2017年12月11日 12月定例県議会最終本会議
議案および請願の不採択に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第第23号、第25号、第26号、第39号、第42号から47号、第58号と請願陳情58号、59号の不採択に反対の討論を行います。

・県施設における指定管理者の雇用実態について

 第23号、第25号、第26号、第39号、第42号から47号は、指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。
 指定管理者の指定に関する議案の全体にかかわる問題は、指定管理者制度が導入されて12年が経過し、その制度の矛盾と問題点がいよいよ明らかになっていることです。
 その第一は、コスト低減を進めた結果、指定管理者の労働者に非正規労働と低賃金が押し付けられたことです。今回提案された29の指定管理者の雇用実態は、正規労働者が基本となっているいわてリハビリテーションセンターを除けば、正規職員は76人、非正規職員は172人で69.5%が非正規職員です。非正規職員の時給賃金は平均949円となっており、正規職員の1595円と比べ59%となっています。フルタイムでも年収200万円以下のワーキングプアの実態です。今回の新たな提案では、全体で正規職員が7人増の83人、非正規は5人減の167人となりますが、非正規職員の比率は66.8%と多数が不安定雇用の実態です。県の事業で非正規の不安定雇用、低賃金の労働者を多数作ることは、「適正な賃金の確保」を目的とした「県が締結する契約に関する条例」に反するものであります。
 第二に、29件の指定管理者の指定にあたって、複数の事業体による競争となったのは1件のみでありました。それ以外はこれまでと同じ指定管理者への指定となっています。競争によるサービスの向上という指定管理者制度の行き詰まりが示されています。指定管理者制度の在り方について根本的に見直すべきであります。
 個別の問題点について指摘します。議案第23号、岩手県営屋内温水プールについては、非正規労働者の時給が750円と最低賃金ギリギリでした。施設が寒い、子ども連れには使いづらいなどの問題も指摘されました。抜本的な改善が必要です。
 議案第25号は、産業文化センターですが、年間4690万円の指定管理料に対し、職員体制は正規職員がゼロ、7人全員が非正規職員です。盛岡市内には新たなイベント施設も整備されており、産業文化センターの役割と活用について根本的な検討が求められています。
 議案第26号は、岩手県立岩洞湖旅行村の指定管理です。歴史的に盛岡市が指定管理者となっていますが、盛岡市が申請した収支計画書の指定管理料と県の債務負担限度額には3割以上の違いがありました。
 議案第39号は、県立御所湖広域公園の艇庫の指定管理です。正規職員が1名から2名に増員されていますが、非正規職員が4名で、小型船舶操縦免許2級等の資格があるにもかかわらず時給991円は低すぎるといわなければなりません。また、御所湖広域公園の艇庫は、県営スケート場の運営と連携しており、セットで指定管理をめざすべきであります。また、温泉観光地の利点を生かした体験型スポーツとしての積極的な活用も必要です。
 議案第42号と43号は、県立県南青少年の家と県北青少年の家の指定管理者の議案です。この2施設は研修事業も別に同じ県スポーツ振興事業団に委託し、丸投げの状態です。運営と委託の在り方を根本的に検討すべきです。
 議案45号と46号は、県立博物館と県立美術館の指定管理者の議案です。美術館の場合は、正規1名、非正規2名の体制で、指定管理料は年間2億3600万円余。多くは再委託です。どちらも学芸業務・運営業務を別に文化振興事業団に委託しており、丸投げの状況です。全国の博物館・美術館の運営・管理の状況も検証して指定管理の在り方を見直すべきです。

・国保の広域化について

 議案第58号は、国民健康保険法施行条例であります。これは、国民健康保険法の一部改正によって、国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移し、国保にかかる公的医療費を抑え込む役割を都道府県に担わせようとするものです。
 国保税の最大の問題は、無職や低所得者の加入者が多い一方で国の負担が削減され、高すぎる国保税となっていることです。住民にとって一番重税感の大きいものです。滞納者は昨年度でも20617世帯、10.94%となっています。滝沢市は20%、一関市は18.47%、盛岡市は16.85%です。一方で、高すぎて払えない滞納者に正規の保険証を取り上げる資格証明書や短期保険証の発行、さらには財産の差し押さえまでペナルティーとして行っていることは国と地方自治体の冷たい姿勢を示すものです。
 今回の国保の都道府県化は、こうした国保税の構造的な問題を解決することにならないばかりか、医療費の削減と徴税の強化を市町村に押し付けるものになりかねません。さらに、昨年度も17市町村が一般会計から繰り入れし、財政調整基金からの繰り入れ等を含めると22市町村が財政支援を行って高すぎる国保税の値上げを抑えています。一般会計等からの繰り入れがなければ、11月の試算でも18市町村が値上げとなります。高田一郎県議の質問に対する保健福祉部長の本会議の答弁で「保険税を引き下げるために一般財源を投入することは・・慎重に判断される必要がある」と述べたことはきわめて重大で、国保税の引き上げに結び付くものです。また、中長期的には国保税の統一化がめざされ、市町村の独自の対策も講じられなくなる危険性があります。

・「日米共同訓練の中止とオスプレイの訓練参加中止を求める請願」の不採択について

 請願陳情58号、「日米共同訓練の中止と米軍輸送機オスプレイの訓練参加中止を求める請願」が総務委員会で不採択となったことに反対し採択を求めます。
 来年1〜3月に予定されている日米共同訓練フォレストライト02は、沖縄に配備されている米海兵隊との共同訓練です。海兵隊はベトナム戦争や中東戦争に沖縄から出撃したように他国への攻撃を専門とする部隊で、日本の防衛の任務を持っておらず、この共同訓練はアメリカの戦争に自衛隊を参加させるための共同訓練であります。とくにこの間の日米共同訓練には沖縄に配備されたMV22オスプレイが参加しています。このオスプレイは深刻な事故を繰り返しています。10月16日、沖縄県議会で採択された「米軍MV22オスプレイの緊急着陸事故に関する意見書」では、昨年12月13日の名護市沿岸での墜落事故、今年8月3日の3人の死者を出したオーストラリア東部沖合での墜落事故に続き、伊江島補助飛行場、奄美空港、大分空港への緊急着陸するトラブルが発生、9月29日にも石垣空港へ2機が続いて緊急着陸する事故が発生したと厳しく指摘し、オスプレイの飛行の即刻中止と配備の撤回。在沖海兵隊の撤退を求めています。日米共同訓練は、沖縄の負担軽減どころか沖縄の本土化を進めるものです。沖縄の深刻な実態と沖縄県民の声を私たちの声として、この請願を採択するのは当然のことではないでしょうか。

・請願項目「公務員の超過勤務の規制等を行うことを国に求める」項目の不採択について

 請願受理番号第59号は、国家公務員、地方公務員について、@勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。A超過勤務の上限を年360時間(月45時間)とする規制を行うことを国に求めるものです。総務委員会で不採択となったことは極めて残念で、深刻な実態を追認するものです。
 県庁職員の場合、昨年度は80時間を超えた職員が延べ1000人を超え、100時間以上が453人もいました、県立学校の教員では100時間以上が749人、21.7%という深刻な事態です。この請願の採択は切実で当然の内容というべきものであり採択すべきであります。
 
 以上申し上げ日本共産党を代表しての討論といたします。ご清聴ありがとうございました。