2018年8月1日 商工文教委員会
学校へのクーラーの設置に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
記録的な猛暑が続いているが、学校へのクーラーの設置の問題についてお聞きしたい。
昨日も盛岡市は35.5℃と、東京よりも暑い日があるぐらいの状況で、菅官房長官は7月24日の記者会見で、「学校へのクーラー設置を支援していく必要は当然ある。財源に関しては来年のこの時期に間に合うように責任をもって対応したい」と述べている。林文科相はクーラーの設置に関して「予算確保に努め、空調設備が設置されていない学校は優先的に改善に取り組みたい」と。このように言わざるを得ないぐらいの状況になっている。昨日の朝日新聞の社説は、「猛暑再び 災害級に備えるため」ということで、「気象庁は8月上旬までは太平洋高気圧張り出しによって、災害級の危険な暑さになる恐れがある」と。
一番遅れているのが学校だと思う。県庁はクーラーがついていて、民間の事業所でもクーラーなしで仕事をしているところはほとんどないと思う。しかし教室や職員室にもほとんどない、保健室にもないところがかなりあるのではないか。
小中高のクーラーの設置状況はどうなっているか。官房長官や文科相が来年に向けて予算措置が必要だと言っているときに、思い切ってクーラーの設置を真剣に考える時期ではないか。
【学校施設課長】
教室について。市町村立学校では、29年4月1日現在、幼稚園29%、小学校5.0%、中学校5.2%。県立学校では、30年5月1日現在、高校9.7%、特別支援学校15.8%となっている。
保健室について。市町村立学校は、文科省の全国調査で保健室は対象外になっており数字は持ち合わせていないが、過去5年以内に空調設備を整備したところでは、宮古市・二戸市・紫波町(全校の保健室に整備済)・花巻市・奥州市・一関市では全校整備に向けて逐一整備を図っていると聞いている。県立学校については、高校が46.3%、特別支援学校は88.9%となっている。
職員室・校長室・事務室について。市町村立学校についてはデータを持ち合わせていない。県立学校については、高校は215室中13室(6%)、特別支援学校は65室あるうち設置している部屋はない状況である。
【斉藤委員】
きわめて深刻な状況だと思う。県立高校の場合には、花巻農業が空港が隣接していることから防音になっているため窓が開けられないことからクーラーが設置され、大槌高校は隣に新しく大槌学園が建設されたために工事の騒音対策で窓が開けられないことからクーラー設置と、特殊事情で設置されているのであって、あとはほとんど設置されていないのが現状である。「災害級の暑さ」と言われているわけなので。
昨日の朝日新聞では「お年寄りと子どもは特別に配慮が必要」だと。命に関わる問題である。
地球温暖化の傾向で、日本でも世界でも異常気象が発生しており、これは今年限りで終わるような話にはなっていない。だとすれば、思い切って全校にクーラーを設置するという方針を打ち出すべきではないか。7月20日に宮城県議会で教育長は、「従来とは違う対応をする」と。宮城も岩手と同じような状況だが、クーラーの設置に方向転換するという答弁をしたと新聞報道されていたが、まさにそういう時期ではないか。子どもの状況を見て、教職員も今のこの暑さでクーラーなしで働くという過酷なことはない。そういう点ではクーラーを設置して当たり前ということで県教委が現状打開を図る必要があるのではないか。
【教育長】
特に昨年今年と尋常ではない暑さと認識している。昨年の暑さの経験を踏まえて、これは何とか前に進めたいという思いを持ちながら、財政当局と折衝し、まずもって特別支援学校の教室へのエアコン整備というものをやろうということで進めさせていただいた。
官房長官の話もあったが、日本全体できわめて深刻な状況の中で、そういう発言をされたということについては心強く思っている。
実は先般、都道府県教育委員会連合会の会議があり、今年度の緊急要望として、小学校への冷房施設の整備、仕組みとしてはあっても予算規模はきわめて少ないという中で、抜本的な拡充、県立学校に対する新たな補助制度の創設ということで要望をした。県立学校への補助制度については、三位一体改革と関係あり、直接的な補助というのはハードルが高いと思うが、前に進めるということになれば計画的な整備の大きな力になると思っているので、その動向等をみきわめつつ、しっかりと国に対しても支援を求めると。あとは、岩手の実情を踏まえたどのようなあり方が必要なのかということも含めて今後検討させていただきたい。
【斉藤委員】
特別支援学校は若干進んでいるとはいえ15.8%、保健室にもクーラーがないところが多く、体調を崩しても保健室に行ってもクーラーのないところで休まなくてはいけないという信じられない事態になっている。
北東北・北海道は、国の対象になっていないという俗論もあると思うが、そういうことでは決してなく、今年の気温を見ても東京と変わらないような状況が起きているので、岩手でも要求すれば設置できる問題だと思うがいかがか。
【学校施設課長】
国の支援―公立学校施設整備費ということで、小中学校、特別支援学校、幼稚園などの施設整備に対して3分の1の支援を行うという国の制度である。現在、高等学校がこの対象にはなっていないので、高等学校への拡大だとか、予算の増額、補助単価・補助率のかさ上げなどについて、県単独、あるいは全国の協議会などにおいて国に要望している。
公共施設整備費については、例年6月に来年度に向けた建築計画というものを提出しているが、今般、大阪・愛知の事故を踏まえ、ブロック塀と冷房設備に限定して緊急的に追加調査が現在文科省からきている。したがい、県の特別支援学校あるいは市町村から要望があった場合には、県教委として適切に対応していく。