2018年3月2日 2月定例県議会本会議
議案に対する高田一郎県議の反対討論全文


・閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約案件について

 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第98号について反対討論を行います。議案98号は、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めるものです。
 今回の請負契約変更は、地質調査結果にもとづく設計や工法の変更、河川堤防の場所打ちコンクリートから二次製品への変更などを理由に、事業費を101億6200万円増額し293億円に変更しょうとするものです。
閉伊川筋藤原地区河口部の津波対策は、「堤防強化と堆積土砂の浚渫こそ必要で水門整備は洪水の原因になりかねない」との懸念が少なくない市民にありました。宮古市議会でも水門方式と堤防方式の意見が分かれる中、2014年6月宮古市議会では、「閉伊川の水門工事に関する閉伊川水門整備計画の詳細な説明を求める決議」を採択しました。
県は水門方式では167億円、堤防方式では238億円と工事費を積算し、経済性やまちづくりへの影響、最大クラスの津波による影響の観点から、閉伊川河口部における津波対策は水門方式が妥当として県が主導して進められてきました。
 閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事は、2014年の当初請負契約70億円から5回の変更契約を行い293億円と4.18倍となるものです。第3回変更時には、水門本体と基礎構造の詳細設計が行われ、2016年2月県議会で103億円増額する変更請負契約が行われました。その後、仮締め切り工の実施と合わせて左岸部の基礎杭施工のために追加の地質調査を行うなど、二度にわたる調査が行われているように詳細設計が充分でなかったものです。質疑であきらかになったように、「用地補償費や別途発注済の機械設備工事費を合わせた全体事業費は約400億円を見込んでいる」と述べているように、2012年当時説明した水門案(167億円)の2.4倍にもなっています。しかも、「右岸側の二期施工分は、仮締め切り実施後でなければ詳細な地質調査を行えない」と述べているように、工事費がさらに膨らむことが予想されます。
 東日本大震災津波の復旧・復興では業者が不足し、標準断面図で対応し、その後の詳細設計などで工法の見直しなど工事費が高騰することはやむ得ないものもありました。しかし、今回は4.18倍と、4倍を超える事案はこれまでになく異常な変更契約です。民間事業であれば事業の見直しを行う事案ではないでしょうか。
工事の進捗率は22%となっており、これまでの事業の検証を行い、水門工事を含めて抜本的な見直しを行うべきです。

 以上の理由から反対するものです。ご清聴ありがとうございました。