2018年1月10日 商工文教委員会
ラグビーW杯2019釜石開催に関する質疑(大要)


【斉藤委員】
 事業費の関係で、約39億円のうち地元負担が8億円、うち5億円が仮設スタンド部分と。先程来「応分の負担」となっているが、応分の負担の考え方、基本的には2分の1は県が負担するということなのか。現時点で応分の負担の考え方を示していただきたい。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 仮設スタンドに関する負担のあり方だが、県として現在釜石市と協議しながら、整備費に対する負担のあり方という部分を検討している。具体的な数字というところまでは申し上げるところにはない。

【斉藤委員】
 7月に常設の部分はできるわけで、考え方があってしかるべきではないか。応分の負担という曖昧なことではなく。内々にはあるのだと思うが。
 開催都市としての準備状況だが、いずれ基盤整備とスタジアムは固定費のようなもので、大会に向けた準備の経費、運営の経費があると思うが、大会に向けた機運醸成やイベントなどの取り組みがあると思うが、運営費というのは県と釜石市でどのように設定されているか。
 大会の運営費は、組織委員会が主催者だと思うが、現地の開催都市の負担はどのようになるのか。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 大会の運営について、そういう準備という部分もあるでしょうし、組織委員会で準備する関係もあるということで、大会そのものの運営自体については、組織委員会でもつ部分になるものである。これについて組織委員会でも、開催都市から負担金という形だったり、いろんな形で集めて全体経費を見ているところだが、開催都市として必要な経費という部分になると、開催都市の準備状況の部分でいくと、「観客との円滑な輸送に関わる部分」は開催都市が担うものとなっている。また「観客や来訪者の受入態勢の構築」の項目にある「ファンゾーン」という大会を行っている最中のイベント会場の運営も開催都市が担うべきものという形になっているので、そうした大きなものがある。ご指摘のあった機運醸成をしていくためのもの、テストとして試合をして本番に向けた準備をするという部分も開催都市で担う部分で、防災関係でも計画策定などに関わる部分は当然関わってくるが、大きなところは観客の輸送の関係やファンゾーンの運営というところが大きなところとなるものなので、この内容をどういった形で進めるのかという部分を現在検討中ということであり、来年度そこを実施計画という形でさらに詰めた形で検討していくということがあるので、現状で数字での明示ができないが、そこも詳細を詰めながら全体の経費を調整していきたい。

【斉藤委員】
 16000席ということで、2日間大会が開催されるが、輸送の関係で、釜石圏域で輸送する部分がどのぐらいで、あとは花巻や盛岡からの輸送など、現時点ではどのように考えられているか。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 交通輸送の基本計画の中で、輸送車の設定など基礎的な条件を整理して、道路の混雑度を試算するほか、バスや鉄道の実際の輸送力の調査、必要な駐車場の調査をした上で、車両の総数の抑制なり防災対策も含めた輸送計画を検討しているので、具体の数字については示すことはできないが、国体で確保したような形を今度は沿岸でやるということになるので、より広域な形での発着地点の設定などということは必要になるだろうということで検討を進めている。
 今後としては、駐車場候補地への協力要請や県外も含めた車両確保への協力要請、鉄道の輸送力確保への要請を行いながら、基本計画を3月にはつくり組織委員会に提出するということで進めている。
 来年度については、そういった車両を仮予約するとか、駐車場の候補地の借用手続き、交通自粛の看板をつくるといった、事前の広報も含めてやっていこうということで進めている。

【斉藤委員】
 輸送計画は大変だと思うが、国体のときも北上での開会式のときに、東北各県からバスを確保した。おそらく16000人という規模は同じぐらいだと思うが、釜石という場所でやるということは、国体以上に大変なことではないか。一番危惧しているのは、釜石市内は通常時でかなり渋滞する。その上で、三陸道はどのぐらい開通されるのか。三陸道を通って鵜住居に行けるのかどうか。
 もう1つは機運醸成という点で、国体の場合は、県内各地域が会場を持っていたので、それぞれの自治体が「自分たちの国体」という取り組みになった。今回は釜石会場ということで、アメリカの第二代表がカナダになれば、ホストタウンの盛岡市はかなり燃えると思うが、全県的に機運醸成をどうするかということは、国体以上に知恵と創意工夫が必要なのではないか。釜石地域はラグビーの伝統のある地域なので、しかしそこを離れると決して県内全域とはかなり落差があるのではないか。ここの機運醸成をどのように図っていくのか。現時点でどういうことを考えているか。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 三陸沿岸道路の関係だが、大槌―釜石北間は開通しないが、それ以外はつながるということで発表している。南からは釜石北インターで下りていただき、北からは大槌インターで下りていただくということでのアクセスになる。
 機運醸成の関係だが、ご指摘の通り県全体での醸成が必要になるので、そういった県民の皆さまが参画いただけるような形での機運醸成に力をいれてやっていかなければならない。今後、ボランティアの募集やチケットの発売が始まるということで、若干は大会の機運を盛り上げるための都市装飾というか、大会が行われるということを公共的な場所や施設、交通機関なり、さまざまな場所で見られるように心がけながら機運を盛り上げていきたい。

【斉藤委員】
 かなり立派な施設ができると思うが、大会後どのように維持・活用するか―これがもう1つの大きな課題で、説明の中では、ラグビー1部リーグの試合も呼びたいと。ラグビー1部リーグ開催の基準にスタジアムは適合するのか。
 釜石市長さんなんかは、大会後は県営にしてくれないかという話もしており、これは現時点では言わないが、やはり釜石市だけであのスタジアムを運営するのは大変な課題だと。それは、北上市の総合運動公園を見てもそうである。北上市で維持するのは大変で、全国的な大会などを誘致しないともたない。そういう点で、維持・運営の点でどのようなことを考えているか。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 6000席でのトップリーグの開催だが、県と市が中心となる釜石開催実行委員会と県のラグビー・フットボール協会の連盟で、日本ラグビー・フットボール協会にトップリーグの公式戦を釜石開催で要望している。正式な決定は春以降にはなると聞いているが、この実施については、協会側も開催都市であるということも踏まえ前向きに検討したいという話もいただいているので、今後トップリーグの開催は可能になるのではないかと思っている。
 大会後の運営だが、トップリーグの試合や各種大会の誘致、プロスポーツや大学・高校の合宿の誘致、コンサートなど各種イベント的な部分も含めて考えるほか、スポーツ施設としての日常的な県民・市民の利活用が考えられると思っているが、県としては、沿岸地域の振興や広域的な文化スポーツの振興の観点から釜石市と連携して検討を進めていきたい。

【斉藤委員】
 防災対策だが、先日、千島海溝の巨大な地震の可能性が指摘された。千島海溝は実は一番活発な地震地帯ということで、かなりの規模の地震・津波が続発している。そうすると、やはり三陸はその影響を受けざるを得ない。この点で、巨大水門も防潮堤もできているが、どのぐらいかさ上げされて、今のスタジアムがどういう津波に対応する施設になっているのか。もう1つは、なんといっても津波は避難が最大の対策なので、そういう点での防災対策はどのように考えられているのか。
 私もぜひ行きたいと思っているが、例えば、盛岡から参加する場合に、盛岡からバス付きで参加できるのが一番いいと思うが、もしチケットを購入するとすれば、どういう形のチケットを購入すればいいのか。できればメインスタンドで観たいと思うが。どういう形のチケット販売になるのか。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 防災計画の中で、外国人も含めた障がい者等への対策を行うなどとするような基本方針を定めるほか、来年度策定する実施計画の中では、こういった自然災害、テロ災害等も含めた、周りの県や釜石市の地域防災計画につながるような情報収集や伝達、避難誘導の手順といった部分を定めて、そうした対策を万全にしていきたい。スタジアムがあった鵜住居地区は、津波でも甚大な被害を受けた地域なので、そういった避難誘導対策等をしっかり対応していきたい。
 チケットの関係だが、先ほどご説明させていただいたのは、インターネットのチケットIDの登録による販売のスケジュールをご案内させていただいたが、別途取り扱いができる会社が限られることにはなるが、チケット付のバスなり、宿泊なり、今後発売される見込みとなっており、あるいは、チケットがある方々を対象に各地から会場に向けてのバスの検討もしているので、そういった機会をとらえて応募していただくなり、セットでお買い上げいただくという方法もあるので、よろしくお願いしたい。

【斉藤委員】
 スタジアムのある釜石東中学校と鵜住居小学校というのは、まさに直接津波の被害を受けて、子どもたち全員が助かった「釜石の奇跡」と言われるところである。同時に、防災センターに逃げて200人前後が犠牲になった「釜石の悲劇」の場所でもある。復興の状況を世界に報告する、感謝するという大会にもなると思うが、そうした場所なので、そういう点ではどういうことを考えているか。

【ラグビーW杯2019推進課総括課長】
 釜石市で開催する意義は、津波被害に関する支援への感謝、復興の状況を示していく必要があるだろうと考えているので、開催都市として運営することになるファンゾーンにも、そういった展示も含めて考えていってはどうかと考えており、どのような形で進めていったらいいかというところはあるが、試合そのものの時に、何らかの支援への感謝のメッセージなりを示せるようなことができないものかということも含めて組織委員会と相談している。