2018年3月7日 予算特別委員会
復興局に対する質疑(大要)


・被災者の見守り支援の強化について

【斉藤委員】
 応急仮設住宅における被災者の見守り、災害公営住宅における被災者の見守りについて、重点見守り、通常見守り、不定期見守りなど、対象を分析しながらやっていると思うが、それぞれの内容はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 応急仮設住宅における被災者の見守りについては、県の補助により社協が設置している生活支援相談員や市町村の支援員等が個々の状況に応じた頻度により訪問活動を行っている。
 訪問活動の頻度については、生活状況の把握を継続して行う世帯を「通常見守り」、通常見守り世帯よりも訪問回数を増やして見守りを強化する世帯を「重点見守り」、本人の申し出などにより定期的な訪問を要しないと判断した世帯を「不定期見守り」として、被災者の状況に応じた丁寧な訪問活動を行っている。
 平成29年12月時点の社協の生活支援相談員活動状況実績報告によると、みなし仮設を含む応急仮設住宅では、重点見守りの世帯が211世帯、通常見守りの世帯が2499世帯、不定期見守りの世帯が785世帯となっている。
 災害公営住宅における見守りについては、応急仮設住宅と同様に、生活支援相談員や市町村の支援員等が個々の世帯の状況に応じた頻度により訪問活動を行っている。
 災害公営住宅においては、重点見守りの世帯が446世帯、通常見守りの世帯が2941世帯、不定期見守りの世帯が1132世帯となっている。
 見守りと合わせて、相談支援員や災害公営住宅などにおける住民同士の交流機会や自治会づくりなどの支援を行っている。

【斉藤委員】
 応急仮設住宅や災害公営住宅の高齢者の比率は現段階でどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 昨年末で、応急仮設住宅に入居されている3023世帯のうち65歳以上の高齢者を含む世帯が1226世帯・40.6%。
災害公営住宅に入居している4410世帯のうち65歳以上の高齢者を含む世帯が2719世帯・61.7%となっている。

【斉藤委員】
 災害公営住宅の方が割合が高く、一層高齢化が進んでいる。残された仮設住宅の見守りを一層強化することと合わせて、災害公営住宅の高齢者の見守りは思い切って特別の取り組みが必要である。

・住宅再建への支援について

【斉藤委員】
 岩手内陸避難者支援センター、沿岸被災者相談支援センターの今年度の取り組みと実績はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 岩手内陸避難者支援センターは、今年度スタッフを7名から9名に増員し、内陸および県外に避難している方に対して、沿岸市町村からの依頼を受けて、戸別訪問などによって住宅再建の意向把握や相談対応などを行っているところであり、市町村から依頼があった721件すべての調査を行い、そのうち昨年末現在で、682件・95%の方が住まいの意向を決定されたところである。今年度の相談実績は、昨年末現在で2050件となっている。
 沿岸被災者相談支援センターでは、相談員による相談対応のほか、ファイナンシャルプランナーなどの専門家による相談対応を実施している。相談員による相談件数は、昨年末現在で23年度からの累計で25117件、専門家相談の件数は23年度からの累計で2825件となっている。

【斉藤委員】
 沿岸被災者相談支援センターというのは、住宅確保の支援は具体的にはやっていないということになるか。

【生活再建課総括課長】
 被災者相談支援センターの相談対応の中には、住宅に関わる内容も含んでいるが、具体にどこまで関わって支援するかの度合いが違い、内陸避難者支援センターは具体的に住宅の計画なども支援しているが、被災者相談支援センターは相談窓口につなぐといったところなので、実績というところではなく相談実績の中に入れさせていただいている。

・仮設住宅の集約と解体について

【斉藤委員】
 仮設住宅の集約化と解体の現状、来年度の見通しを示していただきたい。

【生活再建課総括課長】
 全体で13984戸建設した仮設住宅のうち、退居や集約により入居者が不在となった仮設住宅について、今年1月末現在で3862戸解体しており、供給戸数は10122戸、入居戸数2910戸となっている。
 集約については、各市町村において、災害公営住宅の整備状況や面整備状況の見通しを踏まえて集約計画を策定するとともに、必要に応じて見直しを行いながら進めている。
 来年度は、2756戸の解体・撤去を予定しており、そのための経費を来年度当初予算案に計上している。

【斉藤委員】
 集約化は必要だが、本当に取り残された被災者にとっては、仮設から仮設への移動は大変な負担になる。よく把握して、その後のフォローも含めてしっかり対応していただきたい。

・災害援護資金について

【斉藤委員】
 岩手県の場合は、1月末現在で1091件と、仙台市などと比べると活用件数はそれほど多くない。ただ、平成23年度、444件・10億3989万円が活用されているので、23年度分は今年度中から償還が開始されると思う。仙台市は少し異常な感じはするが、それでも約3割が返済できずに相談が殺到しているという報道もあった。444件は今年度中に償還の時期を迎えるということでいいか。そして現段階で、償還を迎える方々の相談の状況は把握しているか。

【生活再建課総括課長】
 今年度中に約定の支払期日を迎えるかどうかについては、返済の方法が半年賦や年賦があり、また繰上償還されている方もいるので、今年度中に約定支払期日を迎える貸付件数について、市町村に確認したところでは105件となっており、市町村によっては、償還が難しいという相談も何件か寄せられていると聞いている。

【斉藤委員】
 1091件は活用されているわけで、償還期限を次々と迎えるので、丁寧な対応が必要である。
 災害援護資金の申請期日は3月末となっている。これから家を建てる人が相当数いるので、申請期限の延長が必要だと思うが、延長の見通しはどうか。

【生活再建課総括課長】
 貸付期限の延長については、住宅再建の資金に充てられる場合が多いということで、県としても政府要望を行ってきたところだが、国において、今後関係制令を改正して平成31年3月31日まで延長する予定となったと聞いている。

【斉藤委員】
 本当に政府の対応は遅く、もっと早く延長するものは延長して被災者を安心させるべきで、本当にこういうところに国の姿勢が出ている。

・三陸チャレンジ推進事業について

【斉藤委員】
 これは、若者・女性をはじめとした被災地での起業、第二創業および新事業を創出しようとするものに対する支援事業ということで、今どんどん事業者が廃業している中で、新規の事業に対する支援はきわめて重要だと思うが、この実績を示していただきたい。

【産業再生課総括課長】
 この事業は平成28年度から行っており、初期費用、資金調達支援、販路開拓支援など総合的に実施しているが、これまで初期費用補助については、平成28年度の予算で14事業者に交付決定を行っており、29年度は41事業者に対して交付決定を行っている。
 そのほか、クラウドファンディングによる資金調達支援については、2ヶ年で10事業者について支援を行っている。
 そのほかに販路開拓支援としては、デパートでの販売会や首都圏域での販売会、スーパーマーケット等との相談を行っているほか、起業希望者と地域内の事業者が相互に交流・連携を図れるようにということで、そちらの連携・支援も行っている。

【斉藤委員】
 大変前向きな取り組みで、ただ3ヶ年の事業で30年度までとなっており、来年度は8000万円の予算で増額はされているが、3年間で終わらせる事業ではないと思う。引き続き継続して、地域経済の活性化を応援することが必要だと思うがいかがか。

【産業再生課総括課長】
 事業の継続・拡充については、お話あった通り、来年度については、初期費用補助について今年度の採択実績を踏まえて40件に拡充している。
 この事業については、この事業を使って起業支援に取り組まれた方もいるので、そういう方々に対する販路開拓等の事業継続に向けた支援については、引き続き行っていく必要があると認識しており、平成30年度の事業実績や市街地の復興まちづくりの進捗状況等を見ながら、後継事業について来年度中に検討していきたい。

・復興基金の状況について

【斉藤委員】
 復興基金の活用と残高はどうなっているか。

【復興推進課総括課長】
 今年度は、25事業・約33億円活用見込みであり、29年度末の残高は約67億円と見込んでいる。
 30年度当初予算案には、27事業・41億円を盛り込んでおり、30年度末の残高見込みは26億円である。

・震災遺構について

【斉藤委員】
 県内の震災遺構の状況はどうなっているか。

【まちづくり再生課総括課長】
 沿岸市町村からの聞き取りによれば、遺構として保存するもの又は保存する予定のある施設は、6市村で大規模なもの小規模なもの合わせて11ヶ所と聞いている。

【斉藤委員】
 今回の東日本大震災津波は、いろんな形で震災遺構というべきものが残っている。今までの大災害とそこが違う。これは最大限保存して、未来にきちんと震災の教訓を受け継いでいくことが大事だと思う。

・復興局の体制について

【斉藤委員】
 来年度は復興計画の最終年度だが、県はすでに次期総合計画の中で、復興計画・実施計画を継続すると。復興局長は「実質第4期計画だ」と述べ、大変分かりやすかったと思う。
 それで、復興局はどうなるのか。知事の共同インタビューで、県復興局の今後について、「現在県の復興局体制を変えようという考えはないし、将来的にも今は全然考えていない」と語っている。復興局も引き続き継続され復興の取り組みにあたると理解していいか。

【復興局長】
 復興の分野に限らず、行政組織のあり方というものは、その時々の行政課題やニーズ、ボリュームなどを踏まえて、不断の見直しを行っているものと承知している。
 復興局の組織のあり方についても、そういった観点から、毎年度の組織体制の見直し、あり方を検討する中で、復興の進捗状況を踏まえ、またその時々の課題が何かといったこと、市町村の考え、住民の方々の気持ち、そういったものを考えながら検討していくものと承知している。

【斉藤委員】
 知事のインタビューを紹介して聞いたので。知事と局長の話は違うのではないか。

【復興局長】
 来年度8年目、平成30年度については、現行の復興局の体制でいくということは確定している。その後のあり方については、委員からご紹介のあった知事の考え方を踏まえ、あとは「組織というのは不断の見直しを行っている」というのは一般論で申し上げたものである。