2017年10月18日 決算特別委員会
教育委員会に対する千田美津子県議の質疑(大要)
・就学支援、就学援助について
(千田美津子委員)
三点についてお聞きします。第一点は就学支援、就学援助についてお聞きをします。これは経済的な理由で就学困難な生徒に対して、学ぶ機会を保障していくという、本当に重要な役割があるわけです。そこでまず一つは新入学児童生徒学用品費の入学前の支給についてでありますが、この間一般質問でも質問したわけですが、28年度は4市町村という説明はありましたけれども、その後、国の通達等もあって、かなり検討しているんではと思いますので、今時点で把握している市町村を具体的に教えていただきたいなと思います。
(佐々木学校施設課長)
入学開始前の新入学児童・生徒学用品費の支給でございますが、4市町村の外にも様々検討されている市町村が多いと聞いてございます。これまでのところ、数市町村において実施の方針を固めていると聞いておりますし、必要な予算補正等の実施に向けた、具体的な検討を行っている市町村も相当数あると承知しております。ただ、検討中でございまして、公にすることについてはなかなかできる状態にあるという市町村は、現在のところそれほど多くはないところではありますけれども、まぁ何市町村かはご了解いただきましたのでご紹介させていただきますと、北上市、二戸市、紫波町では今年度から実施の方針を固めているとお聞きしております。実施市町村につきましては、今後補正予算案等を各市町村議会にご提案申し上げるという段取りをしている市町村も多いようでございまして、この提出を通じまして順次明らかになるものと考えています。
(千田美津子委員)
市町村の様々な状況もあって明らかにできない、というのは分かりました。ただ、先ほども言いましたけれども、国が3月31日付けであえてこの補助金を入学する年度の開始前に支給できるとし、必要な援助が適切な時期に実施されるよう通知してくださいと、県に通知があったわけですね。ですから、これは県内33市町村でそれらが実施できるように、そういう流れをもっと作ってもらう、そういった意味でも県に率先して対応していただきたい。市町村の事情もあることはわかりますが、県内市町村に対する指導としてもっと助言、アドバイスをお願いしたいと思います。その点一つお聞きしたいと思います。
それから就学援助について、これも一般質問でも取り上げました。準要保護については市町村の事業でありますので、それぞれの判断によって行われているのですが、これだけはやって欲しいなと思っているのがあります。体育実技用具費の普及が県内33市町村のうち、実施しているのが18市町村に止まっております。これはなくてはならないものでありますので、今の子どもの貧困、それからひとり親世帯の貧困と考え合わせれば、是非これについてはできるだけ早く適用していただきたいと思いますので、市町村のやることだからということで終わらせないで、県内の市町村が取り組まれるように、これについても指導を発揮していただきたいと思います。この二点聞きいたします。
(佐々木学校施設課長)
実施に向けましては、通知が出されましたのは今年の1月と理解しており、それからなかなか新年度、若しくは直ちに着手するという状況にはなかったという市町村があったと聞いております。それから、実施に向けた課題ということも様々聞いておりまして、今年度になりまして各市町村にアンケート調査を実施いたしました。認定基準などの制度的な調整ですとか、予算の確保、認定後、例えば入学前に転居した場合の取り扱いなど、運用面について様々な懸念があるということが明らかになってございます。そうした制度の運用面につきましては、アンケート調査の結果を踏まえまして既に実施済みの市町村ございますので、そういった市町村の状況であるとか、類似する国庫補助制度の取扱いについて各市町村に情報提供を行っているところあります。
体育用着費等の取扱いにつきましても、保護者負担の実情を踏まえた取組みの一つと考えております。実施している市町村もあるわけですので、積極的な検討が進められるよう実施市町村等に係る情報提供とか運用等に係る助言等を行っていきたいと考えています。
・いじめ・不登校の実態について
(千田美津子委員)
アンケートを取られたということで、課題もあるということもわかりました。それらを踏まえて積極的な対応を更にお願いします。
それでは二点目に移ります。先ほど阿部委員からも話がありました、いじめ・不登校の問題について私も質問をいたします。今公表されているのは平成27年度の実態、件数ですけれども、28年度の決算審査でありますので28年度の実態がどうだったのかを知りたいと思いお話をしております。主要施策の説明書では、文科省の調査が未了だとして実績値が公表されていないわけですが、しかし私たちが子供たちの状況を把握して検討するのがこの決算の場と思いますので、現状についてお聞きをしたいと思います。
(菊池生徒指導課長)
平成28年度結果につきましては、国の調査であり、国の方が精査をして国の公表以降に都道府県が公表する、という形になっています。よって現時点においてその数値等について私の方からお話できるものではないことをご理解いただきたいと思います。傾向としてはいじめ・不登校等が増加傾向であろうと思われます。
(千田美津子委員)
国の調査であるとの話はそのとおりだと思うわけですが、増加傾向であろうというのは非常にひどい答弁で、例えば不登校であれば何件ぐらい増えているとかぐらいの答弁はいいのではないのか。28年度の決算審査を何でやればいいのか。だろうという状況を聞いて、あぁそうですかという話にはならないですね。その点をもう一度お聞きします。
(菊池生徒指導課長)
平成28年度の児童生徒の問題行動等、不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査については、国の調査と申し上げましたが、詳しく言いますと、統計法上の調査ということで実施しているところです。法律によってその部分についての制限が定められており、傾向については先ほど私の表現が不適切だったかもしれませんが、数値等については私どもが今回公表できるのものを持ち合わせていない状況でありご理解をいただきたい。
(千田美津子委員)
これ以上話をしても難しいと思いますが、数値は公表しなくても、それであれば28年度中のいじめや不登校への対応はしていないんですか。していると思うんですね。それについてどういう状況にあるのか、解決した率はどのくらいとか、いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する重大事故がどうだったのか、そういう点についてはいかがですか。
(菊池生徒指導課長)
いじめ、不登校への対応ということですが、いじめにつきましては昨年度3つの重点ということで実施しています。28年度については、いじめの認知に関わる部分、いじめの情報共有という部分、学校での組織対応という部分が重点ということで取り組んだところであります。その結果については、平成28年度調査によると、この3つ、ほぼ100%各学校で取り組みが推進されているものと認識しています。
平成29年度については、この3つの取り組み加えて、特にも本県においては痛ましい事案が2件ありましたので、自殺予防に係る取組みという部分、そのことに関わって児童生徒の取り組みを活発にしよう、という部分も含めて取り組んでいるところです。
不登校については、先ほどもあったように、専門的なスタッフの派遣等も含め教員の研修含めて現在実施しているところです。なお、解消率、それからいじめ防止対策推進法第28条第1項の数値については、先ほど答弁申し上げたとおりでありご了解願います。
(千田美津子委員)
今日はわかりましたって言うか、仕方ありません。それで主要施策でいじめがどんな理由があってもいけないことだと思うという、その割合が小学校では達成度がBとなっています。この状況についてどう考えておられるかお聞きします。
(菊池生徒指導課長)
達成度がBという、この部分についてもう少し詳細に申し上げますと、目標値については86ポイントというのを目標にしています。実績値は85.9ポイントということになっています。算定する式によりますと95%の達成率ということですが、ABCDの評価ですとB評価という形になっています。なお平成27年度と28年度を比べてみますと、28年度の方が2.1ポイント上昇している、27年度が83.8ポイント、28年度が85.9ポイントとなっていますから経年では上昇しており、全国と比べますと2.8ポイント本県が上回っているという状況です。
(千田美津子委員)
全国よりも2ポイント上回っていることは、教育委員会をはじめとした取り組みが功を奏していると思います。ただ、数字があがっているからいいと言えばいいんですが、いじめがどんな理由があっても駄目が、是非100%にもっと近くなるべきだと思う。子どもたちへの意識付けがどういう形で学校では教育されているかという点が知りたい。子どもの権利条約に沿った対応として、岩手県教育委員会、学校現場でそれらを子どもたちに意識付けしていくことが非常に重要であり、その取り組みについてお聞きしたい。
(菊池生徒指導課長)
100%をめざすというのが本当の姿であろうと考えています。学校ではどのような取り組みをされているかということですが、学校の教育課程の中では命を大切にするということについては、道徳を中心にして全教育課程の中で実施をしてくるところです。加えて、先ほど本年度のいじめ問題対策の重点というところで、児童生徒の活動を活発にしようと申し上げました。県内では、市内の生徒会が交流をしていじめをなくすような運動をしようという活動もあちこちで取り組みをされています。そういう気運の醸成と言いますか、子供達の意識は高まっていると思います。
本年度、本当に防ぎたいのは自死、本当に守りたいのが人権であるということを我々のキーワードとして校長研修講座等含めて周知しており、それに沿った活動がされていると認識しています。
(千田美津子委員)
先ほど3つの重点ということで、認知、共有、組織対応ということで100%推進されているという答弁でした。そういうことで頑張って頂きたいんですが、自殺予防という点では、いじめもさることながら、福井県での自殺の問題ですが、担任、副担任の対応の問題があったわけです。子供たちをそういう状況に追いやらないというきめ細かな対応、そして集団での認知できるような対応が本当に大事だと思いますのでその点お聞きします。
(菊池生徒指導課長)
ただ今福井県の例が出されましたが、非常に心が痛い事案であります。本県においては、痛ましい事案が2件ありましたので、本県では学校内外からは出してはいけないという認識で今取り組んでおりますし、学校の管理職含めそういう気持ちにつきましては従前よりも非常に高まっているものと認識をしています。いじめの認知に関わりましては、教師側の認知もありますが、生徒同士の部分での認知というのも大事ですので、いじめを許さない学校風土を作っていくという部分を教員と子供たちが一体となり、そして保護者、地域にそれをきちっとお知らせをしていく、そういう活動を今後より一層進めてまいりたいと考えております。
・小学校5年、6年への35人学級拡大について
(千田美津子委員)
三点目ですが、35人学級の実現、拡大についてお聞きします。残念ながら小学校5年生、6年生が今まだなってないわけですが、この間の拡大によって子供たちの環境がすごく良くなったと思っています。これらの取り組みの結果、どういう効果があったと見ているか、それについてお聞きします。
(荒川小中学校人事課長)
35人学校の効果ですが、学級集団のまとまりが築きやすい、トラブルの未然防止、不登校・いじめ等の問題行動の抑止ということがあげられます。細い面で言いますと、授業中の子どもたちの発言の機会が増えた、体験の機会が増えたということで、子供たちがそれぞれ主体的に学ぶ環境が整備されてると認識しています。
(千田美津子委員)
子どもたちにとって、非常にいい状況が生まれていると思います。それで5年生、6年生についても35人学級を実施する時ではないか、岩手の子供たちを本当に健やかに育てるという意味で、是非全学年で拡大していただきたいと思います。お聞きをいたします。
(荒川小中学校人事課長)
35人以下学級の5、6年生への拡充ですが、本県は少人数加配からの定数の振り替えで
少人数学級に対応していますので、小学校5年生、6年生に35人学級を拡充した場合、約50の定数が必要となります。少人数指導加配から50を担任に振り替えるということです。それで少人数指導、チームティーチングで習熟度別で実施して成果を上げている学校もあり、そこの学校で従来の指導ができなくなるという、不安の声も聞こえています。
35人学級の拡充につきましては、市町村教育委員会の意向も踏まえながら、国の定数改善計画の動向、それに伴って加配の措置数、それらを注視しながら検討してまいります。
(千田美津子委員)
50人必要だということですが、少人数指導、チームティーチング本当に成果を上げているという学校、市町村もありますので全く無視はできないのですけが、4年生まで35人学級で行って、5年生なってクラスが少なくなる、ということになると5年生、6年生で微妙な変化がまた出てしまうということで、私はほかの何物にも代え難い本当に大事な施策だと思います。いろんなことがあるとしても、是非は前向きに検討していただきたいと思いますので、最後に教育長に伺います。
(高橋教育長)
少人数学級については、しばらくの間は小学校1、2年生までで止まっていたところでありますけども、本県での痛ましい事案の発生を機に、生徒一人ひとりに寄り添った教育をということで、また中学校においては部活動等もあり、様々な子供たちが成長するときでトラブルも多いということで、中学校を優先して少人数学級を導入したところであります。
小学校5、6年生への35人学級実現するためには、超えるべきハードルが課長から申し上げたとおりであります。ただ、一方で教職員の勤務環境、これが即ち子どもたちの教育に直結する問題だということもあり、今回の概算要求でも文科省では教職員体制の充実ということを色濃く出した方向性を、今、財務省に要求しているところです。全国都道府県や本県はもちろん積極的に要請してるところであり、それをいかに実現するかということも大きな判断要素であり、様々情報を踏まえつつ、市町村の意見を聞きながら丁寧な検討を行っていきたいと考えております。