2018年10月10日 決算特別委員会
企業局に対する質疑(大要)
・工業用水道事業について
【斉藤委員】
現在の給水能力と契約水量・契約率、給水余力はどうなっているか。
【業務課総括課長】
北上工業団地に給水している第一北上中部工業用水道については、日量37293立米の給水能力にたいし、契約水量は日量25970立米であり、契約率は69.6%。給水余力については、日量11323立米となっている。この契約水量は、事業開始から徐々に増量を重ね、平成22年度以降は現状で推移している。
金ケ崎町の岩手中部工業団地へ給水している第二北上中部工業用水道については、日量17205立米の給水能力にたいし、契約水量は日量13261立米であり、契約率は77.1%。給水余力については、日量3944立米となっている。また、第二北上中部工業用水道では、既存ユーザーの撤退と新規ユーザーの進出にともない、平成25年度に、それまでの日量16061立米の契約水量から現状維持し現在に至っている。
【斉藤委員】
第一北上中部工業用水道については、契約率が69.6%、当初の契約率の計画目標はどうだったか。
【業務課総括課長】
建設時の契約目標は、施設を計画するにあたっては、まずユーザーから必要な水量を全てお聞きする。その上で計画を立てるわけだが、その時点において余力を見込んで計画を立てており、だいたいこれまでの経験上の数値から申し上げると、だいたい8割ぐらいの契約水量を見込んでの能力を計画している。
【斉藤委員】
8割ということであれば10ポイント近く落ち込んでいるということになる。
今度東芝メモリが進出してくるが、日量60000立米と。この60000立米の根拠はどこにあるのか。東芝メモリとの協定書があるのか。
【業務課総括課長】
根拠については、東芝メモリから将来の工業用水の使用計画を提出していただいており、それに基づいて日量60000立米という給水能力で計画したものである。書面による約束については、現在どのように計画について東芝メモリと決めようとしていくのかについて、詳細について詰めているところであり、お話できない状況である。
【斉藤委員】
45年間の耐用年数との関わりで試算がされているが、147億3000万円の投資をして、45年間で21億7000万円の利益、1年当たり4800万円の黒字だが、これだけの大規模な投資にしてはそれほど大きな黒字ではない。これだけ大規模な投資をするには、それなりのきちんとした口約束でない協定が必要だと思うが、そういうことで進めているのか。
【次長】
まず企業からの工業用水道使用計画を提出していただいており、その使用計画に基づき、北上工業団地における将来の工業用水道の需要を予測しながら、新たに60000立米の給水能力について整備ということで、ある程度企業からの情報と企業局の予測も合わせて60000立米としている。
そういう状況も踏まえ、委員からご指摘のあったリスクというものもあり、使用計画のみならず、一歩踏み込んだ形での取り交わしということについては進めているところである。
使用計画を出していただいて、その使用計画を増やしていくという場合には、基本契約水量を変更するという形での文書の取り交わしについては行ったところである。年数についてはございません。
【斉藤委員】
岩手東芝の時代もあった。今は分社化した子会社があるが。岩手東芝の時代はどのぐらいの実績だったのか。岩手東芝は45年ももっていないと思うが。
【業務課総括課長】
岩手東芝については、現在のジャパンセミコンダクターも含めて、昭和53年から40年間にわたり給水をしている。なお個別の給水量については、企業情報のため明らかにできないということでご了承いただきたい。
【斉藤委員】
やはりこれだけの投資をするというのであれば、きちんとした協定なりを交わして、担保も取りながら進めることが必要ではないか。
最大数量60000立米というが、東芝は当初は1000人規模、さらに2000人規模という話をしている。2000人規模になった段階で60000立米ということか。新聞報道を見ると、2022年度から一部給水をして、25年度から全量給水といっている。全量ということは60000立米。そうすると2025年度までには2000人規模の工場が整備されるということか。
【次長】
お話の通り、最後の時点で60000立米というのが最大ということを予測して整備するものである。
【斉藤委員】
だとすると、2025年度までには工場も増設して2000人規模で本格的な生産体制に入っていくと、きちんと報告を受けているということか。
【技師長】
東芝からは、水の使用計画が出されている。ただ、2000人規模とリンクしているかどうかという情報は我々には届いていないが、少なくとも第一棟で15000立米ということを考えると、雇用も増えていくのではないかと考えられるが、何人であるということは明確にお答えすることはできかねる。
【斉藤委員】
設備計画では、18年〜19年にかけて、用地取得と手続きを行い、建設工事を段階的に進めるとなっている。だから2025年度までには60000立米に対応する設備をつくると。そういう意味では、東芝の工場の整備計画と合致しないと、25年度に全量給水という計画なので。企業局の勝手な思惑ではなく、根拠のある計画にしていくべきである。
それで、北上第一の工業用水は、給水能力が日量37293立米で、新たに60000立米の増設をするとなったら今の倍近くになる。そうすると、どれだけの人員が必要になってくるか。
もう1つは、おそらく北上川から水を確保し、水利権を新たに確保する手続きになると思うが、そうした手続きはどのように見込んでいるか。
【次長】
組織体制だが、過去の工業用水道関係の建設にあたった場合、また新しい建設に携わったときの体制を考慮し、だいたい5〜6人程度の職員で対応していくと。かなり少ない人数だが、他の職員もカバーしながら組織全体として整理していく。
【業務課総括課長】
水利権については、新浄水場の計画の手続きということで、初代の工業用水の需要予測に基づき、それに間に合うようにスケジュールを立てて事業を進めており、新浄水場からは2022年度の一部給水開始、2025年度の施設の完成を目指している。なお、施設の整備については、今後用地取得や詳細設計を行い、段階的に建設工事を進める予定としている。これと平行して、必要な時期までに水利権を確保すべく、現在河川管理者等と調整を進めている。このほかの工業用水道事業をはじめとした各種手続きについては確実に行い、2025年度からの給水開始に間に合うようにしっかり取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
日量60000立米という規模になっても、人員は5〜6人程度で対応できると。
水利権の確保の費用も147億円の中に入っていると。
ぜひ積極的に取り組むと同時に、これだけの大規模な設備投資なので、東芝メモリとしっかり協議して、口約束だけでなく、協定書も交わしてやっていただきたい。
・高森高原風力発電について
【斉藤委員】
高森高原風力発電事業の実績は先ほど答弁があり、1〜9月で7億7500万円の売電収入だと。高森高原風力発電は、蓄電池を整備した風力発電ということで、蓄電池というのは実際にどういう形で機能しているのか。
【電気課長】
蓄電池は、風車の発電電力が風向きや風速の変化等により変わるため、電力会社からの要請により、急激な変動を緩和するために設置したものである。
これまでの活用状況は、蓄電池の設置により、出力が電力会社の定める変動範囲内に抑えられ、安定した電力を供給しており、十分に機能を果たしているところを確認している。
【斉藤委員】
総務部審査でも取り上げたが、高森高原風力発電の風車の間を、米軍のF16戦闘機が低空飛行したということで、もし風車とぶつかっていたら大惨事である。近隣住民の方々からも聞いたが「しょっ中飛んでいる」と。企業局長は総務部長と一緒に東北防衛局には抗議・要請に行ったと思うが、日常的な監視体制をとり、その都度抗議するなり、低空飛行の中止を求めるということをやらないといけないのではないか。沖縄ではいくら事故を起こしても飛んでいるので。こうしたことは絶対に許してはならない。
企業局はどのようにこの間対応してきたか。これから対応しようとしているか。
【電気課長】
委員申した通り、企業局長が東北防衛局を訪問し、強い遺憾の意を表すとともに、米軍に適切な対応を求めるよう要請している。
監視体制としては、米軍戦闘機の監視は行っていない。発電設備に関する監視体制としては、包括補助業務の受託者が随時監視を行っているほか、毎月1回の巡視点検で設備を確認しており、機器の状況を速やかに把握できる体制となっている。
【斉藤委員】
全然監視体制が機能していなかったと思う。報道があるまで知らなかったのではないか。こういうことがあったら、そういうことが二度とないような監視体制をとることが当たり前ではないか。そしてオスプレイも県内を飛んでいるので。米軍というのは目標を決めて飛行訓練する。昔は釜石湾が低空飛行の目標になった。岩手山が今目標になっている。その途中に高森高原風力発電があるので、1つの訓練ルートに入っていたと見てもおかしくない。だからこれを教訓にして、しっかり常時監視して、二度とこうした暴挙はさせないと。近隣住民とも連携を取りながら監視体制をとって、動きがあったら絶えず防衛局にも米軍にも抗議することが必要ではないか。
【企業局長】
高森高原風力発電所は、約16000世帯が1年間に使用する電力を供給できる重要な施設であり、県の大切な財産である。
東北防衛局に私も行ってきたが、東北防衛局長からは、私どもの要請をきちんと受け止めていただいたと理解しており、「安全面を配慮する。住民に不安を与えないと要請する」ということも述べていただいたので、私どもとしては、今後地域の方々に与える影響、あるいは高森高原風力発電に与える影響を最小限にとどめていただくよう引き続き要請をしていただくとともに、確実な実行について注目をしていきたい。