2018年10月9日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・県央ブロックごみ処理広域化計画について
【斉藤委員】
進捗状況はどうなっているか。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡広域のごみ処理広域化は、8市町の首長で構成する県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会により検討が進められており、平成27年1月に基本構想が策定された。
その後、当該推進協議会が設置した、ごみ処理施設整備候補地検討委員会が報告書を提出し、平成29年5月の推進協議会を経て、4箇所の整備候補地が選定された。
さらに本年8月、整備候補地4箇所のうち、都南工業団地付近および盛岡インター付近の2つについて優先して協議を進めるとされたと聞いている。
【斉藤委員】
今年の8月に建設予定地が2箇所にしぼられた。2箇所にしぼられた具体的理由は何か。
昨年5月に4箇所にしぼられたが、この時は県央ブロックごみ処理施設整備候補地検討委員会が4箇所にしぼった。2箇所にしぼったのはどこなのか。検討委員会が開催された形跡はないが、どこが2箇所にしぼったのか。
【資源循環推進課総括課長】
各整備候補地において住民説明会が開催されてきたが、反対が根強い地域があるということで、2箇所について優先して協議を進めることとされたと聞いている。
2箇所にしぼったのはどこかということだが、推進協議会の事務局である盛岡市が、市議会全員協議会において、2箇所を優先して協議を進める旨を説明したことは承知しているが、推進協議会においてどのような意思決定がされたかについては承知していない。
【斉藤委員】
県も承知しておらず、不明瞭な形で2箇所にしぼられたのではないか。
2箇所にしぼられた理由は、それ以外の2箇所が根強い反対運動があったと。しぼられた2箇所は反対がないのかというと決してそうではない。
例えば、本命と言われる上厨川地区、ここは土地区画整理事業が失敗したところである。実は昨年10月に、地域住民が反対の要望書を提出している。
もう1つは都南工業地帯付近。8月30日付の新聞報道では、周辺の自治会が住民説明会を6月に求めていたにも関わらず、説明会も開かずに8月に盛岡市が市議会全員協議会において都南も含めた2箇所にしぼった。だからその後に反対の運動も広がっている。
しぼられた2箇所も、明確な反対の声が広がっているのに、ここの声は無視されているということか。
【資源循環推進課総括課長】
整備候補地の選定については、盛岡市において引き続き適切に対応されていくものと考えている。
【斉藤委員】
盛岡市が適切にやっていないからここで聞いているので。
本命と言われている上厨川地区にはこういう経過があった。昨年7月、市が提案をして、区画整理事業の見通しがないから解散しなさいと提案し、市側から「ごみ焼却施設の誘致を核とする土地利用」を提案し、了承を取り付けた。市が提案している。そしてこの直後の8月に、2つの町内会長の連名で誘致の要望書が出された。しかしこの2つの町内会は実態がない。1つの町内会は、地域住民が反対し当該町内会長は辞任した。町内会の総意でも何でもない。一部の地権者が、何としても土地を売りたいと、失敗した土地区画整理事業の決着をつけたいということでやったのではないか。これだったら市の自作自演ではないかと言われている。
2箇所が排除された理由は、住民の根強い反対だと。これは当然だと思う。谷藤市長が「住民合意を前提にやる」と言明してきた。しかし、しぼられた2箇所でも住民の反対の声が明確にあがっている。
結局、適地がないということになるのではないか。その点について県はどのように把握しているか。
【資源循環推進課総括課長】
候補地の決定過程については、市町村からその都度報告を受けるという制度にはなっていないので、詳細は承知していない。
【斉藤委員】
これを推進する最大の理由は、県が策定した県央ブロックごみ処理広域化計画である。そして、一箇所に集中しなければ交付金が出ないという事実に基づかない県のミスリードによって、一箇所は仕方がないのではないかとなっている。県は責任回避できないと思う。
谷藤市長が言うように「住民合意を貫く」というのであれば、しぼられた2箇所も適地ではなくなる。
そもそも3市5町のごみの量は、県全体の4割を占める。これを一箇所に集中して処理するというやり方自体が矛盾に満ちている、間違っているのだと思う。本当に再検討が必要な時期である。
上厨川地区について、なぜ候補地になったのか不思議で仕方がない。イオンモール盛岡が出店していて一大商業地域である。イオンが出店するときにどういう議論があったか。「交通渋滞が発生する」ということで、道幅を広げたり、右折レーンも2車線とったりして出店が認められた。そうしたところに、8市町村のごみを集中させるということになったら、交通問題が大きなネックになる。そういうことが検討された結果候補地にあがったのか県は承知しているか。
【資源循環推進課総括課長】
そうしたいろんな条件を含めて市の整備候補地検討委員会で協議された結果だと思うので、そこは盛岡市が適切に候補地として挙げたものと考えている。
【斉藤委員】
私が聞いたのは、そういう交通渋滞の問題も含めて専門的な検討がなされて候補地になったのかと聞いた。あのエリアはイオンが出店する時の前例があるのだから。
選定のやり方を聞いたが、まともに交通問題が検討された経緯がない。どういうことが検討されたか。まず交通アクセス―これは盛岡インターがあるので当然良いが、だからこそ渋滞が起こる。今でも行楽シーズンだと渋滞である。まともな専門家による検討がなされなかったと思う。平場だから良いとか、土地区画整理事業が失敗しているのでそのまま利用できるとか。しかしそのことによって発生する問題というのは検討された経緯がない。
県の広域化計画がそもそもの出発点なので、こういう住民の反対運動も起きている、上厨川地区はそういう一大商業地域で、国道46号拡幅までしてイオンが誘致された経過から見ても、適地なのかどうかということを県がしっかり市からも聞き取るということが必要ではないか。
あわせて、循環型社会形成推進地域計画を作らないと交付金の対象にならないということで、今年の3月に盛岡市がこの計画を作ったと言われているが、県にも報告があったか。
【資源循環推進課総括課長】
ごみ処理施設の選定過程については、事業主体である盛岡市なり8市町で十分協議されていくものと考えている。
地域計画の案については、県には提出されていない。
【斉藤委員】
県の計画に基づく地域計画なので、もちろん県を通じて厚労省に提出されるのだと思うが、県にきていないということは国にも提出されていないということか。
【資源循環推進課総括課長】
地域計画は県を通して環境省に提出されることになっているので、提出されていないものと考えている。
【斉藤委員】
実は、この地域計画が作られたことを前提に、9月の盛岡市議会で議論がされていた。だとすれば大問題である。県にも報告されていない。それができた計画のように、交付金をもらう前提として市議会で議論されていたとすれば、これ自身が重大である。
大変問題を抱えた県央ブロックごみ処理広域化計画は、いよいよ行き詰まってきた。よく県が聞き取りをして、ミスリードではなく、こういう時こそ適切な指導をしていただきたい。
・メガソーラー、風力発電、環境保全の問題について
【斉藤委員】
再生可能エネルギーは現状で1012メガワットまできていると。問題は、認可されたがまだ事業化していない、整備中ものがかなりあるのではないか。
【温暖化エネルギー対策課長】
認定されているがまだ稼働されていない件数は、手元の情報として、太陽光発電については、現在認定件数32020件、稼働件数は28570件となっている。
【斉藤委員】
認定されたが稼働していない発電量は分かるか。
【温暖化エネルギー対策課長】
大規模なものとして1000キロワット以上のもので、認定件数182件、稼働件数89件だが、設備容量・合計数値については今すぐ答弁できかねる。
【斉藤委員】
私が心配しているのは、軽米町におけるメガソーラーである。軽米町は運転中がわずか1つで2メガワットだけだが、建設中のものが軽米西ソーラー48メガワット、軽米東ソーラー70メガワット、軽米太陽光発電所40メガワット、高家太陽光発電所36メガワットと、軽米だけで196メガワットの計画になっている。
軽米町が問題なのは、森林を伐採して太陽光発電を造るという、先程来大問題になっているものである。軽米西ソーラーは156ヘクタール、軽米東ソーラーは302ヘクタール、計457ヘクタールの森林を伐採する。いま異常気象が多発している中で、集中豪雨が毎年起こる中で、本当に大変なことになるのではないか。
そして環境アセスメントは行われないと。ましてや軽米町は協議会をつくって町が主導してやっている。二重にチェック機能が働かないのではないか。
【温暖化エネルギー対策課長】
本件については、森林法に基づく林地開発条件と異なる開発が行われ、現在行政指導が行われていることについては承知している。
森林法所管部局からは、現在行政指導により工事が中断され、事業者から、例えば、洪水調整池の容量確保のための波板設置等の応急措置が実施されているということを聞いている。
いずれにしても、再生可能エネルギーの導入促進については、関係法令の規定を遵守することは大前提と考えているので、関係法令・所管部局においての適切な指導、それを含めて必要な場合は国等におけるFIT法に基づく改善指導等が行われていくものと考えている。
【斉藤委員】
いま工事が中断しているところはどこか。
軽米町が協議会をつくって一括して推進している。協議会の議事録を見ると、県の林業振興課長だと思うが、懸念を表明している。しかし議長である町長がその懸念をまともに検討せずにどんどん進める。こういう経過も議事録で明らかになって、歯止めがかからない。規制する環境アセスメントの義務づけもない。町長が先頭になって進めている。
これは国のレベルでもやっと検討が始まったというが、環境アセスメントの対象にならないの絶対にあってはならないし、国の対応待ちにならずに、県の条例化も検討して具体化しなければいけないのではないか。
【温暖化エネルギー対策課長】
現在、森林法に基づく林地開発を行う場所について、許可を受けていない内容で実施している場所について工事を中断しているところは、軽米東ソーラーである。
【環境生活部長】
現在、全国的に太陽光発電の関係で問題となっている事例もあることから、環境省の方で検討しているので、その状況も見ながら、県の条例についても、市町村の意見も聞きながら検討していきたい。