2018年3月8日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・被災地における交通安全対策について
【斉藤委員】
被災地における交通安全施設、信号機の整備状況と来年度以降の取り組みについて示していただきたい。
【交通部長】
被災した信号機については、151基が被災し、24年度末には119基を復旧している。実復旧の32基については、24年度以降、復興計画や町並み形成を考慮し、復興事業として整備することとし、29年度には大槌町に2基整備し、30年度には陸前高田市に5基整備予定である。
被災した信号機以外の整備については、円滑化対策、通学路の安全対策、復興まちづくり事業に伴う交通環境の変化に対応するため、平成24年度3基、25年度7基、27年度10基、28年度4基、29年度6基の整備を行っており、平成30年度は、大船渡市に定周期信号機3基、釜石市に定周期信号機2基、宮古市に定周期信号機1基、山田町に押しボタン信号機1基の計7基を整備予定である。
復興道路関係については、三陸沿岸道路・東北横断道・釜石―秋田線、宮古―盛岡横断道路の各供用等に合わせ、可変式速度規制標識の整備を進めており、27年度は2区間24基、28年度は5区間44基、29年度は3区間49基、30年度の予定は、三陸沿岸道路7区間56基、東北横断道釜石―秋田線2区18基、宮古―盛岡横断道路1区間4基、計10区間78基を整備予定である。
沿岸被災地では、国の財源措置がある期間内の完了を目指し、今後復興事業の加速が予測されることから、警察としても道路環境の変化を見過ごすことのないよう、交通安全施設を適時適切に整備していく。
【斉藤委員】
被災信号機の復旧の中で、陸前高田市が28基のうち未復旧が22基と。大槌町が13基のうち未復旧が7基ということで、被害の大きいところはこれからということなので、しっかりやっていただきたい。
・捜査報償費について
【斉藤委員】
来年度予算は増額のようだが、この間の推移も含めて、その理由は何か。
【警務部長】
決算額で、25年度1149万円、26年度1067万9千円、27年度1072万4千円、28年度1040万7千円、29年度についてはまだ執行過程なので申し上げる段階にはない。30年度は、当初予算案に1394万4千円を計上している。
当初予算の計上額は、基本的に前年度の実績や各所属の事件捜査の状況等を勘案して積み上げたものである。個々具体的には、捜査活動に支障があることから答弁を差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
実績ではこの間減少してきた。予算額も減少してきたが、29年度の予算額は1300万円だったが30年度は1394万円だと。今までずっと減ってきたのに、来年度増やす理由はどこにあるのか。
捜査報償費はずっと減っているが、警察署によってはとんでもなく増えているところがある。組織犯罪対策課は、28年度101万8千円から214万5千円に倍以上増えた。何か特殊な事情があったのか。組織犯罪対策課はどういう犯罪を対象にしているか。
【警務部長】
予算額については、繰り返しになるが、基本的には前年度の実績や各所属の事件捜査の状況等を勘案して積み上げているものであり、個々具体的には捜査活動に支障があることから答弁は差し控えさせていただきたい。
組織犯罪対策課の執行額については、捜査報償費の執行額は事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果であるので、その理由については捜査の内容を明らかにすることにつながることから、答弁は差し控えさせていただきたい。
【参事官兼警務課長】
組織犯罪対策課については、暴力団に関する犯罪、国際犯罪、薬物犯罪等の捜査に関することを所掌している
【斉藤委員】
28年度は捜査報償費が倍以上に増えた。28年度はその暴力団に関する犯罪だとか国際犯罪等が増えたのか。刑法犯の認知件数は重要犯罪を含めてずっと減っている。これはあなた方の成果だと思うが、捜査報償費が増える理由はないのではないか。
【警察本部長】
捜査報償費については、捜査に要するさまざまな費用に充てているが、これは検挙の数と一概に結びつくものではない。したがい、個々の捜査の内容を明らかにすることにつながるので詳細はお答えできないが、基本的に前年度の実績やそれぞれの課の事件捜査の状況を勘案して積み上げたものであることをご理解願いたい。
【斉藤委員】
全然ご理解できない。刑法犯の認知件数の推移も含めて示して、どこに根拠があるのかと。犯罪が減っていて、突然捜査報償費が2倍以上に増えるということについて、それなりの答弁がなければおかしいのではないか。
警察署管内でいくと、北上署が118万円、盛岡東署の111万円より多い。北上署管内というのは犯罪が多かったのか。
【警務部長】
繰り返しになるが、個々の警察署の執行額については、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因によるものであるので、執行額の増減は事件捜査を行った結果であるので、その理由については、個々の捜査の内容を明らかにすることにつながるので答弁は差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
私が捜査報償費を繰り返し取り上げているのは、これが警察の裏金の原資になったのではないかと、一時大きな社会問題になり、それ以来取り上げてきたが、半分以下に減ってきている。これは質問の成果だと思っているが。説得力のある答弁がないが、この捜査報償費というのは、本当に県民に理解できるようにしっかり執行しなければいけない。
・警察官による不祥事について
【斉藤委員】
平成29年の県警本部に関わる不祥事案はどういうものだったか。
【参事官兼首席監察官】
平成29年中の警察職員の懲戒処分数は3名であった。免職1名、停職2名、減給2名であり、業務上の行為に関わるものでは、拳銃の不適切保管事案、私的な行為にかかるものについては、重大交通事故事案など4件となっている。懲戒処分に至らない訓戒注意については18名を措置しており、行為責任として、業務上の行為にかかるものは、捜査書類の不適切管理事案など6名、私的な行為にかかるものは、泥酔による同僚とのトラブル事案など8名、そのほか監督責任として4名を措置している。
いずれの事案についても、必要な調査を尽くし、厳正に処分し、事案の分析結果に基づいた再発防止対策を講じている。
【斉藤委員】
不祥事が繰り返されていることに警告を発したいが、特に不可解な事件についてお聞きしたい。
7月29日の午後2時15分ごろ、参事官・運転免許課長が、西松園の市道で、横断歩道を自転車で右から横断中の女性をはね飛ばすと。女性は外傷性くも膜下出血、骨盤骨折などの重傷を受けたと。これは11月16日現在の新聞報道だが、その時点でも入院中で、3度目の手術を受けていると報道された。しかし、これは公表もされず逮捕もされなかったし処分もされていない。こんなことがあり得るか。なぜこのようなことになったのか。
【参事官兼首席監察官】
この事案に関しては、11月15日付で本部長訓戒としている。また本件事案の発生時については公表しているところである。
【交通部長】
逮捕の判断については、刑事訴訟法の規定等により、個別具体的に判断したものである。
【斉藤委員】
この事件がきわめて悪質だと思うのは、交通関係に関わる課長が、横断歩道を進行中の女性をはね飛ばしたと。なぜそういうことが起きたのか。二日酔い運転で事故を起こしたのではないのか。そういうことも調べたのか。
【交通部長】
飲酒の事実については捜査しているが、確認されなかった。
【斉藤委員】
隠そうと思えば隠せることではあるので。
7月29日の交通事故にも関わらず、11月15日付の本部長訓戒だと。懲戒処分とは違う。横断歩道を横断中の女性をはね飛ばして、外傷性くも膜下出血、骨盤骨折を負わせ、3度も手術するような重傷を負わせた事故が、なぜ懲戒処分にもならない「本部長訓戒」で済むのか。この重大事故は、一般県民なら逮捕だと思う。警察官だから逮捕もされず公表もされず懲戒処分もされなかったのではないか。
本部長は全国をまわっていると思うが、こういう重大事故が本部長訓戒で済むのか。
【警察本部長】
本件事案に対する監督上の措置については、事案の内容および全国におけるこれまでの先例等を踏まえて厳正に対処したものである。
【斉藤委員】
県職員がこういう事故を起こした場合にどういう処分になるか聞いたが、最低「戒告」だと。これは懲戒処分である。なぜ警察官は逮捕も公表もされないのか。本当に身内に甘い体質である。これだけ処分や公表に時間がかかったということも異常である。
2つ目の事件―。水沢署の刑事課刑事2係の巡査部長が失踪した。この原因は何か。そしていまだにこの警察官は行方不明のようだが、どのような捜査をしたのか。
【参事官兼首席監察官】
本件事案は、昨年11月23日から所在が不明となり、正当な理由なく長期間無断欠勤を続け、地方公務員法および岩手県警察職員の職務倫理および規律違反行為として、1月26日付で免職処分した。
不明となった経緯については、現在のところ直接本人から事情を聞けていない状況なので、確定的なことは申し上げられない。
【斉藤委員】
11月22日の夜、警察署で飲酒し、そのまま運転して飲み屋に向かう途中で事故を起こした。それを隠蔽しようとしたが、マスコミに通報されて露見してしまった。こういう事件ではないか。
【参事官兼首席監察官】
当該職員の失踪については、事故との関連性も含めて捜査をしているところである。
【斉藤委員】
事故を起こしたのは事実で、その後に失踪している。ただの普通の事故だったら失踪する必要はない。失踪せざるを得ないような理由・背景があったのだと思うがいかがか。
【参事官兼首席監察官】
当該事故との関連性での失踪というご指摘だが、当方としてもあらゆる可能性を視野に調査しているが、現時点でそのような事実を認定できる状況にはない。
【斉藤委員】
一番深刻なのは、この警察官がいまだに見つかっていないことである。捜索願も出ているようなので全力をあげていただきたい。
3つ目、12月29日に記者発表された懲戒免職処分、これは名前も公表されていない。名前も公表されずに懲戒処分だと。「女性に不適切行為」と新聞報道されたが、どういう不適切行為が免職にあたるのか。
【参事官兼首席監察官】
昨年12月に新聞報道された、20代巡査部長による知事女性らに対する不適切行為の免職処分の事案かと思うが、不適切行為の内容については、行為を受けた知人女性らの強い希望とプライバシー保護のため、詳細の説明は控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
懲戒免職にあたるような処分を受けながら、氏名が公表されないと。懲戒免職処分の対象というのは、強姦などといった凶悪犯罪である。
県警幹部の息子だから公表されなかったということはないか。
【参事官兼首席監察官】
処分を受けた職員については、個人が特定されないよう適切な配慮をすべきと認識しており、詳細の氏名等についてはお答えを差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
不祥事の不可解な県警の対応を3つ指摘したが、不祥事の根絶と、第一線で頑張っている警察官がやる気の出るように、こういう問題は徹底して解明・追及されるべきである。
・警察官の不審死について
【斉藤委員】
一般質問でも取り上げたが、昨年2月13日に北上川で遺体が発見された事件について、「身元確認の結果、当該遺体が警察職員であったという事実はあった。頭部に陥没があり捜査をしたのかということについては、足取り調査や死亡の原因等、所要の捜査を遂げた結果、事件性や自殺をうかがわせるものはなかった」と答弁があった。捜査はしたと認め、しかし事件性や自殺でないとなったら、何が残るのか。
【刑事部長】
この事件については、刑罰法令に触れない事案であるということが判明したので、個人のプライバシーや死者の尊厳などの観点から、答弁したものである。
【斉藤委員】
事件性はなく自殺でもないと。おそらく遺書もなかったのではないか。だとしたら、本人の不注意で亡くなったということなのか。それにしてはきわめて不可解である。これは交通規制課に関わる、連続3人飛び降り自殺・死亡というものに関連しているので繰り返し取り上げている。
・岩手医大元教授の覚せい剤疑惑事件と刑事部長の岩手医大への天下りについて
【斉藤委員】
これも一般質問で取り上げたが、捜査を行ったのか、当時の捜査の責任者である刑事部長の再就職は癒着以外の何ものでもないのではないかと。答弁は「捜査については、個別の事件を捜査しているか、していないか、その捜査状況については、一般論として、捜査の相手方に手の内をさらし、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがあるものであるので、答弁は差し控える」と。一方で、北上川で遺体が見つかった事件は「捜査した」と。ところが、この覚せい剤疑惑事件に関わった女性が「覚せい剤を打たれた」と公然と告発した事件について、捜査した形跡がない。なぜこの事件だけ、捜査したか否か明らかにできないのか。もう何年も経っている。ましてや、捜査していると言えないのではないか。これは警察の闇だと思う。本来捜査すべきものを捜査せずに、そこに当時の捜査の責任者が天下るということは、岩手県警の闇、恥と言ってもいい。あなた方が責任をもって解明すべき問題ではないか。
【警察本部長】
一般質問でもお答えした通り、個別の事件を捜査しているか、していないか、その捜査状況については、一般論として、捜査の相手方に手の内をさらし、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがあるので、答弁は差し控えさせていただきたい。
また、昨年2月に警察職員の遺体が盛岡市内の北上川で発見された経緯については、先ほど刑事部長から答弁あった通り、刑罰法令に抵触しない事案であることが判明したので、プライバシーや死者の尊厳などの観点から支障のない範囲でご説明申し上げたものである。
【斉藤委員】
相手に手の内をさらすというが、だいたい共犯者がやったと言っているのだから。そして重大なのは、当時の捜査の責任者がその大学に天下っているということである。これは事実である。だからあなた方は、捜査しているかどうか分からないと逃げて、結局は捜査しなかったと、そのようにしか理解できない