2018年3月9日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・県立病院の医師確保対策について
【斉藤委員】
一般質問で取り上げたときは、1月現在で、計画時点と比べて3人減と、増員どころか減になっているという深刻な状況になっている。
来年度の医師確保の見通しだが、奨学生医師の配置、初期研修医、後期研修医、即戦力医師の招へいの状況はどうなっているか。
【医師支援推進監】
奨学金養成医師の県立病院の配置については、現在調整中だが、3月1日時点で37人が配置される見込みである。
初期臨床研修医については、県全体で90名という過去最高の勤務数になったが、県立病院においても昨年度の52名に比べ、今年度は59名となっており、今後国家試験の合格の関係などもあるので増減はあるが、対前年度で増加が見込まれる。
後期研修医については、新専門医制度が来年度から始まることで、この制度の専攻医の採用数でお答えすることになるが、県立病院のプログラムの採用予定者は14名となっている。
即戦力医師の招へいについては、今年度は9名招へいし、来年度については、現在来年度中の招へいに向けて、3名の方とお会いし県立病院での勤務のお願いをしているところであり、確保に全力をあげていく。
【斉藤委員】
後期研修医だが、初期研修を終了する医師が58名、うち新専門医制度による専攻医採用が14名と。これは岩手医大に26名、東北大に15名ということで、この分も県立病院での研修があると聞いていたが、これはどういう形になるか。
【医師支援推進監】
県立病院で勤務していただくのは、県立病院内で9名、県外の病院から5人となっている。
それから、岩手医大のプログラムを受けて、県立病院から岩手医大に行かれる方が26名いる。東北大学の方では15名の方、その他県外が3名、登録せずにそのまま勤務する方もいるので、それを含めて県立病院では14名の採用となっている。
【斉藤委員】
事前の説明と違うのだが、岩手医大・東北大が専門医をやるのだと思うが、これは県立病院で研修するということではないのか。
【医師支援推進監】
県立病院以外のプログラムで、研修に就いていただく方は15名いる。
【斉藤委員】
結局4月1日時点で医師が増える見通しか。
【医師支援推進監】
増員を見込んでいるが、いま情報を収集しているところであり、医局人事によるところの情報が確定していないので、現時点で人数的なものをお伝えすることは難しい。
【斉藤委員】
岩手医大に引き抜かれないように、新病院の建設で莫大な補助も岩手県から出ているので、そういうときに減らされることがないように頑張ってやっていただきたい。
勤務医の待遇改善についてはどういう取り組みが行われ、具体的にどう改善されているのか。医師はどのように受け止めているのか。
【医師支援推進監】
これまで、医師手当だとか介護保険主治医意見書作成時の手当、指導医手当等の見直しを行ってきたところであり、一番新しいところでは、29年4月から医師手当の時間外手当加算を創設した。手当以外にも、学会出張旅費の増額や、海外研修派遣制度の見直し等を行ってきたところであり、いずれこれらの待遇改善については、これまで勤務医と意見交換を重ねた上で改善してきたところである。今後ともご意見を十分聞きながら改善に努めていきたい。
・中央病院の救急患者の状況と救急体制について
【斉藤委員】
救急患者が特に中央病院の場合は多く、岩手医大は高度救命救急センターという位置づけがあるが、それと比べても倍近い救急患者になっている。ましてや岩手医大が新病院に移転ということになったら、さらに中央病院に集中する可能性が高いのではないか。どういう体制で強化しようとしているか。施設整備の拡充のことは答弁されているが、対応はどうなっているか。
【経営管理課総括課長】
中央病院自体は、救急告示病院として、盛岡保健医療圏における救急医療の受け入れについて、医師は8名程度の体制で、看護師は三交代により24時間体制で対応している。
中央病院における救急患者の受け入れ状況は、今年度は12月末時点で15662人、うち救急車による搬送は4989人であるので、前年同月比で救急患者自体は435人減となっているが、救急車による搬送は231人増となっている。救急車による搬送自体はここ数年は増加傾向ということになっている。こうした状況を踏まえ、岩手医大の移転以前に、そもそも救急施設自体が手狭になっている状況があったので、経過観察のための救急病床を10床程度増やすということで、改修工事の設計費を30年度当初予算案に盛り込んだ。
いずれ医療局としては、今後においても盛岡保健医療圏の他の二次輪番病院や医師会等と連携し、地域の救急医療ニーズを踏まえた対応をしていきたい。
【斉藤委員】
中央病院は、来る患者は断らないと、この精神は立派だが、その分集中するのも事実で、しっかりした体制で対応していただきたい。
・看護師の増員と待遇改善について
【斉藤委員】
一般質問では、9日夜勤が去年を上回り増加している、これは異常だと。2−8体制というのは、本当に看護師の苦難の歴史の中で、皆さんと一緒に合意して、月2−8でいこうと。それが毎年崩されて、9日夜勤がどんどん増えている。これは改善する方針を持っているのか。
【看護指導監】
看護職員一人当たりの夜勤回数については、非常に我々も苦慮しているが、産前産後休暇や育児休業取得職員の増減、新規採用職員の配置などにより影響を受けるものであり、新規採用職員が夜勤に従事するまでの期間を含む第一四半期においては、例年一人当たりの夜勤回数が増加する傾向にある。
特にも、おめでたいことではあるが、育児休業等を取得する職員の数を予測することは難しいことなので、各病院の看護管理者においては、夜勤可能な臨時職員の募集をはじめ、病院内での勤務交代、さらには県立病院間の相互応援など、さまざまな対策に日々奔走している。
看護職員の夜勤回数の抑制に向けては、多様な勤務形態の一貫としての夜勤専従制度や、いわゆる二交代制も有効ではあるが、やはり看護職員の確保がより重要だと考えている。
私自身も、県内外の就職説明会に参加し、また看護職員の養成校を積極的に訪問し、県立病院の充実した厚生福利制度や教育体制などを中心に、盛んにPR活動などを行っている。
今後においても、保健福祉部や養成校との連携をより強化しながら、県内出身者の県内就職や、県外からのUターンをさらに促進することで、県立病院に必要な看護職員の確保に努めていく。
【斉藤委員】
毎年9日夜勤が増え続けている異常さを私は指摘している。減っていてなくならないというのなら今の答弁でいいが、減るどころか増えているのだから。本当に深刻である。
看護師さんの切実な声を紹介すると、「毎年毎年きつくなるばかりの業務にもうヘトヘト」「長く働きたいけどもう限界です」「人手が足りず毎日昼ご飯も十分に食べられないスタッフもいます」「患者さんにも、働く私たちを見て『ブラック企業だね』と言われました。本当にそう思います」「年々仕事量が増えどんどん人が辞めていく」「朝早く出勤し、休憩もほとんど取れずに仕事しているが、それでも帰れない」と。これだったら看護師は集まらない。本当に思い切って改善をしないといけない。
年休取得も平均8.2日というが、県立病院の看護師さん約800名のアンケート調査があるが、「5日以内しか取れない」が37.7%もある。これでどうして県立病院で働きたいと思うのか。そういう意味で、9日夜勤を解消するという決意と方針はあるのか。
【医療局長】
私もワークライフバランスをとった生活をしていただきたいと思っているもので、非常に心苦しいと思っている。
ただ、先ほど看護指導監が申し上げた通り、最近の傾向では、一時期職員を少なくした時期があり、震災以降職員をどんどん増やしている形だが、いずれの業界でもそのような部分があろうかとは思うが、新人が非常に多くなっているという年齢構成になっており、そういすると、新人の方々に夜勤をそのままさせるというわけにはいかず、そういった部分で第一四半期が非常にベテランの主任看護師クラスの方々に負担を強いているという部分が大きくあると思っている。
それを解消するには、人数的には増えているので、新しく入ってきた方々が一人前になってきちんとやっていただくというものも必要だが、女性の職場でもあるので、女性のライフイベント―出産・育児に重なってくる部分もある。その部分での産休・育休への代替職員をできるだけ正規の職員でということで、それも見込んだ形で募集をかけていきたいとは考えているが、なかなかすぐに結果が出るのは難しいと思っている。ただ、あとはできるだけ業務に直接関係のない事務仕事だとか、こういった部分をできるだけ圧縮してもらい、できるだけ働きやすい職場にしていきたい。
【斉藤委員】
もう少しリアルに800人弱の看護師さんのアンケートの結果を紹介したい。
「仕事量が増えた」57.4%、「不払い労働がある」73%、これは超過勤務が申請できていない。これはきわめて重大で、休憩時間も取れないと。これは労基法違反である。これだけ厳しい仕事をしていながら超過勤務も申請できないのは異常なことである。学校には来年度からタイムカードが導入されるが、医療局もタイムカードを導入すべきだと思う。そうすれば出退勤時間が分かる。そのようにして、働いた分は報われるとすべきではないか。それから、「三交代勤務で休憩時間が取れてない」が準夜で58.2%と。さらに、「疲れが翌日に残ることが多い」52.6%、「休日でも回復せずいつも疲れている」27.1%、「仕事に強い不満・悩み・ストレスがある」68.3%である。
県立病院の創業の精神、基本方針、これは経営計画にも明記されているが、「県下にあまねく良質な医療の均てんを」というのが創業の精神で、4つの基本方針の中に、「職員が働きがいをもつ職場づくり」「職員重視」―。このアンケートの結果から見れば、「職員重視」と言えないのではないか。医師はもちろん、看護師さんも大切にして、働きがいのある職場に思い切って改善する手立てをとるべきである。超過勤務の申請はできる、年休も取れる、タイムカードも設置する、そういう改善を行うべきではないか。
【医療局長】
超過勤務の改善については、すべてを私の方で把握しているわけではないので、行きすぎた部分もあるのかと思ってはいるが、超勤命令をして事後確認するというスタイルをとっているので、いわゆるきちんと上司との話し合いの中で超勤しているという風には進めている。そのやりとりの中でも、もしかすると誤解を招くものにもあろうかと思っているが、あとは超勤そのものを減らすことが一番大事だが、ご紹介のあったタイムカードの関係だが、教育職は超勤がない世界なので、その勤務の実態の把握といったことも含めてタイムカードを導入すると聞いている。我々の方では基本的には、タイムカード云々の話については、これから職員組合とも話をしていくことだと思っているが、基本的には勤務の実態把握というよりも、事前命令と事後確認の徹底を図って、あるいはしっかり上司と話し合いをして時間の管理をしていくことが基本ではないかと思っているので、そうした部分を進めていきたい。
【斉藤委員】
一般質問で医療局長は、「人数を増やすしかないと思っている」と。これは正解である。本当に抜本的に改善をして、看護師や看護学生に選ばれる県立病院になるべきである。少ない中で、夜勤専従や二交代勤務というのは邪道なので。夜勤専従については、あなた方のアンケートでも「やりたくない」「できればやりたくない」が63.9%を占めている。三交代勤務でさえ、夜勤というのは特別にストレスも疲労も溜まる仕事である。さらに12時間・14時間というものを導入するということは絶対に長続きしない。