2018年10月2日 決算特別委員会
知事に対する総括質疑(大要)
1.東日本大震災津波からの復興の課題について
【斉藤委員】
新たな犠牲者を出さないためにも被災者の実態を把握し、具体的な支援を強化することが必要だと考えるが、被災者の健康と生活の実態をどう把握しているか。
【達増知事】
被災者の健康状況については、岩手医大が沿岸4市町を対象に昨年度実施した調査によると、「健康状態が良くない」と答えた被災者の割合は、男性で12.0%、女性で14.2%となっている。
生活の実態については、昨年度生活支援相談員に寄せられた相談内容を見ると、日常生活に関する相談が全体の3割ともっとも多く、次いで健康・保健医療に関する相談が2割を占めている。
このように、応急仮設住宅での生活の長期化や災害公営住宅等への転居にともなう生活環境の変化などによる健康や生活への影響が見られる。
【斉藤委員】
岩手大学の麦倉教授(社会学研究室)が、毎年大槌町の仮設住宅で調査しているが、仮設住宅で生活している方々は、「暮らしや人間関係でリスクを負っている」というのが85%、「暮らしが厳しい」は56%だった。
東北大学は、仙台市若林区で災害公営住宅の調査をしたが、「6割に睡眠障害の疑いがあった」と。
大変厳しい状況にあると思うが、これへの対応は県はどのように考えているか。
【達増知事】
県はこれまで、被災市町村が行う健康支援活動への経費支援や、仮設住宅および災害公営住宅等での健康・栄養相談、口腔ケア指導などに取り組んできた。
今後においても、被災者の健康の維持・増進を図るために、市町村等と連携しながら、被災者の方々の具体的な健康状態を踏まえて、被災者に寄り添ったきめ細かな健康支援を行っていく。
【斉藤委員】
生活支援相談員による被災者の見守りの状況、重点見守り、通常見守りの状況と、その情報は地域の自治会や災害公営住宅の自治会等に提供される必要がある。地域での見守りとの連携が必要だと考えるがいかがか。
【達増知事】
県社協が配置する生活支援相談員は、平成30年6月末現在で9649世帯を対象として被災者の見守り活動を行っており、見守り対象世帯のうち、専門機関などと連携した訪問等が必要な「重点見守り世帯」は497世帯、状況把握などのための定期訪問等が必要な「通常見守り世帯」は4044世帯となっている。
生活支援相談員等が被災者に寄り添ったきめ細かな支援を行うためには、町内会や自治会など、支援に関わる関係機関・団体等と情報共有し、連携を図ることが重要であり、自治会や町内会に対し、個々の被災者の見守り支援のため必要な情報を必要な都度、必要な範囲で情報提供し、見守り世帯の個別の状況に応じた連携を図っている。
【斉藤委員】
生活支援相談員の活動は大変重要な取り組みだが、知事が言われた497世帯の重点見守り世帯は、市町村で大きなばらつきがある。大船渡市で126世帯、山田町203世帯と多いが、陸前高田市は13世帯と、少し精度が不十分なのではないか。
この生活支援相談員が回っている、特に重点見守り世帯の方々は、平均月2回程度の訪問である。日常的には地域で見守るべき対象なんだと思う。しかしその情報は提供されていないのが実態である。そこを抜本的に改善すべきではないか。
【達増知事】
見守り対象世帯の情報を生活支援相談員から一律に提供することは、個人情報保護の観点から困難とされているが、個々の被災者の見守り支援のために、世帯の構成員や心身の状態、配慮を要する点など必要な情報について、町内会や自治会に対して必要な都度、必要な範囲で提供するという形で情報共有を図っているところである。
【斉藤委員】
いま大きな問題になっているのが、「災害ケースマネジメント」という被災者全体を訪問して、どういう課題があるのか、さまざまな団体とも情報を共有しながら生活の再建を支援するというやり方で、鳥取県がこれを県として採用している。東日本大震災津波で大きな被害を受けた岩手でこそ、こうした取り組みをすべきではないか。
【達増知事】
県社協において生活支援相談員が配置され、市町村と連携しながら町内会や自治会との連携も図られているわけだが、ご指摘の通り、仮設住宅はもちろん災害公営住宅においても、生活や健康の面でさまざま厳しい状況があり、それは的確に把握して対策を講じることが重要であるので、岩手県としてもさまざま工夫していきたい。
【斉藤委員】
いよいよ伴走型の支援が必要になってきた。災害ケースマネジメントはぜひ検討して、最後の一人までということを知事は強調しているので、そういう立場の具体化をぜひ図っていただきたい。
災害公営住宅で自治会が設立されているが、それでコミュニティが確立されるわけではない。私たちも自治会の調査を行った。一般質問でも千田県議が取り上げたが、22の県営災害公営住宅の中で入居者名簿の作成は3自治会にとどまっている。あとは情報が提供されていない。この問題は改善されるべきだと思うがいかがか。
【達増知事】
県営災害公営住宅の入居者の情報については、個人情報保護の観点から、同意いただいた方の情報について自治会にも要請に応じて提供している。
コミュニティの形成については、県としてもコミュニティ形成支援事業によりコミュニティ形成支援員を災害公営住宅に派遣し、相談対応や自治会運営のサポートを行っているほか、被災地コミュニティ支援コーディネート事業により、市町村と支援団体等を調整するコーディネーターを配置し、市町村の取り組みを支援している。
今後とも市町村や支援団体等と連携してコミュニティの確立に努めていく。
【斉藤委員】
実際には入居者の名簿は提供されていないので、厳密に同意も確認するなどして必要な情報を提供すると。災害公営住宅を支援している専門家に聞いたが、「高齢化率が4割に達し、あと10年経ったら老人ホームになりかねない。そういうところへの支援、コミュニティの確立は急務だ」という指摘だった。そういう立場で、支援を強化していただきたい。
大震災津波の教訓を伝承することは、次期総合計画でも位置付けられた大事な課題だが、その中で、なぜ多くの犠牲者を出したか、その具体的な要因・分析・教訓というものを返すべきだと思うが、どのように把握されているか。
【達増知事】
東日本大震災津波で多くの犠牲者を出した要因についてだが、平成24年2月に「東日本大震災津波にかかる災害対応検証報告書」をまとめており、その中で避難行動の原因分析を行っているが、主なものとして、「防潮堤・防波堤などへの過信や、今回の津波の大きさに対する過小評価」、「過去の津波警報等発令時のいわゆる空振りによる油断」、「家族の安否確認のため一時帰宅したケース」などにより避難しなかったことや、避難した場所が結果的に被災したことなどが挙げられている。
【斉藤委員】
今度津波伝承館もつくられるが、ここの分析が本当に知らされることが必要だと思う。
被害が大きい自治体の検証報告書を見たが、釜石市は、「犠牲者の36%は自宅で被災、要援護者だと思われる」、陸前高田市は、「死者・行方不明者の5割は積極的な避難行動をとらなかった」、大槌町は、「犠牲者のうち、自宅から避難しなかった、あるいは逃げ遅れた人が7割にのぼる」と。津波の一番の教訓は「避難」である。なぜ避難しなかったのか、できなかったのか。この問題にしっかり光を当てて、その検証・教訓を全国・全世界に広げていくことが必要だと思うがいかがか。
【達増知事】
東日本大震災津波にかかる災害対応検証報告書によると、犠牲者の死因の92.4%が溺死、年代別では、60歳以上の割合が63.3%を占め、高齢者の犠牲者が著しく多い状況であった。
津波により再び犠牲者を出さないため、被害状況や地理的条件、歴史や文化、産業構造などに応じて、その地域にふさわしい海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最小化するという「減災」の考えにより安全の確保に努めてきた。
特にソフト対策としては、「津波発生時のシミュレーションによる浸水範囲や浸水深、津波到達時間を明示した津波浸水予測図の作成」、「高齢者や障がい者など誰もが余裕を持って避難することができるよう、避難場所・避難路、避難の手法等を定めた避難計画の策定」、「重層的な情報発信ネットワークの構築」、「自主防災組織の強化や防災教育の推進」に取り組んできたところである。
とりわけ、単独での避難が難しい高齢者や障がい者の避難については、県地域防災計画において、避難行動要支援者名簿の作成についての規定を設け、県内市町村で名簿を作成し、自主防災組織等の避難支援関係者に名簿の提供等を働きかけてきたところである。
今後においても、防災教育や総合防災訓練等を通じて、自らの身は自ら守るという防災意識の徹底を図っていく。
2.災害対策と避難の問題について
【斉藤委員】
最近続発している大雨洪水・土砂災害、台風被害など、災害から人命を守ることは自治体の最大の使命でもある。そのカギは、やはり適切な避難の勧告・指示と避難の取り組みだと思う。一昨年の台風10号災害の教訓を踏まえた県の取り組みはどうなっているか。
【達増知事】
県では、台風10号災害で得られた教訓を踏まえ、新たな風水害に対応した防災体制の整備にかかる報告書を取りまとめ、地域防災計画に反映させてきた。
これに基づき、「河川改修や砂防施設の整備などのハード対策の実施」、「水位周知河川や土砂災害警戒区域等の指定、中小河川への危機管理型水位計の設置、市町村長へのホットラインなどのソフト対策の実施」、「風水害対策支援チームによる、台風接近時の避難勧告等の発令や避難所開設にかかる市町村への助言」、「要配慮者利用施設における避難確保計画の策定支援」などに取り組んできた。
今後においても、こうした取り組みを着実に進め、地域防災力の強化を図っていく。
【斉藤委員】
避難の問題に焦点をしぼってお聞きするが、市町村での要支援者名簿、名簿の自主防災組織への提供、要支援者の個別支援計画の作成が実践的には一番重要だが、その状況と進んでいない要因と対策はどうなっているか。
【達増知事】
避難行動要支援者名簿は県内全市町村で作成されており、その総数は、平成30年5月1日現在で81423人となっており、名簿の自主防災組織への提供については20市町村で行われ、避難支援等を行うための個別計画は13市町村において16788人分が策定済となっている。
本県においては、自主防災組織など避難支援関係者への平常時からの名簿提供は、要支援者の約4割にとどまっており、本人から提供の同意が得られないことが主な課題となっている。
また、避難行動要支援者の個別計画については、15市町村で計画の策定に未着手となっており、地域における避難支援者の確保が難しいことなどが課題として挙げられている。
県としては、実効性のある避難支援が行われるよう、今後とも研修会等において、こうした課題にかかる先進的な取り組み事例を紹介するなど市町村を支援するほか、自主防災組織リーダー研修会の開催等を通じて、地域の防災活動を支援するなど、避難行動要支援者への避難支援の充実に取り組んでいく。
【斉藤委員】
81423人の要支援者名簿は作られたと。しかし20市町村で34953人しか提供されていない。個別計画にいたっては16788人で、全体の28.6%・13市町村しか作っていない。これだったら避難にならない。
西日本豪雨災害で220名余の犠牲者を出して、もっとも大きな被害を受けた倉敷市真備町では、地区に個別支援計画はなかった。だから助けられなかった。また、特別警報が出されても3%しか避難しなかった。この情報提供がされていないということも大問題だし、個別計画が進んでいない。一方で個別計画を100%作っている自治体は12市町村ある。この格差をしっかり埋めるよう県はしっかり援助すべきだと思うがいかがか。
【達増知事】
西日本豪雨災害での真備町の例など、大変悲惨な例があり、やはり要支援者を事前に確認し、迅速に避難を支援することがきわめて重要と考える。さまざまな名簿の事前提供に関して本人の同意が得られない等の課題が指摘されているわけだが、克服している例も県内市町村であるので、県としても県内全市町村で適切に要支援者の避難が迅速に行われるような日頃の準備というものを実現するよう努めていきたい。
【斉藤委員】
市町村で100%やっているところもあるので、個人情報保護を壁にしないで、住民の安全を守るということを優先にした取り組みにすべきである。
実は、避難できない一番大きな問題が、避難所の劣悪な環境である。だいたいテレビに映ればどこでも体育館で雑魚寝である。ああいう状況だったら、要支援者は避難する気にならない。リスクが大きすぎて。スフィア基準というものがあるが、国際赤十字社が発展途上国も含めて避難所の最低基準を出した。それと比べれば日本は基準の何分の1もの状況だが、スフィア基準を踏まえた避難場所の抜本的な改善を岩手から取り組む必要があるのではないか。
【達増知事】
県においては、東日本大震災津波の経験も踏まえ、避難所を運営する市町村の参考としていただくため、平成25年度に「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を作成し、県内市町村および都道府県に配布している。
この作成モデルは、ご紹介のスフィア基準も参考に、避難所の空間配慮や、プライバシー・安全に配慮した専用スペースの確保、男女別トイレの設置などを記載した。
これについては、北海道胆振東部地震にともない、避難所支援員として派遣した職員を通じて、北海道安平町にも提供した。
岩手県では、東日本大震災津波の際に、内陸のホテル・旅館等に移送し、極力人間らしい生活ができるよう努めたところだが、避難所における良好な生活環境の確保につながるよう、この作成モデルの周知に努めていく。
【斉藤委員】
欧米と日本の避難所の決定的な違いは、簡易ベッドの提供である。実は、現在29都道府県が業界団体と協定を結び、段ボールベッドがすぐ提供されるようになっており、西日本豪雨災害でもそれがやられたところとやっていなかったところの差が出た。岩手県は、まだ段ボール協会との協定をやっていない。こういうことは早急に行い、東日本大震災津波で甚大な被害を受けた岩手県だからこそ、国の基準を変えるような取り組みをすべきではないか。
【達増知事】
段ボール工業組合との協定については、県では10月1日付で、東日本段ボール工業組合と災害時における段ボール製品の調達に関する協定を締結した。
調達物資の種類は、段ボール製簡易ベッド、段ボール製シート、段ボール製間仕切りなどであり、今後必要に応じて物資の提供を受けるものである。
【斉藤委員】
大変タイミングの良い答弁だった。
3.岩手医科大学病院の新築移転にかかわる問題と医師派遣について
【斉藤委員】
岩手医科大学は来年9月に移転するが、影響と課題をどうとらえているか。
【達増知事】
岩手医科大学総合移転整備事業では、小児・周産期・救急部門の機能強化、病床数1000床の特定機能病院を整備、災害時の医療拠点として機能する施設整備などが予定されていることから、高度救命救急医療をはじめとする高度専門医療のさらなる強化・充実などが図られるものと期待しているが、矢巾地区移転後、現在の付属病院に受診している患者の動向が変化することにより、盛岡医療圏の救急医療体制に影響を及ぼすことや、新病院への交通アクセスの確保等が課題として考えられる。
このため県としては、初期救急医療の役割等を担う市町や、医師会、関係医療機関等と連携し、地域住民への啓発等により救急医療にかかる医療提供体制の確保に取り組んでいくほか、矢巾スマートインターからのアクセス道路整備や徳田橋の架け替え整備を進めていきたい。
【斉藤委員】
岩手医大に対する県の補助はこの10年間でどうなっているか。
【達増知事】
高度救命救急センターや総合周産期母子医療センター、ドクターヘリの運営費助成など、地域医療の確保を図るためのいわゆる通常分に加え、災害時に継続的な医療体制を維持するためのエネルギーセンター設備整備など、震災対応整備分を含む岩手医大付属病院の移転にかかる補助などで、平成21年度から30年度までの10年間において、約148億7000万円の補助を見込んでいる。
さらに移転にかかる補助については、平成31年度において、13億4000万円を見込んでおり、これに平成18年度に行った学部移転に対する補助約7億9000万円を合わせると、移転にかかる支援総額は約74億1000万円を見込んでいる。
【斉藤委員】
10年間で148億円余、さらに74億円ということで、岩手医大が地域医療に果たしている役割はきわめて大きいものがある。
同時に、これだけの補助をしているわけだから、県立病院に対する医師派遣はもっとやるべきではないか。県立病院への医師派遣の状況はどうなっているか。
【達増知事】
岩手医大からの派遣等により県立病院に勤務している医師数は、平成28年度が241人、29年度が254人、30年度が260人となっている。
県は、岩手医大の移転に際して、29年度に「地域医療の確保に向けた連携および強力に関する協定書」を締結し、大学は医師の適正な養成、派遣、配置等はじめ、地域医療への貢献に努めることとしている。
こうした中、岩手医大医学部の地域枠が、今年度から31年度まで2ヶ年延長となったことにともない、県は平成20年度に締結した「岩手医大医学部の教育研究費の負担に関する協定書」の見直しを行った。この見直しにあたっては、大学による地域医療への貢献を求めるため、必要に応じて、大学で研修中の奨学金養成医師に公的病院等の診療応援等を行わせるよう努めることを新たに明記した。
今般の岩手医大の移転に対する県からの支援にあたっては、県と大学との間で締結したこれらの協定に基づき、地域医療の確保に向けた連携および強力について確認したところであり、新病院のさらなる機能強化とあわせて、同大学から県立病院等への医師派遣の拡充により地域医療の充実が図られるよう、岩手医大に対して求めていく。
【斉藤委員】
岩手医大からの医師派遣の数が出たが、あれは医局管理の医師数で、私が医療局からいただいた資料では、この5年間県立病院の医師は減った。実は、大学からの派遣等で15人減っている。これだけ支援しながら減っているのが実態なので、ぜひ県立病院の次期経営計画を策定する上でも、岩手医大に対する要請を強くやっていただきたい。
【達増知事】
岩手県内で医療を必要とする人が、必要な医療を必要な時に受けられるようにということに対する県民のニーズは非常に強いものがあるので、それに応えるための県立病院の体制について、やはり岩手医大にはしっかり地域に対する、岩手県民に対する役割を果たしてもらわなければならないと考えるので、しっかり求めていきたい。
4.一昨年の台風第10号災害からの復旧状況と課題、県の支援について
【斉藤委員】
2年と1か月が経過したが、復旧・復興の状況はどうか。
この間の県の支援はどうなっているか。
【達増知事】
災害復旧工事については、8月末時点で、公共土木施設の完成率が41.8%、農林水産関係施設の完成率が57.1%となっている。
被災者の生活再建については、8月1日現在で、144世帯の方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされているが、災害救助法に定める2年間の供与期間の終了を迎えることから、恒久住宅への移行が困難な世帯については、今年度県単事業で供与期間の延長を行うこととしている。
こうした中、応急仮設住宅への入居世帯数がもっとも多い岩泉町では、災害公営住宅64戸、被災者移転地17戸分の整備を進めており、今年度中に恒久住宅への移行が大きく進むものと見込んでいる。
【斉藤委員】
岩泉町の台風10号災害の被害は300億円を超え、東日本大震災津波の10倍の規模だった。
その中で、生活橋の再建が進んでいない。5億円必要だが、1500万円しか寄付金が集まっていない。さらに被災者の医療費の免除措置を継続している。住宅再建に対し200万円、補修に100万円の独自補助もしている。
その点で、多額の財政需要に対応できるような県の支援―特定地域復興特別交付金を継続・拡充することが必要ではないか。
【達増知事】
これまで県独自の支援として、平成28年度に特定地域復興支援緊急交付金3億1400万円、29年度に特定被災地復興支援特別交付金8700万円を交付し、早期の復旧・復興を支援してきた。
今年度の岩泉町の復旧・復興にかかる事業費については、9月時点で約145億円、うち12億4000万円程度の一般財源を要するものと聞いている。
現在、国の特別交付税の算定に向けた調査が実施されており、まずは、国に対して、岩泉町の財政需要への十分な特別交付税措置を要請するとともに、その交付の状況等も踏まえた上で県の支援について検討していきたい。