、市町村がごみ処理施設を長期的に安定して運営していくための基本的な考えを県が示すというものと認識している。
【斉藤委員】
押しつけるものではないと、押しつけられるものでもないと確認した。
ところが、どういう形であなた方が押しつけているかというと、広域化計画と整合性のない焼却場の整備については国の交付金が対象にならないと言っている。しかしこれは間違いである。環境省も広域化を条件にしていないと言っている。そして総務省は昨年3月に、一般廃棄物処理施設の整備・維持管理に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というものを出しており、ここでは、循環型社会形成推進交付金交付要綱について、「人口5万人以上または面積400平方キロメートル以上の計画対象地域を構成する市町村が対象。現行の交付金の交付対象要件は、ほとんどの市町村が単独で地域家企画を作成できる状況となっており、市町村は広域化へ誘導する効果は乏しい」と。広域化が条件ではないのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
市町村等がごみ処理施設の整備を進める際に、循環型社会形成推進交付金を活用するが、これについては、まず廃棄物処理法により環境大臣が定める廃棄物の減量、その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針において、市町村や地方公共団体が策定する広域化にかかる計画との整合を図ることとされている。交付金の活用にあたっては、市町村は地域計画を策定することとされているが、この地域計画については、環境大臣が定める基本的な方針に沿って作成することとされているという流れから、そのうえで、ご指摘の人口5万人以上などが対象だと。したがい、広域化計画と整合性のない地域計画については、交付金の対象とならないものと解される。
【斉藤委員】
環境省がこれまでも、広域化が交付金交付の条件ではないと明言している。そして総務省も、「現行の交付金の対象要件は、市町村を広域化へ誘導する効果が乏しい」としている。具体的な法的根拠を示せるか。広域化計画に基づかなかったら、この交付金は出ないのか。
【資源循環推進課総括課長】
法的根拠ということだが、先ほど答弁した通り、廃棄物処理法に基づく環境大臣が定める基本方針に則り、市町村は県の広域化にかかるものとの整合を図るとされているので、この根拠のもとで基本方針に則った基本計画とすると。あとは、交付金に則った地域計画というものについても、この基本方針に則っていかなければならないということで、県の広域化計画に則して整備していかなければならないと解している。
【斉藤委員】
課長の解釈を聞いているのではない。
総務省の昨年3月の勧告はなぜ出たかというと、全国で広域化が進んでいないからである。そしてもう一方で、社会情勢が変化し、長寿命化計画を進めるべきだと。このように勧告されている。長寿命化計画を出したら交付金の対象になるのではないか。
【資源循環推進課総括課長】
長寿命についても、先ほど答弁した通りの基本方針に則り、あるいは、交付金を受けるには交付のものに該当しなければならないので、県としては、県の広域化計画に則して延命化計画も図っていくと解している。
【斉藤委員】
そうであれば、県央ブロックは、最初は3ヶ所で計画されていた。それがいつの間にか1ヶ所になってしまった。3ヶ所の計画でも交付金の対象になりますね。
【資源循環推進課総括課長】
すでに県央ブロックについては、1ヶ所に集約するということで基本構想をまとめているので、1ヶ所で進めるものと考えている。
【斉藤委員】
冒頭述べたように、いま4ヶ所の計画があり、ほとんどのところで反対の声が上がっている。簡単には進まない。
そして2つの大問題を指摘した。こんな大規模な施設をつくったら、その1つの地域に有害廃棄物の影響・被害が集中する。一方で、8市町という広大な地域で、ごみ問題に対する意識がなくなってしまう。ごみ問題の根本は、減量・リサイクルである。そもそも県央ブロックは、ごみの減量・リサイクルの計画もなしに大規模施設の整備を考えているのではないか。準備が逆ではないか。本来どれだけごみを減量できるのか、その結果を踏まえて本来焼却施設の規模や内容を決めるべきではないか。
1ヶ所で決めているからと言うが、あなた方の押しつけで1ヶ所になった。押しつけないと言ったら計画は変わる。首長さんたちは、県が交付金が出ないから1ヶ所で仕方がないと。しかしごみ問題は解決しないと。こういう深刻な矛盾を抱えて、地元からも反対の声が上がっている。
環境省も広域化が条件ではないと言っている。総務省の勧告を部長さんは読まれたか。広域化が進まないから長寿命化をきちんとやるべきだと。人口5万人以上が対象になるのだから広域化は問われないと。
【環境生活部長】
広域化については、所掌する事務の範囲内で存じ上げており、総務省の勧告についても一応拝見させていただいている。その中では、いわゆる広域化を進めるにあたっての考え方を環境省が示すべきだというような趣旨だと受け取っている。
【斉藤委員】
現実問題として、県北では広域化を見直して長寿命化で対応している。そして県南ブロックもそうではないか。一関市の焼却場問題は住民の反対があり押しつけるという大問題なものだが広域化とは違う。
将来計画は残ったとしても、3ヶ所が次の方向を考えようと。これでも交付金は出るはずである。それでも出ないと言い切れるか。
【資源循環推進課総括課長】
循環型社会形成推進交付金については、広域化計画と整合性のない地域計画は交付対象とならないものと解している。
県北ブロックの地域計画および県南ブロックの基本構想においては、現有施設の延命化を実施したうえで集約化を検討することとされており、県の広域化計画との整合性は図られていると考えている。
【斉藤委員】
質問に正確に答えていない。例えば盛岡市は、あなた方が1ヶ所だと押しつけたから1ヶ所の計画になった。しかし首長は納得していない。ゆくゆくは1ヶ所にするかもしれないが3ヶ所にしましょうと、そういう計画でも県南と同じように交付金の対象になるのではないかと聞いている。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡広域においては、すでに1ヶ所に集約することが決められているので、これは1ヶ所にするということで進んでいくと考えている。
【斉藤委員】
そういう固執した、1ヶ所でなければ交付金が出ないという言い方が問題を深刻にさせている。
県北でも県南でも、1ヶ所の計画にも関わらず、当座は一関のを長寿命化しましょうとやっている。盛岡でも、当座は3ヶ所でやりましょうと言ったら当然これも交付金の対象になるのは明らかではないか。どこが違うのか。
【資源循環推進課総括課長】
たとえば、3ヶ所に整備するといっても、最終的に広域化計画との整合性ということで1施設に集約するという計画のもとでなされるものと考えている。
【斉藤委員】
広域化計画の2つの大問題を指摘したが、これをどう解決するか。
県北・県南ブロックで広域化計画とは違う長寿命化をやっている。盛岡でも長寿命化計画の方向性はあるはずである。そして、何よりもごみ問題の解決といったら、減量・リサイクルである。なぜこの順番が逆になって、大型焼却施設ありきで、その後ごみの減量計画を立てるということになっているのか。あなた方が押しつけているからこの順番が狂っているのではないか。
やはり地元でしっかり議論させるべきである。そして、あくまでも住民の理解と合意を得て進めるという立場で対応すべきである。
【資源循環推進課総括課長】
ご指摘の問題については、盛岡広域の構成市町できちんと考えていくべきものと考えている。
盛岡広域においても、平成41年度の1施設の集約の前に、必要に応じて長寿命化を行っていくという計画と聞いているので、そういったことで進んでいくものと考えている。