2018年7月2日 6月定例県議会本会議
議案に対する質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第5号、第7号、第9号、第10号について質問します。
・地方税法の一部改正に伴う県税条例等の一部改正について
議案第5号は、岩手県県税条例等の一部を改正する条例です。これは地方税法の一部改正に伴うものです。
@県民税の関係では、給与所得控除から基礎控除への10万円の振り替えは、「働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人を応援し、『働き方改革』を後押し」することを理由に、二つの控除を意義の違いを無視して、労働力維持の費用である給与所得控除を引き下げ、基礎控除に振り替えたものです。さらに、給与所得控除の上限の引き下げ(給与収入1000万円から850万円)は、勤労世帯・中間層への増税となるものです。県民にとって、今回の改正によるメリット、デメリットを示してください。
A国及び地方のたばこ税が、財源確保や国民の健康の観点から引き上げられます。今回の引き上げによる税収増は、県、県内市町村の場合どれだけの増税・税収増と見込まれるのでしょうか。国民の健康確保の観点から、たばこ税の引き上げによって、税収は増加しているのでしょうか。また、県民の喫煙率はどう推移しているのでしょうか。
【総務部長】
個人の県民税にかかる非課税限度額の引き上げについては、給与所得控除額の引き下げに伴い、合計所得金額などが増加することに対応するものであり、給与所得控除から基礎控除へ振り替えたものである。改正前後において、税負担の増減は生じないものである。ただし、給与収入が850万円を超える場合、一部負担増となることが見込まれる。ただし、子育て世代等には負担が生じないよう措置が講じられており、本県の県民にとっては大きな影響はないものととらえている。
たばこ税の税率引き上げについて。平成30年10月1日から段階的に引き上げとなるが、初年度の平成30年度においては、県たばこ税は3000万円程度、県内市町村のたばこ税は1億8000万円程度、計2億円ほどの増収を見込んでいる。平年度ベースになると、県たばこ税は1億7000万円、県内市町村のたばこ税は10億4000万円、計12億円ほどの増収になると見込んでいる。20本入り一箱あたりの増額については、国および地方合わせて20円ずつ三段階に引き上げとなり、現在の価格から60円ほど増額になる。また前回の地方のたばこ税率の引き上げは、平成22年10月1日に行われており、県および市町村のたばこ税の税収は平成21年度97億7000万円、平成28年度108億9000万円で11.5%の増となっている。
【保健福祉部長】
県民の喫煙率の推移について。厚労省が3年ごとに実施している国民生活基礎調査によると、平成19年の本県喫煙率は25.7%であったのに対し、前回のたばこ税増税が実施された平成22年には22.4%と3.3ポイント低下したものの、平成25年は23.4%、平成28年は22.6%とほぼ横ばいで推移している。
・災害公営住宅の整備・入居状況、家賃減免の状況について
【斉藤議員】
議案第7号は、県営住宅等条例の一部を改正する条例です。この中には、大槌町に整備する災害公営住宅、本町住宅を県営住宅に加えるとしています。
@これまでに整備された県営災害公営住宅の実績はどうなっているでしょうか。これから整備される災害公営住宅の具体的な見通しを含めて示してください。
A災害公営住宅の入居状況と入居率はどうなっているでしょうか。空き室の具体的な要因はどうなっていますか。
B災害公営住宅家賃の国の特例減免の対象者・率と県の独自減免制度の対象者の状況はどうなっているでしょうか。家賃の滞納者の状況はどうなってるでしょうか。その要因と県の対応を示してください。
【県土整備部長】
5月末時点の県営災害公営住宅の整備状況は、内陸部に建設を予定している災害公営住宅251戸を含む建設予定戸数2846戸にたいし、完成が2550戸・89.6%、工事中が117戸・4.1%となっている。今後の見通しについては、沿岸部においては、大槌町の3地区(安渡・大町・本町)の69戸が今年度中に完成し、県整備分がすべて完了する予定である。また内陸部の4市(盛岡・北上・奥州・一関)で整備を進めている251戸については、来年度内の完成を予定している。
県営災害公営住宅の入居状況および入居率については、平成30年5月末現在で、供用開始されている災害公営住宅1483戸にたいし、入居戸数・率は1339戸・90.3%となっている。入居前に空き室が生じる具体的な要因としては、災害公営住宅に入居を希望したものの、持ち家再建を検討していることや、新たな家賃の発生への不安などがあるものと考えている。
平成30年3月末現在、国の家賃特別低減事業の対象世帯は968世帯で、全入居者世帯1341世帯における割合は72.2%となっており、うち県の減免制度に移行が可能な世帯は929世帯・69.3%となっている。県営災害公営住宅の家賃滞納率は、26年度1.2%、27年度2.3%、28年度2.1%、29年度3.3%となっている。家賃の滞納が発生する要因としては、例えば、応急仮設住宅から災害公営住宅に転居することで家賃が発生すること、収入の減少、病気で医療費が必要となった、介護費用が必要となった―など、それぞれの世帯にとってさまざまな事情があり、結果として家賃の滞納につながっているものと考えている。県としては、他の入居者との公平性の観点からも、家賃の滞納があった場合、臨戸訪問等により滞納の解消に努めているが、それぞれの世帯の事情に応じて、減免制度の活用の周知や、福祉部局と連携した対応を図っていく。
・一般県道大ヶ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第2工区)工事請負契約について
【斉藤議員】
議案第9号は、一般県道大ヶ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第2工区)工事請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。
@契約金額が6億8958万円で、1社入札、落札率は99.9%であります。客観的に談合が疑われるものであります。なぜ1社だけの入札となったのか。
A下部工工事(その1)は2社入札で、落札率は90.89%でありました。入札対象事業はどれほどあったのでしょうか。
B徳田橋の工事自身は、岩手医科大学にアクセスする重要な橋であります。一般県道大ヶ生徳田線の工事の総事業費と進捗状況と工事完成の見通しはどうなっているでしょうか。
【総務部長】
県営建設工事の入札については、入札参加資格要件設定の際に、施工実績等から参加可能者数を見込んだうえで手続きをして進めており、本工事については、技術的難度が高く、かつ設計額が2億円以上の土木構造物の工事であることから、特定共同企業体による施工形態とし、その参入可能者数を検討した結果、一定数の算入が見込まれると判断し入札を行ったものである。入札結果としては、1者のみであったというものである。
昨年度入札を行った徳田橋下部工の第一工区の工事については、今回の第二工区の工事と同様の入札参加資格要件を設定しており、この際の入札参加可能者数を20者以上と見込んでいたところである。
【県土整備部長】
進捗状況と見通しについて。橋梁かけ替え事業における総事業費は約65億円を見込んでいる。29年度に橋脚工事に着手し、29年度末までの進捗率は事業費ベースで約33%となっている。
橋梁完成の見通しは、今回提案している橋脚3基の工事に引き続き、今後橋台2基や上部工、橋前後の道路の改良舗装工事を進め、おおむね4〜5年後の供用開始を目指していく。
・主要地方道大船渡広田陸前高田線船河原地区道路改良舗装工事請負契約について
【斉藤議員】
議案第10号は、主要地方道大船渡広田陸前高田線船河原地区道路改良舗装工事の請負契約の締結に関し議決を求めるものです。細浦地区の海岸線の県道が津波で浸水したために復興関連道路として山側に道路を新設するものです。
施工延長876m、契約金額10億2060万円、落札率は88.82%(低入札)、工期は556日間、平成30年度〜31年度となっています。総事業費と工事完成の見通しはどうなっているでしょうか。
【県土整備部長】
当該工区の事業費は約43億円を見込んでいる。
今回の工事は、平成28年度末に発注した改良工事区間の南側延長約0.9kmの改良舗装工事を行うものである。残る延長約1.0km区間についても今年度工事に着手する予定としており、2020年度内の供用開始を目指している。
<再質問>
・喫煙率の推移について
【斉藤議員】
たばこ税のところで、税収の確保と国民の健康というのがたばこ税引き上げの理由だが、保健福祉部長さんの答弁を聞いたら、喫煙率は下がっていないと。残念ながら喫煙率の低下にはつながっていないと。
たばこ税というのは本数にかかるが、喫煙率は下がっていないが、吸う本数はかなり減っているのではないか。
【総務部長】
たばこの売り渡し本数だが、平成21年度だと22億7400万本、平成23年度には19億5900万本ということで震災の影響もあったと思うが、そこから減っている。その後若干戻ったが、それ以降の推移を見ると、直近の平成28年度は18億3200万本ということで、こちらは低減傾向になっている。
・一般県道大ヶ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第2工区)工事の入札について
【斉藤議員】
1者入札で99.99%の落札率。だいたい予定価格が公表されて入札される。99.99%ということは、最初から競争がないということが分かっていて札を入れたということではないか。県当局は20者以上の参入見込みがあったと言っている。これはきわめて重大だと思う。
その1の下部工は同じ業者がとっているが、これは2者入札で、それでも競争になれば落札率は90.89%である。99.99%というのは異常である。これは許しがたい入札結果ではないか。こういうのを防止する適切な競争入札の実施に県は真剣に取り組む必要があるのではないか。
【総務部長】
1者入札については、復旧工事について進捗の遅れが生じないよう最優先で取り組んできており、また入札制度については、電子入札制度により実施している。入札参加者は他の参加者の状況は分からない状況になっているので、一定の競争性が確保されていると捉えている。1者入札であっても有効だととらえている。
落札率については、入札参加者があらかじめ他の入札者の参加状況を把握することはできないので、応札者数と落札率については直接の関連はないものととらえている。
いずれ今回の入札手続きについては、公告から落札決定に至るまで、適正な入札手続きにより進めているところであり、特に問題ないととらえている。
<再々質問>
・1者入札の問題について
【斉藤議員】
「特に問題ない」では済まされないと思う。
先ほど主要地方道大船渡広田陸前高田線の工事を紹介したが、私も相談を受けて、工事が遅かったと思うぐらいのことだが、低入札で88.82%。いま沿岸部といっても、工事によっては仕事の取り合いになりつつある。しかし内陸の徳田橋の工事は、県自身が20者以上の参入見込みがあって入札にかけている。それが結果的には1者入札で99.99%の落札率ということは、談合というのは企業間でやるのだから県が関わっているとは全く思わないが、そういうことが疑われる入札になったのではないかと指摘している。
大震災直後は1者入札でも仕方がないという状況はあったが、しかし7年4ヶ月近く経って、内陸部でこういう事態というのはやはり適切ではない。そうならないような対策を考えるべきではないか。
【総務部長】
手続き等については、先ほど述べた通り適切に行われたと捉えている。
それぞれの案件によりあろうかと思うが、いずれ1者になった要因等についていろいろ考えられるが、復旧復興が最優先という中で対応してきたところである。
いずれ先ほど答弁した内容と繰り返しになるが、ご理解いただきたい。