2018年10月4日 決算特別委員会
政策地域部に対する質疑(大要)
・復興にかかる応援派遣職員の状況について
【斉藤委員】
被災市町村への応援職員の配置状況について、県内・県外からどう配置されているか。
来年度以降の見通しはどうなっているか。
【市町村課総括課長】
9月1日現在で、必要数587人にたいし539人が確保され、充足率は91.8%となっている。
来年度の必要数については、現在被災市町村からの回答を取りまとめており、現時点で明確な数字はお示しできないが、復興事業の進捗にともない、27年度の779人をピークとして年々減少していることから、今後もこの傾向は続くのではないかと見込んでいる。
他県からの状況について、7月1日現在で、県外からの派遣が172名、県内からの派遣が177名、被災市町村の独自確保が197名となっている。
【斉藤委員】
陸前高田市は137人、釜石市は123人、大槌町は104人と、自治体によってはプロパー職員と同じかそれを超えるような規模で、今でも大変大きな戦力になっていて、被災自治体に行くと、「あと2年で応援職員の派遣事業は終わるのか。とてもじゃないがあと2年で事業が終わるとは考えられない。残された半分の職員でどうやっていくのか」という声も聞いている。
数は減少するにしても、来年再来年は続くと思うが、その後の必要性・必要数も示して、応援職員の財政的な保障も直前ではなく、国との関係で明らかにしていく必要があるのではないか。
【市町村課総括課長】
応援職員の確保については、いずれ復興事業の進捗にあわせてどのように確保していくかということが大切かと思う。そうした中で、今後見込まれる事業としても、例えば、地域コミュニティ形成の支援業務や、土地家屋の鑑定にかかる現地調査事業を担う職員、土地区画整理事業を担う職員などがまだまだ必要だというのはその通りだと思うので、市町村からしっかり今後の見込みを聞きながら把握していきたい。
【斉藤委員】
あと2年ではとても終わらないというのが被災地の現状なので、いかに具体的根拠を持って国に示していくのかということが大変大事だと思う。
・台風10号災害にかかる応援職員について
【斉藤委員】
台風10号災害から2年1ヶ月余が経過したが、岩泉町への応援職員の派遣要望に対してどういう派遣になっているか。来年度の見通しはどうなっているか。
【市町村課総括課長】
現在24名が必要だという要請にたいし21名が確保されており、一般事務が7名必要だというところにたいし6名、土木職員16名の要請にたいし15名、保健師1名の要請については確保できていない。
来年度以降の見込みについては、取りまとめ中であるので、具体的な数字はお示しできないが、県としても任期付職員の採用等も進めている。
【斉藤委員】
一般質問などで台風10号災害の復旧状況は41%という回答だった。たくさんの事業が今進められている状況なので、ぜひ特に被害の大きかった岩泉町への人的支援もしっかり県としてやっていただきたい。
・被災地の交通確保対策について
【斉藤委員】
特定被災地域公共交通確保調査事業について、これは10年間は継続されることになっているが、いまだに「仮設団地をつなぐ」ということが前提になっていて、どんどん縮小されているのではないか。一方被災地では、高台団地や災害公営住宅が整備され、新たな公共交通の確保が求められている。
特定被災地公共交通確保調査事業は、昨年・今年とどのように実施されているか。
この事業の対象にならないデマンド交通など、被災市町村はさまざまな工夫を行っているが、そうした取り組みはどうなっているか。その財源はどうなっているか。
【地域交通課長】
特定被災地公共交通確保調査事業の実績として、平成29年度においては、6市町村・65路線に対して2億4437万6千円が補助されている。今年度は現時点で、6市町村・67路線に対して2億96万9千円の交付見込みとなっている。
この調査事業については、ご指摘の通り「仮設住宅を経由する」という条件があり、復興まちづくりが進み、生活拠点が仮設住宅から高台団地や災害公営住宅に移行する中、引き続き仮設住宅のみを対象としているということで、委員と同じ認識として、県としては国に対して改善の要望を出している。
対象とならないものについては、通常のものになるので、特別地方交付税の8割の措置のほか、仮に新たに導入するとなると、県の補助がある。
【斉藤委員】
被災地の現場では、その事業の対象とならない交通の確保にさまざま具体的に取り組んでいるので、その実態を把握して、財源もあるという話を聞いているので、県としてしっかり対応していただきたい。
・三陸鉄道の一貫経営と利用促進策について
【斉藤委員】
いよいよ来年3月に一貫経営となり、日本一長い第三セクター鉄道となる。
しかし、これはJRから切り離された結果そうなるのであって、プラスもあるがマイナスの面もあると思う。そして現実に、これまで5000万円程度の赤字を抱えてきているので、本気になって三陸鉄道一貫経営のメリットを最大限生かした、沿岸12市町村あげた取り組みをしていかないと、赤字体質が一層悪化することになりかねない。
そういう点で、どういう対策がなされているか。
【地域交通課長】
県・市町村の支援枠組みを含めた鉄道事業再構築実施計画を策定中であり、この計画が国の認定を受けると、施設関係への補助が通常の3分の1から2分の1に上がる。それから、国においても認定した鉄道に対しては、優先的に予算を配分するということがあり、画の策定に向けて作業を進めている。これには、国・県・関係市町村・関係団体も入っていただいて、協議会において進めることとなっている。
二期連続の赤字ということで、その結果として累積欠損の拡大という厳しい現状も踏まえながら、一貫経営後の持続可能な運営が確保されるよう進めていきたい。
【斉藤委員】
実施計画はいつまでに策定されるのか。すでに計画は議論されていると思うが、その目玉は何なのか、どういう議論がされているのか。
例えば、先日宮古市役所が新しくオープンしたが、宮古駅前に整備された。山田町は、まちづくりとして駅前の開発を進めると。こうした動きもあるので、本当に沿線住民がこぞって三陸鉄道を利用しようという新たな運動が起きてこないと、人口減少が進む中で大変大きな課題になってくる。
あわせて、交流人口をどのように拡大して観光客を呼び込むのかということはもう1つの大きな柱だと思うが、そういう点ではどういうことが議論になって、計画はいつまでに策定されるのか。
【地域交通課長】
計画の策定時期だが、今年度中の策定を目標に作業を進めている。
計画の柱だが、まずは地元の利用ということで、計画には当然市町村も入っていただいているということで、宮古市においては市庁舎を三陸鉄道の駅と接続させ、市職員がまずは地域に伝えるような形、山田町や大槌町においても、まちづくりに合わせた駅周辺を整備し、三陸鉄道を利用していただけるような整備を進めている。各市町村においてもさまざま検討するということで、計画にも乗せることにしている。
もう1点は交流人口の拡大ということで、やはり目玉としては、ラグビーワールドカップあるいは三陸復興プロジェクト2019といったビッグイベントをいかに利用促進につなげていくかというところを柱に、企画列車だとか貸し切り列車といったものを検討している。
【斉藤委員】
この実施計画が年度内の策定ということになると、一貫経営のオープンとセットである。一体的に運動していかないと、計画を作ってからとはならないので、計画を作りながら来年の3月に向けてどういう取り組み・運動を進めていくのか、ぜひ一体的に取り組んでいただきたい。
知事はいつも「ピンチをチャンスに」と言っているが、そういう構えで、一大住民運動ということが必要である。
・若者定住対策と若者定住住宅の取り組みについて
【斉藤委員】
県内各地で、いま若者の移住・定住の取り組みを進めている。
若者定住住宅の取り組みが市町村レベルではかなり整備され、効果もあげている。例えば葛巻町では、毎年若い世帯を3世帯ずつ確保すれば、地元の小学校は守れるという構えてやっている。
そういう形で、どれだけの市町村で若者定住住宅の取り組みを行っているか。
【地域振興監】
市町村では、定住住宅の取り組みが進んでおり、タイプについてはいろいろあり、例えば、雇用促進住宅を取得して若者定住促進住宅として活用している例、ご紹介いただいた葛巻町のように、若者定住住宅として整備している例、あるいは若者のU・I・Jターン者を対象に家賃補助を実施しているところがあり、具体的な内容については、正確な数としては把握していないが、31市町村で何らかの住宅にかかる支援・補助に取り組んでいる。
【斉藤委員】
31市町村で住宅の補助に取り組んでいると。若者定住住宅を整備しているところも少なくないと。
例えば、花巻市は雇用促進住宅を活用して、久慈市も定住促進住宅を整備しており、二戸市も定住促進住宅、釜石市も雇用促進住宅を若者定住住宅に、葛巻町・岩泉町・西和賀町なども、本当に自ら定住住宅を整備し、必死になって若者の定住・移住に取り組んでいる。
さまざま雇用確保の問題を聞いても、住宅確保というのは1つのポイント・課題になっている。東京に就職するにしても、寮があるところとか住宅がきちんと確保されているところが人気が高いと。県内でも、ぜひ若者定住住宅の整備、家賃補助も含めて、盛岡市でも、古い住宅を確保してのリフォームには補助するといった取り組みがなされているので、具体例を示しながら、岩手県としても考える時期にきているのではないか。
・就業構造基本調査における雇用の実態について
【斉藤委員】
平成29年の就業構造基本調査の速報値が出された。就業構造基本調査の結果、正社員の雇用、非正規雇用、実労働者の人員はどのように推移しているか。
【調査統計課総括課長】
就業構造基本調査は5年に1度行われる調査である。直近は平成29年の調査であり、県内における役員を除く雇用者数は53万1600人、うち非正規が18万9800人で、非正規の全体に占める割合は35.7%、前回5年前の平成24年の調査に比べ8700人・1.9ポイント減少している。
【斉藤委員】
平成24年は震災直後で、そのことも考えれば非正規が比較的多く出たということになるかと思う。
平成29年の段階でも、18万9800人が非正規雇用で35.7%、5年前が37.6%なので、この比率は8年前と比べても高い。平成19年は18万2300人で33.5%だったので、やはり高い比率で非正規雇用が推移している。
この問題は、時期経営計画でも、雇用・収入という問題の位置づけを高めるべきだと思う。8時間働けば安心して生活できると、これが幸福の最大の土台になる。
この調査の中に収入基準というのがあり、これは正規の場合、200万円を割っている総数は15.8%、正規でもこれだけ200万円以下のワーキングプア。パートの場合で200万円を割っている比率は92.6%にも達する。だから本当に非正規という実態がきわめて深刻、ワーキングプアの実態にあると、このことも今度の就業構造基本調査で明らかになったのではないか。
この就業構造基本調査は、かなり信頼できる正確な実態が反映されるもので、この調査結果に基づいても、非正規雇用の生活実態はきわめて重要な問題だと思う。
政策地域部は、時期総合計画を所管する部なので、こうした実態もよく踏まえて、雇用・収入の課題を重視してやっていただきたい。
【政策地域部長】
貴重なご指摘をいただいた。先日の時期総合計画特別委員会でも同様の指摘をいただいたと認識している。
まさにいま、次期総合計画の長期ビジョン、政策プラン等の策定段階であるが、長期ビジョンでは、仕事・収入の中に、各分野における雇用関係の改善を促進する、非正規雇用から正規雇用への転換を拡大することにより、安定的な雇用の移行を促進するということを盛り込んでいるので、引き続きさまざまなご指摘を踏まえながら検討していきたい。