2017年10月19日 決算特別委員会
農林水産部に対する千田美津子県議の質疑(大要)
・地域農業の核となる経営体の育成について
(千田美津子委員)
三点お聞きします。最初に経営体の育成です。地域農業の核となる経営体の育成に関して主要施策の成果を見ますと、当初8事業で127億円予算化されてましたが、決算が54%の68億円止りとなっておりますのでこの理由についてお聞きします。
(千葉農村建設課総括課長)
地域農業の核となる経営体の育成に係る決算額についてですが、予算額に対して決算額が54%にとどまっている主な要因は、平成28年度の国の経済対策等に対応して補正予算により、経営体育成整備事業費を平成29年度に繰り越したことによるものでございます。繰り越した予算につきましては今年度中に着実に実行してまいります。
・耕作放棄地の現状と対策について
(千田美津子委員)
了解しました。29年度で確実に執行されるようお願いします。二つ目ですが、県内の耕作放棄地の現状についてお聞きします。今、県民計画でも生産性、市場性の高い産地づくりのための生産基盤整備推進のため荒廃農地を減らす目標が示されています。今、県内の耕作放棄地の現状はどうなっているか、それから県民計画では30年度の目標として4950ヘクタールと設定されていますが、達成できる見込みにあるかどうかお聞きします。
(中南農業振興課総括課長)
耕作放棄地に関する質問ですが、荒廃農地を今後解消できる対象面積ですが、農林水産省が荒廃農地の発生解消防止に関する調査要領というものを定めており、これに基づいて毎年市町村、それから農業委員会の方で現地調査を行っており、その結果を取りまとめて国が調査発表しているものです。県の方では荒廃農地の解消に向けて、これまで国の交付金を活用して農地の再生を進めたり、区画の拡大とか、排水機能を高める簡易なほ場整備の支援などにも取り組んでまいりました。
こうした取り組みの結果、本県の荒廃農地の面積は平成25年の5981ヘクタールから27年には 5758ヘクタールに減少してきています。その後もこうした取り組みが進んできてますので、目標達成できるものと考えております。具体的には、今後とも農地のマッチング活動の強化とか、集落の話し合いでの取り組みなども重要だと思いますので、これらを進めながら担い手への農地集積と、耕作放棄地対策に取り組んでまいります。
(千田美津子委員)
27年度までの資料しか出ていないので目標を達成するのではないかなとみていますが、この間、県内の各市町村で耕作放棄地を減らす取り組みで頑張っています。その積み上げでこういう実績になってきていると思いますが、県内の取り組みで確実に実績を上げているとか、ユニークな取り組みなどそういうのが分かれば教えていただきたい。
もう一点は耕作放棄地をなくすと同時に、新たな耕作放棄地を作らないということが一番大事だと思いますが、そういうことに寄り添った農政にしていかねばならないと思います。私の周辺を見ましても、世代交代の中で、若い方々が2ヘクタール以上しか採算が合わないとなれば、例えば奥州市の平均耕作面積が1.5ヘクタールを割っている状況の中でみんな赤字経営となっています。組織化、集団化もそうなんですが、辞めるかなという声もかなり聞こえてきてまして、そういう方々にどうしていくか、そういう農政でなければならないと思いますが、この点お聞きします。
(中南農業振興課総括課長)
荒廃農地の解消に向けた特徴的な取り組みということで2〜3ご紹介します。例えば、 奥州市にある法人の取り組みとして、使われていない田んぼに花木の栽培を始めているところもございます。岩手町の方の取り組みとして、畜産農家の方が畑を2ヘクタールまとめて再生をしてデントコーンの栽培をしているとか、紫波町の方では畑で規模としては35アール程度ですが、醸造用ぶどうを作付してワイン製造というものも視野に入れて取り組まれております。こういった取り組みが8年間で200ha以上取り組まれてございます。今後ともこうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。それから再生の他に発生の防止ということも大事だと考えております。発生の防止については、特に中山間地等でも直接支払制度なども活用して、農地を維持する活動のほかに、実際農業生産活動に取り組んでいる例などもございます。基本的に農業委員会の方でパトロールなども定期的に行っているということであり、こうした取り組みを支援していきながら、農地の維持と活用に努めて、それを担い手の方に集積、集約しながらまとめていきたいと思います。
・基盤整備事業について
(千田美津子委員)
三点目ですが、基盤整備事業に関連して何点かお聞きします。農業政策がどんどん変わってきて悪くなってきているわけですが、耕作条件を整備するために農家は本当に努力を重ねております。これからのために基盤整備をやろうとしている方も沢山いるわけですけども、それに対する予算が不十分と聞いてます。その現状についてお聞きします。
(村瀬企画調査課長)
基盤整備に係る予算の現状についてですが、基盤整備を実施する農村整備事業における国庫補助事業の平成29年度当初国費配分は33億6700万円で、対前年比にしまして105%となっています。これは、国の当初予算伸び率105%と同程度に予算を確保しているところです。また平成29年度9月現計では、国の追加配分を受け37億5500万円となり、対前年比は105%から117%となるところまで増額しているところであります。しかしながらお話しされましたとおり、まだこれで十分だという認識は持っておりません。引き続き農業農村整備事業の成果などを強く国に訴えながら、事業の推進に必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えています。
(千田美津子委員)
対前年比が伸びてるというのはわかりました。食糧生産について国が責任を持たないという現状の中で、農家の方から国が進めているほ場整備をやらなければならないという地域が広がっているわけです。そういう農家の要望に対してどうなのかなと考えた時に、決して十分ではないということを指摘したかったので、是非今後においてもそういう取り組みをしていただきたいなと思います。その点もう一度お聞きします。
(村瀬企画調査課長)
先ほど委員が話されたとおり、基盤整備に取り組む農家の皆様方からはもっと早く事業を推進してほしい、新しく事業をしたいという要望が私どものもとにもしっかりと届いており、その要望に我々全力で応えていく必要があると考えております。そういう中で、これまで国への要望を強く行っており先ほど申し上げましたように、予算の増額を進めているところです。繰り返しになりますが、これで十分だとは全く認識はしておりませんので、引き続きしっかりと農業農村整備事業を行って高い効果が出ている事例は岩手県内に多くございますのでそういった効果、成果を国に丁寧に説明しながら予算のさらなる確保に努めてまいりたいと考えております。
・多面的機能支払い交付金について
(千田美津子委員)
よろしくお願いします。二つ目、多面的機能支払い交付資金についてお聞きします。農地維持支払交付金の平成28年度の実績と29年度の見通し、それと共同活動の資源向上支払い、長寿命化の現状についてもお聞きします。また環境保全型農業直接支払交付金のここ3年間ほどの実績についてもお聞きします。
(千葉農村建設課総括課長)
多面的機能支払交付金については、農地維持支払の平成28年度実績は交付面積約74000ヘクタール、交付金額21億円余りと要望に対して全額の配分となっております。29年度については交付面積約75000ヘクタール、交付金額21億2千万円余りと要望に対して全額の配分となる見通しです。次に資源向上支払いのうち、共同活動については平成28年度実績が交付面積約65000ヘクタール、交付金額11億2000万円余りと、要望に対して全額の配分となっております。平成29年度は交付面約67000ヘクタール、交付金額11億4000万円余りと要望に対して全額の配分となる見通しです。 続きまして資源向上支払のうち、施設の長寿命化ですけども、平成28年度実績については交付面積約57000ヘクタール、交付金額 19億4000万円余りと要望に対して84%の配分となっております。平成29年度は交付面積約57000ヘクタール、交付金額は20億5000万円余りと要望に対して87%の配分となる見通しです。
(菊池農業普及技術課総括課長)
環境保全型農業直接支払について説明します。この事業は化学肥料や合成農薬の削減の取り組みに加え、地球温暖化防止や生物多様性の保存に取り組む営農活動を支援するものであり、この3年間の本県での取り組みの推移は、平成26年は2336ヘクタール、27年が5239ヘクタール、28年が4182ヘクタールとなっております。交付金は、国の交付金と県の交付金を合わせた額で申し上げますが、26年度が8700万円、27年度が18700万円、28年度が14700万円となっており、27年から28年にかけて減少したのは、全国的に取り組みが進み、国の予算が超過し希望額が来なかったということです。
(千田美津子委員)
多面的機能支払は、農地維持支払と共同活動については要望比100%とということで了解しました。ただこの間指摘してきましたが、長寿命化の要望が増えてきていることに対して28年度が要望比84%に止まったと、それから新年度が87%に3%引き上がるわけですが、これについて農家ではなぜ希望とおりにいかないのか、不満が寄せられているが、この点について28年度、29年度以前がどのくらいになっていたのか教えていただきたいと思います。それから環境保全型の支払交付金が減った理由がわかりました。29年度も希望が多くなっていると思うんですが、見込みについてお聞かせいただきたい。
(千葉農村建設課総括課長)
平成27年度の長寿命化の配分については要望に対して78%でした。国の予算については対前年比100%ということで伸びがありません。一方では地域の方ではこの活動に対して非常に期待を持っており、予算がどうしても必要だということで、県としても国に対して機会があるごとに予算の拡大を要望しています。引き続き国に対して満額の配分となるように要望していきます。
(菊池農業普及技術課総括課長)
環境保全型農業の推進については、安全安心な農産物の生産や、環境と共生する作付けや、本県農業の信頼性向上につながる非常に大切な取り組みだと考えています。29年度の計画面積は昨年4982ヘクタールに対して、5000ヘクタールほどの希望があります。従いまして必要な予算措置するよう国の方に働きかけていきたいと考えています。
・国土調査事業について
(千田美津子委員)
了解しました。長寿命化については、地域でいろいろ話し合ってこういう方向でと、確認しあったことが達成できないということは大変なことで、是非農家のやる気を損なわないような状況を作り出していく取り組みを是非お願いしたいと思います。
国土調査事業についてお聞きします。ほ場整備等も進み国土調査についての必要予算が確保できているのか疑問があります。どういう状況になっているかについてお聞します。
(千葉農村建設課総括課長)
国土調査事業予算についてですが、ご案内のとおりこの事業は、市町村は事業主体となって国が1/2、県が1/4の補助をして実施しているものです。平成28年度の市町村への国費の配分については、市町村要望額を基本に県予算に計上するとともに、国に同額を要望したところですが、全国的に要望額が大幅に増加して、国が実施地区の工程等により国費を配分するということになったことから、全国各県と同様、県への配分は要望額を下まったところであります。
(千田美津子委員)
資料によれば28年度の充当率は63.4%、今年度は53%、そうなると様々な事業に支障が出るわけです。農家の所得向上のために国が様々な事業を推進していながら、必要な部分については要望が増えたからといってカットするという結果になっているわけですが、そういうことはあってはならないと思います。県内の農家は様々努力しています。荒廃農地を作らないために地域で集まっていろいろ検討しているわけでありますが、いざやろうという時に事業費が配分にならない、そういう状況が出ていますのでこれでは農家はたまったもんではないと思います。最後に部長から農家を本当に守る県の姿勢をお聞きしたいと思います。
(紺野農林水産部長)
農家は私ども岩手県の基幹産業という認識のもと 、私は農林水産部長になりましてから、今まで以上に数多く国へ要望に行っているところであります。必要な予算につきましては、今後も足を運んでお願いをして予算確保に努めてまいりたいと考えております。