2018年3月8日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)


・再生可能エネルギーの導入促進について

【斉藤委員】
 再生可能エネルギー導入促進事業費が4160万円、これまでの実績と来年度の見通しはどうなっているか。

【温暖化エネルギー対策課長】
 県では、東日本大震災津波で家屋等に被害を受けた方が、家屋の修繕または新築を行う際に、太陽光発電システムを設置する場合、その設置に要する経費の一部を補助しており、平成24年度に事業を開始してから昨年度までに2014件、総額2億9900万円余の補助を実施している。
 29年度の実績は1月末現在で、135件、総額1488万円の補助を行っている。
 また、災害時においても一定のエネルギーを賄える自立分散型エネルギー供給システムの導入に向け、市町村等が行う導入計画の策定や設計等を支援するための補助事業を実施しており、これまでに葛巻町や、岩手中部水道企業団に補助を実施している。
29年度については、久慈市の木質バイオマス等を活用した、災害時におけるエネルギー自給体制の構築に向けた計画策定に対し支援を行っている。
 30年度においても、これらの補助を継続して実施することとしている。

【斉藤委員】
 防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費は、公の施設に対する太陽光発電システムや発電機などの整備だと思うが、これも実績と来年度の見通しを示していただきたい。

【温暖化エネルギー対策課長】
 県では、市町村庁舎や病院などの防災拠点、学校や公民館・集会所などの避難所となる公共施設等において、太陽光発電システムや蓄電池等の再生可能エネルギー設備を導入するために要する経費の補助を実施しており、28年度までに436箇所で整備が進められている。
 29年度は13箇所で整備に着手しているほか、30年度においても新たに11箇所の整備に着手する予定としている。

【斉藤委員】
 これらの事業は、国の復興期間の10年間の事業になるのか。全体の見通し、計画のようなものはあるのか。

【温暖化エネルギー対策課長】
 被災家屋等への再生可能エネルギー導入事業については、計画上、県の復興基本計画において、平成30年度の事業ということで取り組んでいるところだが、31年度以降の取り組みについては、今後検討していくものであると考えている。
 防災拠点等再生可能エネルギー導入促進事業については、当初よりも沿岸被災地における土地造成などの進捗が遅れている状況もあることから、国と協議を行い事業期間を延長し、平成32年度まで沿岸被災地において事業を継続できることとなっている。

・放射能汚染対策について

【斉藤委員】
 放射線対策費による放射線量の高い地域の除染の実績と今後の取り組みについて示していただきたい。

【環境保全課総括課長】
 岩手県放射線調査・低減事業費補助金において、23年度・24年度に6市町村で計124件実施している。
 県内における放射線の生活環境への影響を把握するため、例えば県内10箇所のモニタリングポストを設け測定しているが、3月7日現在で、毎時0.017〜0.048μSvということで、国の定める除染基準―毎時0.23μSvよりも大きく下回っている状況である。
 このように、県全体として放射線量は低減してきているので、最近はこの補助金の活用実績はないところだが、県としては、汚染状況重点調査地域となっている県南3市町と随時情報交換しながら、当該補助金も必要に応じて有効に活用いただきたい旨をお伝えしている。今後とも市町村と連携を密にし、必要に応じて制度の活用をするなどして対応していきたい。

【斉藤委員】
 これは広域的施設の除染だと思うが、答弁では23年度・24年度で6市町村・124箇所で終わっているが、来年度も予算が計上されているということは、これからもそういう対象になる施設があるということなのか。
 住宅のホットスポットはまだあると思うが、比較的放射線量が高いところをどのように把握されているか。除染はどう取り組まれているか。
 鹿対策も議論になったが、これは食べられない、流通できないと。山林の汚染というのは全く手つかずだと思うが、山林の除染対策はどうなっているか。

【環境保全課総括課長】
 当該補助金の対象となりそうな施設については、25年度以降実績がないということなので、具体的にあがってきているものはないが、県南3市町でホットスポットが現にまだ若干あるということなので、状況に応じては可能性はなくはないということで、そのときにすぐに対応できるような形で制度を残していきたいと考えている。
 住宅のホットスポットについては、一関市において、昨年2月の報道では136箇所ということだが、我々の方で去年11月末に聞き取りしたところ、84箇所に減少したと聞いている。奥州市・平泉町においては、聞き取りした結果「なし」という回答をいただいている。
 ホットスポットの除染については、各市町村において対応されていると承知しているが、これまでも行っているが、県として技術的な助言等を行いながら対応している。今後においても、市町村もお聞きしながら連携して取り組んでいきたい。
 山林の除染対策だが、当部では生活環境に関して所管しており、山林等について直接的に申し上げづらいところはあるが、例えば、産業政策等の観点も加味しながら考えていくべき問題ではないかと考えている。他部局だが、原木しいたけ等の産地再生対策という形で政府要望などもされていると聞いており、その中で、モニタリングもしっかりやってほしいという内容もあったと記憶しているので、そういった中で国にしっかり対応していただきたいと考えている。

【斉藤委員】
 ホットスポットが一関市で136箇所から84箇所に減少したと。これは除染の結果なのか自然減衰なのか。ホットスポットの基準はどういうものになっているか。
 山林の除染についてだが、原発事故の直後は、上空から放射線量を把握して、これは図面も紹介された。どの地域がどういう汚染状態にあるかは、原発事故の直後は公表された。ああいう調査をやっていれば、どういう状況にあるかということが分かるのではないか。そういうことは国はやっているのか。

【環境保全課総括課長】
 除染基準0.23μSvというのがあるので、これを一定の目安としながらホットスポットの除染に努めているものと認識している。実際にうかがっていると、職員の方が行って住宅の敷地を天地返ししたりといったご苦労をされているというのは聞いているが、具体的な数字としてこれが何件該当するかというところまでは資料を持ち合わせていない。
 国の方でどういう汚染状況か把握しているかということについては、我々の方ではデータは持ち合わせていないので回答しかねる。

【斉藤委員】
 国自身が山林の除染を全然やっていないので、必要性が示されるような汚染状況調査はやっていないのではないか。これは国の責任放棄だと思う。除染をしないために調査もしないということになっているのではないか。そのために、山菜やキノコは出荷規制である。鹿も捕っても活用できない事態に丸7年経ってもなっている。やはり調査があって初めて対策が出てくるので、その点徹底していただきたい。
 放射性物質汚染廃棄物処理円滑化事業は、道路側溝汚泥の一時保管対策だが、道路側溝汚泥の現状と対策はどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 特に汚染重点調査地域となった県南3市町で行われているが、現在のところ、一関市においては、ほぼ側溝の詰まり23箇所あったものが15箇所が処理されているということで、引き続き側溝汚泥の除去に取り組むということである。奥州市では、詰まりが何箇所というとらえ方ではなく、地区ごとということだが、現在のところ側溝の詰まりなど地域からの要望がなく、現在のところ側溝汚泥の問題はないと聞いている。平泉町も同様に詰まりはないと聞いている。

【斉藤委員】
 おそらく側溝汚泥は、一時保管にしたということで最終的な処理は国が方針を示していないので、されていないということだと思う。

・鹿対策について

【斉藤委員】
 鹿の現状について、いま約4万頭で、平成35年に向けて半分に削減する、年間1万頭の捕獲ということでいいか。

【自然保護課総括課長】
 その通りである。

・はまなすサポートラインの取り組みについて

【斉藤委員】
 はまなすサポートライン(性暴力等被害相談専用電話)というのは、先駆的な取り組みだと。総合的、ワンストップで対応し、医療費の支援もするということで、願わくば24時間対応の電話相談があれば、いつ襲われるのか分からないので、そういうときにすぐ相談して、いろんなところにつながるということが大事なのではないかと。
 予算書を見てこの取り組みが分かったが、できればテレビのCMなども活用して、いま勇気ある女性が声を上げて、大きな社会問題になり、そういうときに岩手県が先駆的に10月1日から取り組みを進めていることを評価するが、啓発・普及に思い切って取り組むべきではないか。

【県民くらしの安全課県民生活安全課長】
 周知の物がリーフレットのみであり、実は身内の機関で配布しているだけで、要はそこの必要な相談機関に到達するために知っていただかなければならないのに、今のところ身内の中だけでとどまっている。
 そこで、財布にすぐ入れられるようなカード型の物、あとは高等学校に被害者が24歳以下が多いということで、養護教諭を通じて保健室に置くなり、性教育などの場面でやっていただくということも考えている。
 ご提案のテレビCMについては、時間帯によっては非常に値が張るもので、単発的にやってもあまり意味がないものだが、かなりの回数をやろうとすれば金額はすぐに出ないが、そのようなことをやれば非常に制度を知っていただくには効果的だとは思っている。その辺は財政当局との関係もあるが、あとは、外部的な支援をいただける団体が見つかりつつあるので、来週お会いすることもあるので、その辺のところも、今後の長いスパンでお話させていただけないかとは思っているが、すぐテレビCMというのはなかなか難しいと思っている。

【斉藤委員】
 良い取り組みなので、ぜひ啓発・普及を工夫してやっていただきたい。

・盛岡ごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 進捗状況はどうなっているか。地域住民の理解が得られていないのではないかと報道では見られるが、どうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 現在は、新しいごみ焼却施設の整備候補地4箇所の周辺で住民説明会を開催していると聞いている。盛岡市では、地域の方々のご理解を深めていただくために、引き続き欠く候補地周辺において住民説明会や勉強会などを開催するとしており、平成30年度全般に整備予定地1箇所の選定を目指すと聞いている。

【斉藤委員】
 盛岡ごみ広域化計画というのは、盛岡広域8市町村のごみ、これは県内全体のごみの4割を占めるが、それを盛岡一極集中させるという途方もない計画だと。
 当初、今年度中に4箇所を1箇所に決めるということだったが、できなかった。それは、4箇所の候補地のうち3箇所で明確な反対運動が広がっていると。説明会も開けない。あとの1箇所も、いろいろな道路事情その他の問題もあるということで、計画通り決められなかったのだと思う。
 盛岡市長は「住民の理解を得て進める」と言明している。住民の理解が得られなかったら、この計画は頓挫するのではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 地域住民の理解を得るための取り組みについては、盛岡市において、理解されていないことについてきちんと地域住民の皆様に説明していくものと考えている。

【斉藤委員】
 大型ごみ焼却場ありきの計画、これは日量500万トンと言われているが、ごみ問題で一番大切なのは、どうやってごみを減らすか、リサイクルに努めるかということである。
 大型ごみ焼却場の整備、場所選定が先行し、肝心のごみ減量の計画がない、リサイクルの計画がない。循環型社会形成の基本法にも反する進め方ではないか。進め方がまったく逆立ちしているのではないか。本来、どれだけごみを減らすことができるか、どうやってリサイクルを進めるのか、その上で焼却場はどうあるべきか。1箇所がいいのか、規模はどうなのか。ところが一番肝心の問題が議論もされず、日量500トンの大型焼却場を盛岡1箇所に集中させるということが一人歩きしている。法律の精神からいっても、進め方はおかしいのではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 今後、盛岡広域の8市町では、共同してごみの減量化策などに取り組むと聞いているので、そういった取り組みが進んでいくものと考えている。

【斉藤委員】
 結局、進め方が逆立ちしているということを認めた答弁である。
 ごみの減量・リサイクルの計画があって初めて焼却場の規模が決まる。そのとき1箇所がいいのか3箇所がいいのか。逆の進め方をしている、そういうミスリードをしているのは県ではないか。なぜかというと、8市町の首長のみなさん全てに、撤回を求める会の方々が面会し話を聞いたと。葛巻町長さんは「自分のところでリサイクルをしている。きちんと処理もしていて十分だ」と言っている。八幡平市長さんは「県が『一箇所でなければ交付金が出ない』と言うから仕方がないのではないか」と。
 岩手北部広域環境組合で、ごみを一箇所に集約するという計画があり、一部事務組合もつくられた。ところが議論の中で、「一箇所に運ぶロスが大きい。まだまだ今の施設が使える」ということで、一部事務組合まで立ち上げたが止めた経過がある。だから、盛岡だって一箇所でなければ交付金が出ないということはない。そのことを確認して岩手北部広域環境組合は止めた。県の「一箇所でなければ交付金の対象にならない」というミスリードは正されるべきではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 久慈地区と二戸地区で構成する県北ブロックにおいては、ブロック内で焼却炉を1つにするということで動いていたが、その後に、現有施設が長寿命化して使用可能であるということが分かったということがあり、現在2つの焼却炉をそれぞれ長寿命化するということで承知している。この長寿命化の後、2つの地域では最終的に1つに集約するということを検討しており、当初の計画に変更がないものと考えている。
 盛岡広域・県央ブロックについては、26年度に基本構想を策定し、必要に応じて、6つの焼却炉の長寿命化を図りながら、1つに集約することにメリットがあると、8つの市町で構成する協議会で決めているので、これは盛岡広域では1つに集約するという過程ができあがっているというものである。

【斉藤委員】
 岩手北部ブロックは、一部事務組合まで作って、一箇所の焼却場建設を整備する段階までいって止めた。
 盛岡広域は一部事務組合をつくるのはこれからである。基本構想を立てたというが、先ほど八幡平市長さんの発言を紹介したが、「県が『一箇所でなければ交付金が出ない』と言うからそれしかないのではないか。県でこれを問題にしてくれ」と。だから取り上げている。
 北部ブロックのケースから見ても、一箇所でなければ交付金が出ないということは環境省も総務省も言っていない。正確ではない指導は見直すべきである。