2018年9月26日 9月定例県議会本会議
高田一郎県議の議案に対する質疑(大要)


【高田議員】
 日本共産党の高田一郎でございます。議案に対する質疑を行います。
 議案第1号は、2018年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。復興分、通常分合わせて225億4100万円の増額補正予算となりました。具体的な内容について質問します。

・三陸防災復興プロジェクト2019について

 第1に、三陸防災復興プロジェクト2019開催準備費2億3944万円は、平成31年に開催される「三陸防災復興プロジェクト2019」の開催準備に要する経費であります。開催機運の醸成に向けた追加経費でありますが、具体的な取り組み内容はどうなるのでしょうか。
 三陸防災復興プロジェクトは、東日本大震災の風化の防止や防災力の向上、三陸地域の多様な魅力を国内外に発信し交流を深める事業です。復興事業に平行して取り組まなければなりませんが、市町村とも連携ししっかりと取り組まれているのでしょうか。課題はないのでしょうか。

【政策地域部長】
 平成30年3月に、三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会で決定した基本計画の具体化に向け、これまで市町村との連携会議や実行委員会を構成する関係団体の実務者による専門部会等で検討を進めてきた。今後は、これらの検討結果を踏まえ、2019年6月の開幕に向け、各催事の出演者との調整や会場設営にかかる準備などの運営調整のほか、プロジェクトの趣旨や具体的な催事内容について県内外へ広報・宣伝し、開催機運の醸成を図っていくこととしている。
 市町村との連携については、同実行委員会のほか、本年5月に開催した市町村連携会議をはじめ、個別催事の調整の場を通じて意見交換や情報交換を行い連携を図っている。また市町村においては、実行委員会の構成員としての各催事への参画のほか、それぞれの市町村において例年行われているイベントとの連携やプロジェクトの趣旨に合致する新規事業の実施なども想定されることから、プロジェクト・催事の実施にあたっては、市町村の状況にも十分配慮しつつしっかり連携していきたい。

・三陸鉄道運営支援事業費について

【高田議員】
 第2に、三陸鉄道運営支援事業費7649万円は、三陸鉄道の新駅整備に要する経費の補助を増額するものです。新駅の整備状況および三鉄移管に向けた準備状況はどうなっているでしょうか。
 JR東日本が移管協力金を30億円に増額しました。しかし、赤字路線であることから、今後数十年以上にわたり持続的な経営が続けられるかどうかが一番の課題です。どう県として支援を行っていくのでしょうか。

【政策地域部長】
 三陸鉄道では、宮古市と連携し、北リアス沿線の田老地区と山田線沿線の八木沢地区・払川地区の3箇所に新駅の整備を進めており、山田線区間の2駅については、一貫経営に合わせて来年3月23日の供用開始、新田老駅については10月の供用開始予定となっている。新たな3駅は、災害公営住宅の近隣や宮古市分庁舎との合致区など、いずれも復興後の新しいまちづくりの形に合わせて整備されるものであり、沿線の活性化や三陸鉄道の利用促進につながるものと期待している。
 山田線移管に向けた準備状況だが、JR東日本による復旧工事は順調に進捗しており、今後JR東日本による試運転、三陸鉄道による訓練運転等も行う予定である。県では、JR東日本からの移管協力金等を活用し、車両の製造や要員の確保など、三陸鉄道の開業準備を支援していくほか、復旧した鉄道施設の譲渡等について、JR東日本・三陸鉄道・沿線市町との調整を進めており、来年3月の移管開業に向けてしっかりと準備をしていく。
 三陸鉄道の持続的な運営に向けた県の支援についてだが、移管後の山田線の運営枠組みについては、平成29年2月の沿線首長会議において、移管開業6年目から一部自治体負担を組み合わせることにより、JR東日本から提供される移管協力金の活用期間を20年間とすることで合意しており、この合意に基づき、移管協力金の計画的な活用を図ることにより山田線の持続的な運営を図っていく。また、一貫経営後の三陸鉄道全線について、鉄道事業再構築実施計画の認定により、施設の維持・整備について、国の重点的な支援を確保し、沿線市町村とも連携して支援することにより、移管後の三陸鉄道の持続的な運営を支えていく。あわせて、県と沿線市町村により構成される岩手県三陸鉄道強化促進協議会と三陸鉄道が連携しながら、引き続き地域におけるマイレール意識の向上を図るとともに、情報発信や企画列車の増勢等の各種事業に取り組み、地域の交流人口の拡大を図りながら、より一層の利用者の増加に取り組んでいく。

・緊急点検に基づくブロック塀の改修について

【高田議員】
 第3に、緊急点検に基づくブロック塀の改修についてであります。
 補正予算には、緊急点検の実施に基づき撤去が必要と判断したブロック塀の改修等に関する経費6900万円が計上されました。市町村含めどう県が把握されているのでしょうか。
 学校施設は98.8%が耐震化されており、大阪での事故はこの結果に安心してしまったことが盲点だったと考えます。民間施設を含めた通学路などの総点検を行うこと、民間のブロック塀も注意を喚起するのみではなく、具体的な支援が必要ではないかと考えます。県の対応ならびに市町村の取り組み状況はどう把握されているのでしょうか。

【県土整備部長】
 県では国からの通知に基づき、各部局において所管する施設のブロック塀66箇所の点検を実施し、対策の必要があると判断された38箇所の改修等に要する経費について、既配の予算で対応するほか、所要の額を今回の補正予算に計上した。
 なお、市町村所有の施設について、現時点では、特に改修・撤去等に向けた具体的な相談は寄せられていないが、市町村の学校施設については、文科省からの通知を受けた点検の結果、安全性に問題が認められたブロック塀についての撤去や改修など、具体的な検討が進められていると聞いている。県では引き続き、ブロック塀の所有者等に対し指導や助言を行っていきたい。
 民間施設を含めたブロック塀の点検についてだが、民間のブロック塀は、数や個別の耐震性の有無の把握が難しい状況にあることから、住民からの相談や市町村からの情報に基づき、点検の実施や所有者への指導・助言を行っている。さらに、耐震促進運動月間や、違反建築防止週間のパトロールにおける重点項目の1つに加え、民有地のブロック塀の点検を実施していきたい。具体的な支援については、現在一部の市町村が国の防災安全交付金の事業メニューを活用した支援制度を検討している。県においては、国の今後の動向等に関する情報を収集し、市町村とも共有しながらより効果的な対策について検討していきたい。

・公共建築物の耐震化計画について

【高田議員】
 第4に、地区合同庁舎施設等整備事業費は、債務負担行為を設定し盛岡地区合同庁舎耐震改修整備をしょうとするものです。県は、公共建築物の耐震化計画を作成して対応してきましたが、現状と課題はどうなっているのでしょうか。改善されているのでしょうか。

【県土整備部長】
 岩手県耐震改修促進計画では、不特定多数の者が使用する一定規模以上の建築物を公共建築物と位置づけ、県有施設のほか民間施設も含めて耐震化率を公表している。
 28年度末の耐震化率は、公共建築物全体では95.2%で、27年度末の94.1%を1.1ポイント上回っており、耐震化は着実に改善されているものと認識している。
 なお施設によっては、施設を使用しながら耐震改修を行う必要があり、そのための調整や改修費用の確保が課題だと考えている。

・県道の日常的な点検体制及び県道の長寿命化対策について

【高田議員】
 第5に、道路維持修繕費10億8千万円は、県道の道路維持管理に関する経費であります。県内の県道延長は4200km中、舗装済延長は3705kmとなっています。舗装の損傷を日常的に把握し長寿命化対策を行えば維持管理のコスト削減になるといわれています。
 日常的な点検体制及び県道の長寿命化対策はどう取り組まれているのでしょうか。
 道路橋梁維持費は、11億5264万円も減額補正されています。その理由についても示してください。

【県土整備部長】
 日常の道路パトロールにより路面等の状況を確認し、穴ぼこ等があった場合に直ちに穴埋めなどの応急的な対応を行うほか、年間契約の道路維持修繕業務により、アスファルトを被せるパッチング補修を行うなど速やかな対応に努めている。また、舗装の長寿命化を図るため、5年に1度の頻度で調査を実施し、この結果に基づき、損傷が大きくなる前に一連区間の舗装の補修工事を行っているところである。
 道路橋梁維持費の減額補正について。歩道設置や橋梁補修などを行う社会資本整備総合交付金事業等における国庫支出金の内示にともない、事業調整により減額補正を行ったほか、昨年度の気象状況により道路損傷が多発したため、維持管理費の増額補正を行った結果、11億5千万円余の減額とするものである。

・台風10号による土砂災害からの復旧状況、支援について

【高田議員】
 第6に、砂防事業費3億5,920万円は、台風10号による土砂災害箇所における土石流対策施設の設置等に対する経費であります。台風10号災害では、9市町村155箇所の土砂災害発生箇所となりましたが、復旧状況はどうなっているのでしょうか。
 災害復旧工事の発注率は1784箇所・94.3%の発注率(8月末)となっています。先日岩泉町に調査に行きましたが、まだまだ復旧に要する時間が掛かかり、本格的にはこれからだと感じました。人的、財政的支援も更なる継続が必要と感じていますが今後どう取り組まれるのでしょうか。

【県土整備部長】
 土砂災害発生箇所155箇所のうち、人家等への被害が大きかった箇所や、今後被害が予測される30箇所について、国庫補助事業を導入し、災害関連緊急砂防事業16箇所については30年度内の完了を目指して工事を進めており、砂防激甚災害対策特別緊急事業14箇所については、2019年度内の完了を目指して設計や用地取得を進めている。その他の箇所については、被害の程度に応じて、県単事業により被害拡大防止対策等を講じている。
【政策地域部長】
 特に被害が甚大だった宮古市・久慈市・岩泉町における人材の確保状況だが、9月時点で必要数30人に対し25人が確保されている。県としては、復旧・復興を着実に進めていくため、これまでと同様、県内市町村や県外自治体に対し協力を依頼する予定としているほか、現在来年度の派遣に向けて任期付職員の募集事務を進めており、被災市町とも連携しながら、復旧・復興に必要な人材の確保に向けて継続的に取り組んでいきたい。
 財政支援については、3市町の平成30年度の復旧・復興にかかる事業費だが、9月時点で約207億1千万円、うち一般財源負担額は約16億2千万円程度となっており、そのうち岩泉町については、事業費約145億円、一般財源負担額は約12億4千万円と聞いている。現在、今年度の国の特別交付税の算定に向けた調査が実施されていることから、国に対して被災市町の財政事情について丁寧に説明し、十分な財政措置がなされるよう要請するとともに、その交付状況等も踏まえ、県の支援のあり方について検討していきたい。

・急傾斜地崩壊対策事業費について

【高田議員】
 第7に、急傾斜地崩壊対策事業費1億6千万円は、土砂災害防止のため崩壊防止をするための整備事業費です。台風および豪雨、相次ぐ地震などで急斜面の崩壊防止対策事業への要望が増加しています。県内の急傾斜地崩壊対策事業の要望件数および事業の実施状況はどうなっているのでしょうか。

【県土整備部長】
 今年度の市町村要望において、3市町から8箇所の新規要望があった。30年度においては、国交付金事業で6箇所、県単事業で12箇所の計18箇所で事業を推進している。

・一般国道340号(仮称)押角トンネル舗装工事について

【高田議員】
 次に、議案第25号、一般国道340号(仮称)押角トンネル舗装工事の請負契約の締結を求めることについてであります。
 (仮称)押角トンネルは、舗装工事を含めた総事業費101億円となりますが、その投資効果について伺います。国道340号の(仮称)押角トンネルの宮古市側4キロと岩泉町側9キロが未改良となっています。先週現地調査をしました。未改良部分が一斜線で両側の木が生い茂り対向車もすれ違うこともできない国道を見て大変驚きました。一日も早い改良整備が必要です。未改良区間の整備の見通しはどうなっているのでしょうか。

【県土整備部長】
 本工区は、平成25年に廃線となったJR岩泉線のトンネルを活用し、2020年度の開通を目指し、延長約3.1kmのトンネル整備を進めている。本工区の開通により、距離が約2.4km短縮され、所要時間が約14分短縮されるほか、落石や雪崩の危険性が回避されるなど、交通環境が大幅に改善されるところである。また、物流の効率化や広域観光ルートの強化により、県北・沿岸域の振興に資することが期待されている。
 未改良区間については、ネットワークとしての効果を発揮するため、押角峠工区と同様に二車線での整備が必要と認識している。今後事業化を見据えながら、ルートや構造、優先区間の検討など必要な調査を進めていく。

・一般国道342号線白崖地区道路改良(第2工区)工事について

【高田議員】
 次に、議案第27号、一般国道342号線白崖地区道路改良(第2工区)工事の請負契約の締結を求めることについてであります。
 第一工区工事において盛土材が軟弱土のために地盤改良で対応し全体の工事費が23億円から40億円増加することが地元住民に説明されています。第二工区ではどう対応されたのでしょうか。国道342号は復興支援道路でありますが32年度内の復興期間内の完成の見通しについても伺います。

【県土整備部長】
 現在実施中の第一工区工事において、切り土した土砂を盛り土に流用しようと土質試験を実施したところ、水分量が想定以上に多く、盛り土材としての強度が不足していたことから、土質改良が必要になったところである。議案の第二工区においては、第一工区と同様に水分の多い土砂を取り扱う工事であることから、あらかじめ必要な土質改良を行う設計内容としている。
 完成の見通しについては、現在、白崖工区全体の約8割の用地取得の契約に至っており、計画的な用地取得に努めながら、事業用地が確保できた段階で速やかな工事発注を行い、2020年度の完成供用に向け引き続き取り組んでいく。

・主要地方道一関北上線柵の瀬橋旧橋撤去(上部工)工事について

【高田議員】
 次に議案第28号、主要地方道一関北上線柵の瀬橋旧橋撤去(上部工)工事の請負契約の締結に関する議決を求める議案は1社入札となり請負率は99%となっています。なぜ競争できなかったのでしょうか。

【総務部長】
 県営建設工事の入札については、入札参加資格要件の設定に際に、施工実績等から入札への参加見込み者数を検討した上で手続きを進めている。
 本工事は、大規模かつ技術的難度が高い工事であることから、特定共同企業体または県内業者単者による施工形態とし、その参入見込み者数については30者以上が見込まれると判断し入札を行った。結果としては、参加者は1者のみであったものである。今回の入札については、一般競争入札により入札機会の公平性が確保され、合わせて電子入札制度により、入札参加者は他の参加者の状況が分からないため、一定の競争性が確保されているものであり、結果として1者による入札となったものである。

・織笠川筋織笠川水門土木工事の変更請負契約について

【高田議員】
 次に、議案第30号、織笠川筋織笠川水門土木工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについてです。
 当初契約から18億8571万円、率で61.3%増となる請負契約の変更であります。防潮堤の建設・増工することと仮設工の変更がおもな変更内容ですがその変更金額と具体的な理由を示してください。

【県土整備部長】
 これまで関係機関との調整により、処理施設を追加したものが約2億円、地盤調査の結果により基礎杭および地盤改良の工法を変更したものが約4億円、今回、防潮堤用地の取得完了、隣接する山田町施工の防潮堤との計画調整が整ったことなどにともない、防潮堤工を追加するものが約9億円、支川合流の影響による局所洗掘防止のため仮閉切工の変更にかかるものが約4億円それぞれ増額となるものである。

≪再質問≫

・国道340号押角トンネル前後の改良整備について

【高田議員】
 私も現地調査を行い、特に宮古側が、まるで林道を走っているのではないかという思いで運転した。いずれ、落石や冬季の雪崩によって全面通行止めが10年間で57日も発生したと。こういう道路事情なので、この間JR岩泉線も存続していましたが、平成26年に廃線になったわけで、これをしっかり整備しないとつじつま合わないのではないか。
 八重樫県土整備部長からは、「必要な調査を進める」とお話があったが、現地の土木センターの職員からうかがったところ、「今年度必要な調査をしている」と。必要な調査をしっかりやって、スケジュールを地元の自治体にしっかり示していく時期ではないかと思うがいかがか。
 岩手県の道路網というのは、岩手県の地域防災計画において「緊急輸送道路」に指定されているということなので、なお一層急がなければならないと思うので。

【県土整備部長】
 ご指摘の通り、非常に狭隘で線形が困難な道路区間となっているので、押角峠工区、押角トンネルの完成後にこういった路線を改良して結ばないことには、この340号線がJR岩泉線の代替路線として完全に機能を発揮することはできないという認識である。
 ただし、いろいろなカーブや線形で、現在の道路と別な線形で計画をする必要があるので、それによりどのようなスケジュールになるか、今のところはなかなか地元の方々にも示せる材料がない。一日も早くそういったスケジュールを地元の方々にも示すことができるよう調査を着実に進めさせていただきたい。

・議案第28号の織笠川の水門土木工事の変更請負契約について

【高田議員】
 当初設計・契約になかった防潮堤(9.4億円)、いま説明があったように用地交渉が終わって、さまざま関係機関との調整が終わったために、水門の両側の防潮堤を同じ業者に請負契約変更で対応したと。随意契約のようなものだと思うが、必要であれば別途入札するとか、関係機関との調整が終わった段階で一括して入札するとか、そういったことが考えられるが、なぜこういう対応になったのか。こんな対応は過去にあったのか。

【県土整備部長】
 水門前後の防潮堤について今回追加で変更議案とさせていただいているが、本箇所は、水門工事の作業ヤードおよび仮閉切の影響により狭隘となっており、用地取得で工事に着手可能となったが、別者が新たな契約で乗り込むには、土地が狭いということと、現在行っている工事が終了しないとなかなかその工事を開始できないということで、同時に施工できる者は現在施工できる者に限られるという物理的な条件がある。こういった条件の中で、これまでこういった変更契約がされたかということについては、土木の工事現場それぞれ発注ごとにいろいろな要件が違うので、こういった他の者が同時に施工ができないような要件は多々あり、同時に別者が乗り込むことができない時にこういった形での変更契約をした例はある。