2018年9月25日 9月定例県議会本会議
千田美津子県議の一般質問(大要)


【千田議員】
 日本共産党の千田美津子でございます。県民のいのちとくらしを守る課題について、お聞きしますので、よろしくお願いいたします。

1.東日本大震災津波からの復興と被災者支援について

・被災者の医療費・介護保険料等の免除について

 最初に東日本大震災津波からの復興と被災者支援についてお聞きします。
 東日本大震災津波から7年半が経過しましたが、8月末現在、応急仮設住宅等には1,929戸(4,143人)が未だに不自由なくらしを余儀なくされています。災害公営住宅には、8,706人が入居しており、さらに今年度中に97%までの完成を見込んでいますが、すべてが完成するのは来年度であり、一層の被災者支援の強化が求められています。
 そこでまず、被災者への医療費・介護保険利用料等の免除についてお聞きします。この件につきましては、先日、先輩議員の質問に答えて、達増知事が1年間の継続実施を表明されました。この英断を大いに評価をしたいと思います。
 この事業は、被災者の皆さんにとってはまさに命綱ともいうべき事業であり、岩手県議会の6月定例会では、免除継続を願う県民の皆さんの請願が多数で採択されました。さらに、この間の岩手県保険医協会が実施した被災者アンケートには、「医療費窓口負担免除のおかげで安心して病院で診てもらえます。免除を止めないでください」「免除がないと負担が増え、通院の回数を減らすか止めるしかない」など、被災者の切実な声がたくさん寄せられておりましたので、このご決断を心から歓迎するものです。
 そこで、知事にお聞きしますが、知事は被災者のみなさんの生活実態や声をどう受け止められ、実施に踏み切られたのか、その思いをお聞きします。
 また、医療費・介護保険利用料等の免除の継続による県の財政支援額はどれ位になるでしょうか。また、その財源はどうなるのかお聞きします。
 そして、私はこの事業は、最低でも被災から10年間は継続実施すべきと考えますが、そのお考えがないかお聞きします。

【達増知事】
 被災者の医療費窓口負担等の免除についてでありますが、応急仮設住宅等の居住者はピーク時の約1割に減少したものの、いまだ多くの被災者が不自由な生活を余儀なくされており、こうした応急仮設住宅等の居住者については、自宅が被災しなかった方々に比べて、こころの健康や生活習慣病の有所見者が多い傾向が見られる状況にあります。被災者の方々からは、「免除のおかげで日々の生活が助けられている」「病院までの交通費がかかり免除が終了したら通院ができなくなる」、などの声があることも承知しております。
 こうした現状を踏まえ、最終的にはすべての市町村等から、現行制度のまま一部負担金免除を実施するとの回答を得たことから、被災者が引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保を図るため、2019年12月までの1年間、これまでと同様の財政支援を継続することとしたところであります。
 平成31年1月以降の1年間、一部負担金等の免除の継続に要する財政支援額は5億円程度と見込んでおり、財源は一般財源及び復興基金からの繰入金を活用することとしています。
 これまで財政支援を継続するにあたっては、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を総合的に勘案しつつ、市町村の意向を踏まえて、毎年度判断してきたところであり、今後におきましても、復興事業の進捗状況や被災者の状況の推移、市町村の意向等を十分に考慮したうえで、判断していく必要があると考えております。

・子どもと被災者の心のケアについて

【千田議員】
 岩手県こころのケアセンターと震災こころの相談室への相談件数は、平成29年度においても約1万件近くとなっております。また、いわてこどもケアセンターへの受診者数は5633人、延べ受診件数は7663件でともに前年度に比べ1.2倍と急増しており、また新患が313人と増えています。知事は、これらの実態と原因をどのようにとらえていますか。また、こころのケアは、引き続き中長期にわたって取り組むべき課題だと考えますが、今後の取組の見通しについてお聞きします。

【達増知事】
 子供と被災者の心のケアについてでありますが、震災そのものによるストレスやその後の転居など環境の変化や被災生活の長期化に伴うストレスを受けていること等を要因として、こころのケアセンターの相談支援件数が高止まりとなっています。
 加えて、いわてこどもケアセンターによる診療体制が整備され、センターが認知されたこと等に伴い、より多くの子どもたちが受診するようになってきたことなどを要因として受診件数が増加しているものと捉えています。
 被災地においては、ハード面の整備が進む中、時間の経過に従って、被災者が抱える問題が複雑化、多様化しており、復興の進捗に対応した心のケア対策は、中長期的な取組が必要と認識しています。
 県としましては、引き続き見守り見守り活動等と連携した相談・診療体制を堅持し、被災者の状況に応じた心に寄り添った支援を継続するとともに、専門スタッフの確保やスキルアップ等により支援の質を高め、子供や被災者の心のケアに取り組んでまいります。

・高齢者等の見守り、コミュニティの確立について

【千田議員】
 次に、仮設住宅に取り残されている高齢者、災害公営住宅で孤立する高齢者等の見守り、コミュニティの確立についてお聞きします。
 災害公営住宅では高齢者世帯が多く、8月末現在で入居世帯の31.1%・1511世帯が一人暮らしの高齢者となっており、孤独死や孤立を防ぐための見守り活動や生きがい対策、相談活動等の強化が求められております。しかし、県内の生活支援相談員の配置は、今年度は全県で186名の配置計画となっていますが、6月末では146名であり、40名の不足となっています。生活支援相談員の活動は、多くの被災者を励まし、孤立を深める高齢者の支えとなっており、相談員の確保が求められます。そこで、相談活動による被災者の状況をどう把握されているでしょうか。また、具体的にどういう支援がなされているか、課題はどう把握されているかお聞きします。
 また、コミュニティ確立の上で重要なのが、自治会組織であります。県が管轄する22の災害公営住宅において、自治会が出来ている組織は16組織、未組織は6組織となっています。先日、釜石平田の災害公営住宅にお邪魔しました。自治会として様々積極的な取組がなされておりましたが、入居者についての情報が県から提供されておらず、何の行事をやるにしても、誰が住んでいるかもわからず、支援の必要な高齢者も把握できないのだと話しておりました。入居者の状況がわからないままではコミュニティ確立の面で大きな支障をきたしていると感じたところです。自治会が組織されている16団地のうち、自治会名簿を有しているのはわずかに3団地に止まっております。個人情報保護の関係等で難しい面があると思いますが、これらの改善は急務だと考えます。きちんと名簿を作成し、情報提供するとともに、コミュニティ確立のためにも、特に100世帯を超える災害公営住宅には支援員を配置して対応すべきではないかと考えますが、如何でしょうか。

【復興局長】
 災害公営住宅におけるコミュニティの確立についてでありますが、自治会において入居者の名簿を作成しておくことは、災害時の避難活動などに有効でありますが、その作成にあたっては、個人情報保護の観点から各入居者の同意が必要であり、自治会からは、入居世帯の様々な事情により、すべての入居者からの同意を得ることに苦慮している聞いております。
 県営の災害公営住宅では、入居者説明会において、入居者情報の関係機関等への提供についても丁寧に説明し、同意を得られた方については、市町村、社会福祉協議会、民生委員協議会のほか、自治会が設置された場合に、当該自治会に情報提供しているところです。
 県としては、引き続き様々な機会を捉えて入居者名簿の作成に向けて支援していきます。
 また、現在、災害公営住宅においては、社会福祉協議会の生活支援相談員や市町村の支援員等により見守り活動が行われており、県では、市町村に対し、地域で必要とされる見守り等の支援体制が総合的に確保されるよう要請しているところです。
 今後とも、国や市町村、社会福祉協議会等関係団体とも連携し、必要な見守り体制の構築やコミュニティの確立に努めてまいります。
【保健福祉部長】
 高齢者等の見守りについてでありますが、6月末現在、生活支援相談員が見守りの対象としている9649世帯のうち、約6割が高齢者世帯となっており、相談内容は健康や医療に関するものが多く、また、家計が厳しい世帯や周囲からの孤立が懸念される世帯が見受けられるところであります。
 このため、生活支援相談員は、世帯の状況に応じて重点的な見守りを行うほか、地域の保健師や地域包括支援センター、生活困難者自立相談支援機関等の専門機関へつなぐなどの支援を行っています。
 また、被災者が孤立を深めることがないよう、サロン活動や自治会活動の支援なども併せて行なっています。
 県では、見守り対象世帯の約6割が高齢者であることや、周囲からの孤立が懸念される世帯があることから、孤立を防止する活動や、住民相互で支え合う地域づくりが引き続き重要であると認識しています。
 このため、今年度、中長期的な見守り体制の充実を図る取り組みを始めたところであり、今後も、被災者が安心して暮らすことができるよう、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を行うとともに、新しい福祉コミュニティの形成支援に努めていきます。

・特定延長対象外の世帯の再建計画について

【千田議員】
 住宅確保への支援として、特定延長対象外の世帯の再建計画についてお聞きします。仮設住宅入居者は、今年度中に、すべての市町村で特別の理由がなければ応急仮設住宅からの退去が迫られます。
 8月末現在、特定延長対象外の世帯が4市2町で278世帯となっておりますが、これらの方々については、引き続き安心して生活できるよう支援が必要だと思いますが、どのような状況にあるでしょうか。また今後の支援策についてもお聞きします。
 被災後、Uターン・Iターンで来られた方々で、仮設住宅に入居されている方々の住宅確保はどうなっているでしょうか、お聞きします。

【復興局長】
 応急仮設住宅の特定延長対象外の世帯への支援でありますが、本年8月末現在の特定延長対象外の278世帯のうち、県外みなし仮設住宅入居の27世帯を除く251世代が供与期限を経過しており、そのうち88世帯は恒久的な住宅に移行済ですが家財を残している世帯で、残り163世帯が引き続き入居中となっています。
 この163世帯のうち、129世帯は再建時期が決まっておりますが、34世帯については退去時期が未定であり、これらの方々は、資金的事情により再建計画に変更が生じている、福祉施設等入所等を検討しており再建先の決定が遅れている、移行支援を拒否するなどにより再建の意向を確認できない、などの状況にあります。
 県では、応急仮設住宅に入居している世帯な一日も早く恒久的な住宅に移行できるよう、また、移行後も安心して生活することができるよう、沿岸に設置している被災者相談支援センター及びいわて内陸避難者支援センターにおいて相談支援を行っているところであり、引き続き市町村と連携しながら、被災者一人ひとりに寄り添った支援をしていきます。
 次に、沿岸市町村におけるU・Iターン者の住まいの確保についてでありますが、仮設住宅の空き室を活用した目的外の使用として、U・Iターン者の入居も認められているところであり、応急仮設住宅の供与や集約等の状況を踏まえた市町村からの申請に基づき、県において、必要な期間の入金を許可しているところです。
 こうした応急仮設住宅に入居したU・Iターン者の中には、民間賃貸住宅や市営の定住促進住宅などに転居した方もおり、その際は、必要に応じ市町村が支援していると聞いています。
 また、大船渡市や釜石市では市営の災害公営住宅の空き室の一般化を進めるなど、U・Iターン者を含めた住宅の提供についての対応を始めております。他の沿岸市町においても災害公営住宅の空き室の一般化を検討していると伺っており、こうしたことによりU・Iターン者の住宅確保の取り組みが進むことと考えております。

・商業者の仮設施設から本設移行の実態、仮設施設撤去期限の延長について

【千田議員】
 これまで中小機構による仮設施設は362箇所で整備され、3月末現在、215箇所、入居者は896事業者、うち商業者は295事業者となっていましたが、仮設施設有効活用等事業が平成30年度末までとなっているため、沿岸被災自治体では退去期限を決めていました。
 そのため、6月議会定例会では、「仮設施設有効活用等事業の助成期間の延長を求める」請願と意見書が全会一致で採択されました。6月末現在、仮設施設に入居した商業者は730事業者、仮設施設から本設移行した商業者は、平成28年度までが170事業者、29年度中が134事業者で合計304事業者でありましたが、今年度に入り本設移行した商業者の実態はどうなっているでしょうか。
 また、この事業が平成30年度末までとなっていることから、沿岸被災自治体では、今年の3月、7月、9月と退去期限を決めていました。そこで5月9日に東日本大震災復興県民会議として、私たち共産党県議団も参加して中小企業庁への要請と交渉を行ったところ、「来年度予算に盛り込む予定」「無理に退去を求めないよう関係者に伝えている」との回答を得てきました。その後8月末には、中小企業庁がこれらの事業を来年度概算要求に盛り込みましたので、このことを関係市町村に徹底し、仮設で営業を続ける事業者の営業継続と本設展開への更なるきめ細かな支援が必要と考えますが、現状と対応についてお聞きします。

【商工労働観光部長】
 商業者の仮設施設から本設移行の実態についてでありますが、市町村を通じて確認いたしましたところ、平成30年6月末現在、今年度本設移行した商業者は29者で、これまで本設移行した商業者の総計は333者、現在の仮設施設に入居している商業者は280者となっております。
 次に、仮設施設撤去に係る現状と対応についてでありますが、中小企業基盤整備機構が整備した仮設施設の撤去費用等の助成につきましては、県でも助成期間の延長を要望してきたところでありまして、国の平成31年度概算要求におきまして関連予算が盛り込まれたところでございます。
 市町村では、土地区画整理事業の進捗状況等によりまして、それぞれ仮設施設の退去期限を定めているところでありますが、今後、国の撤去費用の助成期間の延長が見込まれますことから、あらかじめ定められた退去期限までに本設移行ができない事業者であっても、その事情に応じ、退去期限の延長など、弾力的な運用が可能になったものと認識しております。
 県といたしましては、引き続き、円滑な本設移行に向け、グループ補助金等の活用や金融支援を行うとともに、国の予算の動向を注視しながら、市町村と連携を密にして対応してまいります。


2.子どもの医療費助成の現物給付の拡大、子どもの貧困と児童虐待への対応について

・子どもの医療費助成の現物給付の拡大について

【千田議員】
 子どもの医療費助成の現物給付の拡大実施についてですが、この件についても、先日知事は、小学校卒業まで現物給付を拡大して行くことを表明されました。知事の英断を大いに評価をいたします。
 そこで、知事にお聞きしますが、子どもの医療費助成事業について、県内では多くの市町村が中学校または高校卒業まで助成範囲を広げており、残った滝沢市でも拡充の検討をしていると聞いております。県内の全市町村が中学校卒業まで拡充となった場合、中学校まで現物給付を拡大する考えはないかお聞きします。その場合のペナルティの額はどれくらいになる見込みか併せてお聞きします。

【達増知事】
 子どもの医療費助成の現物給付の拡大についてでありますが、現物給付の実施にあたっては、これまで、全県一律での導入を図ってきたところであり、今般、対象拡大する小学生の現物給付についても、県と市町村とで協議を重ね、その合意のもとに実施することとしたものであります。
 現物給付の対象の拡大にあたっては、新たに国民健康保険の国庫負担金等に減額調整措置、いわゆるペナルティが発生することや、医療給付費の増加が懸念されるなどの課題がありますことから、市町村の意向を十分に踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。
 また、中学生を対象に加えた場合に新たに発生する国庫負担金等の減額調整措置額は、粗い試算ではありますが、県全体で年間1千万円程度と見込まれるところであります。

・いわての子どもの貧困対策推進計画について

【千田議員】
 岩手県では、いわての子どもを健やかに育む条例に基づき、平成28年度から31年度までの4年間を期間として「いわての子どもの貧困対策推進計画」が策定され、教育支援など5項目の重点施策が盛り込まれましたが、生活保護世帯の子どもの高校中退率など、主な指標の進捗状況はどうなっているでしょうか。
 また、県は今、「子どもの生活実態調査」を実施中ですが、いつ頃を目途にまとめ、その結果に基づく貧困対策をどのようなスケジュールで策定される予定かお聞きします。

【保健福祉部長】
 いわての子どもの貧困対策推進計画の主な指標の進捗状況についてでありますが、平成29年度の実績では、スクールソーシャルワーカーの配置人数や生活保護世帯の子どもの高等学校等進学率などの5指標については、計画最終年度である平成31年度の目標値以上となっているところです。
 一方、生活保護世帯の高等学校中退率が昨年度より上昇しているなど、計画策定時に基準とした平成26年度時点の実績を下回っているのが4指標あることから、主な指標の目標達成に向け、他部局とも連携して、引き続き計画に基づく教育の支援などの重点政策の取り組みを進めてまいります。
 次に、子供の生活実態調査についてでありますが、8月20日以降、学校を通じて各世帯に調査表を配布し、8月中に学校で回収したものを今月上旬に提出いただいたところであり、現在、調査会社に委託して集計作業を始めています。
 調査結果については、対象学年の全数の調査であり、集計や分析に一定の期間が必要となることから、本年度中に中間の取りまとめや速報値等の報告を行うこととしています。
 また、小学1年生から中学3年生までの全世帯を対象とした「支援ニーズ調査」を実施し、支援を希望する世帯に対し、順次、市町村や児童相談所等の関係機関が、個別に支援を行っているところであります。
 この「支援ニーズ調査」から見えてくる課題については、庁内関係部局で構成する子どもの貧困対策連絡調整会議等において、来年度以降の事業化に向けて検討進めるとともに、全体の調査結果の実態を踏まえた子どもの貧困対策施策については、平成31年度を最終年度とする現行の「いわての子どもの貧困対策推進計画」の見直しに反映させることとしています。

・就学援助について

【千田議員】
 今年の10月から生活保護基準の見直しが行われようとしていますが、生活保護基準は各種制度に大きく影響するものです。
 その一つが就学援助です。就学援助の法的根拠は、義務教育は無償とした憲法第26条や教育基本法第4条、学校教育法第19条に規定されており、本来は憲法をもとに国が責任を持つべきですが、「三位一体改革」で補助金事業から一般財源化されたため、各地で制度改悪が進みました。自治体の姿勢などによって認定率に格差があることが問題となっています。生活保護基準の見直しを受け、来年度の認定基準を検討する市町村が出ていると言われておりますが、岩手県内では充実こそあれ、基準の引下げが行われないようにすべきと考えますが、いかがでしようか。
 またこの間、新入学児童生徒学用品費の入学前支給が県内でも広がっていますが、県内市町村の実施状況はいかがでしょうか。
 次に、修学旅行費用の支給についてですが、現状では、就学援助の対象家庭であっても、保護者は一度負担しなければなりません。そこで私は、新入学児童生徒学用品費と同じように、修学旅行前に支払うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【教育長】
 生活保護基準の見直しによる就学援助の影響についてでありますが、準要保護者に対する就学援助制度は、市町村単独事業として実施されているものでありますが、経済的理由により就学が困難な世帯の子どもの学ぶ機会を保障するために、極めて重要な制度であると認識いたしております。
 平成25年度から27年度にかけて行われた前回の生活保護基準の見直しにおきましては、29市町村が生活保護基準をもとに就学援助の要件を認定していたところでありますが、その全ての市町村において、生活保護基準の見直しの影響を受けることのないよう対応したものと承知いたしております。
 今回の生活保護基準の見直しにあたりましても、国からは、市町村で実施する準要保護世帯に対する就学援助についても、その影響をできる限り及ばないようにするという政府の対応方針を踏まえ、適切に対応すべき旨、都道府県教委あての通知が発出されておりますが、県教委におきましては、市町村に直ちにその趣旨を周知し、市町村の適切な判断を要請しているところでございます。
 次に、新入学児童生徒学用品費の入学前支給についてでありますが、平成31年度において、新入学児童生徒のいる世帯に対しては、30市町村において入学前支給を行う予定であると把握しており、実施市町村は着実に増加してきております。
 残りの3市町村につきましても、平成31年度新入学児童生徒の対応も含め、引き続き検討が進められているところでありますので、県教委といたしましては、今後におきましても、市町村の考え方を尊重しつつ、各市町村の制度運用の状況等について情報提供を行うなど、適切な運用に向けた支援に努めてまいります。
 次に、修学旅行費用の支給についてでありますが、修学旅行につきましては、各世帯の一時的な高い負担を避けるため、あらかじめ、その費用の積み立てを行い、実績額が確定した後に精算されているところであり、就学援助世帯に対する援助費の支給も、県内の多くの市町村におきまして、実績額に応じた精算払いとなっているところであります。
 これは、地方公共団体の支出方法が、精算払いを原則としていることなどによるものと考えられますが、就学援助世帯の負担を考慮し、修学旅行費用についても、生活保護の措置や特別支援学校の就学奨励費に準じて、修学旅行前の概算払いに対応している市町村も一部にはございます。
 このような事例もありますので、県教委といたしましては、柔軟な対応を図っている市町の制度運用等についても、県内市町村に情報提供を行うとともに、必要な助言に努めてまいります。

・児童虐待の現状と課題、今後の対応策について

【千田議員】
 全国の児童相談所が昨年度、虐待相談や通告に対応した件数が13万件、岩手県も15.5%増の1,088件と1千件を超えました。
 このような中で、東京都目黒区で両親の虐待を受けた5歳児の船戸結(ゆ)愛(あ)ちゃんが、ほとんど食事をもらえず死亡した事件が起きました。結(ゆ)愛(あ)ちゃんは「きょうよりかあしたは もっとできるようにするから もうおねがい ゆるして!」と、いたいけな5歳児が両親への謝罪文をノートに書き残し、衰弱死したのです。
 また4月には北上市で、1歳9カ月の男児が充分な食事を与えられずに死亡するという事件が起きました。情報が寄せられながらも、なぜ救えなかったのか。北上市では、内部監査を実施し、問題点・課題の検証を踏まえて再発防止策をとりまとめ報告書として公表しています。私も報告書を読ませていただき、北上市からも直接聞き取りを行いましたが、どの項目を見ても、なぜ、もう少し踏み込めなかったのか、残念としか言いようがありません。充分な検証とともに、二度とこのような事件を起こさないためにも、関係者はもちろんのこと、県民一丸となって、取り組んでいかなければなりません。
 そこで知事は6月議会において、「この事件は防ぐべき事件だった」と答えていますが、なぜ防げなかったと考えていますか。また、その要因・課題は何か、現時点での考えを示して下さい。
 次に、事件を受けての県の対応についてです。市町村との役割分担と連携はこれまで以上に重要だと考えますが、6月8日に児童虐待発生予防徹底に係る通知を市町村と保育所に送付されましたが、その後の取組としてはどのような事がなされましたか。また、連携を強化する上で、どのような改善策や取組が必要だと考えていますか、お聞きします。
 さらに、市町村において、北上市の教訓を踏まえれば、専門職の配置が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 北上市における児童虐待死亡事件についてでありますが、この事件では、1歳6か月検診を受診していなかったことや、通っていた保育施設から心配な子供として情報提供があったことなど、児童虐待の兆候が見られたにも関わらず、この家庭に支援の手を差し伸べることができないまま男の子が死亡に至ってしまったという意味で、防げた可能性はあったのではないかと考えております。
 なぜ支援ができなかったのか、どういう支援が可能であったのかなど、その要因や課題については、現在、社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置部会において事実の把握及び発生原因の分析等を行っているところであり、今後の検証により明らかになることを期待しているところであります。
【保健福祉部長】
 北上市の児童虐待事件を受けての県の対応についてでありますが、8月27日に岩手県社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置部会を開催し、第1回の検証委員会を実施したところであります。今後、数回程度開催し、事実の把握、発生原因の分析・検証を行い、今年度中に再発防止策を取りまとめる予定としています。
 また、事件を受け、警察との連携強化について検討してきましたが、9月18日に「児童虐待に関する児童相談所と警察の相互連携に係る協定書」を締結し、児童相談所と警察がより緊密に相互連携して、児童虐待に対応していくこととしたところです。
 増加する児童虐待の発生予防と早期発見・早期対応のためには、児童相談所の相談機能と対応の充実のほか、議員ご指摘のとおり、市町村と連携した取り組みが重要と認識しています。
 連携強化に向けては、市町村の要保護児童対策地域協議会における児童相談所の助言指導を充実させるとともに、研修を通じて市町村職員の対応力の向上を図るなど、引き続き市町村の取り組みを支援してまいります。
 次に、市町村における専門職の配置についてでありますが、平成28年の改正児童福祉法により、市町村要保護児童対策地域協議会の調整を担当する機関に、児童福祉司たる資格を有する者、またはそれに準ずるものとしての、保健師などの専門職の配置が義務付けられており、併せて、調整担当者には、研修の受講も義務付けられています。
 また、挑戦担当者が専門職の要件を満たさない場合は、当面の間、児童福祉司任用前講習会の終了により、調整担当者として配置できることとされています。
 複雑・多様化する児童虐待事案に対応するためには、県と市町村との役割分担と連携が重要であり、今後とも市町村職員研修などを通じて、市町村職員の専門性の向上に向けて支援していくとともに、市町村に対し、必要な専門職員が配置されるよう、要請していきます。


3.台風や大雨洪水・土砂災害など自然災害から県民の命を守る取組の強化について

・避難行動要支援者名簿、非常災害対策計画策定状況等について

【千田議員】
 一昨年の台風第10号災害では、岩泉町のグループホームなどにおいて、多数の犠牲者を出すなど大変な被害となりました。今年も全国各地で豪雨災害や台風被害、今月6日には北海道胆振東部地震の震度7強で多くの犠牲者と大変な被害をもたらしました。犠牲になられた皆さんに心からの哀悼と被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 被害状況は異なっても、かつてない規模の災害によって日常のくらしが突然奪われ、生活基盤も壊された被災者の抱える苦難はどこも共通しています。多発する自然災害から県民のいのちを守るためにもこれまでの教訓をどう活かして行くかが問われています。
 西日本豪雨では、岡山・広島・愛媛3県のうち避難指示対象者の避難率が平均で4.6%にとどまったと報道されました。もちろん、その中でも広島県坂町では避難率が23.8%で、近隣同士で助け合う「共助」の力が避難につながった自治体もありました。まさに、これらの数字が結果として住民の命を守ることにつながりますので、日常からの訓練が欠かせません。
 そこで、市町村が策定する避難行動要支援者名簿の総数はどうなっているでしょうか。避難行動要支援者名簿の自主防災組織への提供はどうなっているでしょうか。また、その方々に対する個別の支援計画の策定は、どうなっているでしょうか。さらに、福祉施設における非常災害対策計画策定と避難訓練の実施の状況はどうなっているでしょうか。

【保健福祉部長】
 市町村が策定する避難行動要支援者名簿等についてでありますが、避難行動要支援者名簿は県内全市町村で作成されており、その総数は、平成30年5月1日現在、81,423人となっています。また、避難行動要支援者名簿の自主防災組織への提供については、県内33市町村のうち、20市町村で提供を行っています。
 さらに、避難行動要支援者の避難支援等を行うための個別計画の策定状況については、県内13市町村において、避難行動要支援者名簿のうち16,788人が策定済みとなっています。
 次に、社会福祉施設等における非常災害対策計画策定と避難訓練の実施の状況等についてでありますが、本年5月末現在の調査結果では、洪水浸水想定区域に立地する569施のうち、十分な計画を策定している施設は499施設、その割合は87.7%であります。
 また、同地域で避難訓練を実施済みの施設は459施設、その割合は80.7%となっています。
 さらに、土砂災害警戒区域に立地する264施設のうち、十分な計画を策定している施設は230施設、その割合は87.1%であります。
 また、同地域で避難訓練を実施済みの施設は221施設、その割合は83.7%となっています。
 県としては、市町村等と連携し、社会福祉施設への指導監査等の機会を通じ、水害・土砂災害に係る非常災害対策計画の策定や避難訓練の実施について、徹底してまいります。

・土砂災害警戒区域等の指定状況について

【千田議員】
 7月の西日本豪雨で、土砂災害による犠牲者の88%が、土砂災害の危険性が高い「警戒区域」等で亡くなっていたことが国土交通省の調査でわかりました。国土交通省によると、土砂崩れなどによる犠牲者は119人、死亡場所が判明したのは107人、このうち94人が危険性の高い区域内だったとしています。これらのことからも、岩手県内の警戒区域等の状況についても県民に明らかにし、対処していく必要があるのではないでしょうか。
 県内の土砂災害警戒区域の指定状況について、8月末現在の県内の危険個所14,348箇所のうち、指定が必要な箇所は14,188箇所ですが、すでに指定された箇所数は5,841箇所・41%にとどまっています。
 県としてはこの実態について、どう認識されていますか。また私は、抜本的に改善すべきと考えますが、お聞きします。

【県土整備部長】
 土砂災害警戒区域等の指定状況についてでございますが、本県は指定区域を確定するための基礎調査の対象となる土砂災害危険箇所が、14、348箇所と多く、土砂災害警戒区域等の指定状況は、平成30年3月末時点の全国平均約80%に比べ低い状況となっています。
 そのような状況から、土砂災害警戒区域等の指定に先立ち、まずは、地域住民の方々に土砂災害の危険の恐れがある箇所の存在を知っていただくため、土砂災害危険箇所全箇所の基礎調査の結果を2019年度末までに公表することとしています。
 また、土砂災害警戒区域等の指定に関しましては、基礎調査の完了地域において、市町村と連携して指定に係る住民説明会を開催してまいりますが、その際にはノウハウを有する NPOの活用など、効果的・効率的な工夫を行いながら、土砂災害警戒区域等の指定を加速化してまいります。
 次に、民有地におけるブロック塀の点検についてでありますが、県では、今回の大阪府大阪北部地震におけるブロック塀の倒壊事故を受けて、県民からの相談窓口を開設するとともに、所有者による安全点検実施のための、ブロック塀の点検チェックポイント、危険性が確認された場合の、付近通行者への注意表示及び補修・撤去等の必要性について、県のホームページや市町村の広報などへの掲載などにより、注意喚起を行ってきたところです。


4.県民のいのちを守る医療体制について

・県立病院の医師不足・看護師不足の現状と対応策について

【千田議員】
 まず、県立病院の医師不足・看護師不足の現状と対応策について、お聞きします。
 県民に良質な医療を提供するため、医師不足解消に向けた医師の育成等5つの基本方向を定めながら、県立病院の次期経営計画が年内策定を目指して進められています。中間案で示された医師数は現状の医師数が562名、初期研修医111名の計673名から6年後には、医師634名、初期研修医120名の計754名と、81名の増員計画に見直されました。また、看護師については、大変な看護師不足の中、現状の3,502名から3,568名に66名の増計画となっています。しかし、特にも医師確保については、この5年間で109名の増員を計画していたにもかかわらず、結果として7名のマイナスとなりました。その具体的要因は何だったのでしょうか。
 また、次期計画は県民への約束として、必ず達成すべきものと考えますが、医師増員計画を達成するための具体的対策を示して下さい。
 次に、看護師確保についてです。看護師不足の大きな課題として、夜勤回数が月8日を超える9日夜勤が増えており、昨年度は903件と前年度に比べ121件も増え、普通退職者も88名と大変な数となっており、とても働き続けられる職場になっていないとの声も聞かれます。そこで、この現状を踏まえた改善策についてお聞きします。

【医療局長】
 県立病院の医師確保についてでありますが、現行の経営計画では、5カ年で109名増員を計画したところでございますが、平成29年度末では、当初の現員数と比べて7名の減となってございまして、大変厳しい状況となってございます。
 その主な要因としては、医学部卒業生の都市部や大規模病院志向等によりまして、初期研修医が計画どおり確保できなかったこと、また、大学院等で専門医資格の取得を目指す医師の増加により、後期研修医の採用が計画を下回ったことなどによるものと考えております。
 次期経営計画における計画達成のための取り組みでございますが、関係大学等に対する医師の派遣要請や即戦略医師の招聘活動に引き続き取り組みますが、これに加えまして、県立病院に勤務しながら専門医資格取得が可能なプログラムの積極的活用により、奨学金養成医師の初期臨床研修後の早期義務履行の推進を図ってまいります。
 また、初期臨床研修医を確保するため、学生向けセミナーの開催による義務履行の意義等の周知や、県外大学の医学生との面談による県内での臨床研修への勧誘のほか、県外の大学に進学した学生に対する、県人会の開催により病院見学の学生を増やすための取り組みを実施してまいります。
 このほか、近年、女性医師が増加していることから、岩手JOYサポートプロジェクトによる女性医師の働きやすい勤務環境の整備によるママドクターの確保など、様々な取り組みを行い、医師の確保に努めてまいります。
 次に、看護体制の現状を踏まえた改善策についてございますが、看護職員の夜勤つきましては、事前の予測が困難な産前産後休暇及び育児休業の取得者、並びに病気休暇、休職及び退職者が増加した場合や、新採用職員が採用から訓練等を経て夜勤に従事できるまでの期間は、他の職員の夜勤回数が増加する傾向にございまして、特に近年は新採用職員の数が多いことから、この傾向が強まってるところでございます。
 このため、新採用職員が早く独り立ちできるよう、教育専従看護師の配置や研修プログラムの充実を図るとともに、現経営計画において産休・育休職員の代替補充の充実を図ってきたところでございまして、現在作成中の次期経営計画の中間案におきましても、代替補充などを含め66人程度の増員を計画してるとこでございます。
 また、こうした対応に併せまして、夜勤専従制度など選択可能な多様な勤務形態の導入や、働き方改革推進月間を設け、業務の見直しなどによる超過勤務の縮減や計画的な休暇の取得の促進などによりまして、ワーク・ライフ・バランスの向上を図り、看護職員の定着、離職防止を図ってまいりたいと考えております。

・胆江地域の周産期医療の現状と県立胆沢病院の充実について

【千田議員】
 胆江医療圏における分娩の状況についてですが、平成27年度のデータでは、胆江圏域の産婦の分娩場所は、胆江地域が55.8%、両磐地域が9.9%、岩手中部が22.2%、その他が12%となっており、人口13万4千人の胆江地域で、地元での分娩数は5割程度にとどまっているのであります。しかも、27年度は診療所が4箇所ありましたが、その後産科をとりやめる所があり、出産が可能な診療所は3箇所に減ってしまいました。
 両磐圏域の居住者の84.4%、岩手中部圏域の居住者の75.2%が圏域内で分娩しているのに比べて、胆江圏域の居住者が圏域内で出産出来たのは5割程度であり、さらにこの状況はますます悪化の一途をたどっているのです。県立胆沢病院の産婦人科が無くなってからかなりの年数が経ちますが、まさに仕方ないでは済まされない事態であります。胆江地域の周産期医療の現状について、知事はどのようにお考えでしょうか。また、周産期医療など県立胆沢病院の充実についてもお聞きします。

【達増知事】
 胆江地域の周産期医療の現状についてでありますが、本県の産科、小児科を含むすべての診療科で医師が不足している中、胆江地域の産婦人科及び小児科については、人口当たりの医師数が県平均を下回る状況にあるなど、同地域の周産期医療の確保は重要な課題であると認識しております。
 県では、周産期医療を取り巻く環境に対応するため、県内4つの周産期医療圏を設定し胆江地域については県南圏域の中で、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の確保を図っております。
 また、胆江地域を含む県内の分娩取扱診療所及び周産期母子医療センターに対する超音波画像診断装置や、県立胆沢病院をはじめとする中核病院に対する小児医療遠隔支援システムの整備などにより、関係大学と連携した遠隔画像診断による医療連携を推進し、産科医や小児科医が不足している地域においても、質の高い医療が受けられる体制の整備を進めております。
 県としては、今後とも平成30年3月に策定した岩手県保健医療計画に基づき、医療従事者の確保や救急搬送体制の強化をはじめ、県南圏域の周産期母子医療体制の整備を図るとともにICTを活用した医療連携を強化しながら、周産期医療の充実に努めてまいります。
【医療局長】
 胆沢病院の周産期医療についてございますが、県が策定した岩手県保健医療計画においては、胆江地域を含む県南圏域は、県立中部病院、県立磐井病院と北上済生会病院が地域周産期母子医療センターとして、産科及び新生児医療を担うこととなっているところでございます。
 県立胆沢病院においては、現在、開業医による診療応援により、週1回程度婦人科の外来診療を行ってございまして、小児科については、常勤医師1名を配置して地域の小児科医療等に対応している状況であります。出産や新生児医療への対応は現状では難しいもと考えてございます。
 産婦人科・小児科の医師につきましては、専攻する医師が少ないため、直ちに常勤医師を増員し、配置することは困難な状況でありますことから、まずは周産期母子医療センターである、中部、磐井病院等の産科医の充実を図る必要がございまして、胆沢病院への確保はなかなか難しいものと考えております。
 今後におきましては、地元開業医と県立中部・磐井病院等の地域周産期母子医療センターとの連携強化や、小児医療遠隔支援システムなどICTの活用により、胆江地域の方々が出産や子育てに不安を感じず、安心できるよう地域医療の確保に努めていくとともに、関係大学への医師派遣要請や即戦力医師の招聘等、胆沢病院の医療の充実に取り組んでまいります。

・県立中央病院の救急医療について

【千田議員】
 先日、環境福祉委員会の現地調査で県立中央病院を訪問し、岩手医大附属病院移転後の救急医療体制の課題等についてお聞きしました。宮田院長等から、県内病院への兼務・勤務分を除いた診療応援は年2,250回となっている、救急車は平成29年度で年に6,953台、一日平均19台だったが、今年度はさらに7200台ペース(一日平均20台)に増えており、本格的な検討が必要なこと、また、課題として、医師会との連携と機能分担が必要な事、盛岡地域メディカルコントロール協議会のあり方などについてもお話がありました。県立中央病院は医師数が充分でない中にあって、盛岡労働基準監督署から是正勧告を受けたこともありますので、様々な点で改善して行かなければなりません。
 そこで、岩手医大の移転に伴う県立中央病院の救急の現状をどうとらえ、またどう改善して行こうとしているのか、お聞きします。

【医療局長】
 中央病院の救急医療についてございますが、平成29年度の中央病院における救急患者の受け入れ状況は21,225人、うち救急車の搬送が6,953人であり、前年度と比較して、救急患者は349人、救急車による搬送は596人増加しており、救急車による搬送はここ数年は増加傾向にございます。
 こうした状況を踏まえ、現在の救急室が手狭になっていることから、経過観察のための救急病床を10床程度、CT室の増設等の改修工事を平成31年度実施することとし、現在、改修工事に係る設計を行ってるところでございまして、完成後は、現在の救急室の1.7倍程度の面積となる予定でございます。
 岩手医大付属病院の移転に伴う救急患者への対応については、「県民みんなで支える岩手の地域医療推進運動」等を通じまして、症状や医療機関の役割に応じた受診行動を喚起する等、盛岡保健医療圏の他の二次輪番病院や医師会等と連携いたしまして、地域の救急医療ニーズを踏まえ対応をしてまいりたいと考えております。


5.学校のエアコン設置、ブロック塀への対応について

・学校へのエアコン設置について

【千田議員】
 7月に愛知県で、学校行事で小学1年生の児童が熱中症で亡くなるという、大変痛ましい事故が発生しました。せめてこの学校にエアコンが設置されていれば、涼しい場所で休息できて、このような不幸を防ぐことが出来たのではないでしょうか。この事故を受けて、文部科学省は先月、2019年度予算の概算要求で公立学校の施設整備に18年度当初予算の3.6倍に当たる約2400億円を盛り込む方針を固めています。教室へのエアコン導入や危険なブロック塀の撤去・改修を促すためです。
 そこで、県内の幼稚園・小・中・高校のエアコン設置状況と設置率はどういう状況かお聞きします。また、保健室への設置状況についてもお聞きします。
 次に、先月8日には、岩手県PTA連合会と岩手県高等学校PTA連合会の連名で、県内学校にエアコン設置を求める要望書が達増知事と高橋教育長あてに提出されたと聞きました。このようなことからも、幼稚園・小・中・高校ともエアコン設置を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。今後の整備方針と合わせて課題について、お聞きします。
 次に、県教委が所管する高等学校と特別支援学校の全教室にエアコンを設置する場合、どれ位の予算確保が必要かお聞きします。

【教育長】
 学校のエアコン設置についてでありますが、県内の公立学校につきましては幼稚園では保育室、小・中学校では特別教室を中心に設置が進められてきており、高等学校では夏期講習に活用する教室や、パソコン教室等への整備を優先して進め、特別支援学校では体温調節が難しい児童生徒が在席する教室への整備に重点的に取り組んできたところであります。
 教室への設置率については、昨年7月1日現在の文部科学省調査によりますと、市町村立学校では幼稚園が29.1%、小学校が5.0%、中学校が5.2%となっており、県立学校では本年9月1日現在で、高等学校が9.7%、特別支援学校が16.6%となっております。
 また、保健室の設置率については、本年9月1日現在、市町村立学校では小学校が58.7%、中学校が58.8%、県立学校では高等学校が47.8%、特別支援学校が88.2%となっております。
 今後のエアコン整備に向けた基本的な考え方につきましては、神崎議員、高橋議員のご質問にお答えしたとおりでありますが、災害と言われるような猛暑への対策として、学校種を問わず、子供たちの安全の確保や教育環境の改善という観点から、その充実は喫緊に取り組むべき課題であると認識しており、現在の環境や利用頻度等も考慮しつつ、市町村とも連携を図りながら、必要な整備に早急に取り組んでいきたいと考えております。
 整備にあたっての課題といたしましては、県、市町村とも財源の確保等が主な課題であると認識しており、国の財政支援措置である学校施設環境改善交付金の予算総額の充実や、地方財政措置の充実などを国に要望しているところであります。
 次に、エアコン整備に係る所要額についてでありますが、県立の高等学校と、特別支援学校のエアコン未設置の教室数は空き教室等を除きますと、高等学校では約2600室、特別支援学校では約540室となっております。
 これらの全教室にエアコンを整備するとした場合の事業費を、学校施設環境改善交付金における国の基準単価(1uあたり24,800円)を基に算出いたしますと、概算ではありますがエアコン機器設置におよそ50億円、さらに変電設備の改修も見込まれることからそれを勘案いたしますと、およそ80億円程度と試算しております。
【総務部長】
 学校のエアコン設置状況についてですが、学校法人が設立する私立幼稚園、小学校。中学校、高等学校において、保育室または普通教室にエアコンを有する学校数は36校あり、そのうち幼稚園は約6割、小・中・高校は約4割が設置されております。
 また、保育室、普通教室を含めた全ての室数にしめるエアコンの設置率は35.5%であり保健室への設置率は56.9%となっております。今後の私立学校におけるエアコンの設置につきましては、各学校法人の施設整備の方針などに基づき進められることとなりますが、県といたしましては、児童生徒が安心して学ぶことができる環境の整備が図られるよう助言等を行ってまいります。

・危険なブロック塀の対応について

【千田議員】
 今年6月18日に発生した大阪北部地震によりコンクリートブロック塀の倒壊によって、尊い命が犠牲になりました。これらを受けて、文部科学省は安全点検の実施を各県に指示しましたが、県内小・中・高校等の安全点検とそれへの対応の現状についてお聞きします。
 次に、通学路や避難経路等、子どもや住民の安全確保のためには、民有地であってもその危険性を取り除く必要がありますが、これらの点検は実施されているでしょうか。また、その場合、所有者・管理者に対しての指導が必要と考えますが、どのような状況かお聞きします。
 次に、点検の結果、危険性が確認された塀の撤去や改修に対し、補助金制度の創設が求められますが、いかがでしょうか。

【教育長】
 公立学校におけるブロック塀への対応についてでありますが、本年6月19日付で発出された文部科学省からのブロック塀等の安全点検等についての通知を受け、市町村立学校524校、県立学校78校でブロック塀等の点検を行ったところでありますが、その結果、安全性に問題が認められた学校数は、幼稚園で1園、小学校で17校、中学校で6校あり、幼保連携型こども園、義務教育学校、高等学校特別、支援学校においては構造上の問題は認められなかったところであります。
 安全性に問題が認められたブロック塀については、各市町村において周囲の立ち入り禁止措置などの応急対策が講じられたところであり、現在、撤去や改修などの抜本対策に向け、補正予算措置等を含め具体的な検討が進められております。
 また、県立学校につきましては、学校に加え、教職員公舎と寄宿舎のブロック塀についても併せて安全点検を行ったところ、全てのブロック塀において国が示す安全点検の判定基準に抵触するものはないことが確認されておりますが、経年劣化による安全性の懸念がありますことから、全てのブロック塀の撤去・改修に向け、今議会に提案しております補正予算案に所要の経費を盛り込んだところであります。
 いずれ、学校施設の老朽化対策は重要な課題でありますので、長寿命化改修など、予防、保全型の管理に努めながら学校の安全を確保してまいります。
【総務部長】
 学校のブロック塀の対応についてでありますが、私立学校におけるブロック塀については国から依頼を受けて調査を行ったところ、安全性に問題があるブロック塀を有する学校は幼稚園6園、高校3校となっております。
 また、外観上安全性に問題があるとされなかったブロック塀については、速やかに内部点検を実施するよう通知するとともに、安全性に問題があるブロック塀を有する学校に対し改善を図るよう要請を行ったところです。
【県土整備部長】
 民間所有のブロック塀は、その数や個別の耐震性の有無の把握が難しい状況にあることから、市町村や、建築士関係団体の協力を得ながら、住民からの相談や市町村からの情報に基づき、点検の実施や所有者への指導助言を行っています。
 さらに、10月に予定しています、耐震促進運動月間や違反建築防止週間のパトロールにおける重点項目のひとつに加えて、民有地のブロック塀の点検を実施していきます。
 次に、補助金制度の創設についてでありますが、点検等において危険性が確認された民間所有のブロック塀の撤去や改修にあたっては、所有者の費用負担が課題となると考えています。現在、県内では釜石市が国の防災安全交付金の事業メニューを活用し支援を行っているところですが、今回の事故を受け、新たに一部の市町村が支援制度についての検討している状況にあります。
 県においては、国の今後の動向等に関する情報を収集し、市町村とも共有しながらより効果的な対策について検討してまいります。


6.伝統的工芸品―岩谷堂箪笥について

【千田議員】
 岩手の伝統的工芸品の中で、今回は岩谷堂箪笥についてお聞きします。
 古い歴史を持つ岩谷堂箪笥は、昭和57年、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく伝統的工芸品の指定を受けました。平成9年頃には約8億円ほどの売り上げがあったそうですが、近年は生活様式の変化等により、大きな家具よりも機能的なサイズのものへと好みが変わりました。これにより、岩谷堂箪笥の売り上げも昨年度は約1億円程度となっているとのことです。
 そこで、岩谷堂箪笥の技術・技法の伝承のためには、後継者の育成が重要ですが、現状では雇用しながら育てていくには大変厳しい状況とお聞きしています。現状と課題についてお聞きします。
 また、関係者からは、以前に比べ、物産展への参加機会が大幅に減っているのではないかとの指摘がありますが、いかがでしょうか。
 次に、岩谷堂箪笥は、岩手県産が全量買い上げている訳ですが、買取り量が大幅に減っているため、営業活動や販売努力の面で改善すべき点があるのではないかとの指摘がありますがいかがでしょうか。

【商工労働観光部長】
 岩谷堂箪笥の後継者の育成についてでありますが、岩谷堂箪笥関係の従事者数は、最盛期150人程度と言われておりますが、その後、減少をたどり、ここ数年は概ね80人前後で推移してきておりまして、安価な生活家具の普及や住宅事情の変化により販売額が減少し、新たな採用を控えざるを得ない状況にあるものと認識しているところでございます。
 こうしたことから、後継者の育成につきましては、岩谷堂箪笥に必要な独自の技術・技法を製作の現場において熟練した職人から継承していけるように、まずは、生産者が安定した事業活動を継続していくことが最も重要と認識しているところでございます。
 このため、岩谷堂箪笥生産協同組合では、伝統的な製品に加え、これまで培った技術を活かし、現代の感覚にマッチした製品展開を進めているところであり、県といたしましても、海外のデザイナー招聘などによる商品開発や新たな販路拡大を後押しし、安定的な事業活動の継続と後継者の育成を支援してまいります。
 次に、物産展への参加についてでありますが、岩谷堂箪笥につきましては、総販売元である岩手県産株式会社を通じて継続的に展示販売を掃除してきたところでありますが、近年は、百貨店業界を取り巻く情勢の変化による物産展の減少や、県単独物産展から複数県による物産展や、テーマを絞った催しに移行する傾向にあり、販売機会が減少しているところであります。
 物産展は、県内地場企業にとりまして、県外での販売活動の場の確保のみならず、顧客ニーズの把握の意味でも、重要な役割を果たしていると認識しておりまして、県では新規開催に向けた百貨店への働きかけを強めているところであります。
 また、平成29年度におきましては、全国各地の伝統的工芸品の実演・展示販売を行う東京都の青山スクエアにおきまして、「岩谷堂箪笥と岩谷堂くらしな展」を新たに開催し、伝統工芸士による実演を行い、来場者への情報発信を行ったところでありまして、今年度も11月に開催を予定しているところでございます。
 次に、岩手県産株式会社についてでありますが、同社は、これまで岩谷堂箪笥の総販売元として、家具問屋への卸売をはじめ直営店やアンテナショップでの販売、ホームページの特設サイトでの情報発信及びインターネット販売など、多チャンネルでの展開により販売拡大を図っているところであります。
 しかしながら、岩谷堂箪笥の売り上げは、年々減少傾向にあり、同社が毎年度作成する経営計画において、取扱店の開拓や新デザインのインテリア商品開発の目標などを定め、販売拡大に向けて取り組んでいるところでございます。
 県といたしましても、有力な市場である首都圏で開催される展示会への出展、百貨店と連携した展示販売会の開催等による販売機会の創出、今後成長が見込まれます東海地区のトヨタ関連の飲食店等で開催する岩手フェアでの販売など、引き続き岩谷堂箪笥の販売拡大に向けて、同者と連携して取り組んでまいります。

≪再質問≫

・児童虐待対策について

【千田議員】
 まず、一つは児童虐待の問題の中で、市町村にも専門職の配置を求めていくということで、調整担当者の中には保健師さんとかもいいのだという話もあったのですが、それはいいとしても、私は今回の事件を見て最初に対応する方々ですよね。その窓口でどういう風に扱うか、要対協いくまでの受付をされる担当者が、どういう方が担っているか、一番大きいと思います。それで、今、県内市町村の中でどういう方々が担当者となっているか、その状態についてお聞きしたいと思います。

【保健福祉部長】
 市町村における専門職の配置についてでございますが、市町村要保護児童対策地域協議会の調整を担当します調整機関、これは主に市町村の児童福祉担当課が行っているのですが、そこに社会福祉士、保健師、保育士、教員免許保有者などの資格保有者59名が配置されていると承知しています。
 その内訳としては、保健師が16名、保育士が4名、教員免許を有する方が17名となっているところでございます。

・土砂災害警戒指定に先立つ基礎調査の公表について

【千田議員】
 二つ目は、土砂災害警戒区域の指定が遅れているという点で基礎調査を行って2019年度までに公表するという答弁だったのですが、こんなにかかっていいのか疑問です。
 やはり、大変な被害が多発している中で、指定するとか、しないとかはいろんな地域の話し合いなので、それは相当時間を要するし、いろいろなことがかかわるので難しいと思うが、県民の皆さんに危険だということを知らせていない現状が大きな課題です。公表が2019年度末というのが疑問ですので、その点、もう一度お聞きしたいと思います。

【県土整備部長】
 土砂災害警戒指定に先立つ基礎調査の予定公表についてはかなり頑張ってまいってきました。今年度の調査は今実施しており、今年度の調査分は今年度中に公表させて頂きますが、来年度の予算はこれから予算措置をしていただきまして、最後の第4コーナーということで最終調査をさせていただきたいということでございます。
 東日本大震災復旧、それから平成28年の台風10号復旧、これらはまだ職員一同、一丸となって頑張っている最中でございますが、土砂災害警戒区域の調査結果についても、併せて並行して努めてまいりますので、来年度の公表を実現していきたいと考えております。

・胆江地区の周産期医療について

【千田議員】
 それから、胆江地区の周産期医療について、毎回の一般質問で取り上げて、今回も、知事をはじめ同じ答弁をいただきました。
 産婦人科を希望する医師が少ないということは、そのとおりであり、すぐには難しいとは思いますが、先ほど登壇して話したように、開業医も減っている、そして27年度4か所あったところが、今は3カ所で、辞められたところも1年間で100人以上取り上げていた開業医です。今いらっしゃる60代の開業医は年間200人くらい取り上げてるところが2つ、あとは内科と兼務なので16〜17人ということで、27年度で55.8%の方しか地域で産めない、今調査すると4割を切っているのではないかと思います。
 私は、北上に行ってください、一関に行って下さい、確かに大きな病院に行けば安心できるということはわかります。ただ、リスクのある分娩だったらやむを得ないともいますが、 普通の方々が30〜40km離れたところに行かなければならばい。しかも、子どもだけの入院、産後、赤ちゃんだけを置いてお母さんが退院して、毎日おっぱいを飲ませに、北上に行く、一関に行くという方が増えています。
 お母さんが一人で行けないことも多々あって、とても奥州市に住めと言えない状況になっている。年々悪化しております。ですから、これをもっと前向きに、いつまで待てばということは言えないかと思いますが、やはり胆沢病院に産婦人科を置くようにしたいとか、例えばそういう努力がどこかでされているということが見えればまだ住民は安心すると思うんですが、それらが全く見えず、残念です。
 この間、地域医療基本法で知事が立ち上げてやろうということで、私も期待しておりましたけども、その地域医療地域医療基本法について何か見通しがあるか、それから大学とかへの働きかけ、周産期のお医者さん増やすということでの奨学金医師養成事業だけではもう無理なので、何か別の手立てを取らないとこれは対応できないと思いますので、真剣に考えていただかなければならない状況だと言わなければならないのですが、その点もう一度お聞きいたします。特に知事からも答弁をお願いいたします。

【達増知事】
 現場の医師の声を聞きますと、特に産婦人科の場合は24時間お医者さんが必要な出産があるかわからない中、一人だけでいるという中で、二人とか3人とかで 産婦人科の体制をとることが望ましいということを聞いております。
 なかなか産婦人科の医師を一人ずつ、広く配置ということよりはやはり何か所かに複数いてもらうことが、特に医療的なケアが必要な場合の出産の場合、出産する側も安心して出産できるということだと思います。
 そう意味で、産婦人科の医師が増えていくような手を打っていく必要がありますので、地域医療基本構想については、去年、岩手で開かれた全国知事会ではパンフレットも配布、全知事さんに説明し賛意を得て今年の全国知事会においても、医師不足の抜本的解消ということを強く求めるべきという声を頂いております。
 国の方においても、地方での勤務を医師としての様々な条件としていく方向性で話が進んだということは、職業選択の自由、移転・居住の自由、新自由主義的な解釈・運用からは正反対の方向で議論も転換したというところは期待しているところでありまして、さらにその方向に具体的な実績がでるような取り組みを求めていきたいと思います。
【保健福祉部長】
 診療科偏在解消、産科医の不足についての関係で、大学への働きかけについてお答えします。関係大学に対しては、各医局への医師派遣要請を行っているほか、岩手医科大学とは今般の病院移転事業により対する支援にあたり、地域医療の確保に向けた連携及び協力に関する協定書を締結し、周産期医療等に総合的に対応できる医療従事者の養成派遣等を通じた地域医療支援等に取り組むこととしています。
 なお、奨学金養成医師については、今年度から産婦人科、小児科を専攻した奨学金養成医師に対する、義務履行とキャリア形成の両立を可能とする特例措置を設けたところでありまして、引き続き診療科の偏在の解消に向けて取り組んでまいります。

≪再々質問≫

・市町村における児童虐待に係る専門職員の配置について

【千田議員】
 児童虐待の部分での専門職の配置の部分で、全体で専門職がいるという答弁でしたが、いろんな経験を持った方々でも、非常勤対応が非常に多いのではないかと思います。
 北上市に行った時に6時間対応していたのを8時間にするとか、時間外もできるというふうには話しされましたが、どんな経験を積まれた方でもきちんとした正職員並みの待遇で、これだけ多くの案件が出てきている時なので、その体制について内部で見直してもらうことが必要ではないかなと思いますし、研修についてもきちんとやってもらうことが大事だと考えます。よろしくお願いします。

【保健福祉部長】
 専門職員の配置の中で、非常勤職員の配置が現在市町村で16名、全体で1/4のところが非常勤というところで、市町村に対して必要な専門職員を配置するように要請することと併せて、そうした職員の任用等についてもしっかりと話をしていきたいと思いますし、 要保護児童対策地域協議会調整担当者研修というのも実施しておりまして、これについて様々な科目等の講義・研修を行ってますけども、それについて研修の実施の中でそうした調整担当者の質の向上と言いますか、より能力が向上されていくように県としても取り組んでいくように考えてまいります。