2017年10月17日 決算特別委員会
商工労働観光部に対する千田美津子県議の質疑(大要)


・岩谷堂箪笥の振興について

(千田美津子委員)
 伝統産業の振興ということで、岩谷堂箪笥に絞って質問をさせていただきます。
 7月に藤里木工所が破産をして13人解雇されましたが、その中に6人の伝統工芸士が在籍をされておりました。その方々がその後どうなったのかお聞きいたします。
 もう一点ですが、岩谷堂箪笥は生活様式が変わってきている、あるいは安い輸入家具に押されて大変苦戦を強いられている、ということは聞いております。これらの市場にマッチングしたブランド化をしていくことが必要だなと思うんですが、私は東日本大震災の時に岩谷堂箪笥に入れておいた着物が安全だった、無傷でそのまま出てきたということが報道されてすごいなと思いました。これこそが本物の良さではないかなと思います。それを上手にピーアールすることが岩谷堂箪笥をますます引き上げていくことになるので、その辺をぜひ業者さんだけではなくて、県としてももう一度被災県であるからこそそこを絶やさないそういう取り組みをお願いしたいと思っているので二点お聞きしたい。

(高橋地域産業課長)
 一点目の藤里木工所の伝統工芸士6名のその後について、というご質問でございますが、岩谷堂箪笥生産協同組合の方で確認したところ、解雇された伝統工芸士6名のうち2名については、組合の構成員のところでそれぞれ再就職あるいは再就職予定と聞いているところであり、残り4人の内3人は分野の違う会社の方で就職しておりますし、1名は高齢により現職を引退し無職と聞いております。
 二点目の岩谷堂箪笥の良さを引き続きピーアールしていくという取り組みにつきましては、委員のご指摘のとおり、県といたしましてもこうした伝統工芸に特化した取り組みというところで、伝統工芸品として岩手の場合は4品目ということで、その中に岩谷堂箪笥も入っているわけでございます。全国伝統的工芸品展「技展」が毎年東京で開催されています。今年は2月に東武百貨店池袋店で本県の南部鉄器、岩谷堂箪笥、秀衡塗、浄法寺漆と4品目出展しており、この時に岩手の売り上げが800万円ほどとなっております。そのうち岩谷堂箪笥が500万円と、伝統工芸のファン、箪笥の良さもわかっているファンの方もいらっしゃるので、そういった方々をターゲットにしながら岩谷堂箪笥を始めとした、伝統工芸に良さを今後も引き続きピーアールしていきたいと考えています。

(千田美津子委員)
 和室にも洋室にも合うようです。伝統工芸士を守りながら、岩手のブランドにして経産省で指定した4品目、その外にも県には工芸品があるわけですけども、是非そういうものを残していくという立場でこれからも是非お願いしたいと思います。

・女性離職者等就業支援について

(千田美津子委員)
 二点目に移ります。女性離職者等就業支援についてお聞きをいたします。主要政策では離職者等を対象とした職業訓練における女性の受講者数をB評価としておりますし、それから訓練を受けた後の女性の就職率が83.3%とありますけれども、この状況について県は本来どのようにすべきと考えているのか、現状認識をお聞きしたい。それから特に大変なのは母子家庭の方々だと思います。そういう方々への就業支援はどうなっているでしょうかその点をお伺いいたします。

(八重樫雇用対策・労働室長)
 現状認識についてでありますが、離職者等を対象とした職業訓練の受講者数は、目標値1100人に対しまして、平成28年度は1010人の受講ということでB評価でございます。その際に実績参考データとして記載しました、女性の就職率というところのデータが平成25年度74.3%となったところ、平成27年度には83.3%と増加をしております。これにつきましては、国の方で委託訓練の就職率の目標を75%と設定しておりまして、それを踏襲しており、上回っている状況です。このことから、職業訓練による知識や技能を習得して希望に沿った就職を実現しようとする、女性の離職者の就業につきましては一定の効果があったものと認識をしています。県としては、職業訓練により知識や技能などを習得したいと考える訓練ニーズに適切に対応するとともに、職業訓練を通じて、高い知識や技能を身につけて就業していただくことが重要と考えており、今後とも関係機関と連携を密にしながら、訓練ニーズを的確に捉えた訓練コースの設定等により、女性の就業を支援していきたいと考えております。
 次に母子家庭のお母さん等への就業支援についてですが、県において平成27年3月に策定しました「岩手県ひとり親家庭等自立促進計画」に基づき、就業支援対策や相談機能の充実などで、総合的な支援施策を実施しているところであります。職業訓練ということにおきましても、母子家庭のお母さん等を対象としました職業訓練を実施しており、この訓練では就業経験が比較的少ないということえを踏まえて、通常の訓練開始前に準備講習として5日間ほど、地域における雇用情勢や職業に必要なビジネスマナーなどを学ぶ講習を実施して円滑に終了できるようなカリキュラムにしております。
 また、育児や介護等により職を離れていた期間が長い女性等を対象とした、職業に必要な知識や技術能力の習得を短期間で行う、女性就業援助事業というものを産業技術短期大学校等で実施をしているところです。今後もこれらの事業を継続して実施していくとともに、育児や介護等により訓練時間等に制約のある女性に配慮して、短時間の訓練コースや育児サービス付きの訓練コースの拡充などに取り組んでまいります。
 
(千田美津子委員)
 一定の成果があったという答弁がありました。国が75%と設定しているから成果があったということではなくて、県内の女性の方々を支援するという立場で、どうすればこの率をもっと上げるのか、そういうことが必要ではないかなと。また、就職できなかった方々のフォローをしたり、母子家庭等についてはいろんな支援があるのは分かりますが、もっと他の部と連携した取り組みをして本当にこれで助かったと感じられるような就業支援策にしていただきたいということで、その点もう一度お聞きいたします。

(八重樫雇用対策・労働室長)
 職業訓練だけではなくて、「岩手県ひとり親家庭等自立促進計画」があります。こちらについては相談機能の充実、子育て支援、生活環境の整備、意欲確保の促進等についても相談に乗って総合的に支援を実施しているところです。
 「ひとり親家庭等就業・自立支援センター」に就業支援員を配置して相談対応をしている外、職業訓練に係る求人情報を提供等、育児・介護等生活安定資金による支援などについても総合的に相談対応をしています。こうしたことも含めて、就業支援、就労に関わる教育訓練の講座受講経費の助成なども行いながら、今後とも支援対応の充実を図っていくように検討していきたい。
 
・トヨタ自動車東日本岩手工場並びに自動車関連作業の雇用の現状について

(千田美津子委員)
 三点目に入ります。自動車関連産業に関連して、トヨタ自動車東日本岩手工場における雇用の現状についてお聞きします。正規社員、期間社員、派遣社員、新規雇用はどのようになっているのか、正規社員への登用等もこの間、毎回求めてきましたがどのようになっているかお聞きします。

(瀬川自動車産業振興課長)
 トヨタ東日本岩手工場の雇用状況ですが、平成29年9月1日時点で正社員2092人、期間社員383人、派遣社員326人、合計2801人となっています。平成29年4月採用の正社員は40人ということで、全従業員数に占める正社員の割合は74.7%と過去最高水準となっています。
 また期間社員の正社員登用ですが、平成27年度は99人、平成28年度は401人、平成29年度は今年8月1日で28人採用となっています。
 
(千田美津子委員)
 県内に大きな影響を及ぼす大企業であります。9月で正規社員が2092人になり、比率は74.7%となり、6.7%も正規社員が増えている。期間社員についても1.5%も減って正規社員に登用されている。新規採用も40人ということで過去最高で、そのうち高卒採用が37人ということで、県内の高校生が雇用されている点は評価をしたいと思います。
 自動車産業は裾野が広いわけですので関連産業はどのようになっているか、トヨタだけでなく波及効果を期待するわけですがその現状についてもお聞きしたい。

(瀬川自動車産業振興課長)
 自動車関連の周辺の企業で、県内に生産拠点を持っているトヨタ系の主要自動車部品供給メーカーが7社あります。今年9月1日時点の社員総数は約2500人、うち正規社員は2030人であり、全従業員に占める正規社員の割合は81%という高い水準です。
 
(千田美津子委員)
 正規社員が81%と、自動車産業の関連産業でも高い率になっているという点では担当部をはじめ、この間の皆さんの取り組みがこのように広がっていると思います。自動車関連にとどまらず、県内の他産業も含めて正規雇用が増えていく状況を作り出していただきたいと思いますので、最後に部長にその決意を伺って終わります。

(菊池商工労働観光部長)
 まさに第四次産業革命とか、工業社会を取り巻く環境はいろいろ変わってきており、岩手県では様々な分野の企業を組み合わせて誘致してきており、自動車、半導体が際立って見えていますが、まさに裾野の広い産業群を作ってきています。
 いろんな風が吹いても簡単には負けないような仕組みを作っていこうと皆で頑張っているところであり、市町村の皆さんも同じ理解で取り組んでいただいております。小さな企業が入ってきますが、例えばそれが二次展開、三次展開でどんどん大きくなっていくような、発展可能性を持った企業をみんなで力を合わせて呼んできているところであり、これからも頑張っていきたいと思います。