2018年10月4日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・警察における児童虐待の相談と対応、児童相談所との連携について
【斉藤委員】
県警が対応した児童虐待の相談件数、相談内容、対応、児童相談所への通報と連携についてお聞きしたい。
【生活安全部長】
平成29年中に県警が相談や通報等で認知した件数は395件であり、前年比23件増となっている。8月末時点での認知件数は286件で、前年同期比5件増となっている。
児童虐待を認知した場合には、警察官や少年補導職員が現場に早期臨場し、直接児童の安全確認を行い、虐待の事実が確認された場合や虐待が疑われた場合には、速やかに児童相談所へ通告するほか、暴行や傷害など具体的な法令違反があった場合には所要の捜査を実施している。
県警は、従来から児童相談所および県との間で、連絡会議や子どもの生命や健康に対するリスクが高く、継続的に指導を行わなければならないなどの一定の要件に該当する児童虐待事案の情報共有、児童相談所による立ち入り捜査等を想定した合同訓練の開催など、児童の安全確保に向けた連携を追求してきた。
さらに今年9月18日に、県警と県が締結した児童虐待に関する児童相談所と警察の相互連携にかかる協定では、従来の連携に加え、相互が把握する児童虐待事案の全件について情報共有をすることなどを定め、相互の連携をより緊密にし、児童の安全確保に万全を期すこととしている。
【斉藤委員】
児童相談所に対する通告の中身も示していただきたい。
警察への通報・相談も多いが、主に通報者は家族なのか、近所の方なのか。
【生活安全部長】
警察から児童相談所への通告数は平成29年は657人で、前年比110名増となっている。本年8月末の通告数は433人で、前年同期比35人減となっている。
通告の内容は、身体的虐待90人、性的虐待6人、ネグレクト83人、心理的虐待478人となっている。本年8月末現在においては、身体的虐待76人、性的虐待2人、ネグレクト57人、心理的虐待298人となっている。
通報についてはさまざまで、家族の場合や近隣の者等であり、数については現在手元にないので答弁しかねる。
【斉藤委員】
虐待の中でも特に心理的虐待が多いので、面前DVということになると思うが、面前DVの場合だと誰が通報するのかということになるので。
・遺体捜索の取り組みについて
【斉藤委員】
今年度から月命日に関わらず、各署の取り組みで毎月やられているようだが、遺体捜索の状況はどうなっているか。海中ドローン、水中ドローンというものもあり、遺族の方々は、海底に沈んでいるのではないかということでこの捜索を強く求めているので、いずれ8年目を迎えているので、いつまでも続くことではないと思うが、ぜひ海中の捜索というものを大事な時期に位置づけてやっていただけないか。
つい先日、遺体の取り違えという残念な事態が起こった。これまでも何件かあったようだが、この教訓、今後の対策はどうなっているか。
【警備部長】
捜索の状況については、本年は9月末現在で38回、約580人を動員して実施している。平成24年から29年までは、延べ357回、約9200人で実施している。本年については、残念ながらこれまで行方不明者ご本人や行方不明者につながる物の発見には至っていない。
機動隊で所有しているいわゆる水中ドローンと同様の性能を有する水中探索機だが、これにより本年は3月11日の集中捜索の際に陸前高田市の古川沼において実施している。それから本年9月の釜石署管内において、海上保安部と消防と共同で、機動隊を導入しての海中捜索を予定していたが、台風21号災害対応のため中止とさせていただいた。昨年については、水中探索機の使用した捜索は実施していないが、潜水による捜索を4回ほど実施している。今後の活用について、自治体や管理者、海上保安部等と連携した上で活用していきたい。
【刑事部長】
報道の遺体取り違えの件については、その疑いが浮上し、現在調査中の事案であり、いまだ身元特定には至っていないため公表していない。
本県については、捜査中の事案であるので答弁は差し控えるが、これまでの取り違え事案を見ると、すべてが発災の混乱時に、容貌・体格・年齢・身体的特徴のみで引き渡しをしていたことが取り違えの原因となっている。着衣・所持品で確認ができる場合であっても、原則的にはDNA型・歯科所見・指紋等の科学的な確認作業により個人を特定する必要があると考えている。
【斉藤委員】
新聞報道だと、この女性の遺体が本人とは違っていた。そして当初引き取ったのは、山田町の老年女性と分かってそれぞれの遺族に謝罪し今後遺骨を引き渡すと。これは調査中でまだはっきりしていないということか。
【刑事部長】
その通りで、現在調査中の事案である。
【斉藤委員】
新聞各紙はかなり具体的に報道しているので。
・ゾーン30の取り組みについて
【斉藤委員】
通学路や生活道路の車の最高速度を30キロに規制する「ゾーン30」の設定が県内27地区でされており、人身交通事故発生件数が年間約40%減少するなど効果が見られると報道され、大変注目をしている。
私の近隣でもこういう要望があり、とりわけ通学路の場合はこうした設定が重要ではないかと思うが、この間ゾーン30の設定の状況、今後の見通し、実際の効果はどうなっているか。
【交通部長】
ゾーン30については、平成29年度までに27地区を整備しており、本年度は3地区に整備予定である。
効果については、整備した地域の皆様からは、「登下校する子どもたちの安全を考え、運転に気を使うようになった」「車のスピードが遅くなったように感じる」などの声があるほか、28年度末までに設置した24地区について、設置前と設置後それぞれ1年間の交通事故発生状況を見ると、人身交通事故は24件から15件に減少するなど一定の効果が認められるところである。
県警としては、引き続き道路管理者と連携したゾーン30の整備を推進するとともに、歩行者・自転車の安全を確保する必要性が高い箇所については、30キロの低速度規制を行うなど、通学路や生活道路に対する交通安全対策を推進していきたい。
・県警職員の超過勤務、有給休暇取得状況と改善策について
【斉藤委員】
人事委員会からも警察本部長宛に、労働基準および労働安全衛生の状況に関する指示が出されていると思うが、一人当たり超過勤務時間、手当の支給、その差額、今後の改善方向を示していただきたい。
【警務部長】
平成29年度の警察職員の超過勤務は、月平均一人当たり約19.7時間、支給時間数が約17.8時間、超過勤務時間数に支給時間数の割合は約90%となっている。
今後の改善策については、超過勤務については、職員の健康保持と勤務環境改善の観点からもまずは縮減することが必要だと認識しており、事務の効率化を推進するとともに、署長会議をはじめとした各種の幹部会議等において具体的に指示しているほか、縮減に向けたさまざまな取り組みを推進しており、改善が図られている傾向にある。
一方で警察用務は、地域の安全を確保するため、昼夜を分かたず事件や事故に即時に対応しなければならない特殊性を有していることも事実である。県警としては、超過勤務を削減することが公務の率の向上、職員の健康保持などの観点からも重要であると認識していることから、引き続き事務の効率化を推進するとともに、突発的な事案に対処する必要がある場合には所要の措置を講じて適切に対応していきたい。
【斉藤委員】
県警は律儀に超過勤務時間と支給時間を出すので違いが分かるが、一人当たり月2時間サービス残業となっている。厳密に言うとサービス残業は犯罪行為である。おそらく月2時間というのは一人当たり1万円を超えるのではないか。年間12万円以上のサービス残業をしているということになる。正確に労働時間が把握されているので、その分しっかり支給するという風に改善していただきたい。
有給休暇取得状況は平均で8日になっているが、きわめて低い。そもそも県警本部の有給休暇取得の目標自身が低く、20日間の有給休暇があるのなら、基本的には有給休暇が取れることを前提に取り組みを進める必要があると思うが、どういう目標でどのように取り組んできたか。今後の対策も含めて。
【警務部長】
超過勤務については、まずは縮減することが優先されると考えているが、そのために引き続き事務の効率化を推進していくが、突発的な事案に対しては所要の措置を講じて適切に対応していきたい。
年次有給休暇の取得状況については、平成29年度の職員一人当たり年間平均休暇取得日数は8.0日であり、前年比1.3日増となっている。県警においては、平成28年3月に策定した岩手県警察における次世代育成支援および女性職員の活用のための行動計画に基づき、各種会議や研修会を通じた指示・教養、本部担当官による出前講座等を通じ計画的な休暇取得の促進を図っているところだが、さらに今月からは月1日以上の取得を奨励するマンスリー休暇制度を施行実施することとしている。
【斉藤委員】
県庁の各部局と比べても、一人当たり平均8日というのは一番低いので、皆さんが頑張って仕事をしているのはいいが、しっかり休暇も取って頑張ると。その方がかえって効果的ということもあるので、しっかりやっていただきたい。
・捜査報償費について
【斉藤委員】
5年間の捜査報償費の推移を示していただきたい。
【警務部長】
5年間の決算額で、25年度は1149万円、26年度は1067万9千円、27年度は1072万4千円、28年度は1040万7千円、29年度は864万6千円となっている。
【斉藤委員】
着実に捜査報償費は減少してきた。29年度は予算額1300万円にたいし864万円余、執行率は66.4%である。もっと予算も減らせるし、これは裏金が疑われる費目なので毎回取り上げているが、思いきった抜本的な改革が必要になってきたのではないか。
・県警の不祥事問題について
【斉藤委員】
平成29年度・30年度の県警の不祥事件数、処分の状況はどうなっているか。
【参事官兼首席監察官】
平成29年については懲戒処分者5名、平成30年は8月末現在で懲戒処分者3名となっている。
30年8月末現在で、懲戒処分まで至らない訓戒・注意の事案については14名となっており、前年同期比8名増となっている。
【斉藤委員】
平成29年を見ると、「異性に対する信用失墜行為で免職」「強制わいせつ事案で停職」と深刻である。懲戒処分に至らない訓戒その他を見ると、今年1月から8月まで「不適切な異性交際」が4件もある。少し県警はおかしくなっているのではないか。
本部長はこの不祥事案の深刻さをどう思っているか。
【警察本部長】
昨年5人の懲戒処分者を出し、本年も3人出している状況について、強い危機感をもって受け止めており、今後一層職員の綱紀粛正を図っていかなければならないと考えている。
一方、多くの警察職員が誠実に職務に精励している中、一部の職員による規律違反行為により、県民の皆様の信頼を大きく損ねることは誠に遺憾であり、引き続き非違事案の根絶に向けた取り組みを強化するとともに、警察諸活動の推進を通じ、県民の皆様のご期待と信頼に応えられるよう力を尽くしていきたい。
【斉藤委員】
公務員というのは、モラルの問題でも人権の問題でも模範にならなくてはならない。とりわけ警察官はそうである。しかしこういう事案が続いているということをしっかり受け止めて、本気で改革を図るべきである。
具体的な問題について。3月28日の新聞報道で、元巡査部長が東京で遺体で発見されたと。私が予算特別委員会で取り上げた、昨年11月23日から行方不明になった水沢警察署の警察官である。2月10日に懲戒免職になっているが、なぜ行方不明になって、こういう形で遺体が発見されるということになったのか。どういう捜査をして、原因、結果はどうだったのか。
【参事官兼首席監察官】
本年1月26日に懲戒処分とした元水沢警察署の男性巡査部長が、本年3月に東京都内で遺体で発見されたことは報道の通りである。死亡原因については、死者の尊厳、ご遺族の心情への配慮から答弁は差し控えさせていただきたい。なお、他者の介在等事件性についてはなかった。
【交通部長】
失踪直前に発生した当て逃げ事件については、これまでの捜査の結果、当該職員の飲酒運転による当て逃げ事件と断定し、本年5月24日、盛岡地検に書類送検している。
【斉藤委員】
これは私が予算特別委員会で指摘した通りだった。飲酒運転による当て逃げだと。どこで飲んだのか。水沢警察署で飲んだのではないか。警察署で飲んで、飲み屋に行く途中に事故を起こして、残念ながら逃走してしまったという事件ではないか。
【参事官兼首席監察官】
署内で飲酒したという事実はない。
【斉藤委員】
だとしたらどこで飲んだのか。
【参事官兼首席監察官】
詳細についてはお答えできない。
【斉藤委員】
残念ながら証明はできなかったと。おそらく私の指摘通りに推移したのではないかと思う。
もう1件、今年3月、盛岡東署の課長が一身上の都合で退職した。なぜ退職したのか。
【参事官兼首席監察官】
個別の職員の退職、進退についてはプライバシーに関わることであり、お答えは差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
これが問題だということで指摘がある。暴力団との深い交際が発覚しての退職ではなかったかと。暴力団から資金、女性を預けられて飲食接待、それが発覚したために退職したと。一般の職員だったら処分されている。しかし課長クラスになるとこういう形で免れる。これだったら示しがつかないのではないか。
【参事官兼首席監察官】
ご指摘の関係については確認していない。
【斉藤委員】
確認していないと微妙な答弁だった。確認したくないのではないか。事実でなかったということではないので。私の指摘は否定できなかったということではないか。
【警察本部長】
首席監察官の答弁の通りだと思う。
・岩手医大元教授の覚せい剤疑惑事件と県警幹部職員の天下りについて
【斉藤委員】
岩手医大の元教授が、相手の女性から覚せい剤を打たれたと公然と訴えられた。しかし県警はまともな捜査をした形跡がなく、その大学に当時の刑事部長が天下りしていたと。こんなことがあったら県警の信頼は絶対に回復できないと思うがいかがか。
【警察本部長】
これまで前任の本部長が答弁している通り、警察との癒着やもみ消しといった事実はない。
【斉藤委員】
もみ消しはなかったというが、数年経っているので、予算特別委員会で聞いたときには「捜査しているかいないか答えられない」という答弁だった。捜査やっていないときもこういう答弁になるのか。
【警察本部長】
捜査については秘匿が原則であり、個別の事件を捜査しているか捜査していないか、あるいはその捜査状況については、一般論として、捜査の相手方に手の内をさらし、今後の捜査に支障を及ぼす恐れがあるので答弁は差し控えさせていただきたい。